JPS6229183B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はホイール基板に研磨布紙を植立した研
磨ホイールに関し、更に詳しくは研磨布紙を渦巻
き状にして基板に植立固定した研磨ホイールに関
するものである。

一般に、研磨ホイールは、金属や樹脂、木材、
コンクリートなどの多種にわたる表面研磨に使用
するものであつて、従来はホイール基板の裏板に
１枚の円板状の研磨布紙を接着固定した研磨ホイ
ール、或はホイール基板上に複数枚の矩形の研磨
布紙を放射状に植立固定した研磨ホイールの２つ
のタイプのものが多く使用されている。

ところで前者タイプの研磨ホイールは研磨布紙
の研磨面を金属板等の被研磨面に直接接触させて
研磨するもので、製造容易で材料が少く安価であ
る利点を有するが、被研磨面とのなじみ性、研磨
布紙の目詰り、被研磨面の艶保持、耐久性等に大
きな問題があつた。また後者タイプの研磨布紙植
立の研磨ホイールは第１図及び第２図に示すよう
に、中央部に取付穴２を設けたフアイバー等より
なるホイール基板１の片面上に複数枚の矩形の研
磨布紙３を取付穴２の外周から等間隔に放射状に
配置して植立固定したものである。即ち、研磨布
紙３は全て同一寸法で、研磨面を同一方向に揃え
てホイール基板１上に、第３図に示すようにエポ
キシ樹脂系等の接着剤４と寒冷紗等の補強布５を
介して植立固定したものである。この研磨ホイー
ル６による研磨は第４図に示すようにハンドグラ
イダー７の回転軸８に研磨ホイール６を固定し
て、研磨ホイール６を回転させながら研磨布紙３
の一側端３′を被研磨面９に押し付けて行つてい
た。この場合は複数枚の研磨布紙３の間に空間が
あり、研磨動作中はこの空間を伝つて空気が外に
向つて流れるため研磨布紙３や被研磨面９は空冷
されて、研磨布紙３の焼けや被研磨面９の焼けに
よる艶消しなどの心配がなく、また流出空気によ
り研磨屑が外部に排除されて研磨布紙３の目詰ま
りがなく、長期使用が可能で前者の円板状研磨ホ
イールよりも遥かにすぐれていた。

ところがこの研磨ホイールの場合は、これをハ
ンドグラインダー７に取付けてその研磨布紙３を
被研磨面９に押圧回転して使用するものであるか
ら被研磨面９への押付けが第４図鎖線にて示すよ
うに斜めになり易い。従つて複数板の研磨布紙３
は全てが同時に被研磨面９に当らず複数枚の研磨
布紙が形成する円形の研磨作用面のほぼ半分は被
研磨面９に強く押圧され、残りの半分は被研磨面
９から若干浮く傾向にあつた。そのために研磨布
紙３は外側がより激しく摩耗していた。また、研
磨布紙３はホイール基板１上での放射状配列と高
速回転とにより第３図の鎖線で示すように回転方
向Ｘと反対の方向に彎曲し、この彎曲は研磨後に
も残つて、次の研磨時に更に大きく彎曲し、これ
による変形は外形の部分が特に激しい傾向があつ
た。

このように後者の研磨ホイールの場合は、研磨
時に研磨布紙は変形し易くこれに外力のバラツ
キ、高速回転等の要因が加わるため、研磨布紙の
接着部に部分的に強大な力が加わつて、研磨布紙
はホイール基板から剥離して飛散することがあつ
た。これは、１枚の研磨布紙が飛散すると、その
近くの研磨布紙の負荷が急増してこれも連鎖的に
飛散してしまう実際例として顕われ、研磨ホイー
ルが簡単に破壊する危険性があつた。

また、この後者研磨ホイールの製造は、ホイー
ル基板上に補強布を含む接着剤を塗布しておい
て、その上に別工程で所要の治具に複数枚を放射
状に挿入して位置決めした研磨布紙を乗せて行つ
ていた。それであるから多数の研磨布紙を同一寸
法に裁断する手間や、この裁断布紙を１枚ずつ治
具に挿入する手間を要し、一つの研磨ホイールを
作るのに多大の時間と労力を要して、高価につい
ていた。

本発明は上記従来のものの欠点に鑑み、これを
改良、除去したものであつて、特にホイール基板
上に研磨布紙を植立する研磨ホイールを改良し、
ホイール基板上に長尺な矩形の研磨布紙をホイー
ル基板の中心から外に拡がる渦巻き状に植立固定
し、而も研磨時強い作用力のもとで研磨布紙を安
定して保持するようにした研磨ホイールを提供す
るものである。

第５図及び第６図において、１１はフアイバー
等よりなるホイール基板、１３はホイール基板１
１の片面に植立固定した１枚の研磨布紙、１４は
研磨布紙１３をホイール基板１１に接着して植立
固定するための接着剤である。ホイール基板１１
は従来と同様に、中央部に取付穴１２を有する円
形に形成する。研磨布紙１３は第８図に示すよう
に片面を研磨面１３ａとした長尺なテープ状のも
ので、その一端は直角端部１７ａに裁断形成する
が、他端は斜めに裁断して鋭角尖端部１７ｂに形
成する。この研磨布紙１３を図示の如く研磨面１
３ａを外に向けてホイール基板１１上に、ホイー
ル基板１１の中心から外に拡がる１つの渦巻き状
に植立する。この場合、研磨布紙１３はその直角
裁断端部１７ａを内側とし、鋭角尖端部１７ｂを
その斜め裁断の側縁１７b′が上側になるようにし
て渦巻き状の外側終端部にしてホイール基板１１
に植立する。

なお、上記研磨布紙１３の渦巻き状外側終端の
鋭角尖端部１７ｂの斜め裁断角度は具体的には15
゜〜40゜位が好ましい。これにより研磨布紙１３
はその渦巻き外側端部が鋭角尖端部１７ｂに形成
されて研磨作用する一側端１３′より長くホイー
ル基板１１に固定されるので端部における研磨作
用力は長い固定部分で受止められ、布紙固定は強
固で全く剥離したりする心配はない。この研磨布
紙の渦巻き外側の終端部を始端部と同様に直角端
部にすると研磨作用をする研磨布紙の一側端の端
部とホール基板への固定端部とがホール基板に対
し同一垂直線上になるため研磨作用力は端部上下
でそのまま強く作用し、この紙端部分はホール基
板から剥離し易い。

また、この研磨布紙１３の渦巻きは基板１１の
中心部から外側に拡がる方向をホイール基板１１
の研磨時の回転方向Ｘと逆にする。

なお、この研磨布紙１３のホイール基板１１へ
の固定はつぎのようにして行う。

まず渦巻き状に溝を刻設した治具の溝に前記の
ように一端を直角に、他端を斜め裁断の鋭角尖端
部にした研磨布紙１３を挿入しておく。一方、ホ
イール基板１１の片面の要所に接着剤１４を塗布
する。そして、治具に挿入した研磨布紙１３をホ
イール基板１１の接着剤１４上に植立した接着剤
１４の硬化を待つて研磨布紙１３から治具を抜き
取る。これによりホイール基板１１に渦巻き状研
磨布紙１３を強固に固定した研磨ホイール１６が
得られる。

つぎにこの研磨ホイールを従来と同様にハンド
グラインダーに取付けての使用要領について説明
する。

第７図に示すものは平坦な被研磨面１９に研磨
ホイール１６の一側端１３′を押し当てて研磨す
る例である。この場合、研磨ホイール１６を回転
させながら被研磨面１９上を前後左右にスライド
させて被研磨面１９を研磨する。

これにより渦巻き状の研磨布紙は研磨ホイール
の回転軸を中心として渦巻き状の最小半径と最大
半径の円で囲まる部分全面が研磨作用面となつて
作用し、且つ、渦巻き形状により研磨布紙の各部
分はこれに対応の被研磨面の当接部分の回転走行
線に対し斜め状をなして研磨を施し、従来の研磨
ホイールの放射状研磨布紙の場合の直交研磨に比
較し、研磨効果は数段に優れている。かかる強力
な研磨作用に対し、研磨布紙の渦巻きの外側終端
部は斜め裁断した鋭角尖端部であつて、ホール基
板への固定側が長い側縁であるから研磨作用力に
対する端部の固定力は強く対応し、研磨布紙の端
部の剥離は全く起らない また、研磨布紙の渦巻きは、研磨ホイール１６
の回転方向Ｘと逆の方向に外に拡がる形状のため
研磨ホイール１６の回転によつて研磨布紙１３の
渦巻き状空間の空気が研磨布紙１３でガイドされ
て外に流出していく。そのため、この空気の流出
で研磨布紙１３と被研磨面１９が容易に空冷され
て、艶消しや焼付けの心配がなくなり、研磨布紙
１３の長期使用が可能となる。

また、この空気の流出で研磨ホイール１６の中
央部が負圧となつて研磨ホイール１６が被研磨面
１９に真空吸着されると共に研磨布紙の被研磨面
に接する側が外方に拡がるのを防止する効果もあ
り、研磨操作が便利となり、また空気の流出で研
磨屑も容易に運び出され、研磨布紙の目詰は全く
心配ない。

また、研磨布紙の渦巻き間隔は外側、内側とも
均一にすると内側の曲率が外側より小となつて、
外側の腰が弱くなり、被研磨面への押圧に対しホ
イール基板が外側に傾き易い。それで研磨布紙の
渦巻き間隔は、内側程大きく、外側程小さくする
ことが好ましい。これにより研磨布紙の渦巻きの
内外の腰の強さが均一となり、ホイール基板の傾
きが簡単に防止され研磨ホイールは常に研磨布紙
の研磨作用面を被研磨面に全面均等に作用させ易
く、またその寿命は大きく延長される。

なお、この研磨ホイールは被研磨面に段部があ
る場合でも研磨布紙の渦巻き外側面を段部に押し
当てることにより研磨布紙の一側端の平坦面の研
磨とによつて被研磨面全面の研磨も容易になされ
る。

以上説明したように本発明によれば渦巻き状研
磨布紙により被研磨面が斜め研磨され、研磨能力
を大きく増大する。而も特に本発明における研磨
布紙は渦巻き状の外側大径終端部を斜め裁断した
鋭角尖端部に形成し、その斜め裁断の側縁を上側
に、その一側端をこれがつづいている研磨布紙本
体の一側端とともにホール基板に接着固定してあ
るから、研磨布紙と被研磨面に押圧回転させ、更
に全方位に移動させての強力な研磨を施しても斜
め形状の固定により固定部分が長尺となつて端部
での研磨作用力を緩和受止めするので研磨布紙で
最も剥離し易い上記渦巻き終端部の剥離は全く発
生せず研磨布紙の耐久性を大きく向上させること
ができる大きな特徴を有する。

なお、本発明によれば上記の如き外側終端部を
鋭角尖端部とした渦巻き状取付けにより強度が大
きくなり、破壊、剥離の恐れがなく安全に強力な
均一研磨を施すことができるばかりでなく、この
研磨布紙の渦巻き状により被研磨面の艶消し等の
トラブルはなく、またこれをつくるテープ状の原
布紙は１〜２枚程度でよいため製造工数、材料費
が低減され、製造も容易で大幅なコストダウンが
可能で研磨ホイールの目方も軽く取扱いも便利な
研磨ホイールとすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第４図は従来の研磨ホイールの一例
を示し、第１図はその底面図、第２図は第１図Ａ
−Ａ線の断面図、第３図はその一部拡大断面図、
第４図はその使用状態の断面図、第５図乃至第８
図は本発明の実施例であつて第５図はその底面
図、第６図は一部縦断の正面図、第７図はその使
用状態の一部の断面図、第８図は本発明に使用す
る研磨布紙を示し、そのＡ図は平面図、Ｂ図は断
片の長手方向の断面図である。 １１……ホイール基板、１３……研磨布紙、１
７ｂ……鋭角尖端部、１７b′……斜め側縁。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 長尺矩形のテープの一端を斜めに裁断して鋭
   角尖端部に形成した研磨布紙を、上記鋭角尖端部
   の斜め側縁を上側とし、且つ、鋭角尖端部を外側
   にして渦巻き状にして円形のホイール基板上に植
   立固定したことを特徴とする研磨ホイール。