JPS6241732Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は自動車用シート天板のような多数層の
材料からなる大型の被縫製物を適確に重ね合わせ
た状態で工業用ミシンへ送り込みつつ縫製を行わ
せることができる自動縫製装置に関するものであ
る。

（従来の技術） 大型の被縫製物の送り機構を備えた従来の自動
縫製装置としては、ミシンテーブルの一端に滑車
を設けておき、一端に重りを備えたロープをこの
滑車に掛けたうえでその他端を被縫製物の前縁に
固定して重力により被縫製物を前進させるように
したもの（例えば、実開昭58−61176号公報）等
が知られている。ところが、このように被縫製物
の前縁を牽引する形式のものは被縫製物中の各層
の材料がその織り方向や毛足の方向の違いにより
異なる伸びを生ずるので正確に重ね合わせた状態
で縫製することができない問題点があつた。ま
た、この種の被縫製物に対しては両縁部の端縫と
中央部のパターン縫いとを行う必要があるが、従
来の自動縫製装置においては前記のような理由も
あり、まず端縫いを行つた後にパターン縫いを行
うという工程を必要とするうえ、端縫いの際には
端部に比較的広幅の保持代を必要とするので材料
歩留りが低い欠点もあつた。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案はこのような従来の問題点を解決し、多
層の材料からなる被縫製物を正確に重ね合わせた
まま縫製することができ、しかも端縫いとパター
ン縫いとを同時に行えるうえ、保持代を狭くして
材料歩留りを向上させることもできる自動縫製装
置を目的として完成されたものである。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、工業用ミシンの縫製部の両側にその
縫製度と同期して駆動される一対の針付ベルトを
その先端がミシンテーブルよりも前方に突出する
ように設けるとともに、ミシンテーブルの手前側
には上面に被縫製物搬送用のベルトを備えたクラ
ンプレームを該ベルトが前記針付ベルトの下面と
接触する上昇位置と針付ベルトから離れる下降位
置との間を昇降自在に設けたことを特徴とするも
のである。

（実施例） 次に本考案を実施例とともに更に詳細に説明す
れば、１は多針のミシン針２を備えた工業用ミシ
ン、３はその縫製部、４はそのミシンテーブルで
ある。ミシンテーブル４の上面にはフレーム５が
設けられており、該フレーム５には縫製部３の両
側に位置させて一対の針付ベルト６，６が間隔を
調節できるように設けられている。針付ベルト６
は外周面に多数の小針を植設したものであり、ベ
ルト案内板７によつて位置を規制されながら駆動
プーリー８により工業用ミシン１の縫速度と同期
して駆動されるものである。針付ベルト６の先端
は図示のようにミシンテーブル４よりも前方に大
きく突出されている。一方、ミシンテーブル４の
手前側の台９上には上面に被縫製物搬送用の一対
のベルト１０，１０を備えたクランプフレーム１
１が手前側のベルト駆動軸１２を中心として後方
のシリンダ１３によつて昇降動できるように取付
けられている。第２図に実線で示されるように、
クランプフレーム１１はその上昇位置にあるとき
にはベルト１０が前記針付ベルト６の下面に接触
し、第２図に想像線で示すように下降位置にある
ときにはベルト１０が針付ベルト６の下面から離
れるようにされている。なお、１４はベルト１０
駆動用のモータ、第２図に示される１５，１６，
１７は被縫製物検出用の光電管、１８はクランプ
フレーム１１の上昇確認用リミツトスイツチであ
る。

（作用） このように構成されたものは、まずクランプフ
レーム１１をシリンダ１３により第２図に想像線
で示す下降位置へ下降させその上面のベルト１０
上に例えば表皮材２１とウレタンパツド２２を裏
基材２３とを三層に重ねた被縫製物２０を載置し
たうえモータ１４によつてベルト１０を前進させ
れば、被縫製物２０は光電管１５によりその前縁
が検出される位置まで早送りされ、更に光電管１
６の位置まで低速で送られる。光電管１６が被縫
製物２０を検出するとシリンダ１３が作動してク
ランプフレーム１１が第２図に実線で示す上昇位
置まで上昇し、ベルト１０の上面がミシンテーブ
ル４よりも前方に突出された針付ベルト６，６の
下面に接したことがリミツトスイツチ１８により
検出されると針付ベルト６，６の駆動が開始され
て被縫製物２０は第３図に拡大して示すようにそ
の両端部分を針付ベルト６，６によつて押さえら
れながら前進する。このとき、針付ベルト６の小
針が多層となつた被縫製物２０を刺通するので被
縫製物２０は各層間にずれを生ずることなく工業
用ミシン１の縫製部３に向かつて確実に送られ、
光電管１７がその前縁を検出したときミシンの押
さえ金が下降して第３図のように多針のミシン針
２によつて端縫いと中央のパターン縫いとを同時
に行うこととなる。このようにして光電管１７が
被縫製物２０の後縁を検出するまで針付ベルト
６，６は工業用ミシン１の縫製度と等速度で駆動
され、縫製を終了するまで被縫製物２０の両端部
分を確実に保持しつつ送り続けることとなる。従
つて、被縫製物２０は各層間にずれを生ずること
なく正確に重ね合わせられたまま縫製されること
となり、保持代も約８mm以下とすることもできる
から材料歩留りを向上させることができる。

（考案の効果） 本考案は以上の説明からも明らかなように、被
縫製物を各層間にずれを生ずることなく正確に重
ね合わせたまま縫製することができ、しかも端縫
いとパターン縫いとを同時に行うことにより縫製
工程の簡略化を図ることができるうえ、保持代を
狭くして材料歩留りを向上させることができるも
のである。また、本考案はどのような素材の被縫
製物にも適用できる利点もあり、従来のこの種の
自動縫製装置の問題点を解消したものとしてその
実用的価値は極めて大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す斜視図、第２図
は同じく一部切欠正面図、第３図は縫製状態を示
す一部切欠斜視図である。 １：工業用ミシン、３：縫製部、４：ミシンテ
ーブル、６：針付ベルト、１０：ベルト、１１：
クランプフレーム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 工業用ミシン１の縫製部３の両側にその縫速度
   と同期して駆動される一対の針付ベルト６，６を
   その先端がミシンテーブル４よりも前方に突出す
   るように設けるとともに、ミシンテーブル４の手
   前側には上面に被縫製物搬送用のベルト１０を備
   えたクランプフレーム１１を該ベルト１０が前記
   針付ベルト６の下面と接触する上昇位置と針付ベ
   ルト６から離れる下降位置との間を昇降自在に設
   けたことを特徴とする自動縫製装置。