JPS6229256Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、一方向回転クラツチを備えた紙送り
機構に係り、その目的とするところは、モータ等
の駆動源による正方向への紙送りと共に、手動に
よる紙戻しも可能な紙送り機構を提供することに
ある。

プリンタの紙送り機構には、モータ等により駆
動される駆動回転体と紙送りローラ軸との間に一
方向回転クラツチが備えられているものである。
例えば、第１、２図に示す如くの紙送り機構１
は、駆動源たるモータ２の回転をクラツチ６、ア
イドラ歯車３を介して駆動歯車４に伝え、該駆動
歯車４の回転を、紙送りローラ５のローラ軸５ａ
に伝達するために、後述の一方向回転クラツチが
両者５ａ、４間に設けられており、一方向回転ク
ラツチの作動により図中矢印Ａ方向のみに紙送り
ローラ５を回転させて用紙Ｐを正方向（矢印Ｃ方
向）へ移送し、逆の矢印Ｂ方向には紙送りローラ
５が回転しないようにして、モータ駆動による紙
送りを確実にしている。また、前記クラツチ６は
電磁石等によつて制御され、モータ２の回転を間
欠的にローラ軸５ａに伝え、該クラツチ６が回転
伝達不能状態にある時には、アイドラ歯車３は回
転不能に保持されている。なお、９は紙送りロー
ラ５側へ弾圧された従動ローラである。

一方、回転クラツチは、第２図に示す如く、駆
動歯車４を有する駆動回転体７の円筒孔７ａに挿
入したローラ軸５ａの一端に、コイルスプリング
８を緊密に巻回すると共に、コイルスプリング８
の一端を駆動回転体７の割り溝７ｂに嵌入するこ
とによつて構成され、スプリング８のローラ軸５
ａへの締め付けぐわいにより一方向にのみ回転力
を伝えることが可能になつている。

即ち、コイルスプリング８は、矢印Ａ方向（正
方向）に回転体７が回転した際には、ローラ軸５
ａを締め付けてモータ２の回転を紙送りローラ５
に伝達するが、矢印Ｂ方向に回転体７が回転した
際には、コイルスプリング８がゆるんで紙送りロ
ーラ５への回転伝達が不能になつている。また、
上記構成の一方向回転クラツチにおいては、紙送
りローラ５側を手動回転させる場合、上記動作と
逆にスプリング８が作動するため、紙送りローラ
５の矢印Ａ方向の回転では、コイルスプリング８
がゆるんで紙送りローラ５が空転できるが（回転
できるが）、矢印Ｂ方向の回転では、スプリング
８がローラ軸５ａを締め付けて駆動回転体７を回
転させようとするが、前記歯車列３、４が回転不
能であるため紙送りローラ５は回転できないよう
になつている。

即ち、換言するなら、従来の紙送り機構１は、
モータ２により紙送りローラ５の矢印Ａ方向（正
方向）への回転による用紙Ｐの正方向送りを行な
うが、紙送りローラ５の手動回転による矢印Ｂ方
向への用紙Ｐの逆送りを行なうことができず、用
紙Ｐを正方向に送り過ぎた時には、一度用紙Ｐを
取り出してから再度セツトしなければならないと
いう問題があつた。

本考案は上記問題を解決するものであり、以下
図面と共にその１実施例を説明する。第３図及び
第４図はそれぞれ異なる動作状態の紙送り機構の
一部切断正面図を示し、図中従来と同じ部分には
同一符号を付けてその説明を省略する。

該実施例は、従来の駆動回転体７を駆動歯車４
を有する駆動回転体１とコイルスプリング８を内
蔵した被駆動回転体１２とに分離し、夫々の回転
体１１、１２の側面にラチエツト歯部１１ａ、１
２ａを形成してラチエツト歯合・連結している。
また、駆動歯車４の側面には、軸１５が固着又は
一体形成されて、該軸１５の一端が側板１６に摺
動・回転可能に支持されており、更に側板１６と
駆動歯車４との間には、圧縮スプリング１７を軸
１５に挿入して介在させ、駆動回転体１１を常に
矢印Ｄ方向に附勢して通常はラチエツト歯合部１
３の歯部１１ａ、１２ａが歯合されている。被駆
動回転体１２の円筒孔１２ｂ内には、コイルスプ
リング８を緊密に巻回されたロータ軸５ａがコイ
ルスプリング８の一端８ａを割り溝１２ｃに嵌入
して挿入されている。尚、紙送りローラ５のロー
ラ軸５ｂにはノブ１９が固定されている。

次に上記構成の紙送り機構の動作について説明
する。通常は、モータ２の回転により駆動回転体
１１は被駆動回転体１２を介して紙送りローラ５
をＡ方向（正方向）に間欠回転させ、所定ピツチ
づつ矢印Ｃ方向に用紙Ｐの正方向送りが行なわれ
る。

また、用紙Ｐの戻し（逆送）が必要になつた際
は、手動でノブ１９に矢印Ｂ方向への回転力を附
勢する。ノブ１９で紙送りローラ５を矢印Ｂ方向
へ回転させることにより、一方向回転クラツチの
コイルスプリング８がローラ軸５ａを締め付ける
ため、第４図に示す如く、ローラ軸５ａと一体回
転する被駆動回転体１２が、圧縮スプリング１７
の附勢力に打ち勝つて回転不能状態にある駆動回
転体１１を側板１６側へ移動させ、ラチエツト歯
合部１３が外れる。そのため手動により紙送りロ
ーラ５は矢印Ｂ方向に回転し用紙Ｐの戻しを行な
うことが出来、希望印字行を合わせるのが非常に
容易になる。

上述の如く本考案による紙送り機構は、駆動回
転体と被駆動回転体との間にラチエツト歯合部を
形成し、紙送りローラ側からの回転によりラチエ
ツト歯合部が外れる構成にしたことにより、モー
タ等の駆動源による正方向の紙送り動作の他に、
必要に応じて手動で紙戻しを行なうことが出来、
操作性が向上する等、その実用的な価値は顕著で
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図は従来例に係り、第１図は紙送
り機構の簡略斜視図、第２図は紙送り機構の一部
切断正面図、第３図、第４図は本考案の１実施例
に係り、第３図及び第４図はそれぞれ異なる動作
状態の紙送り機構の一部切断正面図である。 ４……駆動歯車、５……紙送りローラ、５ａ…
…ローラ軸、８……コイルスプリング、１１……
駆動回転体、１２……被駆動回転体、１３……ラ
チエツト歯合部、１７……圧縮スプリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 駆動源により回転する駆動回転体と被駆動回転
   体とをスプリングの附勢力でラチエツト歯合させ
   ると共に、前記被駆動体と紙送りローラのローラ
   軸とを一方向回転クラツチで連結し、駆動源によ
   つて用紙を正方向に移送する場合には、駆動源か
   ら駆動回転体、スプリングにより該駆動回転体と
   ラチエツト歯合状態にある被駆動回転体、回転力
   伝達可能方向に回転する一方向回転クラツチ、紙
   送りローラのローラ軸の順に回転力を伝達して正
   方向移送を行ない、手動で用紙を逆方向に移送す
   る場合には、紙送りローラのローラ軸を手動で逆
   方向に回転させ、回転力伝達可能方向に回転する
   一方向回転クラツチを介して被駆動回転体を回転
   させることにより、駆動源のデイテント力で回転
   不能状態にある駆動回転体を該駆動回転体の歯が
   スプリングの附勢力に抗して被駆動回転体の歯を
   乗り上げ被駆動回転体とのラチエツト歯合が外れ
   る方向に移動させて逆方向移送を行なうことを特
   徴とする紙送り機構。