JPS6240217Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、広く産業分野や生活関連分野などで
用いられる、配管内の流体を制御するボールバル
ブに関するものであり、特に、ボールバルブにお
けるボールシートの飛び出し防止装置に関するも
のである。

（従来技術とその問題点） ボールバルブは、一般に、第４図及び第５図に
示すようにボデー４の内部に貫通孔２を有する球
状の弁体１を回動自在に設け、この弁体１の両側
面に、ボデー４の内部に装着したボールシート３
がシール接触している。

上記のボールシート３は、一般に弾性を有する
高分子化合物より構成され、使用状態の流体、圧
力、温度、開閉回数等の影響を受けやすく、特に
高温強度に弱く、荷重に対し、変形しやすいため
次のような欠点を有している。

即ち、第４図〜第６図に示す従来例におけるボ
ールバルブの横断面図において、ボールバルブを
第５図の開の状態から閉の状態へ、矢印の方向へ
90゜回動操作すると、第６図に示したように弁体
１とボールシート３の摩擦力により、ボールシー
ト３をボデー装着座より押し出そうとする力Ｆが
作用し、更に、流入側においては流体圧Ｐによる
荷重と相俟つてボールシート３をシート装着座か
ら外方に押し出そうとする力が作用し、バルブの
開閉回数の増加に伴つて、特に、第４図における
ボールシート３のＡ部分、すなわち弁体１を閉止
する回動操作方向側の位置（弁体１が閉止回動時
に最後にボールシート３に接触する位置）のボー
ルシート３の部分が弁体１にかみついてシート装
着座より飛び出し、第６図の状態になつたままで
完全に閉止することができない状態になる。

この状態では、流出側のボールシート３におい
て完全に閉止することができないので、流体の漏
洩を発生し、ボールバルブとしての機能が失われ
る等の問題点があつた。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、上記の問題点を解決するために開発
したもので、次のように構成した。

即ち、本考案は、ボデー本体の内部に貫通孔を
有するボール状の弁体を回動自在に設け、該弁体
の両側面にシール接触するボールシートをボデー
本体の内部に形成した断面Ｌ字形段部状のシート
装着座に装着したボールバルブにおいて、該シー
ト装着座のうち流入側のシート装着座の近傍位置
に突設形成した突起部を該ボールシートのシート
両側の外周側面に係合させ、該突起部は、弁体の
回転軸に直交する流路の中心平面の位置で、かつ
該弁体を閉止する回動操作方向側の位置に設けた
ものである。

（作用） 本考案のボールバルブでは、前述のように、シ
ート装着座のうち流入側のシート装着座の近傍位
置に突設形成した突起部を該ボールシートのシー
ト面側の外周側面に係合させ、該突起部は、弁体
の回転軸に直交する流路の中心平面の位置で、か
つ該弁体を閉止する回動操作方向側の位置に設け
たので、弁体とボールシートの摩擦力や流体圧に
より、ボールシートが弁体にかみついて、ボール
シートをシート装着座より押し出す力が働いたと
しても、ボールシートは、突起部に係止されてシ
ート装着座に確実に装着状態を保持して弁体の回
動を坊げることがないので、ボールバルブの機能
が失われることがない。

実施例 以下に本考案を一実施例を図面に従つて詳述す
る。第１図は本考案におけるボールバルブの縦断
面図、第２図は第１図の一部切欠き拡大横断面
図、第３図は第２図のシート装着座の突起部を示
す断面図であり、図中１１はボデー本体で、この
ボデー本体１１は、ボデー１２ａとボデーキヤツ
プ１２ｂとをボルト１３で結合して構成する。１
４，１５はボデー１２ａとボデーキヤツプ１２ｂ
の内部に形成した環状のシート装着座で、このシ
ート装着座１４，１５は、断面Ｌ字形の段部状に
形成する。１６は弾性を有する高分子化合物等で
形成した環状のボールシートで、このボールシー
ト１６を上記のシート装着座１４，１５にそれぞ
れ装着する。

１７は貫通孔１８を有するボール状の弁体であ
り、この弁体１７は、ボデー本体１１の内部に設
け、弁体１７の上部に取付けたステム１９を90゜
回転することによつて開閉作用を行なうものであ
り、更に、弁体１７の両側面にシール接触するボ
ールシート１６の働きで、流体のシート機能を果
たしている。

２０はボデー本体１１のボデー１２ａ又はボデ
ーキヤツプ１２ｂの内部に形成した突起部であ
り、この突起部２０の形成位置は、弁体１７の回
転で、弁体１７とボールシート１６の摩擦力によ
つてボールシート１６をシート装着座１４，１５
より押し出そうとする力が作用する位置、即ち、
弁体１７の回転軸に直交する流路の中心平面の位
置で、かつ弁体１７を閉止する回動操作方向側の
位置（弁体１７が閉止回動時に最後にボールシー
ト１６に接触する側）であつて、ボールシート１
６のシート面側の外周側面１６ａに係合する個所
（シート装着面１５ａの反対側の平面）である。
この突起部２０は、第６図においてシート装着座
より押し出そうとする力Ｆが作用する位置に設け
る必要があるから、突起部２０は第１図において
流入側にのみシート装着座１５の近傍位置に設け
れば良い。しかし、ボールバルブは、一般に、ハ
ンドル操作が容易な方向に配管され、その流れ方
向によつて、バルブの流入側が決められること、
及び流れ方向が交互に変更されるような配管にも
用いられることなどにより、バルブ内部の突起部
２０を第１図に示すように流入出側の両方に設け
るものとする。

なお、第１図において、右方の突起部２０を二
点鎖線（想像線）で示したのは、この図の縦断面
より手前側にあることを示すためである。

また、上記の突起部２０の形成手段は、例え
ば、ボデー１２ａ又はボデーキヤツプ１２ｂに一
体構造とするか、或いは、ボデー１２ａ又はボデ
ーキヤツプ１２ｂの一部をカシメ等により強制変
形させて突起部２０を設ける。その他、別体の突
起部のプレートをボデー１２ａ又はボデーキヤツ
プ１２ｂに溶着又はボルト止め等の手段で固着す
るようにしてもよい。

又、２１はハンドルであり、２２，２３は流体
の流入側（一時側）又は流出側（二次側）であ
る。

次に、上記実施例の作用について説明する。

第１図に示す状態において、２２を一時側とし
て説明すれば、流体は一次側２２より流入して二
次側２３に流出し、ボールバルブの開放状態を保
持する。一方、ハンドル２１を第１図の矢印に示
す方向に90゜回動操作すると、弁体１７が回動し
て弁体１７の貫通孔１８は、流体方向と交叉状態
に位置し、この状態において、一次側２２の流体
を弁体１７で確実に閉止する。

上記の開閉操作の際に、弁体１７とボールシー
ト１６に摩擦力が発生し、更に流体圧と相俟つて
弁体１７の回動方向にボールシート１６をシート
装着座１５より押し出そうとする力が作用した場
合、ボデー本体１１のボールシート１６が装着座
１５から飛び出そうとする位置の突起部２０を形
成して、ボールシート１６のシート面側の外周側
面１６ａに係合したから、ボールシート１６は、
突起部２０に確実に係止されているのでシート装
着座１５よりみだりに飛び出すことなく、確実に
装着された状態を維持する。

（考案の効果） 本考案によれば、ボールバルブの使用中などに
ボールシートがシート装着座より移動して、外方
に飛び出すおそれが全くないため、弁体はボール
シートに妨げられることなく完全な開閉回動がで
き、安定したシール機構を維持でき、耐久性に富
んだボールバルブを提供することができると共
に、特に、高温域、高圧域及び開閉頻度の高い等
の苛酷な使用条件においても、ボールシートが飛
び出すことがなく、長期間の使用に耐え得ること
ができる。又、ボデー本体の内部の一部に突起部
を設けたにもかかわらず、突起部の位置が一箇所
に限定されているため、組立ての際は、ボールシ
ートを突起部に先に挿入して、次いで、ボデー本
体のシート装着座に簡単に装着できるので、組立
て作業も効率的に行うことができるとともに、ボ
ールシートの交換が容易にできる等の効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は本考案の一実施例を示した
もので、第１図は本考案におけるボールバルブの
縦断面図、第２図は第１図の一部切欠き横断面
図、第３図は第２図のＸ−Ｘ線断面図であり、第
４図乃至第６図は従来例を示したボールバルブの
部分横断面図である。 １１……ボデー本体、１４，１５……シート装
着座、１４ａ，１５ｂ……シート装着面、１６…
…ボールシート、１６ａ……ボールシートの外周
側面、１７……弁体、１８……貫通孔、２０……
突起部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ボデー本体の内部に貫通孔を有するボール状の
   弁体を回動自在に設け、該弁体の両側面にシール
   接触するボールシートをボデー本体の内部に形成
   した断面Ｌ字形段部状のシート装着座に装着した
   ボールバルブにおいて、該シート装着座のうち流
   入側のシート装着座の近傍位置に突設形成した突
   起部を該ボールシートのシート面側の外周側面に
   係合させ、該突起部は、弁体の回転軸に直交する
   流路の中心平面の位置で、かつ該弁体を閉止する
   回動操作方向側の位置に設けたことを特徴とする
   ボールバルブのシート飛び出し防止装置。