JPS6235959Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、ある動力により回転する軸の回転力
を他の軸へ伝達するためのベルトを簡単な作業で
かつ所定の張力を精度よく保障しながら張るため
の装置に関するものである。

〔従来の技術〕

回転力を他の回転軸に伝達するためのベルトを
張るための装置としては従来より種々研究されて
いるが、特に車両機構の一部として一般的に用い
られているベルト、例えばエンジンの回転力の一
部をエアコンプレツサー、パワーステアリングユ
ニツト、オルタネーター等へプーリーを介して伝
達するためのベルトを張る装置については、流れ
作業で組付ける必要性から、簡便でかつ精度よく
一定張力を保障するという条件が不可欠である。

このベルトを一定の張力で張るための装置とし
て従来より用いられているものとして、例えばベ
ルトの張力を調整するためのアジヤスタプーリー
を一定の力で押し、その押圧力の測定によりベル
トの張力を概推する装置あるいはアジヤスタプー
リーの可動範囲の所定位置にアジヤスタープーリ
ーを固定する装置があるがいずれも次のような問
題があつた。すなわち、前者においてはアジヤス
タプーリーの移動に伴う摩擦力が加わるため必ず
しもアジヤスタプーリーを押す力に１対１に対応
せず摩擦条件によりそのバラツキが大きくなる欠
点を有している。一方前者においては、アジヤス
タプーリーの固定位置の精度は、ベルト、プーリ
ー等の部品精度および組付精度に左右され、この
アジヤスタプーリーの位置決めによりベルト張力
の調整精度を上げるためには必然的に前記部品の
精度および組付精度を上げる必要があり、コスト
的にみて困難である。

〔考案が解決しようとする問題点〕

本考案は、前記のような従来のベルト張力調整
装置において問題となつていたベルト張力のバラ
ツキをなくし、常に所定の張力を精度よくベルト
に与えることができ、かつ作業性がよく流れ作業
中でも使用できるベルト張力調整装置を提供する
ことを目的としている。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、前記目的を達成するためにはベルト
３にかかる張力を直接検知し、この検知信号によ
り張力付加装置５を制御する必要があることを見
出して、完成したものであり、具体的には、ベル
トを支持する一対のローラアタツチメント９，
９′と、該ローラアタツチメント間の中心に位置
しベルトを例えばガイド１３に沿つて一定の力で
押上げるためのプツシユロツド１０およびエアシ
リンダー１１と、該プツシユロツドの変位量を検
出するための例えばマイクロスイツチ１５などの
プツシロツド変位量検出装置とを備えたベルト張
力検出装置によりベルトの張力を直接検出すると
ともに、該ベルト張力検出装置からの信号により
例えばエアドライバー５によるアジヤスタプーリ
ー８の位置調整などのベルト張力付加装置を制御
する構成をとることにより、常に所定の張力を接
度よくベルトに与えることができ、かつ流れ作業
中でも簡便にベルトの張力を調整できるようにし
たものである。

〔作用〕

本考案における一対のローラアタツチメント
９，９′の下面にベルト３を掛け、その中心をプ
ツシユロツド１０により押上げた場合、ベルトの
張力Ｔとベルトを垂直方向に押し上げる力F₀と
ローラアタツチメントの下面からの押上げ変位量
ｘとの間には、第５図から明らかなように、次の
関係式が成立つ。

F₀＝2Tsinθ………(1) ｘ＝atanθ…………(2) 但し、2a＝ローラアタツチメント間距離(1)およ
び(2)式より の関係式が成立ち、それを図示すると第６図のよ
うになり、F₀を一定によれば所定の張力T₀は(3)
式を満足するｘの値すなわちプツシユロツドの押
上げ変化位置により一義的に定まる。

本考案は、上記の原理を利用したので、ベルト
の垂直方向の所定の位置にマイクロスイツチ１５
等を配置してプツシユロツドの押上げ変位量を一
定のところで例えば第１図に示すベルト張力付加
装置のエアドライバー５の駆動力を制御すれば、
常に一定の張力がベルトに付加されることにな
る。

〔実施例〕

次に本考案をより理解しやすくするために、本
考の実施例を第１図、第２図、第３図、第４図に
基づいて詳細に説明する。

第１図は、本考案の全体を示す図であり、プー
リー１の回転力をプーリー２に伝達するために両
プーリー間にベルト３を掛け所定の張力を付加す
る場合の実施例を示す図である。第２図および第
３図はそれぞれ第１図におけるＡの部分の拡大正
面図および側面図である。

第１図に示すように、まずベルト３をプーリー
１，２およびアジヤスタプーリー８に比較的緩く
掛けた状態で、第２図に破線に示す如くベルト張
力検出装置をアタツチローラ９，９′の下面にベ
ルト３が当接するようにセツトし、次にレギユレ
ータ１６により定圧に保たれたエアシリンダー１
１を作動させ、プツシユロツド１０を上昇させて
第２図実線に示すような状態にする。この際プツ
シユロツドを、ベースプレートに設けたガイド１
３に設つて上昇させるようにすれば更に精度が向
上する。次にエアドライバー５によりネジ７を回
転させてアジヤスタプーリー８を移動させベルト
に張力を付加する。ベルトに負荷される張力が大
になるに従つてプツシユロツド１０は押下げら
れ、所定の位置に配備されたマイクロスイツチ１
５を作動させ、このマイクロスイツチからの信号
によりエアドライバーのエアバルブ１８を閉鎖
し、アジヤスタプーリーの移動を完了する。

なお、本実施例において、プツシユロツドの変
位量を検出する装置としてマイクロスイツチを用
いているが、マイクロスイツチに限らず、例えば
センサーの如きプツシユロツドの変動量を検出で
きるものであれば通常の検出手段を用いることが
できることは当然のことである。

〔効果〕

本考案は、前述のとおり、簡単な構造でしかも
取扱いが極めて簡便であり流れ作業の中でもベル
トの張力を精度よく調整できるものであるから、
ベルトによる動力伝達を利用する産業分野、特に
自動車工業の如く大量のベルトを安定して精度よ
くベルト掛け作業を行う必要がある産業分野にお
ける本考案の利用効果は極めて大きいものと言え
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の装置を実施した場合の全体
図、第２図は第１図のＡの部分の拡大正面図、第
３図は第２図の側面図、第４図はベルト張力検出
装置とベルト張力付加装置を結ぶエア回路図、第
５図および第６図はベルト張力とプツシユロツド
変位量の関係図。 １……駆動プーリー、２……プーリー、３……
ベルト、４……ベルト張力検出装置、５……エア
ドライバー、６……エア路、７……ネジ、８……
アジヤスタプーリー、９，９′……ローラアタツ
チメント、１０……プツシユロツド、１１……エ
アシリンダ、１２……ベースプレート、１３……
ガイド、１４……取手、１５……マイクロスイツ
チ、１６……レギレータ、１７……エア源、１８
……エアバルブ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) ベルトを支持する一対のローラアタツチメン
   トと、該ローラアタツチメント間の中心に位置
   しベルトを一定の力で押上げるためのプツシユ
   ロツドおよびエアシリンダーと、該プツシユロ
   ツドの変位量を検知するためのプツシユロツド
   変位量検出手段とを備えたベルト張力検出装置
   と、該ベルト張力検出装置からの信号によりベ
   ルト張力付加装置の駆動力を制御する制御手段
   を有することを特徴とするベルト張力調整装
   置。 (2) 前記プツシユロツドがローラアタツチメント
   の中心を通り垂直に伸びるガイドに沿つて上昇
   することを特徴とする実用新案登録請求の範囲
   第１項記載のベルト張力調整装置。 (3) 前記プツシユロツドの変位量検知手段がマイ
   クロスイツチであることを特徴とする実用新案
   登録請求の範囲第１項または第２項記載のベル
   ト張力調整装置。 (4) 前記ベルト張力付加装置がエアドライバーに
   よるアジヤスタープーリーの位置調整装置であ
   ることを特徴とする実用新案登録請求の範囲第
   １項ないし第３項のいずれかに記載されたベル
   ト張力調整装置。