JP3956244B2 - 密閉形電動圧縮機 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明はスコッチヨーク方式の密閉形電動圧縮機の圧縮機構のピストン構造に係わり、特に、ピストンと直交して結合されたスライド管外周部に補強リブを施した構造に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
以下従来のスコッチヨーク方式の密閉形電動圧縮機及びピストンについて、図２ないし図３、及び図７を用いて説明する。図２はスコッチヨーク方式の密閉形電動圧縮機の一例を示す縦断面図、図３は図２に示す密閉形電動圧縮機を上部から見た図である。
【０００３】
一般に、スコッチヨーク方式の密閉形電動圧縮機は、図２に示すように、潤滑油１を貯溜した密閉容器２内にバネ３を介して弾性支持された電動機部５と、フレーム４の上部にあり電動機部５とクランクシャフト６を介して連結される圧縮機構部７とで構成される。また、圧縮機構部７を固定支持し前記クランクシャフト６の軸受部を有する前記フレーム４が、前記電動機部５の固定子５ａに取り付けられている。
【０００４】
圧縮機構部７はシリンダ９内を往復動するピストン１０とピストン胴部１０ｂと直交して結合された円筒状のスライド管１０ａとその内径にクランクシャフト６の回転に伴って、往復動するスライダ８からなる圧縮機構部７と固定子５ａ及び回転子５ｂからなる電動機部５をクランク軸で連結して、密閉容器内に配設してなるクランクシャフト６の回転運動を往復動に変換するスライダ８、このスライダ８によりシリンダ９内で往復動を繰り返すピストン１０により構成されている。
【０００５】
以上の構造において、圧縮動作を行う場合、該スライド管１０ａと該スライダ８の摺動面に加圧力が大きく加わる。このとき、柱体のスライダ８があり、開口部を有する薄肉円筒のスライド管１０ａの変形を抑止する必要があった。この抑止方法として、ピストン１０の中心に対してスライド管を任意の角度に傾斜させ、スライド管の板厚を増し、スライド管の剛性を増した構造としていた。
【０００６】
この種のスライド管の剛性を増した公知例として、特開昭60−62674 号公報記載のもの等が知られている。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
以下、従来技術を図３または、図６（ａ)，(ｂ）ないし図９を用いて説明する。図６は従来ピストン構造、図７，図８，図９は、それぞれ圧縮行程を表し、図７はシリンダ容積が最大となるピストンの行程における下死点。図８は下死点から上死点または上死点から下死点の中間点。図９はシリンダ容積が最小となるピストンの行程における上死点であり、それぞれ、この圧縮行程時のスライダ８の位置を示す。ここで、ガスを圧縮する際の圧縮力はクランクシャフト６からスライダ８へ伝わり、スライド管１０ａを加圧し、一体に直結されたピストン１０がガスを圧縮する。
【０００８】
しかし、図７，図８，図９に示す従来のスライド管は以下の欠点を有していた。すなわち、圧縮行程で最大圧力がスライド管１０ａに作用するのは、図８から図９の間であるが、ガス圧縮荷重による反力がスライド管１０ａに作用し、スライド管１０ａには上部側壁にスライド管窓開口部１０ｃが切り抜かれているため、スライド管１０ａの剛性を十分に増さないと加圧時に変形し、スライド管10ａとスライダ８の磨耗が増大し圧縮機入力が高くなる場合があった。この対策として、従来はスライド管１０ａの板厚を増して剛性を増す方法があるが、材料のコストアップや、ピストン重量が増加し、シャフト６に作用する慣性力が増すため、負荷が大きくなり、圧縮機の入力が大きくなるという問題があった。
【０００９】
本発明の目的は、スコッチヨーク形密閉形電動圧縮機において、スライド管の剛性を増すとともにコスト的にも安価であるスライド管を備えた圧縮機を提供することにある。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、ピストンに直結したスライド管外周部にピストン方向もしくは、ピストン胴部と直角方向に補強リブを具備した構造とすることにより達成される。
【００１１】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図１ないし図９を用いて説明する。
【００１２】
図１（ａ)，(ｂ）は、本発明の一実施例のピストンの構造図、図２は、スコッチヨーク方式の密閉形電動圧縮機の一例を示す縦断面図、図３は、図２に示すスコッチヨーク方式の密閉形電動圧縮機を上部から見た図、図４（ａ)，(ｂ）は、本発明の補強リブを施した他の実施例を説明した図、図５（ａ)，(ｂ）は、本発明の補強リブを施した他の実施例を説明した図、図６（ａ)，(ｂ）は、従来のスライド管を説明した図、図７は、スコッチヨーク方式の密閉形電動圧縮機のガス吸入時のピストン下死点を説明した図、図８は、スコッチヨーク方式の密閉形電動圧縮機のガス圧縮時のピストン中間点を説明した図、図９は、スコッチヨーク方式の密閉形電動圧縮機のガス圧縮時のピストン上死点を説明した図である。
【００１３】
図２に示すようにフレーム４の上部にスコッチヨーク式ピストン機構の圧縮機部７を、下部に電動機部５をそれぞれ配設し、クランクピン部６ａを一体に形成したクランクシャフト６に直結された回転子５ｂの回転によりクランクピン部 ６ａとピストン１０と一体形成するスライド管１０ａの内径を摺動するスライダ８が連動し、その結果ピストン１０を往復動させ、ガスを圧縮させる構造である。
【００１４】
本発明はこのようなガス圧縮荷重で作用する反力に打ち勝って、スライド管 １０ａの変形や割れ等の防止対策として以下に述べる構造にしたものである。
【００１５】
図１及び図４ないし図５を用いて本実施例のスライド管１０ａを直結したピストン１０を説明する。
【００１６】
図１に示すように本実施例のピストン１０はスライド管１０ａの外周部に補強リブ１０ｄを設け、スライド管１０ａの剛性を増した構造としたため、ガス圧縮する際に生じる過大な圧力によるスライド管１０ａの変形や割れを防止でき、また、材料のコストアップやスライド管１０ａの重量増加によって、シャフト６に作用する慣性力が増すことで負荷が大きくなることを最小限に押さえる構造により、コスト的にも安価で圧縮機の入力低減による性能向上及び信頼性向上をも図ることができるという効果がある。また、図５に示すように補強リブ１０ｄを複数本設ける構造とすることにより、上記と同様な効果を得ることができる。更に、図６に示すように、補強リブ１０ｄを設ける構造とすることにより、上記と同様な効果を得ることができる。
【００１７】
【発明の効果】
上記のように、スライド管外周部に補強リブを設けたので、スライド管の剛性を増すとともに、材料のコストアップやスライド管重量増加によって、シャフトに作用する慣性力が増すことで負荷が大きくなることを最小限に押さえる構造により、コスト的にも安価で圧縮機の入力低減による性能向上及び信頼性向上をも図ることができる。
【００１８】
以上、説明したように、本発明によれば、コスト的にも安価で圧縮機の入力低減による性能向上及び信頼性向上も図れるスコッチヨーク方式の密閉形圧縮機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施例のスライド管を説明した図。
【図２】スコッチヨーク方式の密閉形電動圧縮機の一例を示す縦断面図。
【図３】図２に示す密閉形電動圧縮機を上部から見た図。
【図４】本発明のスライド管の他の実施例を説明した図。
【図５】本発明のスライド管の他の実施例を説明した図。
【図６】従来のスライド管の構造を説明した図。
【図７】従来のスライド管を直結したピストンの下死点を説明した図。
【図８】従来のスライド管を直結したピストンの中間点を説明した図。
【図９】従来のスライド管を直結したピストンの上死点を説明した図。
【符号の説明】
１…潤滑油、２…密閉容器、３…バネ、４…フレーム、５…電動機部、５ａ…固定子、５ｂ…回転子、６…クランクシャフト、６ａ…クランクピン部、７…圧縮機構部、８…スライダ、９…シリンダ、１０…ピストン、１０ａ…スライド管、１０ｂ…ピストン胴部、１０ｃ…スライド管窓開口部、１０ｄ…補強リブ。

Claims (3)

1. シリンダ内を往復動するピストンとピストンと直交して結合された円筒状のスライド管とその内径にクランク軸の回転に伴って、往復動するスライダからなる圧縮機構部と固定子及び回転子からなる電動機部をクランク軸で連結して、密閉容器内に配設してなるスコッチヨーク方式の密閉形電動圧縮機において、前記スライド管外周部にピストン胴部と直角方向に補強リブを単数または、複数設けたことを特徴とするスコッチヨーク方式の密閉形電動圧縮機。
2. 請求項１記載の補強リブを前記スライド管窓開口部よりも、長くとった補強リブを単数または、複数設けたことを特徴とする請求項１記載のスコッチヨーク方式の密閉形電動圧縮機。
3. 上記スライド管外周部において前記スライド管開口部より外側のスライド管外径に補強リブを設けたことを特徴とする請求項１記載のスコッチヨーク方式の密閉形電動圧縮機。

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