JPS6230961Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はカフスボタンに係り、更に詳しくは部
品点数を減少させ構造を簡略化すると共に製作を
容易にしたカフスボタンを提供することを目的と
している。

一般にカフスボタンは装飾用の筐体と、これと
一体に突設された係着体とからなり、係着体には
その軸線方向と直交する方向とに変移可能な係止
片が取り付けられ、この係止片を伸縮状態とした
ままボタン穴に挿入した後係止片を係着体の軸線
方向と直交する方向に回動させ、ワイシヤツの袖
口に係着する構造とされている。このような構造
を有するカフスボタンは装飾体と一体の係着体を
袖口のボタン穴に挿入することが面倒であり、か
つ係着体は衣類その他の物体に触れると容易に回
転してしまい、外観を損ねると共に、袖口から脱
落し紛失する危険がある。

又、従来のこの種のカフスボタンはいわゆるダ
ブルのワイシヤツと呼ばれる袖口が２重に折り返
された構造のものに使用するのに適し、そもそも
袖口にボタンが取り付けてないワイシヤツに使用
された。

ところが、シングルのワイシヤツにあつては既
にボタンが取り付けられており、従来構造のカフ
スボタンではこのボタンを隠すことができず体裁
が悪いという欠点があつた。

そこで本出願人は先に装飾体と係着体とを別体
に形成して両者を着脱自在の構造とし、シングル
のワイシヤツのボタンを隠すことができ、ワンタ
ツチで着脱できるカフスボタンを提案した。

このカフスボタンは構造も簡単で着脱が容易で
体裁もよいという点で優れたものであつたが、係
着体の係着柱の先端部が嵌合される突起が装飾体
とは別体の係止板に設けられているため、この係
止板の分だけ部品点数が多くしかも小さな係止板
をねじ止め固定しなければならず、その作業は極
めて煩雑で面倒なものとなつた。

本考案はこのような事情に鑑みなされたもの
で、構造を簡単にして部品点数を少なくし極めて
容易に組み立てることができるカフスボタンを提
供することを目的としている。

以下、図面に示す実施例に基づいて本考案の詳
細を説明する。

図において、符号１で示すものは装飾体で、本
実施例にあつては四辺形の筐体状に形成されてお
り、この装飾体１にはこれと別体に形成された係
着体２が着脱自在に取付けられ、両者でカフスボ
タンを形成している。

装飾体１は適当なデザインを施した貴金属等か
ら一方が開放された状態で形成された四辺形の筐
体３を有し、この筐体３の開口端側には側板４が
ロ一付けその他の手段により固定される。この側
板４の中央部には円孔４ａが形成されており、側
板４の外側面側にはこの円孔４ａに向かつてゆる
やかに盛り上がる盛上り部４ｂが円孔４ａを囲ん
で形成されている。

側板４の長手方向の両端部には上下に１個ずつ
の細長い開口部４ｃが１組ずつ形成されており、
側板４の重量を軽減すると共に内部に水等が侵入
した場合にこれを取り出す役目を果たす。

側板４の内側面側の周縁部にはわずかな高さの
側壁４ｄが形成されており、この側壁４ｄ間を筐
体３の幅方向を横断するようにして突条４ｅが形
成されている。側壁４ｄの外側には一段低くなつ
た段部４ｆが全周にわたつて形成されており、こ
の段部４ｆが筐体３の嵌合する部分となる。

前記突条４ｅは前記円孔４ａを閉塞すようにし
て側壁４ｄの高さと同一の肉厚をもつて形成され
ており、円孔４ａと対向する部分は薄肉となるよ
うにえぐられており、この部分が筐体３側に向か
つて迫り出した膨出部４ｇとなつている。そして
この膨出部４ｇの外側面側には、これと一体に前
記円孔４ａ中に臨まされる弾頭状の突起４ｈが形
成されている。この突起４ｈの高さは円孔４ａの
外側に突出しない程度の高さである。

又、突条４ｅの薄肉の膨出部４ｇの一方の側の
近傍において、突条４ｅを横断して突条４ｅの高
さに等しい溝４ｉが形成されており、この溝４ｉ
によつて突条４ｅは分断されている。

そして、溝４ｉが形成された側の側壁４ｄか
ら、分断された突条４ｅを貫通して前記溝４ｉを
も通り、膨出部４ｇ側の突条にまで連通した状態
で小直径の透孔４ｊが形成されている。この透孔
４ｊ中にはピン５が嵌合される。

又、突条４ｅを挾んで側板４の裏面側には四辺
形状の突出部４ｋが形成されている。この突出部
４ｋの円孔４ａ側の側縁は円孔４ａの周縁部にま
で臨まされており、前記突条４ｅとの間の間隔は
後述するスプリングを形成する金属細線の太さと
ほぼ同一である。

前記溝４ｉを利用してスプリング６が取り付け
られる。このスプリング６は１本の金属細線から
第７図に示すようにほぼメガネのフレームのよう
な外形に形成され十分な弾力を備えている。スプ
リング６はその左右に対称な状態でほぼＵ字状の
枠体部６ａ，６ａが形成されており、この枠体部
６ａの内方端は直線状の自由端６ｂとなつて内側
に折り返されている。又スプリング６の上端の中
央部には前記自由端６ｂの方向に向かつてわん曲
すると共に外側に向かつて傾斜した状態でわん曲
部６ｃが形成されている。即ちわん曲部６ｃを含
む面と、枠体部６ａ，６ａを含む面とは同一平面
ではなく、交差した面となつている。

このような構造を有するスプリング６はそのわ
ん曲部６ｃを前記溝４ｉ中に嵌合させ、細い治具
でわん曲部６ｃを含む面が枠体部６ａ，６ａを含
む面と同一平面となるように押圧して弾性変化し
て透孔４ｊ中に溝４ｉを横断してわん曲部６ｃの
上側にくるようにピン５を打ち込むことによりこ
の状態を保持させて取り付けられる。そして、自
由端６ｂは突出部４ｋと突条４ｅとの間において
円孔４ａの両側に臨まされた状態で位置される。
この状態ではわん曲部６ｃは強制的にたわませら
れたことになり、この結果枠体部６ａ，６ａは側
板４の裏面に押し付けられる力を与えられること
になる。

ところで係着体２は第９図及び第１０図に示す
ような構造となつている。

すなわち係着体２はボタンの嵌入する円形の凹
部８ａを有するボタン覆い８と、その一端にボタ
ン覆い８に対して凹部８ａ側に傾斜した状態で一
体的に形成された係着柱１９とを有する。従つて
側面から見ると第９図から明らかなようにボタン
覆い８と係着柱９とはほぼＶ字状に結合された構
造となつている。

係着柱９の先端部には半球状の頭部１０が形成
されており、この頭部１０の先端の中央部には前
記側板４の膨出部４ｇに形成された突起４ｈが嵌
合する透孔１０ａが形成されている。そしてこの
透孔１０ａをはさんで頭部１０の両側面には対抗
した位置に係着柱９の軸線方向と直交した状態で
溝１０ｂ，１０ｂが形成されており、スプリング
６の自由端６ｂを受けとめることができる程度の
幅及び深さを有する。

なお、頭部１０は半球状に形成されているが、
前記溝１０ｂのボタン覆い８側の側縁とほぼ同じ
位置から円弧状の曲面が連続した状態で形成され
ている。

また、頭部１０の基部は係着柱９の軸線と直交
する平坦な面となつており、この部分には小直径
の軸部９ａが連続している。この軸部９ａは係着
柱９よりも小直径で、その長さはワイシヤツの布
地の肉厚よりもやや大きい。

次に以上のように構成された本考案になるカフ
スボタンの使用方法につき説明する。

まず装着時には図示していないワイシヤツの袖
口のボタン穴の内側から外側へと係着柱９を袖口
を２枚合わせた状態で貫通させ、頭部１０を袖口
の表側に臨ませる。この状態で頭部１０の溝１０
ｂ，１０ｂがそれぞれスプリング６の自由端６
ｂ，６ｂと対向する状態で装飾体１の円孔４ａ中
に頭部１０を嵌合させる。この状態が第１１図に
示す状態である。すなわち、係着柱９に対してボ
タン覆い８が突出した方向を装飾体１の筐体３の
長手方向に直交する状態で係着柱９を円孔４ａ中
に嵌合させれば良い。この状態で頭部１０を押し
進めて行くと、第１１図から第１２図に示すよう
に、スプリング６の自由端６ｂ，６ｂは半球状の
頭部１０の曲面に沿つて押し広げられるととも
に、上方に押され、自由端６ｂと溝１０ｂとが対
向すると、自由端６ｂは自らの弾力により溝１０
ｂ中に嵌合され、かつ突起４ｈが頭部１０先端の
透孔１０ａ中に嵌入する。この状態が第１２図に
示す状態である。

このままの状態で係着体２に加えていた押圧力
を解放すると、スプリング６の自由端６ｂは側板
４方向への押圧力を持つている為自由端６ｂが溝
１０ｂ中に嵌合されたまま、係着体２を押し戻
し、第１１図に示すように、頭部１０は自由端６
ｂとともに円孔４ａ中の自由端６ｂの元の位置に
戻る。この状態では自由端６ｂが溝１０ｂ中に完
全に嵌合された状態にある為頭部１０が円孔４ａ
中に戻る動作の邪魔にはならず、自由端６ｂが溝
１０ｂから抜け出すこともなく、係着体２が装飾
体１から抜け出すこともない。すなわち装飾体１
は、係着体２方向に押されない限り、自由端６ｂ
が突出部４ｋの円孔４ａ側の側壁によつてその移
動を阻止されている為、回転せず抜け落ちること
がない。この操作はワンタツチで行われる。

一方、カフスボタンをはずしたい場合には、装
飾体１を係着体２に対して押圧し、自由端６ｂを
第１３図に示すように突出部４ｋの円孔４ａ側の
側壁と接触しない状態に筐体３側へ押し出しこの
状態で係着体２に対し90度いずれかの方向へ回転
させる。すると、自由端６ｂ，６ｂはそれぞれ頭
部１０の溝１０ｂから抜け出し、頭部１０の円弧
状の周面に接触した状態となり、且つ突出部４ｋ
の上面にのつた状態となる。この状態を第１４図
に示す。

この状態では自由端６ｂ，６ｂは互いに接近し
ようとする力と、係着体を押し出そうとする力の
２つの力を持つており、頭部１０の曲面は溝１０
ｂのボタン覆い１０側の側縁とほぼ同じ位置から
始まつている為、自由端６ｂは頭部の曲面に沿つ
て滑ることになり、その結果第１６図に示すよう
に、頭部１０は円孔４ａから押し出され、係着体
２は簡単にはずれる。はずれた後においては自由
端６ｂ，６ｂは突出部４ｋと突条４ｅとの間に位
置する。このようにしてカフスボタンの着脱は極
めて容易に行なわれる。

以上の説明から明らかなように、本考案によれ
ば、装飾体１を構成する側板４は、すべて一体成
形された構造とされている為、部品点数を著しく
減少させることができ、従来のように係止板など
をねじ止め固定する作業がまつたく不要となり、
製造工程が簡略化され、コストダウンを実現でき
るとともに、着脱はワンタツチで確実に行え、シ
ングル用にもダブル用にも適用できるカフスボタ
ンを提供することができる。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の一実施例を説明するもので、第１
図は装飾体の斜視図、第２図は装飾体の背面図、
第３図は第１図のＡ−Ａ線断面図、第４図は第１
図のＢ−Ｂ線断面図、第５図は側板の斜視図、第
６図は筐体の斜視図、第７図はスプリングの斜視
図、第８図は第７図のＣ−Ｃ線断面図、第９図は
係着体の側面図、第１０図は係着体の平面図、第
１１図は係着体の装着完了状態を説明する一部縦
断平面図、第１２図は係着体の取りはずし開始時
の一部縦断平面図、第１３図は第１２図のＤ−Ｄ
線断面図、第１４図は係着体の取り付ずし開始時
において係着体を90度回動した状態の一部縦断平
面図、第１５図は第１４図のＥ−Ｅ線断面図、第
１６図は係着体の離脱寸前を示す一部縦断平面
図、第１７図は取りはずし時における係着体の頭
部と装飾体の関係を示す一部縦断側面図である。 １……装飾体、２……係着体、３……筐体、４
……側板、４ａ……円孔、４ｄ……側壁、４ｅ…
…突条、４ｆ……段部、４ｇ……膨出部、４ｈ…
…突起、４ｉ……溝、４ｊ……透孔、４ｋ……突
出部、５……ピン、６……スプリング、６ｂ……
自由端、６ｃ……わん曲部、８……ボタン覆い、
９……係着柱、１０……頭部、１０ａ……透孔、
１０ｂ……溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 装飾体１とこれに着脱自在に取付けられる係着
   体２とから成り、前記装飾体１は長手方向と幅方
   向とが区別できる程度に形成された筐体３と、こ
   の筐体３の開口部を閉塞して固定され、その中央
   部には円孔４ａを有する側板４を有し、この側板
   ４は偏平な筐体状に形成され、その外周面に筐体
   ３が嵌合する段部４ｆを有する側壁４ｄを有し、
   側板４の長手方向の中央部を幅方向に横断して前
   記側壁４ｄと面一となる突条４ｅが形成され、こ
   の突条４ｅの前記円孔４ａと対向する部分は薄肉
   部となつて筐体３側へ膨出する膨出部４ｇとな
   り、この膨出部４ｇの円孔４ａ側の側面には円孔
   ４ａ中に嵌入する突起４ｈが一体的に形成され、
   突条４ｅの前記膨出部４ｇのいずれか一方の側に
   は突条４ｅを横断して、溝４ｉが形成され、この
   溝４ｉを通つて突条４ｅの軸線方向にピン５が嵌
   入する透孔４ｉが側壁４ｄの外側から、膨出部４
   ｇ側の突条の溝４ｉの端面にまで連通した状態で
   形成され、前記突条４ｅをはさんで円孔４ａの周
   縁に近接した位置において突出部４ｋ，４ｋが形
   成され、前記溝４ｉにはスプリング６が嵌合さ
   れ、このスプリング６は、前記突出部４ｋ，４ｋ
   を囲むように形成された枠体部６ａと、枠体部６
   ａの内方端である内側に折り曲げられた直線状の
   自由端６ｂ，６ｂと、これら自由端６ｂ，６ｂ側
   に向かつて、かつ外側に傾斜した状態で形成され
   たわん曲部６ｃを有し、前記自由端６ｂ，６ｂは
   前記突出部４ｋ，４ｋの内側縁と突条４ｅの外側
   縁との間に臨まされ、前記わん曲部６ｃは前記溝
   ４ｉ中に嵌入され、枠体部６ａ，６ａを含む面と
   同一平面にわん曲部６ｃがなるように押圧された
   状態でその上側にピン５が通るようにピン５を透
   孔４ｊ中に嵌合させることにより固定され、前記
   係着体２はボタン覆い８と、このボタン覆い８の
   一端からボタン覆い側に向かつて所定角度傾斜し
   て突設された係着柱９とを有し、この係着柱９の
   先端部には半球状の頭部１０が形成され、この半
   球状の頭部１０の先端部には、軸線方向に沿つて
   前記突起４ｈが嵌合する透孔１０ａが形成され、
   頭部１０の対向する位置においてその両側に係着
   柱９の軸線方向と直交する状態で前記スプリング
   ６の自由端６ｂ，６ｂが嵌合される溝１０ｂ，１
   ０ｂが形成され、頭部１０の球面状の曲面はこの
   溝１０ｂのボタン覆い８側の側縁とほぼ同じ位置
   から始まるように形成されたことを特徴とするカ
   フスボタン。