JPH0155707B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、一般的に流体回路中に配設され、弁
体を回動させることにより回路中の流量を制御す
るバタフライ弁の改良に関する。

一般に、バタフライ弁は、構造が簡単で、流量
調整の特性が良く、然も小型軽量で安価に製造で
きると云う、等の多くの利点を有しているので流
量制御用に広く利用されて居り、特に、近年にあ
つては耐触性、耐磨耗性等にも優れたセラミツク
製のバタフライ弁が開発されている。

この種のバタフライ弁１００は、第５図及び第
６図に示す如く、セラミツク部材で作製された円
筒状の弁箱１０１と、これに内装されセラミツク
部材で作製された円板状の弁体１０２と、弁箱１
０１に支架され弁体１０２を回転操作しうる金属
製の弁棒１０３とからその主要部が構成されて居
り、一般に前記弁体１０２と弁棒１０３とは、組
立・製造等の都合上、夫々別個に作製され、後で
結合される様になつている。即ち、弁体１０２と
弁棒１０３は、弁棒１０３と下端部を弁体１０２
の上方部に形成した凹所１０２ａに挿入し、該凹
所１０２ａと弁棒１０３下端部との間に接着剤Ａ
を充填することにより結合される。

然し乍ら、このバタフライ弁１００は、弁体１
０２が閉弁されている時に流体圧により弁体１０
２のみが下流側へ押し込まれて弁体１０２と弁棒
１０３の結合部分に剪断応力が作用する。その結
果、前記結合部分が損傷し易い。とりわけ、比較
的肉厚の薄い弁体の凹所１０２ａの回り部分が破
損し易いと云う難点がある。

又、弁体１０２が閉弁から開弁する時に弁体１
０２と弁棒１０３の結合部分に大きなトルクが掛
り、前記と同様の事が起り得る。

更に、弁体１０２の閉弁時若しくは弁体１０２
が閉弁から開弁する時に流体圧が作用した場合、
弁体１０２と弁棒１０３の結合部分が正規の結合
状態から偏位する事がある。この場合には、良好
なシール性を確保することが困難であり、然も開
弁し難い場合がある。

前記各難点は、特に高圧流体を取り扱う場合、
顕著に現れる。

一方、弁体と弁棒を別個に作製した金属板のバ
タフライ弁にあつても、上記と同様の欠点が内存
する。

本発明は、上記の各難点を解消する為に創案さ
れたものであり、その目的は弁体と弁棒の結合部
分に於ける弁体側の破損を防止すると共に、弁体
と弁棒の組立を簡略化でき、且つ弁体と弁棒の結
合状態に拘わらずシール性を向上でき、然も高圧
流体が作用しても開閉弁作用に支障を来たさない
バタフライ弁を提供するにある。

本発明の基本的な構成は、平板部とこれの上下
に連設された上方傘部及び下方傘部とを備えた弁
体と、平板部の両側外周面並びに上方、下方傘部
の外周面を凸球面とした弁体シート面と、弁体の
上方傘部に穿設された廻り止め凹所と、入口・出
口及び弁棒挿入穴を備えた円筒状の弁箱と、弁箱
に形成されて弁体シート面に適合する弁箱シート
面と、弁箱の弁棒挿入穴に支架されて弁体を回転
操作しうる弁棒と、弁棒の下端部に形成されて上
方傘部の凹所に嵌合しうる廻り止め部とから成る
ものである。

開弁状態から弁棒を回転させるとこれに伴つて
弁体が回転し、片板部の弁体シート面は弁箱の弁
箱シート面に当座して閉弁状態になる。このと
き、弁体は弁箱シート面で支持されて居り、且つ
弁体シート面と弁箱シート面は面接触している。

一方、閉弁状態から弁棒を回転させるとこれに
伴つて弁体が回転し、平板部の弁体シート面が弁
箱シート面から離座して開弁状態になる。このと
き、弁体の上方傘部及び下方傘部は弁箱シート面
に支持されている。

本考案では、閉弁時には弁体が弁箱シート面で
支持されて居り、然も弁体の廻り止め凹所の周囲
部分の肉厚を厚くした為、流動圧が作用して廻り
止め凹所の周囲部分に剪断応力が作用してもこの
部分が破損することはない。

又、弁体の廻り止め凹所の周囲部分の肉厚を厚
くした為、弁体が閉弁から開弁する時に流体圧の
作用により廻り止め凹所の周囲部分に大きなトル
クが掛つても弁体が破損することはない。

更に、弁体の廻り止め凹所に弁棒の廻り止め部
を嵌合するだけで弁体の回転操作を行える構成と
した為、従来のバタフライ弁に比較して弁体と弁
棒の組立を簡略化できる。

その上、弁体シート面と弁箱シート面は面接触
になつて居り、然も閉弁時には流体圧により弁体
が下流側へ押圧される為、弁体シート面と弁箱シ
ート面の密合を確実且つ良好に行える。又、弁体
は弁箱シートで支持されている為、弁体と弁棒の
嵌合状態に拘わらず弁体を常に正常な状態で弁箱
シート面に密合させることができる。その結果、
従来のバタフライ弁に比較してシール性能が極め
て優れている。

以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。

バタフライ弁１は、第１図乃至第３図に示す如
く、平板部２ａと上方傘部２ｂ及び下方傘部２ｃ
とを備えた弁体２と、これらの外周面を凸球面と
した弁体シート面２a′，２b′，２c′と、弁体２の
上方傘部２ｂに穿設された廻り止め凹所２ｄと、
弁棒挿入穴４と入口５及び出口６を備えた弁箱３
と、弁箱３に形成されて弁体シート面２a′，２
b′，２c′に適合する弁箱シート面３ａ，３ｂ，３
ｃと、弁棒挿入穴４に支架されて弁体２を回転操
作しうる弁棒７と、弁棒７の下端部に形成されて
弁体２の廻り止め凹所２ｄに嵌合しうる廻り止め
部７ａとからその主要部が構成されている。

具体的には、前記弁体２は、平板部２ａとこれ
の上下に連設された上方傘部２ｂ及び下方傘部２
ｃとを備えて居り、これらはセラミツク部材によ
り一体的に作製されている。又、平板部２ａの両
側外周面並びに上方傘部２ｂ及び下方傘部２ｃの
外周面は凸球面に形成されて弁体シート面２a′，
２b′，２c′となつて居り、各弁体シート面２a′，
２b′，２c′は同一の曲率半径に設定されている。
従つて、この弁体２は球体の両側部が削り取られ
た形状を呈している。更に上方傘部２ｂの弁体シ
ート面２a′には直方体形状の廻り止め凹所２ｄが
穿設されている。

弁箱３は、弁棒挿入穴４と入口５及び出口６を
備えた円筒状を呈し、セラミツク部材により作製
されている。この実施例に於いては、弁棒挿入穴
４の軸線方向で且つ挿入穴４の位置で、入口５を
備えた上流筒部３ｄと出口６を備えた下流筒部３
ｅとに二分割されて居り、該上流筒部３ｄ及び下
流筒部３ｅの内径は弁体２の直径よりも小さい目
に設定されている。尚、８は上流部３ｄと下流筒
部３ｅの合せ面に介設されたシール部材である。

又、弁箱３の内周面中部には弁体２の弁体シー
ト面２a′，２b′，２c′に適合すると共に、弁体２
を内装支持しうる弁箱シート面３ａ，３ｂ，３ｃ
が形成されている。即ち、弁箱３の内周面上下に
は弁体２の上方傘部２ｂ及び下方傘部２ｃの弁体
シート面２b′，２c′に適合つまり弁体シート面２
b′，２c′と同一の曲率半径を有する凹球面の弁箱
シート面３ｂ，３ｃが、また、弁体３の内周面両
側には弁体２の平板部２ａの弁体シート面２a′に
適合つまり弁体シート面２a′と同一の曲率半径を
有する凹球面の弁箱シート面３ａが夫々形成され
ている。

前記弁箱３の上流筒部３ｄと下流筒部３ｅは、
これらの外周面を包覆する締付カバー９により結
合されて居り、該締付カバー９はスタンド部９ｃ
を備えた半円弧状の上部カバー９ａと同じく半円
弧状の下部カバー９ｂとから成つている。

従つて、弁体２は、弁箱３の上流筒部３ｄ及び
下流筒部３ｅで挾持され、他方、弁箱３は、その
上流筒部３ｄ及び下流筒部３ｅが上部カバー９ａ
及び下部カバー９ｂにて包覆され、該カバー９の
端部をボルト・ナツト１０で締付けることによ
り、両者を一体に組合せることができる。このと
き、弁体２は弁箱シート面３ａ，３ｂ，３ｃによ
り回転自在に支持された状態になる。

尚、締付カバー９の構成は上記実施例に限定さ
れるものではなく、当業者が考えうる範囲内に於
いて任意である。

一方、弁箱３の弁棒挿入穴４には、弁体２を回
転操作しうる金属製の弁棒板７が上部カバー９ａ
に螺設された押えナツト１１及びグランドナツト
１２によつて支架されて居り、弁棒７と挿入穴４
との間にはグランドパツキン１３が介設されてい
る。又、弁棒７の下端部には弁棒７が弁棒挿入穴
４に支架されたときに弁体２の廻り止め凹所２ｄ
に嵌合しうる四角形状の廻り止め部７ａが形成さ
れて居り、該廻り止め部７ａはこれを廻り止め凹
所２ｄに嵌合したときに若干間隙ができる大きさ
に設定されている。

尚、第１図及び第２図に於いて、１４は弁箱３
と締付カバー９との間に介設されたシート、１５
は弁棒７の上端部に固着され弁棒７を正逆回転さ
せるハンドル、１６は上部カバー９ａのスタンド
部９ｃに固着された開度指示板、１７はハンドル
１５に枢結されその先端部が開度指示板１６に掛
止されて弁体２の開度を規定するレバーである。

上記実施例に於いては、弁棒７を金属製部材で
作製したが、本発明はこれに限定されるものでは
なく、当該弁棒７を弁体及び弁箱３と同様にセラ
ミツク部材で作製しても良い。又、弁体２及び弁
棒３の材質も上記実施例に限定されるものではな
く、当該弁体２及び弁棒３を金属製部材で作製し
て良い。

前記バタフライ弁１は、ハンドル１５にて弁棒
７を正逆回転させることにより開閉弁することが
できる。即ち、第４図に示す開弁状態から弁棒７
を回転させるとこれに伴つて弁体２が回転し、平
板部２ａの弁体シート面２a′は弁箱３の弁箱シー
ト面３ａに当座して第３図に示す閉弁状態にな
る。このとき、弁体２は弁箱シート面３ａ，３
ｂ，３ｃに支持された状態になつて居り、然も弁
棒７の廻り止め部７ａと弁体２の廻り止め２ｄと
の間には若干の間隙が形成されている為、弁体２
の流体圧（第２図矢印）が作用して当該弁体２が
下流側へ押圧されても、弁体２の廻り止め凹所２
ｄの上流側周囲部に剪断応力が作用することはな
い。又、弁体２は流体圧により下流側へ押圧さ
れ、然も弁体シート面２a′，２b′，２c′と弁箱シ
ート面３ａ，３ｂ，３ｃとは面接触になつている
為、弁体２と弁箱３の密合が確実且つ良好に行わ
れている。

一方、第２図に示す閉弁状態から弁棒７を回転
させるとこれに伴つて弁体２も回転し、平板部２
ａの弁体シート２a′が弁箱シート面３ａから離座
して第４図に示す開弁状態になる。弁体２が閉弁
から開弁する時に弁体２の廻り止め凹所２ｄの周
囲部分に大きなトルクが掛つても廻り止め凹所２
ｄの周囲部分の肉厚は厚くなつている為、この部
分が破損することはない。

尚、上記実施例のバタフライ弁に於いては、流
体の接触する部分つまり弁体２及び弁箱３をセラ
ミツク部材で作製したので、耐蝕性、耐磨耗性等
に極めて優れている 本発明は、上記の構成であるから、以下の利点
を有する。

(1) 弁体の閉弁時には当該弁体は弁箱シート面で
支持されて居り、然も弁体の廻り止め凹所の周
囲部分の肉厚の厚くした為、弁体の閉弁時に流
体圧が作用して廻り止め凹所の周囲部分に剪断
応力が作用しても弁体が破損することはない。

(2) 弁体の廻り止め凹所の周囲部分の肉厚を厚く
した為、弁体が閉弁から開弁する時に流体圧の
作用により廻り止め凹所の周囲部分に大きなト
ルクが掛つても弁体が破損することはない。

(3) 弁体の廻り止め凹所に弁棒の廻り止め部を 嵌合するだけで弁体の回転操作を行える構成と
した為、従来のバタフライ弁に比較して弁体と
した弁棒の組立を極めて簡略化できる。

(4) 弁体シート面と弁箱シート面は面接触になつ
て居り、然も閉弁時には流体圧により弁体が下
流側へ押圧される為、これらシート面の密合を
確実且つ良好に行える。又、弁体は弁箱シート
面で支持されている為、弁体と弁棒の 嵌合状態に拘わらず弁体を常に正常な状態で弁
箱シート面に密合させることができる。その結
果、従来のバタフライ弁に比較してシール性能
が優れている。

この様にして本発明のバタフライ弁は極めて優
れた効果を奏することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例を示す閉弁状態のバタ
フライ弁の右側面図、第２図は第１図の−線
断面図、第３図は弁箱を破断して示すバタフライ
弁の平面図、第４図は一部を省略した開弁状態の
バタフライ弁の断面図、第５図は従来のバタフラ
イイ弁を示す開弁状態の概略断面図、第６図は同
じく閉弁状態の概略断面図である。 １はバタフライ弁、２は弁体、２ａは平板部、
２ｂは上方傘部、２ｃは下方傘部、２a′，２b′，
２c′は弁体シート面、２ｄは廻り止め凹所、３は
弁箱、３ａ，３ｂ，３ｃは弁箱シート面、４は弁
棒挿入穴、５は入口、６は出口、７は弁棒、７ａ
は廻り止め部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 平板部２ａとこれの上下に連設された上方傘
   部２ｂ及び下方傘部２ｃとを備えた弁体２と、平
   板部２ａの両側外周面並びに上方・下方傘部２
   ｂ，２ｃの外周面を凸球面とした弁体シート面２
   a′，２b′，２c′と、弁体２の上方傘部２ｂに穿設
   された廻り止め凹所２ｄと入口５・出口６及び弁
   棒挿入穴４を備えた円筒状の弁箱３と、弁箱３に
   形成されて弁体シート面２a′，２b′，２c′に適合
   する弁箱シート面３ａ，３ｂ，３ｃと、弁箱３の
   弁棒挿入穴４に支架されて弁体２を回転操作しう
   る弁棒７と、弁棒７の下端部に形成されて上方傘
   部２ｂの廻り止め凹所２ｄに嵌合しうる廻り止め
   部７ａとから構成した事を特徴とするバタフライ
   弁。