JPS6230901Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は田植機の苗載台における苗縦送り装置
に関するものである。

田植機の苗載台はその上面に苗（一般にはマツ
ト状の苗）を載置し、往復横移動しながらその苗
載台下端の苗掻取り口から、植付杆により１株づ
つ苗を掻取るようになつていると共に、さらに、
往復横移動の横移動端部において、苗載台上の苗
を間欠的に下方へ縦送りするための縦送りローラ
が苗載台底面に設けられている。しかしながら、
上記縦送りローラは苗の自重降下によつても回転
するようになつているため、既に掻取り後のマツ
ト苗前端部は、植付杆による掻取りが横移動最終
端に至る前に苗載台下端のエプロンまで斜めに滑
り落ちて接当する状態となり、その結果、マツト
苗の後端も斜めに傾斜した状態となり、次に補給
する苗の前端部との継目に隙間を形成し、これが
欠株や掻取り本数のバラツキを生ずる原因となる
場合が発生していた。

そこで、このような問題を解決するため、縦送
りローラの回転軸に制動機構を設け、この制動機
構を常時作用させておくようなものが提案され
た。しかし、この機構は苗の縦送り時にも制動が
かかつているため、駆動機構に大きな力を作用す
る必要があり、各部品を厚肉にして強度を強化し
なければならないというコスト高を招く不具合が
あつた。このため、縦送りローラを駆動する時の
み上記制動機構を解除させるようにした装置も提
案されたが、そのために部品を特別に加工しなけ
ればならい不利があるばかりでなく、構造上も複
雑になるという不具合があつた。

本考案の目的は上述のような問題を全て解消
し、縦送りローラの駆動機構と制動機構との部品
を共用可能な構成とし、これによつて構造簡単で
コスト低減に寄与することができるようにした苗
載台における苗の縦送り装置を提供せんとするこ
とにある。

上記目的を達成する本考案による苗載台におけ
る苗の縦送り装置は、往復横移動する苗載台下面
に回動自在に設けた回転軸に苗載台上の苗と係合
可能な縦送りローラを固定すると共に、前記回転
軸を回転させるための駆動用ラチエツトホイール
を設け、前記苗載台が横移動端部に位置するとき
前記駆動用ラチエツトホイールに係合する駆動爪
を押動させて前記回転軸を回動すべくした苗の縦
送り装置において、前記回転軸に前記駆動用ラチ
エツトホイールとは爪の傾斜方向を逆方向にした
制動用ラチエツトホイールを固定し、該制動用ラ
チエツトホイールに係合する係止爪を、前記駆動
用ラチエツトホイールの駆動時には係合を解除
し、非駆動時には係合状態とすべく、駆動用ラチ
エツトホイールの駆動爪と制動用ラチエツトホイ
ールの係止爪とを連動連結したことを特徴とする
ものである。

以下、図に示す本考案の実施例により具体的に
説明する。

図において、１は田植機本体の駆動ケースであ
り、２はこの駆動ケース１により左右に往復横移
動するように駆動されるスライドバーである。こ
のスライドバー２の両端にはブラケツト３，３が
固定され、このブラケツト３，３を介して苗載台
４が固定され、苗載台４はスライドバー２と共に
左右に往復横移動するように構成されている。苗
載台４の下面には、両側の下方に延びるブラケツ
ト５，５を介して回転軸６が回動自在に支架さ
れ、この回転軸６には苗の縦送りローラ７が複数
個所定の間隔をおいて固定されている。縦送りロ
ーラ７は、その外周に多数の突起を有しており、
その突起の一部を苗載台４の上面側に苗載台底面
の開口を介して突出させるようにして、苗の底面
と係合させるようにしている。

また、回転軸６には両側にそれぞれ駆動用ラチ
エツトホイール８，８が固定されると共に、この
二つの駆動用ラチエツトホイール８，８に挾まれ
る位置に別の制動用ラチエツトホイール９が固定
されている。この駆動用ラチエツトホイール８と
制動用ラチエツトホイール９とは同一部品からな
るものであるが、一方は他方に対し裏返しの関係
となるようにして固定され、両ラチエツトホイー
ルの爪の方向が互いに逆方向となるようにしてあ
る。また、回転軸６には揺動アーム１０，１０が
上記駆動用ラチエツトホイール８，８に対応して
それぞれ回動自在に枢支され、かつ両揺動アーム
１０，１０は、プレート１１により一体に連結固
定されている。揺動アーム１０の側面には駆動爪
１２が固定され、この駆動爪１２は駆動用ラチエ
ツトホイール８と係合可能になつている。また、
この揺動アーム１０は、苗載台４の下面に固定さ
れているブラケツト１３に一端を係止されたスプ
リング１４と係合し、駆動爪１２が駆動用ラチエ
ツトホイール８と常時係合する方向に弾性力を付
勢されるようになつている。また、揺動アーム１
０の端部にはローラ１８が回動自在に支架されて
いる。

一方、片方のブラケツト１３に横方向に延長す
るように固定した支軸１５には揺動アーム１６が
回動自在に枢支され、その先端に係止爪１６ａが
設けられている。この揺動アーム１６は、上記ブ
ラケツト１３に一端を固定したスプリング１７と
係合し、このスプリング１７により、係止爪１６
ａが制動用ラチエツトホイール９と常時係合する
方向に弾性力を付勢されるようになつている。そ
して、揺動アーム１６は枢支点である支軸１５を
挾んで、係止爪１６ａとは反対側の延長部を、ス
プリング１７の弾性力により前記プレート１１の
側縁に接当させている。

１９は駆動ケース１に軸支され、かつその駆動
ケース１からの動力によつて回転駆動される駆動
カムである。この駆動カム１９は苗の植付作業中
は植付杆の回転運動に比例した回転運動を行つて
おり、苗載台４と共に左右の往復横移動を行う揺
動アーム１０が横移動端部にくる毎に、左右いず
れか一方の揺動アーム１０が駆動カム１９と位置
が対応することになる。したがつて、駆動カム１
９は揺動アーム１０先端部のローラ１８に接当
し、その揺動アーム１０を回転軸６を中心として
揺動させることになる。

さて、上述したように、左右に往復横移動する
苗載台４が移動端部に至ると、第３，４図の矢印
Ａ方向に回転する駆動カム１９により、揺動アー
ム１０は回転軸６を中心にして矢印Ｂ方向に揺動
を行う。この揺動アーム１０の揺動により、前記
揺動アーム１６がプレート１１を介して突き上げ
られ、支軸１５を中心にして同方向へ揺動する。
したがつて、揺動アーム１６の端部の係止爪１６
ａが制動用ラチエツトホイール９との係合を外さ
れ、その制動作用が解除されることになる。ま
た、同時に上記揺動アーム１０のＢ方向への揺動
により、駆動爪１２が駆動用ラチエツトホイール
８を押し込むため回転軸６が回動を行い、苗の縦
送りローラ７が矢印Ｃ方向へ回動を行う。したが
つて、この縦送りローラ７により苗載台４上の苗
は下方へ向けて間欠的に縦送りされる。そして、
この駆動用ラチエツトホイール８が駆動する時、
制動用ラチエツトホイール９の制動は完全に解除
された状態にあるため、その駆動は極めて円滑に
行われ、制動をかけたままで駆動する従来のもの
に比べてラチエツトホイールや駆動爪等の各部品
を厚肉にしたりする必要はない。また、両横移動
端部以外の横移動中は、係止爪１６ａがスプリン
グ１７に付勢されて制動用ラチエツトホイール９
に係合状態にあるため、回転軸６および縦送りロ
ーラ７の回転は制動され、苗の自重によるローラ
７の回転を発生することはない。したがつて、苗
が斜めにずり落ちることに起因する欠株や掻取り
本数のバラツキなどを発生することもない。

また、上記装置は上述のように制動用ラチエツ
トホイール９による制動が、苗載台４の横移動端
部において駆動用ラチエツトホイール８の駆動と
同時に自動的に解除されるようになつているが、
手動でも解除することができるようになつてい
る。すなわち、第２図および第５図に詳細を示す
ように、駆動ケース１上に枢支軸を有し、第２図
の矢印Ｄ方向に揺動可能にしたステー２０からな
るものであつて、このステー２０は倒伏して先端
をピンチ金具２１により係止される位置と、スプ
リング２２により引張られ、ストツパー２３に接
当起立する位置とに手動により切換可能に構成さ
れている。したがつて、ステー２０をピンチ金具
２１から外して起立位置にすると、ステー２０は
揺動アーム１６の端部に第５図のように押上げる
ため、揺動アーム先端の係止爪１６ａが制動用ラ
チエツトホイール９から外れ、その状態がスプリ
ング２２により保持されることになる。この手動
による制動解除は、苗載台４に最初の苗供給を行
うときに利用すると好都合であり、苗を縦送りロ
ーラ７の突出部に引つ掛けて損傷させるようこと
を防止することができる。

上述したように、本考案の苗載台における苗の
縦送り装置は、往復横移動する苗載台下面に回動
自在に設けた回転軸に苗載台上の苗と係合可能な
縦送りローラを固定すると共に、前記回転軸を回
転させるための駆動用ラチエツトホイールを設
け、前記苗載台が横移動端部に位置するとき前記
駆動用ラチエツトホイールに係合する駆動爪を押
動させて前記回転軸を回動すべくした苗の縦送り
装置において、前記回転軸に前記駆動用ラチエツ
トホイールとは爪の傾斜方向を逆方向にした制動
用ラチエツトホイールを固定し、該制動用ラチエ
ツトホイールに係合する係止爪を、前記駆動用ラ
チエツトホイールの駆動時には係合を解除し、非
駆動時には係合状態とすべく、駆動用ラチエツト
ホイールの駆動爪と制動用ラチエツトホイールの
係止爪とを連動連結した構成としたので、縦送り
ローラの駆動機構であるラチエツトホイールと制
動機構であるラチエツトホイールとの部品を共用
可能にし、かつ関係部品の厚肉化も不必要にな
り、これによつて構造簡単であると共に、コスト
低減に大巾に寄与することができるようになる。
しかも、苗の自重降下を防止することができるた
め、マツト苗が妄りに斜めにずり落ちることに基
づく欠株や掻取り本数のバラツキをなくすことが
できる。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の実施例からなる装置を示すもので
あり、第１図は縦送り装置の側面図、第２図は要
部の縦断面図、第３図は第２図の−矢視図、
第４図は第２図の−矢視図、第５図は手動操
作部の側面図、第６図は同手動操作部におけるピ
ンチ金具の斜視図である。 １……駆動ケース、２……スライドバー、４…
…苗載台、６……回転軸、７……縦送りローラ、
８……駆動用ラチエツトホイール、９……制動用
ラチエツトホイール、１０，１６……揺動アー
ム、１１……プレート、１２……駆動爪、１６ａ
……係止爪、１４，１７……スプリング、１９…
…駆動カム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 往復横移動する苗載台下面に回動自在に設けた
   回転軸に苗載台上の苗と係合可能な縦送りローラ
   を固定すると共に、前記回転軸を回転させるため
   の駆動用ラチエツトホイールを設け、前記苗載台
   が横移動端部に位置するとき前記駆動用ラチエツ
   トホイールに係合する駆動爪を押動させて前記回
   転軸を回動すべくした苗の縦送り装置において、
   前記回転軸に前記駆動用ラチエツトホイールとは
   爪の傾斜方向を逆方向にした制動用ラチエツトホ
   イールを固定し、該制動用ラチエツトホイールに
   係合する係止爪を、前記駆動用ラチエツトホイー
   ルの駆動時には係合を解除し、非駆動時には係合
   状態とすべく、駆動用ラチエツトホイールの駆動
   爪と制動用ラチエツトホイールの係止爪とを連動
   連結したことを特徴とする苗載台における苗の縦
   送り装置。