JPS6231712Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は割プーリーに関するもので、完成され
た軸系内の狭い場所においても軸上にプーリーの
追加ができるようにすることを目的としている。

例えば第１図のように軸受１で中間部が支持さ
れている伝動軸２の一端（図の左端）に軸継手３
を焼ばめ又は締りばめ方式で固定し、この軸継手
３を複数個のボルトによりエンジンのはずみ車４
に締着し、伝動軸２の他端（図の右端）に同様の
軸継手を介してポンプ、発電機その他の作業機を
接続した装置において、ポンプその他の作業機の
回転速度検出用あるいは他用途の動力取出用とし
て伝動軸２上にプーリーが必要となる場合があ
る。ところが第１図のように完成された軸系にお
いては、伝動軸２の両端には一般に軸継手３が焼
ばめ又は締りばめ方式にて固着されているため、
装置製作後におけるプーリーの追加には軸系全体
を再製作する必要があつた。従来この対策として
第２図、第３図に示すような鋳物製の２分割プー
リーが既に採用されている。その場合１対のプー
リー半体６，６を軸上に締着するために、両プー
リー半体６の割面近傍にボルト締付座７を設けな
ければならず、ボルト締付座７はプーリー半体６
の筒状部から半径方向外方へ突出しているたせ機
械加工ができず、従つて鋳物製となり、納期、コ
ストの面で問題があつた。ボルト締付座７を必要
とするため割プーリー自体の幅L₁が大きくなる
ばかりでなく、ボルト挿通孔８、ねじ孔９が軸と
直角方向になり、ボルトを軸と直角方向に締め付
ける関係でスパナその他の工具を使うための所要
スペースも大きくなり、狭い場所での取付けが困
難になる欠点があつた。

本考案は割プーリーを６分割方式とすることに
より上記従来の問題を解決しようとするもので、
第１図、第４図により詳細に説明する。

第４図においてエンジン側の２つ割プーリー半
体１１，１１と作業機側プーリー半体１２，１２
は山形断面の２つ割ブツシユ１３，１３を介して
後述するいんろう部１４で噛み合い、複数個の取
付ボルト１５により締着された時真円になるよう
に設計されており、全体の組立時にプーリー半体
１１，１１の割面間及びプーリー半体１２，１２
の割面間には隙間１５，１６ができ、割ブツシユ
１３，１３の割面間には隙間１７ができるように
寸法が定められている。第４図において１８はボ
ルト挿通孔、１９は孔１８に通されたボルト１５
が螺合するねじ孔である。

第４図に示す６分割の割プーリー（ブツシユ１
３を含む）の組立状態を示す第１図において、エ
ンジン側の２つ割プーリー半体１１と作業機側２
つ割プーリー半体１２の接合面２１は内外縁間の
中間位置にいんろう部１４を備え、このいんろう
部１４はプーリー半体１１側の内筒面とこれに噛
み合うプーリー半体１２側の外筒面でできてお
り、図示の実施例においてはいんろう部１４より
半径方向外側の接合面２１は互いに接している
が、いんろう部１４より内側部分２１ａは僅かな
隙間をへだてて対向しており、この時プーリー半
体１１のテーパー内面２２とプーリー半体１２の
テーパー内面２３が割ブツシユ１３の対応するテ
ーパー面２４，２５に強く圧接し、同時にブツシ
ユ１３の内筒面２６が伝動軸２の外筒面に強く圧
接するように各部の寸法が定められている。２つ
割ブツシユ１３のテーパー外面２４，２５は共に
プーリー半体接合面２１側へゆくにつれて大径と
なるものであり、テーパー内面２２，２３につい
ても同様である。２７はＶ溝である。

第４図で明らかなように、１対のプーリー半体
１１，１１は当初完全な真円状に旋盤加工され、
その後直径方向に延びる隙間１５ができるように
カツター等により２分割して形成される。従つて
隙間１５は隣接したプーリー半体１１，１１の割
面間に形成される。プーリー半体１２，１２間の
隙間１６も同様の方法で形成されるが、組立時に
は隙間１５，１６（及び隙間を区画している割
面）が互に直交するように両プーリー半体１１，
１２の姿勢が定められ、隙間１５，１６に対しブ
ツシユ１３の隙間１７（割面）も例えば隙間１
５，１６に対し45゜の位置を保つように配置され
る。いんろう部１４の直径Ｄはいんろう部１４の
内の隙間１５，１６近傍位置により一定に規制さ
れる。従つてボルト１５により一側と他側（第４
図の左右）のプーリー半体１１，１２を締着する
場合、２つ割ブツシユ１３が楔作用を発揮して隙
間１５，１６が増すようにプーリー半体１１，１
１間及びプーリー半体１２，１２間が離れても、
いんろう部１４の直径は最終的に所定値に収ま
る。又ボルト１５とねじ孔１９もいんろう部１４
の作用と相俟つて、プーリーの所定寸法を維持す
る上で有効に作用する。第１図においてボルト１
５をねじ孔１９に捩込む際、接合面２１同志の圧
接により２つ割ブツシユ１３の内外周面部分の面
圧が充分確保できない場合は、第１図において当
接している接合面２１の部分にも僅かな隙間を残
すことができる。

第１図のように既に完成した軸径の伝動軸２上
にプーリーを追加する必要がある場合は、伝動軸
２の側方から２個の２つ割ブツシユ１３を伝動軸
２に当て、その上に割面（隙間１５，１６）を90
゜ずらせて２つ割プーリー半体１１，１１，１
２，１２を嵌め、左右のプーリー半体１１，１２
をいんろう部１４の部分で噛み合せた状態でボル
ト１５をねじ孔１９に捩込み、ブツシユ１３の楔
作用を利用して両側のプーリー半体１１，１２を
伝動軸２に強固に固着する。

以上説明したように本考案においては、一側の
２つ割プーリー半体１１，１１と他側の２つ割プ
ーリー半体１２，１２の接合面にいんろう部１４
を、又中央に接合面２１側へゆくにつれて大径と
なるテーパー内面２２，２３をそれぞれ設け、一
側と他側でプーリー半体の割面を交差させて前記
テーパー内面２２，２３が伝動軸２上に嵌めた山
形断面の割ブツシユ１３と圧接するように両半体
１１，１２を伝動軸２と平行な複数のボルト１５
で締着するようにしたので、機械加工が可能とな
り、全体をSS材等で形成できるため、コストが
大幅に低減する。又取付幅L₂（第１図）が小さ
くなり、ボルト１５は伝動軸２と平行であるた
め、組立時には予めボルト１５を作業機側プーリ
ー半体１２の孔１８に入れておくことにより、ボ
ルト１５を差し込むためのスペースも少なくてす
み、又ボルト１５を回すためのスパナは伝動軸２
と直角な面内で操作すればよくなるため、狭い場
所での取付けが極めて簡単になる。従つて既設装
置の改造を行う場合にも現場で簡単に作業が可能
となる。

尚本考案を具体化する時、ブツシユ１３は３個
以上に分割しても差し支えない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による割プーリーの使用状態を
示す縦断側面図、第２図は従来の割プーリーの１
例を示す縦断側面図、第３図は第２図の−矢
視図、第４図は第１図に示す割プーリーの分解斜
視図である。 ２……伝動軸、１１，１２……プーリー半体、
１３……割ブツシユ、１４……いんろう部、１５
……ボルト、２１……接合面、２２，２３……テ
ーパー内面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一側の２つ割プーリー半体と他側の２つ割プー
   リー半体の接合面にいんろう部を、又中央に接合
   面側へゆくにつれて大径となるテーパー内面をそ
   れぞれ設け、プーリー半体の割面を交差させて前
   記テーパー内面が軸上に嵌めた山形断面の割ブツ
   シユと圧接するように両半体を軸と平行な複数の
   ボルトで締着したことを特徴とする割プーリー。