JPS6239055B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、改造された新規な超塑性鍛造装置に
関するものである。

粉末焼結体に対し、高強度，高靭性を与え、各
種高力機械部品を得るための鍛造を行なうことは
従来より広く知られている。

ところで、近時、従来以上に、高性能のものが
必要となると共に、苛酷な環境下で性能を低下さ
せず、かつ高寿命なものが要求されるに至り、材
料加工技術の必要性が強く求められている。なか
でも、例えば超合金IN―100やTi合金などの如き
超塑性を示す材料は所定の温度、歪速度で最大の
延性を示し複雑な形状に成形することが可能にな
り、成形荷重も少なくて済むことから注目され、
各種の鍛造製品への応用が期待されている。

しかしながら、これらの各材料は、前述の如く
超塑性を示し、成形が容易である反面、鍛造製品
の形状が決められたとき、素材から所定の形状に
成形する過程において、各鍛造過程で歪速度が異
なるので、絶えず成形容易な超塑性状態で成形す
るには充分、途中の形状に対応する歪速度に合わ
せたプレス速度を調整することが必要であり、鍛
造装置には精巧な恒温鍛造用金型装置が望まれ
る。

従来、かかる鍛造装置に関し、特開昭51―
34845号公報，同56―74342号公報，同56―74344
号公報等を始め、米国特許第4051708号，第
4074559号，第4150557号各明細書等にその代表的
なものが開示されているが、その基本的な構成と
しては一体的に形成された金型容器の内部に上下
金型がプレス可能に装入配設されており、金型の
周囲には加熱装置が装設されている。

ところが、かかる装置は金型容器が球形にせよ
一体物であり、金型の組み込みに難があると共
に、加熱装置は上下分割式とは云え断熱材を設け
ることが困難であるため、金型の加熱に際して連
設されているマニプレータの出入口ドアや仕切部
まで加熱され、熱効率が悪く、金型容器内の熱影
響も大きく、超塑性鍛造装置としては未だ充分、
満足すべき状態には至つていない。

本発明は、かかる超塑性鍛造装置の現状に鑑
み、恒温鍛造プロセスにおいて金型及び被鍛造材
の加熱温度の均一化，加熱効率の向上，外部への
熱影響の皆無化を図ることに着目し、金型容器の
改良を図ることを目的とするものである。

即ち、本発明の特徴とするところは、金型容器
と、該金型容器内の上金型に押圧力を加える加圧
装置と、金型容器内に被鍛造材を装入し、また容
器内より取り出す装入，取出マニプレータからな
る鍛造装置において、その金型容器を下金型及び
下金型ホルダを含む下部金型容器と、上金型及び
上金型ホルダをその支持台と共に含み、加熱装置
と断熱材を内部に装着固定した上部金型容器との
上下分割構成となし、これら上下金型容器を互い
に密封状態で相対的に上下動可能に嵌合して内部
にチヤンバを形成すると共に該チヤンバに仕切弁
を介して前記マニプレータを連設せしめた点にあ
る。

以下、添付図面を参照しつつ本発明装置の基本
的実施態様を順次、詳述する。

第１図及び第２図は本発明鍛造装置の１例であ
り、金型容器２と、該金型容器２内の上金型を押
圧し、恒温鍛造プレス作用力を加える加圧装置１
と、金型容器２の側方に仕切弁３を介して連設さ
れた被鍛造材装入，取出用マニプレータ４から構
成されており、夫々、単独で操作及び分解組立が
可能である。

なお、第１図及び第２図ならびに後続の各図に
おいてマニプレータ４は１個の場合で示している
が、マニプレータは通常、金型容器２を挾んで対
称的に被鍛造材装入用，被鍛造材取出用として設
けられる。しかし、ここでは説明の便宜上、１個
のみで図示する。

しかして上記装置において、金型容器２は本発
明の要部をなしており、その詳細は第３図乃至第
８図における工程順説明図で示される。即ち、こ
れら各図において５は前記金型容器２を構成する
上下分割容器の上部金型容器，１０は下部金型容
器であり、これら両容器５，１０によつて前記金
型容器２が構成される。

このうち、下部金型容器１０はベース１３上に
固定されており、下金型１１を該下金型保持用の
ホルダ１２上部に保持して内蔵している。一方、
上部金型容器５は、前記下部金型容器１０の上部
に輪設されたＯリングパツキンＳを介して下部金
型容器１０の内部に密封状態を保つて嵌合されて
おり、ベース１３上に立設された昇降シリンダ１
４によつて下部金型容器１０に対し、密封状態を
保持して上下動可能となつていて、その内部に前
記下金型１１に対向し、上金型ホルダ７に保持さ
れた上金型６を上金型支持台８で支持して内蔵す
ると共に、上記上下両金型６，１１の対向する被
鍛造材１５保持空間を囲繞する如く、加熱装置９
及び該加熱装置９と金型容器壁面とを断熱する断
熱材１６が装着固定されている。

そして、上記の両金型容器５，１０によつて両
者の間に密封された鍛造チヤンバを形成し、下部
金型容器１０の側方に開口して仕切弁３を介有す
るマニプレータ４が連結されている。

なお、金型容器２における上金型６を押圧する
加圧装置ならびに仕切弁３を介有するマニプレー
タ４は共に、既知の超塑性鍛造装置で使用される
ものと同様であり、マニプレータ４は内部に摺動
可能なアーム部材１７を内蔵し、被鍛造材の装
入，取り出しを図つている。

又、上下金型容器によつて形成されるチヤンバ
内は、図示していないが、真空ポンプを含む真空
化装置及び不活性ガス供給装置が付設されてお
り、上下各金型６，１１がモリブデン基等の耐熱
性合金よりなるところから内部を真空あるいは
Arガス等の不活性ガス封入空間となしている。
更に、このチヤンバには上部金型容器５の上下動
によるガス容積の変化に対応すべく適宜、圧力調
整装置を付設してチヤンバ内圧力の一定化を図つ
ている。

本発明は叙上のような構成によつてなり、次に
その作用ならびに鍛造工程を第３図乃至第８図を
参照し、以下、説明する。

即ち、先ず鍛造を行なうにあたり、上下両金型
容器５，１０を所要の位置に嵌合した後、加熱装
置９により上下両金型６，１１を加熱する。この
とき、通常、チヤンバ内は真空又はガス供給装置
より不活性ガスを供給しガス雰囲気としておく。
（第３図参照） かくして、上下両金型６，１１が加熱される
と、上部金型容器５を昇降シリンダ１４により上
動させ、被鍛造材の受け入れ準備をなし（第４図
参照）、マニプレータ４を作動し、アーム部材１
７を用いて開放された仕切弁３部分を通じて被鍛
造材１５を下金型１１上に載置し、セツトする。
（第５図参照） このようにして被鍛造材１５が所定の位置にセ
ツトされると、次に上部金型容器５を下動し、上
金型６を加圧装置１を作動させて下金型１１側へ
押圧し、所要の温度，歪速度で恒温鍛造、即ち超
塑性鍛造を行なう。（第６図参照） 上記状態において所要の時間を経過し、鍛造が
完了すると、上記金型容器５を再び上動させ、取
出マニプレータの装入を容易ならしめ（第７図参
照）、アーム部材１７を作動して被鍛造材１５装
入時と逆に鍛造された成形体１５を取り出す。
（第８図参照） 以上が鍛造時における１サイクルであり、再び
第３図又は金型が充分な加熱下にあるときは第４
図の状態に至り、被鍛造材の装入，セツテイン
グ，鍛造，成形体取り出しを繰り返す。

このとき、被鍛造材１５の装入用マニプレータ
と、成形体１５′取出用マニプレータを対称的に
設置してあれば、成形体取出用マニプレータによ
つて成形体を取り出すと同時に装入用マニプレー
タを作動して被鍛造材の搬入セツテイングを行な
うことができ頗る作業能率上有利となる。

なお、上記鍛造工程において、上部金型容器の
上下動が行なわれるとしても上下両金型容器５，
１０間はＯリングパツキンＳでシールされてお
り、外部からの空気の混入、ならびに内部ガスの
洩れは全く起ることはない。

又、上記説明においては、上部金型容器５の上
下動について述べて来たが、上下金型容器の上下
動は相対的であり、下部金型容器１０を上下動さ
せることも設計の許される限り可能である。

本発明装置は以上、詳述した如く、上下分割さ
れ相対的に上下動可能な金型容器の一方に加熱装
置及び断熱材を装着固定し、真空あるいは無酸化
雰囲気中で金型や被鍛造材の加熱，鍛造を行なう
ものであり、上下分割式で、かつ金型装置に加熱
装置などを組み込んでいるため１対の昇降シリン
ダで作動でき構成がシンプルとなつて従前の一体
物からなる金型容器の金型組み込みの困難を解消
し、金型組み込みを簡単にすると共に、加熱装置
を固定式とし、断熱材を設けたため、金型加熱時
および鍛造中の加熱変動が殆んどなく、就中、熱
効率がよく、外部に対する熱の影響も見られず、
金型と被鍛造材の加熱温度の均一化を向上し、均
斉な超塑性鍛造品を得ることができる顕著な効果
を奏する。

又、本発明は、上下両金型容器は完全にシール
されており、空気の混入，内部ガスの洩れもな
く、無酸化雰囲気での超塑性鍛造を容易ならし
め、超塑性鍛造装置として今後に実用化が期待さ
れる有用な装置である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る鍛造装置の１例を示す一
部断面正面概要図、第２図は同第１図の部分断面
平面概要図、第３図乃至第８図は前記第１図にお
けるチヤンバ構造にもとづく各工程説明概要図で
夫々一部を断面で示す。 １……加圧装置、２……金型容器、３……仕切
弁、４……マニプレータ、５……上部金型容器、
６……上金型、７……上金型ホルダ、８……上金
型支持台、９……加熱装置、１０……下部金型容
器、１１……下金型、１２……下金型ホルダ、１
３……ベース、１４……昇降シリンダ、１５……
被鍛造材、１５′……成形体、１６……断熱材、
１７……アーム部材。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 金型容器と、該金型容器の上金型に押圧力を
   加える加圧装置と、金型容器内に被鍛造材を装入
   し、また取り出すための装入，取出マニプレータ
   からなる鍛造装置において、前記金型容器を、下
   金型及び下金型ホルダを含む下部金型容器と、上
   金型及び上金型ホルダをその支持台と共に含み、
   かつ加熱装置と断熱材を内部に装着固定した上部
   金型容器との上下両容器で分割構成し、該上下両
   容器を互いに密封状態を保持して相対的に上下動
   可能に嵌合して内部にチヤンバを形成すると共に
   該チヤンバに仕切弁を介して前記装入，取出マニ
   プレータを連設せしめたことを特徴とする超塑性
   鍛造装置。