JPS6228750B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は絵付け積層成形品の製造方法に関す
る。

ガラス繊維強化プラスチツク等からなる積層成
形品の絵付けは、従来、ガラスクロスや不織布に
印刷絵付けしてこれを積層したり、或いは樹脂面
に転写印刷したりしているが、このような方法に
よれば、絵付けされた図柄模様が平面的であつ
て、立体感や深みに欠けるほか、一般に生地の粗
さから美麗な絵付けが困難である。一方、砕石を
樹脂中に混入して、立体性を備えた絵付けを行な
う方法も知られているが、絵柄が限定される欠点
がある。

本発明は上記に鑑みてなされたものであつて、
所望の絵柄模様を立体的に形成することができる
絵付け積層成形品の製造方法を提供することを目
的とする。

本発明の絵付け積層成形品の製造方法は、型の
表面に透明又は半透明の硬化性樹脂層を形成し、
その表面に凹凸模様を付する工程、片面に絵柄模
様が印刷され、水に接触して膨潤伸長する水溶性
転写フイルムを上記樹脂層が未硬化又は半硬化で
ある間にその絵柄模様の印刷面を上記樹脂層の凹
凸面上に被せ、水との接触により膨潤させた上記
水溶性転写フイルムを前記樹脂層の凹凸面に密着
させる工程、上記樹脂層を硬化させた後、上記水
溶性フイルムを除去して樹脂層の凹凸面に印刷模
様を転写する工程、及び絵付けされた樹脂に保護
層を形成する工程をこの順序で行なうことを特徴
とするものである。

以下に実施例を示す図面に基づいて本発明を説
明する。

本発明においては、先ず、離型剤を塗布した所
望形状の型１上に透明又は半透明の硬化性樹脂層
２を凹凸模様をその表面に形成し得るように、通
常、１〜５mmの厚みに設ける。この樹脂層を形成
する樹脂は特に制限されないが、普通、液状で透
明な不飽和ポリエステル樹脂、硬化性アクリル樹
脂等であり、充填剤、顔料、繊維等を含有して半
透明であつてもよい。この樹脂は上記凹凸模様を
形成できるように高粘度であることが望ましい。
樹脂を透明又は半透明に保つたままで高粘度にす
る方法としては、例えば、超微粉末シリカを樹脂
100重量部について１〜５重量部程度添加してチ
キソトロピー性を付与する方法、ガラス粒子、ガ
ラスフレーク、ガラスビーズ、ガラス短繊維等の
ガラス質材料を樹脂に添加する方法、水酸性アル
ミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、
アスベスト繊維等の無機質充填剤を添加する方法
が既に知られている。これらの方法において、ガ
ラス質材料は透明性にすぐれているので、樹脂
100重量部について50〜300重量部の範囲で用いる
ことができる。無機充填剤の場合には、多量に用
いると樹脂を不透明にするので、通常、20〜100
重量部程度用いる。本発明においては超微粉末シ
リカにガラス質材料及び／又は無機質充填剤を併
用するのが好適である。

次いで、上記樹脂層が未硬化乃至半硬化であつ
て、液状又は粘着性を有する間に、この樹脂層上
に例えばエンボスローラや凹凸を有するシリコン
シートにより所望の凹凸模様を付する。この方法
によれば、通常、0.5〜４mm程度の深さの凹凸模
様を形成することができる。この樹脂層の凹凸面
上に、片面に所望の絵柄模様が印刷され、水に接
触するとき膨潤伸長する水溶性転写フイルム（図
示せず）が被せられる。上記水溶性転写フイルム
は、樹脂の凹凸面への密着性や作業性等から厚み
は20〜100μ程度が適当であり、材料は水溶性ポ
リビニルアルコールのように水に接触して容易に
溶解するものが好ましく、また、大理石模様等の
絵柄模様は樹脂と親和性を有する油性の印刷イン
キにより例えば多色グラビア印刷されているのが
好ましい。このようなフイルムの非印刷面を水に
接触させることにより、フイルムを膨潤させると
共に上記樹脂の凹凸面に密着させることができ
る。具体的には例えば、転写フイルムを水槽に浮
べ、このフイルム上に樹脂層の凹凸面を押し付け
れば、フイルムは膨潤伸長すると共に、凹凸面に
密着する。

この後、樹脂を硬化させると、印刷インキによ
る絵柄模様３が樹脂面に残り、フイルムを水洗若
しくは温水洗して剥離若しくは溶解すると、絵柄
模様が樹脂層の凹凸面上に転写される。

この絵柄模様の上には保護層４が設けられる。
この保護層は、上記絵柄模様を保護すると共に、
絵柄模様が無色若しくは淡色部分を含む場合に積
層品の基材層５を隠蔽するために、着色した樹脂
層からなる。保護層は例えば樹脂層からなり、第
１の工程において型上に塗布した樹脂と同じ樹脂
に着色顔料と隠蔽性にすぐれた酸化チタン等の充
填剤を配合して調製することができる。このよう
にして保護層が硬化して後、脱型すれば絵付け積
層成形品を得る。

基材層５は必要に応じて主として積層成形品に
強度を付与するために設けられ、材料は特に制限
されないが、繊維強化した熱可塑性樹脂や熱硬化
性樹脂、繊維強化セメント、セメント、石膏、木
材、レジンコンクリート等が成形品の用途に応じ
て適宜に用いられる。

以上のように、本発明によれば、型に塗布した
硬化性樹脂層に所望の凹凸模様を付した後、水に
接触すると膨潤する水溶性転写フイルムを被せ、
このフイルムを水に接触させてフイルムを膨潤伸
長させると共に、上記樹脂の凹凸面に密着させ、
次いで樹脂を硬化させて印刷模様を凹凸面に転写
し、フイルムを剥離するので、樹脂層の凹凸面に
所望の絵付けを行なうことができる。

以下に本発明の実施例を挙げるが、本発明はこ
れら実施例に限定されるものではない。なお、以
下において部は重量部を意味する。

実施例 所定の型に離型剤を塗布した後、不飽和ポリエ
ステル樹脂100部、超微粉末シリカ（アエロジ
ル）１部、透明充填剤（微粉シリカ、日本フエロ
ー(株)製）150部、硬化剤メチルエチルケトンパー
オキサイド１部及び促進剤ナフテン酸コバルト６
％溶液0.5部からなる樹脂液組成物を厚み３mmに
塗布した。

次に、この樹脂層が未硬化の間にエンボスロー
ルにより樹脂層上に深さ0.5〜1.5mmの凹凸模様を
付した。別に、厚み50μの水溶性ポリビニルアル
コールフイルムに大理石模様を油製の印刷インキ
で印刷した転写フイルムをその印刷面を上にして
水槽に浮べ、このフイルム上に上記型上の樹脂層
を押し付けるようにして接触させ、フイルムを膨
潤伸長させると共に、樹脂の凹凸面に密着させ
た。

型を水槽から引き上げ、反転させて10分間放置
し、樹脂が硬化したことを確認した後、40℃の温
水でフイルムを水洗除去し、印刷インキによる模
様を樹脂層の凹凸面に転写した。60℃の温度で30
粉間乾燥して水分を除いた後、模様上に着色した
硬化性樹脂を塗布硬化させ、凹凸面を埋めると共
に、模様を保護した。

次に、保護層の上にガラスマツトを載せ、この
上にマグネシアセメント組成物を刷毛塗りし、脱
泡しつつ、含浸させた。この積層を10回行なつた
後、40℃で10時間加熱して硬化させた。

以上のようにして、透明で平滑な表面を有する
と共に、この下に大理石模様の絵柄が樹脂層の凹
凸面に沿つて立体的に付与されている積層成形品
を得ることができた。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の方法により得られる絵付け積層
成形品の実施例を示す断面図である。 １……型、２……樹脂層、３……絵柄模様、４
……保護層。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 型の表面に透明又は半透明の硬化性樹脂層を
   形成し、その表面に凹凸模様を付する工程、片面
   に絵柄模様が印刷され、水に接触して膨潤伸長す
   る水溶性転写フイルムを上記樹脂層が未硬化又は
   半硬化である間にその絵柄模様の印刷面を上記樹
   脂層の凹凸面上に被せ、水との接触により膨潤さ
   せた上記水溶性転写フイルムを前記樹脂層の凹凸
   面に密着させる工程、上記樹脂層を硬化させた
   後、上記水溶性フイルムを除去して樹脂層の凹凸
   面に印刷模様を転写する工程、及び絵付けされた
   樹脂に保護層を形成する工程をこの順序で行なう
   ことを特徴とする絵付け積層成形品の製造方法。