JPH0135015Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、化学プラントおよび他のプラント等
において、配管系統の流体の流通を制御するため
に用いられるソフトシートバルブの改良に関する
ものである。

〔従来の技術〕

一般に、ソフトシートバルブとして、第４図に
示すようなものが知られている。すなわち、図に
おいて符号ａはハンドル、ｂはステム、ｃは該ス
テムｂ先端部に取着され、通性材製のソフトシー
トｄを嵌着してなるシートホルダ、ｅはボデイｆ
のバルブシート、ｇは流体の漏洩を防止するため
のベローズであり、前記ハンドルを回転すること
により、ステムｂが軸方向（図においては上下方
向）に進退して、該ステムｂと一体的に作動する
ソフトシートｄがバルブシートｅと密着または離
間し、ボデイｆに開設した流通孔ｈを開閉して該
流通孔ｈにおける流体の流通を制御するものであ
る。

従来、この種ソフトシートバルブは、第５図に
その弁体近傍部を拡大して示すように、シートホ
ルダｃの環状凹部c′に嵌入され、ソフトシートリ
テーナｉにより固定されたソフトシートｄの、バ
ルブシートｅとの接触部d′は平面を呈しており、
一方、バルブシートｅの、該ソフトシートｄとの
接触部e′は軸方向に突出した形状を呈しており、
これにより、流通孔ｈを閉塞するのに必要な面圧
を保持するようになつている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかし、上記従来の構成によれば、ソフトシー
トｄの設計において、締代の設定が非常に難し
く、同様に、該ソフトシートｄを嵌入する凹部
c′およびバルブシートｅの接触部e′において設計
にわずかな誤差があると、締代が過大となつてソ
フトシートｄの早期破損をもたらし、あるいは締
代が過小となつて密封に必要な面圧が確保され
ず、流体が漏洩する等の不都合が発生し易い問題
点を有していた。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案ソフトシートバルブは、以上の問題点を
解消し、ソフトシートの耐久性およびシール性を
向上せしめるためになされ、シートホルダに嵌入
されたソフトシートに前記シートホルダの軸方向
端面から突出したリツプ部が形成され、一方、前
記シートホルダの軸方向端面が接離する前記流通
孔の周囲のバルブシートに前記リツプ部と対応す
る凹部が形成され、前記リツプの突出高さは、前
記凹部の底面の深さよりも大きく設定されるとと
もに、前記リツプ部の両側周面のうち少なくとも
一側の径が、前記凹部の低圧空間側の側面と接離
する大きさに設定された構造としたものである。

〔作用〕

したがつて上記構成によれば、閉弁時において
はソフトシート端部のリツプ部はバルブシートの
凹部に収まるごとくなり、該ソフトシートを嵌着
しているシートホルダと前記バルブシートの各各
の対向端面が当接した状態において、前記リツプ
部は、一定の面圧をもつて前記凹部の底面に密着
するとともに、高圧側からの圧力により前記凹部
における低圧側の側面と密接する。

〔実施例〕

つぎに本考案ソフトシートバルブの実施例を図
面にもとづいて説明する。

まず第１図および第２図は第１の実施例を示
し、符号１はステム（第４図符号ｂ参照）の先端
に固着されるシートホルダ、２は該シートホルダ
１の環状の嵌合凹部１ａに嵌入された弾性材製の
ソフトシート、３はピン４にて前記シートホルダ
１に固定されることにより前記ソフトシート２を
固定するソフトシートリテーナ、５はボデイ（第
４図符号ｆ参照）側のバルブシートである。前記
ソフトシート２はその一部がシートホルダ１の端
面１ｂより軸方向に突出してななる環状のリツプ
部２ａを有し、一方前記バルブシート５の、前記
リツプ部２ａに対応する部分には、環状凹部５ａ
が形成されており、第２図に示すように、閉弁
時、前記シートホルダ１の端面１ｂとバルブシー
ト５の端面５ｂとが当接した状態において、リツ
プ部２ａの先端２a′がこれに対応する環状凹部５
ａの底面５a′に所要の面圧をもつて密着するよ
う、該環状凹部５ａの深さｌ１に比較して前記リ
ツプ部２ａの高さｌ２が大となるよう設計されて
いるとともに、上記閉弁時において前記リツプ部
２ａの外径側面２a″が前記環状凹部５ａの外径側
面５a″に適宜面圧をもつて密着するように設計さ
れている。以上の構成になる本実施例は、閉弁
時、空間Ａ側より圧力がかかると、該圧力によ
り、リツプ部２ａは環状凹部５ａの外径側面５
a″へ押圧されるため該外径側面５a″と前記リツプ
部２ａの外径側面２a″との間における密封性がお
おきくなり、したがつて前記空間Ａ側の圧力が空
間Ｂ側の圧力より大である場合、換言すれば空間
Ａ側が流体の流入側であるバルブにおいて、きわ
めて高い密封性を発揮する構成となつている。

つぎに、第３図は本考案の第２の実施例の、閉
弁時における状態を示し、前記第１の実施例と異
なる点についてのみ説明すると、閉弁時におい
て、ソフトシート２のリツプ部２ａの内径側面２
ａが、バルブシート５の環状凹部５ａの内径側
面５ａに密着するように構成したものである。
したがつて、本実施例は、前記第１の実施例とは
逆に、空間Ｂ側の圧力が空間Ａ側の圧力より大で
ある場合、すなわち空間Ｂ側が流体の流入側であ
るバルブにおいてきわめて高い密封性を発揮する
ようになる。

なお、上記２つの実施例は、閉弁時においてソ
フトシート２のリツプ部２ａがバルブシート５の
環状凹部５ａの底部５a′と密着するとともに、該
環状凹部５ａの外径側面５a″もしくは内径側面５
ａと密着するようになる構成としたが、これを
該両側面５a″，５ａの双方と密着するよう構成
することもできることはもちろんであある。

〔考案の効果〕

以上詳述したとうり、本考案に係るソフトシー
トバルブは、ソフトシートに形成したリツプ状の
端部がバルブシートに形成した凹部に収まるごと
く密着し、該密着部が該凹部の底面のみならずそ
の両側面の少なくとも一側におよぶため、閉弁時
の流体の密封の信頼性は著しく向上し、またソフ
トシートを嵌入したシートホルダと前記バルブシ
ートとが当接することにより、該ソフトシートの
前記凹部に対する面圧は一定限度内に保持される
ため、バルブの締め過ぎにより該ソフトシートの
締代が過大となつて早期破損が起こるようなこと
はなくなるものであり、本考案の実用的効果はき
わめて大きい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案ソフトシートバルブの第１の実
施例における開弁状態を示す要部半裁断面図、第
２図は同閉弁状態を示す要部半裁断面図、第３図
は本考案の第２の実施例における閉弁状態を示す
要部半裁断面図、第４図は従来のソフトシートバ
ルブを示す断面図、第５図は同要部拡大断面図で
ある。 １……シートホルダ、２……ソフトシート、２
ａ……リツプ部、５……バルブシート、５ａ……
環状凹部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ハンドルの回転によりステムを進退せしめ、該
   ステム先端に設けたシートホルダおよび該シート
   ホルダに嵌着したソフトシートよりなる弁体が、
   ボデイに開設した流通孔を開閉するソフトシート
   バルブにおいて、前記ソフトシートに前記シート
   ホルダの軸方向端面から突出したリツプ部が形成
   され、一方、前記シートホルダの軸方向端面が接
   離する前記流通孔の周囲のバルブシートに前記リ
   ツプ部と対応する凹部が形成され、前記リツプの
   突出高さは、前記凹部の底面の深さよりも大きく
   設定されるとともに、前記リツプ部の両側周面の
   うち少なくとも一側の径が、前記凹部の低圧空間
   側の側面と接離する大きさに設定されたことを特
   徴とするソフトシートバルブ。