JPS6229204Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案はベニヤ・レース、スライサー等の単
板切削機に取付けられ、単板切削用ナイフ付近で
原木に摺接して加圧する耐摩耗性のチツプを交換
可能に取付けてなる単板切削機におけるノーズ・
バーに関する。

周知の様に、単板切削機におけるノーズ・バー
（本考案にあつてはプレツシヤー・バーをも包含
するものである。）は切削用ナイフ付近で原木を
摺接・加圧することにより切削される単板の先割
れを防止し、平滑性に優れた高品質の単板を得る
ために使用されるものである。然し乍、ノーズ・
バーはその経時使用によつて摩耗したり或いは原
木に付着、若しくは混在した石、金属等により一
部が欠損し易く、高品質単板を得る上においてそ
の維持、管理が容易でなかつた。

処で、従来のノーズ・バーは、例えば特開昭53
−84299号公報に記載されているように長尺状か
らなる台金上に耐摩耗性の特殊合金をロウ付によ
り一体構成し、該ノーズ・バーをボルト等にてプ
レツシヤー・バーボデイに固定しているが、該ノ
ーズ・バーの取付け時及び取外し時には前記プレ
ツシヤー・バーボデイに対してその都度ボルトに
て着脱しなければならず、作業性が悪かつた。ま
た、一部が欠損した場合、該ノーズ・バー全体を
欠損箇所がなくなるように使用可能な箇所をも含
んで全体的に研磨しなければならず、経済性が悪
かつた。

そして前記ノーズ・バーにおいて摩耗したり或
いは欠損する箇所は通常原木を摺接・加圧するノ
ーズ・バー先端部であるから、ノーズ・バー自体
を複数個に分割して配設すると共にその先端部に
原木を摺接・加圧する耐摩耗性チツプを交換可能
に取付ければ、摩耗或いは欠損したノーズ・バー
のみを取外して、交換若しくは補修を容易に行う
ことが可能である。

本出願人は上記事情を考慮し、先に「単板切削
機のチツプ交換式プレツシヤーバー」を考案して
出願したが、ノーズ・バーのホルダーに耐摩耗性
チツプを取付けるに際し、切削ナイフの長手方向
と直交する方向に対するチツプのずれを防止する
ため、ホルダーのチツプ止め部にリング溝、若し
くは螺子等を形成する必要があつた。

この考案は上記事情を考慮し、チツプに対し切
削ナイフの刃先と直交する方向及び切削ナイフか
ら遠ざかる方向へ大きな力が作用するが、前記切
削ナイフの刃先と平行な方向には大きな力が作用
しない点に着目して考案されたものであり、その
目的とする処は、ノーズ・バーのホルダーに溝以
外に何ら加工を施すことなく、原木切削時の外力
に対しても強固にチツプを保持し得る一方、その
取付け及び取外しを円滑に行いうる切削機におけ
るチツプ交換可能なノーズ・バーを提供すること
にある。

このため本考案は、単板切削ナイフ付切にて前
記原木の外周面を加圧する各ノーズ・バーは、単
板切削機本体に取付けられたホルダの先端部に前
記単板切削ナイフの刃先方向に向う一端から他端
に至る溝部を形成し、前記原木外周面に当接する
加圧部及び前記単板切削ナイフの刃先と直交する
方向の断面形状が同方向に対する前記溝部の断面
形状にほぼ一致する係止部を有したチツプの前記
係止部を、前記溝部に挿嵌することにより構成さ
れる。

以下、本考案の一実施例に従つてその構成を説
明する。

図中１はノーズ・バーが取付けられる切削機で
あり、該切削機１の刃口台１ａにはノーズ・バー
２がナイフ３と対向的に螺子４…４を介して螺着
されている。そしてノーズ・バー２は複数個のホ
ルダー５…５とチツプ６…６とから構成され、ノ
ーズ・バー２は切削ナイフ３の刃先方向に対して
複数個に分割して配設されている。

尚、刃口台１ａに対するノーズ・バー２の取付
手段は図示上端部を刃口台１ａに螺着し、図示下
端部を遊動可能に取付け、ノーズ・バー２はたわ
み易く取付けられている。即ち、このたわみによ
り原木小片による刃詰りを防止している。そして
ノーズ・バー２の形状、取付手段は本実施例に限
定されることなく、適宜設定変更することが可能
である。またノーズ・バー２の幅は交換作業性等
より10〜200mm位であるのが望ましい。

前記ノーズ・バー２を構成するホルダー５…５
の先端部５ａ…５ａにはナイフ３…３の刃先方向
に向う一方端から他方端に至る取付溝７…７が形
成されている。該取付溝７…７の断面形状は第３
図Ａ〜Ｅに示すように凹状若しくはアリ状等の何
れであつても、原木の切削時に作用する力により
後述するチツプ６…６が離脱しない形状であれば
本考案の技術的範囲を限定するものではない。そ
して該取付溝７…７には超硬合金、サーメツト、
セラミツク等の耐摩耗性に優れた材質からなるチ
ツプ６…６が取付けられている。このチツプ６…
６は原木Ｗの外周面を摺接・加圧する加圧部６ａ
…６ａと、ナイフ３…３の刃先と直交する方向の
断面形状が前記取付溝７…７の同方向での断面形
状とほぼ一致する形状の係止部６ｂ…６ｂとが一
体形成され、前記取付溝７…７に対し係止部６ｂ
…６ｂが挿嵌される。このチツプ６…６は第３図
Ａ〜Ｅに示す様に断面が円形、若しくは多角形状
に形成されている。また、チツプ６…６の断面形
状を画一化することにより正確な位置決めを行な
うことが可能であり、また例えば断面を正四角形
とすれば最大限４隅８面を利用することが可能で
あり極めて経済性が高い特徴をもつ。

前記取付溝７…７内にチツプ６…６の係止部６
ｂ…６ｂを挿嵌するとき、浸透性、充填性並びに
即効性の高いシアノアクリレート系接着剤（所謂
瞬間接着剤）が使用される。この場合、使用する
接着剤は現場作業性を考慮して所謂瞬間接着剤が
望ましいが、この外にラピツドタイプのエポキシ
系接着剤であつてもよい。即ち、前記取付溝７…
７にチツプ６…６の係止部６ｂ…６ｂを嵌合した
とき、接着剤の充填接着作用によりナイフ３…３
の刃先と直交する方向及びナイフ３…３の刃先と
平行な方向に対するチツプ６…６の外れを有効に
防止しうる。この充填作用は、特に一部が欠損し
たチツプ６…６の他面、即ち有効利用しうる面を
加圧部６ａ…６ａとして使用する場合、取付溝７
…７に挿嵌されたチツプ６…６の欠損箇所と取付
溝７…７との空隙部を充填し、チツプ６…６のガ
タつき等を有効に防止することが可能である。ま
た、この接着剤は浸透性に優れているので、チツ
プ６…６の取付けに際しては、接着剤は取付溝７
…７と該取付溝７…７に嵌合されたチツプ６…６
の係止部６ｂ…６ｂとの間に容易に浸入して充填
される。またこの結果、接着剤が防錆膜を形成
し、ホルダー５…５に対し防錆効果を奏しうる特
徴を有している。そして取付溝７…７にチツプ６
…６を取付ける際及び取外す際には、該作業を短
時間に行なうことが要求されるが、取付けに際し
てはチツプ６…６の係止部６ｂ…６ｂを取付溝７
…７に嵌合した後に接着剤を滴下して行なう一
方、取外しに際しては第４図に並び第５図に示す
交換治具により極めて簡便に行ないうる。即ち、
チツプ６…６を取付けたホルダー５…５を載置し
うる断面が凹状のベース板８の一方壁部８ａでホ
ルダー５…５に取付けたチツプ６…６の係止部６
ｂ…６ｂに対応する箇所に前記チツプ６…６を長
手方向へ押し出す螺子９を進退可能に取付けると
共に、反対壁部８ｂで前記螺子に対応する箇所に
チツプ逃げ溝１０を形成し、前記螺子９の螺進に
よつてチツプ６…６を押出すように構成されてい
る。この場合、ホルダー５…５に対するチツプ６
…６の接着力は螺子９による初期押出しに伴つて
容易に解除されるから、チツプ逃げ溝１０に進退
可能な押し上げ螺子１１を取付け、一部が押し出
されたチツプ６…６を該押し上げ螺子１１により
押し上げることによりチツプ６…６の取外しを行
なう構成であればよい。尚、同図１２は先端部５
ａ…５ａを係止し、前記押し上げ螺子１１により
ホルダー５…５の動きを規制する固定壁であり、
同固定壁１２は逆段差状に形成されている。

以上詳述した様に本考案に係るノーズ・バー
は、切削ナイフの刃先と平行な溝部に対しチツプ
の係止部を挿嵌する構成からなるので、チツプは
原木切削時に切削ナイフの刃先と直交する方向及
び切削ナイフから遠ざかる方向へ作用する外力に
対抗して離脱を規制し得る一方、前記切削ナイフ
の刃先と平行な方向に作用する外力に対しては容
易に係脱することが出来、チツプを容易に交換す
ることが可能である。

上記説明は、取付溝７…７にチツプ６…６の係
止部６ｂ…６ｂを嵌合した後に、接着剤を充填し
て両者を強固に固定するとともに錆止め等に防錆
膜等を形成するものとしたが、本考案は前記接着
剤の有無により何ら限定されるものではなく、切
削ナイフの刃先と平行な溝部に、該溝部とほぼ一
致する形状からなるチツプの係止部を嵌合する構
成であればよい。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図はノー
ズ・バーの使用状態を示す説明図、第２図は同じ
くノーズ・バーの分割状態を示す説明図、第３図
Ａ〜Ｅはチツプ取付溝、並びにチツプ形状を示す
説明図、第４図はチツプ交換治具を示す平面図、
第５図は第４図Ａ−Ａ線断面説明図である。 図中１は切削機、２はノーズ・バー、３は切削
ナイフ、４…４は螺子、５…５はホルダー、６…
６はチツプ、６ａ…６ａは加圧部、６ｂ…６ｂは
係止部、７…７は取付溝、８はベース板、８ａは
一方壁部、８ｂは反対壁部、９は螺子、１０はチ
ツプ逃げ溝、１１は押し上げ螺子、１２は固定壁
である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 原木の芯方向へ分割状に設けられた複数のノー
   ズ・バー先端部を単板切削ナイフ付近にて前記原
   木の外周面へ加圧しながら単板を切削する単板切
   削機において、 各ノーズ・バーは、 前記単板切削機本体に取付けられたホルダの先
   端部に前記単板切削ナイフの刃先方向に向う一端
   から他端に至る溝部を形成し、前記原木外周面に
   当接する加圧部及び前記単板切削ナイフの刃先と
   直交する方向の断面形状が同方向に対する前記溝
   部の断面形状にほぼ一致する係止部を有したチツ
   プの前記係止部を、前記溝部に挿嵌してなること
   を特徴とするノーズ・バー。