JPS6234645Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はバイトプリセツト治具に関し、一層詳
細には、数値制御自動旋盤（以下NC旋盤と称す
る）のテーブル上の所定位置にバイト台およびバ
イトを適確かつ容易に固定することができるバイ
トプリセツト治具に関する。

一般に櫛歯形のNC旋盤は、被加工物の切削加
工に必要なバイトを固着したバイト台をテーブル
上に並設し、NC制御装置の指令に従つて自動的
に被加工物の切削加工を行うものである。そのた
めNC制御装置の指令座標値と、バイトの設定位
置の座標値とを一致させなければならずバイトの
正確な位置設定に困難を極める。例えば、前記
NC旋盤のテーブル上にバイトを取り付けるに
は、被加工物の切削加工に必要なバイトを選定す
るとともに、加工順序を考慮しバイトレイアウト
およびプログラムを設定する。そして、バイト台
およびバイトをプログラムに従つてテーブル上の
概略位置に取り付け、試し切削をする。この試し
切削により切削した加工物の寸法を測定し、適宜
にプログラムの修正、またはバイト台およびバイ
トの取り付け位置の補正をする。さらに所定の加
工物が得られるまで試し切削、プログラムの修
正、またはバイト台およびバイトの設定位置の補
正を繰り返して行う。このため、工具の設定等に
多大な労力と時間を要するとともに試し切削に多
くの被加工物を必要とし不経済であるという難点
を有する。

また、NC制御装置の指令座標値と、バイト台
およびバイトの設定位置の座標値とを一致させる
ために、従来よりテーブル上へのバイト台の取り
付け機構として、テーブル上の所定位置に盲穴を
設けると共に、この盲穴に嵌挿可能な突起をバイ
ト台底面に突出させておき、バイト台底面の突起
をテーブル上の盲穴に緩みなく嵌挿してテーブル
上の所定位置にバイト台を適確に位置決めする機
構が考えられている。しかし、この様な位置決め
機構では、バイト台底面に突起が突出しているの
で、該バイト台をテーブル上の盲穴から外れた適
宜位置に固定できなくなると共に、バイト台をテ
ーブル上に位置決めする際に、テーブル上の盲穴
内に侵入している切削粉を清掃せねばならぬ難点
がある。

また、テーブル上のＴ形溝間に亘つてバイト台
を位置決めする当て板を周設しておき、この当て
板側面にバイト台を当てがいテーブル上にバイト
台を位置決めする機構も考えられるが、この様な
位置決め機構では、テーブル上のＴ形溝の中途部
が当て板で塞がれてしまうのでテーブル上のＴ形
溝に沿つて左右にバイト台を自由に移動させにく
く取り付けが面倒であると共に、当て板下方のＴ
形溝内の切削粉の清掃がしにくくなる等の難点が
ある。

また、従来よりバイト刃先の位置決め方法とし
ては、顕微鏡やダイヤルゲージなどを用いて行つ
ているが、それぞれバイト設定位置まで顕微鏡や
ダイヤルゲージを移動しそれぞれ所定の座標位置
にバイトを固定しなければならず多くの労力と時
間を要するなどの難点がある。

本考案は、上記問題を解決するために、NC旋
盤のテーブル上に穿設された基準穴と共通の基準
穴を設けるとともにバイト刃先の位置決め手段を
設け、基準穴に対するバイト刃先の位置を適確か
つ容易に設定できるプリセツト治具を提供するこ
とを目的とする。その特徴は、数値制御自動旋盤
のテーブル上に複数本の平行なＴ形溝を刻設し、
このＴ形溝と直交する仮想直線との交点にバイト
台を固定する基準穴を穿設する一方、上記と同じ
配列のＴ形溝と基準穴をプリセツトテーブル上に
設け、該プリセツトテーブルの基準穴に対するバ
イト刃先位置を決定することができるバイト位置
決め手段を設けたところにある。

以下本考案の好適な実施例を添付図面に基づい
て詳細に説明する。

まず、NC旋盤のテーブル上のバイト台位置決
め機構について、第１図ないし第２図に従つて説
明する。NC旋盤のテーブル１０上に刻設された
平行な３本のＴ形溝１２と直交する仮想直線Ａと
の交点に、Ｔ形溝１２の上端開口部１４の横幅よ
りも大きな円形状の基準穴１８が穿設されてい
る。また、この基準穴１８は、長手方向に所定間
隔をあけて穿設されている。２０はバイト台取付
棒であり、このバイト台取付棒２０は、バイト台
２２内を上下方向に貫通するように穿設された挿
通孔２４に貫挿している。また、このバイト台取
付棒２０の下端部には、基準穴１８に緩みなく嵌
合する嵌合部２０ｃが形成されるとともに、該嵌
合部２０ｃ先端には、Ｔ形溝１２の上面開口部１
４の横幅より小さな２辺と大きな２辺とから成る
ほぼ平行四辺形の係止片３０が形成されている
（第３図参照）。一方、バイト台２２内を貫通する
バイト台取付棒２０のバイト台２２上方へと突出
する突出部分の中間に小径の小径部２０ｂを形成
するとともに、該バイト台取付棒２０の小径部２
０ｂ上方に続き鍔部２０ａを形成し、その先端は
バイト台取付棒２０を回転し易くするために、対
向する平面部２１が形成されている。２６はバイ
ト台取付棒２０の上部の小径部２０ｂを係止する
切欠き２６ａ，２６ｂを有する係止板であり、こ
の係止板２６の中央にはバイト台２２をテーブル
１０方向に押圧する締付けボルト２８が螺挿され
ている。

以上のようにバイト台位置決め機構が構成され
ているため、バイト台２２の挿通孔２４に貫挿し
たバイト台取付棒２０の下端部に形成された嵌合
部２０ｃを基準穴１８に嵌合されるとともに、嵌
合部２０ｃに連続して形成された係止片３０をＴ
形溝１２に挿入する。続いて、バイト台取付棒２
０を適宜角度回転させ係止片３０をＴ形溝１２の
奥部１６上面に係止させるとともに、バイト台取
付棒２０の小径部２０ｂに係止板２６の切欠き部
２６ａ，２６ｂを係止し、締付けボルト２８をテ
ーブル方向へと締付けて降下させ、締付けボルト
２８とテーブル１０上面との間にバイト台２２を
押圧挾持し、基準穴１８上に容易かつ適確に固定
することができる。

次に、バイト刃先の位置を確実に決定できるプ
リセツト治具について、第５図ないし第８図に従
つて説明する。３２は長方形の板状を成すプリセ
ツトテーブルであり、このプリセツトテーブル３
２上に、前記NC旋盤のテーブル１０上に刻設さ
れたＴ形溝１２と同一形状および同一の位置間隔
で３本刻設されているとともに、Ｔ形溝１２と直
交する仮想直線との交点に前記基準穴１８と共通
の基準穴１８が穿設されている。また、基準穴１
８に対するバイト５０の刃先部３４の取り付け位
置を決定するバイト位置決め手段３６が設けられ
ている。

バイト位置決め手段３６の一つの実施例として
は、例えば第５図および第６図に示すように、各
種バイトの刃先部３４の形状に倣つて形成された
バイト突当ゲージ３８によりバイトの刃先部３４
の位置を決定する。バイト突当ゲージ３８は、基
準穴１８に対する所定位置にバイトの刃先部３４
が設定できるように、プリセツトテーブル３２の
Ｔ形溝１２と平行な端縁部分に設けられた段差部
に穿設された盲穴４０にバイト突当てゲージ３８
の脚部３９を挿入する。また、４１はプリセツト
テーブル３２の段差部端縁に沿つて設けられた基
準面であり、この基準面４１にバイト突当てゲー
ジ３８内を貫通、螺合している調節ネジ３８ａが
当接し、バイト突当てゲージ３８の位置の微調節
を行う。

他のバイト位置決め手段３６としては、第７図
に示すように、プリセツトテーブル３２の所定表
面部分に、バイトの刃先部３４の位置を確認可能
なダイヤルゲージ４４を付設し、このダイヤルゲ
ージ４４にバイトの刃先部３４を当接させてバイ
ト４２の取付位置を位置決めするもの、あるい
は、第８図に示す、プリセツトテーブル３２の所
定の表面部分に、バイトの刃先部３４の確認可能
な顕微鏡４６を装着し、この顕微鏡４６でバイト
台２２に対するバイトの刃先部３４の取付位置を
決定するもの等が考えられる。

以上の構成のバイトプリセツト治具を用いて、
バイト台２２に対してバイト４２をNC制御装置
のプログラムに従つて所定位置に位置決めしつつ
固定するには、プリセツトテーブル上の基準穴１
８に既述のバイト台取付棒２０の嵌合部２０ｃを
嵌合するとともに、既述のバイト台位置決め機構
と同様の手順によりバイト台２２を取り付け、バ
イト台２２の例えば中途部横方向に設けられた溝
部４８内にバイトのシヤンク部５０を挿通して溝
部４８内にバイト４２を載置した後、プリセツト
テーブル３２上のバイト位置決め手段３６を用い
て基準穴１８に対するバイトの刃先部３４の取付
位置をNC制御装置の指令に従つて位置決めする
とともに、バイト台２２内の例えば上下方向に螺
挿されている埋込みボルト５２を締付けてバイト
台２２内の溝部４８内にバイトのシヤンク部５０
を押圧固定すれば良い。続いて、プリセツトテー
ブル３２上で所定位置にバイト４２を取り付けた
バイト台２２を、プリセツトテーブル３２上から
取り外し、NC旋盤のテーブル上の所定位置の基
準穴１８に前記同様にバイト台２２を固定する。
以下、切削加工に必要なバイトをプリセツト治具
を用いて上記同様にNC旋盤のテーブル１０上に
固定する。

このようにして本考案によれば、プリセツトテ
ーブル上に穿設された基準穴およびバイト位置決
め手段により、基準穴に対するバイトの刃先部の
位置を所定位置に迅速かつ確実に設定できる。ま
た、バイトを取り付けたバイト台をプリセツトテ
ーブル上から取り外し、NC旋盤のテーブル上
の、プリセツトテーブル上の基準穴と共通の基準
穴に取り付けることができるので、プリセツト治
具上の基準穴とバイトの刃先部との位置関係をそ
のままNC旋盤のテーブル上に容易かつ確実に移
すことができる。したがつて、バイトレイアウト
およびプログラムの設定の段階で、バイト刃先部
の座標値を確実に決定することができ、標準化を
図ることが可能となり、ひいてはバイトレイアウ
トおよびプログラムの設定の時間を短縮すること
ができる。またNC制御装置の指令座標値にバイ
ト刃先部の設定位置の座標値を適確に一致させ設
定することができるので、試し切削を繰り返す必
要がなく、バイト台およびバイトの設定時間の短
縮が図れ、能率の向上につながる等の著効を奏す
る。

以上本考案につき好適な実施例を挙げて種々説
明したが、本考案はこの実施例に限定されるもの
ではなく、考案の精神を逸脱しない範囲内で多く
の改変を施し得るのはもちろんのことである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、NC旋盤のテーブル上にプログラム
に倣つてバイト台を取り付けた状態の平面図、第
２図は第１図の側面断面図、第３図はバイト台取
付棒の下端部の係止片をＴ形溝内に掛止させた状
態を示す説明図、第４図はバイト台取付棒の下端
部の係止片をＴ形溝内に掛止された状態を示す正
面断面図、第５図はバイト位置決め手段にバイト
突当てゲージを用いた本考案のバイトプリセツト
治具の平面図、第６図は第５図の側面一部断面
図、第７図はバイト位置決め手段にダイヤルゲー
ジを用いた本考案のバイトプリセツト治具の一部
破断側面図、第８図はバイト位置決め手段に顕微
鏡を用いた本考案のバイトプリセツト治具の側面
図である。 １０……テーブル、１２……Ｔ形溝、１４……
上端開口部、１６……奥部、１８……基準穴、２
０……バイト台取付棒、２０ａ……鍔部、２０ｂ
……小径部、２０ｃ……嵌合部、２１……平面
部、２２……バイト台、２４……挿通孔、２６…
…係止板、２６ａ，２６ｂ……切欠き、２８……
締付けボルト、３０……係止片、３２……プリセ
ツトテーブル、３４……刃先部、３６……バイト
位置決め手段、３８……バイト突当てゲージ、３
８ａ……調節ネジ、３９……脚部、４０……盲
穴、４２……バイト、４４……ダイヤルゲージ、
４６……顕微鏡、４８……溝部、５０……シヤン
ク部、５２……埋込みボルト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 数値制御自動旋盤のテーブル上に複数本の平行
   なＴ形溝を刻設し、このＴ形溝と直交する仮想直
   線との交点にバイト台を固定する基準穴を穿設す
   る一方、 上記と同じ配列のＴ形溝と基準穴をプリセツト
   テーブル上に設け、該プリセツトテーブルの基準
   穴に対するバイト刃先位置を決定することができ
   るバイト位置決め手段を設けたことを特徴とする
   バイトプリセツト治具。