JPS6233005Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、鋼ストリツプの如き帯状金属の連
続熱処理炉に関するものである。

例えば、広幅の鋼ストリツプを連続焼鈍するに
は、第１図に概略縦断面図で示す如き連続焼鈍炉
が使用されている。即ち連続焼鈍炉は、加熱室
１、均熱室２および冷却室３からなり、各室の内
部にはそれぞれ鋼ストリツプ５を支持し移送する
ための複数のロール４が、その上部と下部とに設
けられている。加熱室１は４個以上のパス（上部
ロールと下部ロールとで構成される鋼ストリツプ
の１つの通路）を有し、均熱室２および冷却室３
は複数個のパスを有している。

加熱室１内には、移送される鋼ストリツプ５を
加熱するための多数のラジアントチユーブ６が設
けられている。また冷却室３内には、加熱、均熱
された鋼ストリツプ５を、所定速度により所定温
度まで冷却するための冷却ガスの噴出ノズル１
２，１２を有する複数対のヘツダー１１，１１
（図面には１対のみが示されている）が走行する
鋼ストリツプ５の両面に対向して設けられてい
る。

加熱室１は、鋼ストリツプ５を所定温度まで加
熱し、均熱室２は、加熱された鋼ストリツプ５を
所定温度に保持して均熱し、冷却室３は、均熱さ
れた鋼ストリツプ５を所定の冷却速度で常温近く
まで冷却する。加熱室１、均熱室２および冷却室
３内には、鋼ストリツプ５の酸化を防止するた
め、常に非酸化性の雰囲気ガスが充満されてい
る。

鋼ストリツプ５は、加熱室下端の入口１３から
加熱室１内に送りこまれ、回転する複数のロール
４により支持されて、加熱室１内を移送される間
に、多数のラジアントチユーブ６よりの熱を受け
て所定温度に加熱され、次いで均熱室２内で所定
温度に保持され、次いで冷却室３でヘツダー１
１，１１のノズル１２，１２から噴射される冷却
ガスにより所定速度で冷却された後、冷却室下端
の出口１４から送り出される。

鋼ストリツプ５に所期の性質を与えるために
は、冷却室３内における鋼ストリツプ５の冷却速
度の調節および維持が極めて重要となる。このた
め、冷却室３内の雰囲気ガスを、冷却室３の出口
１４の近くに取りつけられた導管７からブロワー
８によつて吸引し、加圧の上、ガス冷却装置９に
よつて所定温度に冷却し、この冷却ガスを導管１
０を経て冷却室３内のヘツダー１１，１１に送り
こみ、ノズル１２，１２から鋼ストリツプ５の両
面に噴射することにより冷却が行なわれている。

上述の装置によれば、鋼ストリツプ５を僅か数
分程度で連続的に熱処理することができ、且つ、
加熱室、均熱室および冷却室の各々のパス数を多
くすることにより能力の大きい設備にすることが
可能で、非常に能率的ではあるが、一方熱効率の
点において問題があつた。即ち、冷却室３内を通
る高温の鋼ストリツプ１からうばつた熱は、冷却
室３内の雰囲気ガスに吸収された上、導管７から
ガス冷却装置９に入り、ガス冷却装置８で冷却水
と熱交換されるが、このときの熱交換後の冷却水
の温度は約40℃程度のため、これから熱を回収す
ることはできない。従つて、冷却室３内で常温近
くまで冷却される鋼ストリツプ５の熱は、ほとん
ど回収されていなかつた。

この考案は、上述のような観点から、熱効率の
優れた連続熱処理炉を提供するもので、加熱室の
入口側に、帯状金属の加熱に先立つてこれを予熱
するための複数個のパスに対する加熱ガス噴射用
ノズルを設けると共に、前記冷却室の出口側に、
帯状金属を冷却するための複数個のパスに対する
冷却ガス噴射用ノズルを設け、前記加熱ガス噴射
用ノズルには、前記冷却室における帯状金属を冷
却した後の高温の雰囲気ガスを送給する導管が接
続され、また前記冷却ガス噴射用ノズルには、前
記加熱室における帯状金属を予熱した後の低温の
雰囲気ガスを送給する導管が接続されていること
に特徴を有するものである。

次に、この考案を実施例により図面を参照しな
がら説明する。

第２図には、この考案の連続熱処理炉が縦断面
図により示されている。なお説明に際し、従来熱
処理炉におけると同じ部材には、同じ符号を使用
して説明する。

この考案の連続熱処理炉においても、４個以上
のパスを有する加熱室１、および複数個のパスを
有する均熱室２および冷却室３を有し、各室の内
部にはそれぞれ鋼ストリツプ５を支持して移送す
るための複数のロール４が設けられ、加熱室１内
には鋼ストリツプ５を加熱するための複数のラジ
アントチユーブ６が、また冷却室３内には鋼スト
リツプ５を冷却するための、冷却ガスの噴出ノズ
ル１２，１２を有する複数対のヘツダー１１，１
１（図面には１対のみが示されている）が、走行
する鋼ストリツプ５の両面に対向して設けられ、
冷却室３の出口１４に近い側壁には、冷却室３内
の雰囲気ガスを吸引するための、ブロワー８に接
続された導管７が設けられていることは、従来の
連続熱処理炉と同様である。

この考案の連続熱処理炉においては、加熱室１
内における入口１３に近い側に、走行する鋼スト
リツプ５の両面に向けて、鋼ストリツプ５を予熱
するための複数の加熱ガス噴出用ノズル１６，１
６が取付けられた複数対のヘツダー１５，１５
（図面には１対のみが示されている）が設けられ
ている。１７はヘツダー１５，１５に取付けられ
た導管で、導管１７は、冷却室３内における鋼ス
トリツプを冷却した後の高温の雰囲気ガスを吸引
する導管７に設けられたブロワー８に接続されて
いる。

一方、冷却室３内に設けられている冷却ガス噴
出用ノズル１２，１２が取付けられたヘツダー１
１，１１には、加熱室１の入口側において、前記
加熱ガス噴出用ノズル１６，１６により鋼ストリ
ツプ５を予熱した後の低温となつた雰囲気ガスを
送給する導管１８が接続されている。１９は加熱
室１の入口側から前記低温となつた雰囲気ガスを
吸引し、ヘツダー１１，１１に送給するためのブ
ロワーである。

この考案の連続熱処理炉は、上述した構成から
なつているので、加熱室１内へ送りこまれた常温
の鋼ストリツプ５は、複数のパスにおいてノズル
１６，１６から噴射される高温のガスにより予熱
された後、ラジアントチユーブ６により所定温度
に加熱される。

前記ノズル１６，１６から噴射されるガスは、
冷却室３内における、高温の鋼ストリツプ５を冷
却した後の雰囲気ガスであるから、前記鋼ストリ
ツプ５の熱を得て十分に高温に達している。従つ
て、このようなガスから鋼ストリツプ５への熱伝
達係数は極めて高く、時間当り80〜200Kcal／m²
℃に達するので、鋼ストリツプ５を短時間で所期
の温度まで予熱することができる。かくして予熱
された鋼ストリツプ５は、続いてラジアントチユ
ーブ６により効率的に所定温度まで加熱される。

一方、ノズル１６，１６から噴射され、鋼スト
リツプ５に多量の熱を与えた後の低温となつた雰
囲気ガスは、加熱室１の入口側の側壁に設けられ
た導管１８から、ブロワー１９により吸引され、
加圧されて冷却室３内に設けられたヘツダー１
１，１１に送りこまれ、複数のパスにおいてノズ
ル１２，１２から高温の鋼ストリツプ５に向けて
噴射され、前記鋼ストリツプ５を冷却する。

なお、前記ノズル１２，１２から噴射されるガ
スの温度が、鋼ストリツプ５の冷却のために十分
な低温でない場合には、導管１８の途中に小規模
なガス冷却装置を設ければよい。

次に、この実施例における各部の温度について
述べる。加熱室１内に進入する鋼ストリツプ５の
温度を加熱室１の入口において50℃、加熱室１の
出口において700℃とすると、循環する雰囲気ガ
スの温度は、冷却室３内におけるノズル１２，１
２からの噴出時において250℃、導管７内におい
て350℃、加熱室１内におけるノズル１６，１６
からの噴出時において340℃、導管１８内におい
て270℃であつた。

この結果、鋼ストリツプ５を加熱室１内におけ
るノズル１６，１６からの加熱ガスの噴射によつ
て、50℃から190℃まで予熱することができた。
従つて、ラジアントチユーブ６による鋼ストリツ
プ５の加熱は、190℃から700℃の範囲内となるか
ら、ラジアントチユーブの設置数を減らすことが
でき、燃料消費量は、鋼ストリツプ屯当り
146000Kcalとなつて、従来の消費量177000Kcal
に対し、31000Kcalが節減された。また、導管１
８によつて吸引された加熱室１の鋼ストリツプ予
熱後における雰囲気ガスの温度は270℃である
が、ブロワー１９によつて加圧され導管１８を移
送される間に外気に対して放熱され、250℃近く
まで下降する。従つてそのままノズル１２，１２
から冷却用ガスとして噴射することにより、高温
の鋼ストリツプ５を冷却することができる。

以上述べたように、この考案の連続熱処理炉に
よれば、熱処理炉内の雰囲気ガスを媒体として、
加熱の終つた帯状金属の保有熱をもつて、後続の
加熱すべき帯状金属を予熱し、間接的に帯状金属
相互間で熱交換が行なわれるから、これによつて
連続焼鈍炉の熱熱効率は著しく向上し、燃料を大
幅に節減することができる等、工業上優れた効果
がもたらされる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の連続焼鈍炉の概略断面図、第２
図はこの考案の連続焼鈍炉の概略断面図である。 図面において、１……加熱室、２……均熱室、
３……冷却室、４……ロール、５……鋼ストリツ
プ、６……ラジアントチユーブ、７……導管、８
……ブロワー、９……ガス冷却装置、１０……導
管、１１……ヘツダー、１２……ノズル、１３…
…入口、１４……出口、１５……ヘツダー、１６
……ノズル、１７，１８……導管、１９……ブロ
ワー。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 帯状金属を所定温度に加熱するための４個以上
   のパスを有する加熱室と、前記加熱室において加
   熱された帯状金属を所定温度に保持するための、
   前記加熱室の次に列設された複数個のパスを有す
   る均熱室と、前記均熱室において均熱された帯状
   金属を所定温度に冷却するための、前記均熱室の
   次に列設された冷却室と、前記加熱室、均熱室お
   よび冷却室の各々内に上下に配設された、帯状金
   属を支持して移送するための複数対のロールとか
   らなり、前記各室には、帯状金属の酸化を防止す
   るための雰囲気ガスが充満されている帯状金属の
   連続熱処理炉において、 前記加熱室内の入口側に、帯状金属の加熱に先
   立つてこれを予熱するための加熱ガス噴射用ノズ
   ルを設けると共に、前記冷却室内の出口側に、帯
   状金属を冷却するための冷却ガス噴射用ノズルを
   設け、前記加熱ガス噴射用ノズルには、前記冷却
   室における帯状金属を冷却した後の高温の雰囲気
   ガスを送給するための、一端が前記冷却室の出口
   付近に取り付けられた導管が接続され、また前記
   冷却ガス噴射用ノズルには、前記加熱室における
   帯状金属を予熱した後の低温の雰囲気ガスを送給
   するための、一端が前記加熱室の前記加熱ガス噴
   射用ノズル設置位置付近に取り付けられた導管が
   接続されていることを特徴とする帯状金属の連続
   熱処理炉。