JPS6236901B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、ハウジングと、該ハウジングに回転
可能に支持されたボールネジ軸と、該ボールネジ
軸に多数の循環ボールを介して支持されるネジ孔
を有し、前記ボールネジ軸の回転により軸方向に
摺動するボールナツトと、該ボールナツトに形成
されたラツクに噛合うテーパー状のセクターギヤ
と、前記ハウジングに回転可能に支持されたセク
ターギヤの回転軸と、前記ラツクとセクターギヤ
の噛合いに予圧を与えるハウジングに支持された
予圧手段とからなるボールネジ式ステアリング装
置にして、熱処理後研削されたボールナツトのネ
ジ孔の中心軸線に対し、セクターギヤと中立位置
で噛合い且つ同様熱処理後研削されたラツクの歯
溝の中心平面が直交しているボールネジ式ステア
リング装置の製造方法に関する。

この種のボールネジ式ステアリング装置では、
従来ボールナツトのラツクに噛合うセクターギヤ
の歯面に予圧を与えて、ラツクとセクターギヤを
バツクラツシユなく噛合せ、乗用車の高速走行時
におけるバツクラツシユの存在が原因となるハン
ドルのふらつきを防止して来た。この噛合いに予
圧を与えることによりハンドル操作によるハンド
ルの僅かな動きを遊びなくタイヤに伝えている。
新車のときはこの予圧が充分に働きステアリング
装置には問題が生じないが、或る程度走行すると
噛合い歯面に摩耗が生じ、ギヤに与えた予圧が減
少し、ハンドルの遊びが発生し、ハンドルのふら
つきによる走行不安が生じるという問題があつ
た。従来この問題はセクターギヤを軸方向に押込
みギヤ予圧を再調整することにより解決して来
た。ギヤ予圧の低下の主な原因はボールナツトの
熱処理によるラツク歯面の変形にあり、この変形
がラツクの歯溝にセクターギヤを噛合せた場合、
特に直進位置（中立位置）においてラツク溝が正
しくセクターギヤと噛合わずセクターギヤとラツ
クの歯面との噛合い点でモーメントを生じ、又予
圧を与えたときにこの噛み合い点の面圧を異常に
高くしていた。

本発明は、最初に記した形式のボールネジ式ス
テアリング装置の上述した欠点を改善するため、
同装置の製造方法を提案するものである。

本発明の要旨は、ボールナツトのラツクの中央
歯溝を除いた歯溝の１つをスライドに固定したピ
ンに支持し、他の１つの歯溝を自由に動ける上記
ピンと同径のピンで支持し、該歯溝の中心平面に
対して平行にボールナツトを移動し、中央歯溝を
研削し、該中央歯溝の中心平面に対して直角にボ
ールナツトのネジ溝を研削することである。この
方法により、ボールナツトのラツクの中央歯溝の
中心面をボールネジ軸の軸心と直交させることが
でき、更にラツクの中央の歯面を、中央歯溝の中
心面に対して面称に形成することができる。

次に、本発明により製造したボールネジ式ステ
アリング装置およびその製造方法を図面により説
明する。

第１，２図に示したステアリング装置は、ハウ
ジング１０と、該ハウジング１０に回転可能に支
持されたボールネジ軸１１と、該ボールネジ軸１
１に多数の循環ボール１２を介して支持されるネ
ジ孔１３を有し、ボールネジ軸１１の回転により
軸方向に摺動させられるボールナツト２と、該ナ
ツト２に形成されたラツク２ａに噛合うセクター
ギヤ１ａとを有し、該セクターギヤ１ａの回転軸
１は前記ハウジング１０に回転可能に支持されて
いる。このステアリング装置では、ボールナツト
２のラツク２ａとセクターギヤ１ａの噛合いに
は、セクターギヤ１ａがテーパー状に形成されて
いるので、ねじ軸３をねじ込むことにより予圧が
与えられている。第２図はハンドル中立位置にお
けるセクターギヤ１ａとボールナツト２のラツク
２ａの噛合い状態を示している。セクターギヤ１
ａの中央歯１ａは、ラツク２ａの中央歯溝２b′に
噛合つている。ラツク２ａの中央歯溝２b′はその
歯側面が研削により平滑に形成されている。更
に、ボールナツト２のボールネジ溝１３はラツク
２ａの中央歯溝２b′の中心平面に対し平行に移動
する研削軸により研削されているので、セクター
ギヤ１ａの中央歯１a′と、ボールナツト２の中央
歯溝２b′との噛合い時に生じる力を常にボールナ
ツト２、即ちボールネジ軸１１の中心軸に対して
作用させることができる。換言すれば熱処理によ
つてボールナツト２に変形が生じても、本発明に
よるボールナツト２の研削加工により、常にボー
ルネジ軸１１の中心軸に対して平行な面でラツク
２ａがセクターギヤの中央歯に噛合つているので
歯面の部分的摩耗を促進する偏モーメントを生じ
るようなことを無くしている。

次に本発明によるボールネジ式ステアリング装
置の製造方法を説明する。

先ず機械加工により成形したボールナツト２を
熱処理する。熱処理されたボールナツト２は歯
面、ナツトネジ孔に部分的変形が生じている。従
つて通常はボールネジ軸１１の中心軸Ｃとラツク
の中心平面Ｓとは直交するようなことはない。

この様に変形したボールナツト２を、第３図に
示すようにその中央歯溝以外の歯溝２ｂをスライ
ド２０に固定したピン２１に支持する。このピン
２１はスライド２０の案内方向に平行に固定して
ある。ボールナツト２の中央歯溝以外のもう一方
の歯溝２ｂをスライド２０上に設けた可動ピン２
１′上に支持し、これ等のピン２１，２１′と、ボ
ールナツト２の上側に係合するクランプ装置によ
りボールナツト２をスライド上に固定する。

この様にして固定することは、ボールナツトに
熱処理による歪が生じても一方のピンを遊動可能
とすることによりスライド２０にボールナツトを
確実に支持させるためである。

ボールナツト２のラツク２ａの研削にはスライ
ド２０を設けた機枠２２に固定した研削盤２６が
用いられ、該研削盤２６は、スライドの案内方
向、即ち、固定ピン２１に平行な回転面とスライ
ド２０の案内平面２５に平行な回転軸２４を有す
る研摩トイシ２３を有している。

ボールナツト２の中央歯溝２b′の研削には、こ
の様にスライド２０に固定したボールナツト２を
スライド２０と共に案内方向に移動しながら、中
央歯溝２b′を研削トイシ２３により研削する。こ
のように、ラツクの中央歯溝をボールネジ軸に正
しく直角に加工することにより、ハンドル中立位
置でのバツクラツシユの発生を防止することが出
来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明により製造したステアリング装
置の一実施例を示す縦断面図、第２図は第１図の
―線断面図、第３図はステアリング装置の製
造装置の一例を示す斜視図である。 １…回転軸、１ａ…セクターギヤ、２…ボール
ナツト、２ａ…ラツク、２ｂ，２b′…歯溝、１０
…ハウジング、１１…ボールネジ軸、１２…ボー
ル、１３…ネジ孔、２０…スライド、２１，２
１′…ピン、２６…研削盤、Ｃ…中心軸線、Ｓ…
中心平面。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ハウジングと、該ハウジングに回転可能に支
   持されたボールネジ軸と、該ボールネジ軸に多数
   の循環ボールを介して支持されるネジ孔を有し、
   前記ボールネジ軸の回転により軸方向に摺動する
   ボールナツトと、該ボールナツトに形成されたラ
   ツクに噛合うテーパー状のセクターギヤと、前記
   ハウジングに回転可能に支持されたセクターギヤ
   の回転軸と、前記ラツクとセクターギヤの噛合い
   に予圧を与えるハウジングに支持された予圧手段
   とからなるボールネジ式ステアリング装置にし
   て、熱処理後研削されたボールナツトのネジ孔の
   中心軸線に対し、セクターギヤと中立位置で噛合
   い且つ同様熱処理後研削されたラツクの歯溝の中
   心平面が直交しているボールネジ式ステアリング
   装置の製造方法において、ボールナツトのラツク
   の中央歯溝を除いた歯溝の１つをスライドに固定
   したピンに支持し、他の１つの歯溝を自由に動け
   る上記ピンと同径のピンで支持し、該歯溝の中心
   平面に対して平行にボールナツトを移動し、中央
   歯溝を研削し、該中央歯溝の中心平面に対して直
   角にボールナツトのネジ溝を研削することを特徴
   とする前記方法。