JPS6228685Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、吸気道を有する気化器本体の一側
に、フロート室を画成するフロート室体を着脱自
在に取付け、前記吸気道に開口する燃料ノズルを
燃料通路及び燃料ジエツトを介して前記フロート
室の燃料油面下に連通させた気化器に関する。

従来、この種気化器においては、気化器本体及
びフロート室体を軽合金より成形しているので、
近年の石油資源の著しい減少に伴い、従来のガソ
リン燃料に代えてアルコール燃料またはガソリン
とアルコールの混合燃料を使用する場合には、ア
ルコールの吸湿性が起因して、特にフロート室の
燃料油面下に常時浸漬されるフロート室や燃料通
路の内壁に発錆し、燃料通路や燃料ジエツトに目
詰りを起こし易い問題がある。

本考案は上記に鑑み提案されたもので、フロー
ト室体と、それに一体的に取付けられて燃料油面
下に浸漬する部分すべてを合成樹脂より構成し
て、前記問題を解決できるようにし、しかもそれ
らの樹脂成形を容易に行うことができるようにし
た気化器を提供することを目的とする。

そして上記目的を達成するために本考案は、主
燃料ノズルを開口した吸気道を有する気化器本体
の一側に、フロート室を画成する合成樹脂製フロ
ート室体を着脱可能に取付けてなる気化器におい
て、前記フロート室体の底部下面に凹部を形成す
ると共に、その凹部の内周に合成樹脂製底板を油
密に嵌着して、該凹部の底壁下面と底板との間に
下部燃料通路を画成し、前記凹部の底壁上面には
フロート室の燃料油面よりも上方にのびるボスを
一体成形し、このボスには、前記主燃料ノズルに
連通する合成樹脂製エマルジヨン管を収容支持し
てその管の外周面との間にブリード空気室を画成
するエマルジヨン管収容孔と、該エマルジヨン管
内を前記下部燃料通路に連通させる主燃料通路
と、前記フロート室の燃料油面下に前記下部燃料
通路を連通させる合成樹脂製主燃料ジエツトを嵌
着したジエツト装着孔とを、それら孔及び通路の
軸線が互いに平行となるように穿設したことを特
徴とする。

以下、図面により本考案の一実施例について説
明すると、気化器ＣはAl合金製の気化器本体１
と、その下面に一対の連結環３，３を介して着脱
自在に取付けられる合成樹脂製のフロート室体２
とよりなる。気化器本体１は、従来普通のよう
に、中間部にベンチユリ４ａを形成した水平方向
の吸気道４を有し、この吸気道４には、ベンチユ
リ４ａを境として上流側にチヨーク弁５、下流側
に絞弁６が設けられる。

気化器本体１にはその下面より合成樹脂製の主
燃料ノズル７が嵌入され、このノズル７の噴口を
ベンチユリ４ａに開口させる。主燃料ノズル７の
下部には、気化器本体１の下面より突出し周壁に
多数のエアブリード孔８，８…を有するエマルジ
ヨン管９が連続して一体に形成されている。ま
た、気化器本体１には図示しない低速燃料ノズル
に連なる低速燃料通路１０ａが穿設され、この通
路１０ａは気化器本体１下面に開口する。

また、気化器本体１の下面には、エマルジヨン
管９及び低速燃料通路１０ａの開口部を取囲むよ
うに連結筒１１が一体に突設されており、この連
結筒１１にフロート室体２の上端部がシールリン
グ１２を介して密合される。

フロート室体２はカツプ状をなしていて、気化
器本体１の下側にフロート室２ａを画成するもの
で、このフロート室２ａには常に燃料が規定ノズ
ルに貯留される。Ｆはその燃料油面を示す。

また、フロート室体２の底部下面には凹部１５
が形成され、この凹部１５の内周には合成樹脂製
底板１７が嵌合して溶着され、該底板１７と凹部
１５の底壁下面との間に、水平方向にのびる下部
燃料通路１６が画成される。また上記凹部１５の
底壁上面には燃料油面Ｆの上方に高く突出するボ
ス１３が一体成形され、このボス１３の上端はパ
ツキン１４を介して気化器本体１下面に密接す
る。ボス１３には、前記エマルジヨン管９を収容
支持してその外周面との間に環状のブリード空気
室１８を画成するエマルジヨン管収容孔１９と、
エマルジヨン管９内を下部燃料通路１６に連通さ
せる主燃料通路２０と、気化器本体１の低速燃料
通路１０ａに下部燃料通路１６を連通させる低速
燃料通路１０ｂとがそれぞれボス１３の縦方向に
設けられる。更にボス１３には、下部燃料通路１
６をフロート室２ａの燃料油面Ｆ下に連通させる
ジエツト装着孔２４が穿設され、この孔２４には
合成樹脂製の主燃料ジエツト２１が、また前記低
速燃料通路１０ｂには低速燃料ジエツト２２がそ
れぞれ嵌合して溶着される。かくして、フロート
室２ａの燃料油面Ｆ下に常時浸漬される部分は、
すべて合成樹脂製部分となる。

上記ボス１３、凹部１５、孔１９及び通路１０
ｂ，２０は、フロート室体２の成形と同時に形成
し得るように、フロート室体成形用金型の分割方
向にそれぞれの軸線が揃えられている。

尚、図中２３は図示しないフロート弁を制御す
るフロートである。

而して、エンジンの低速運転時には、フロート
室２ａの燃料は、主燃料ジエツト２１及び低速燃
料ジエツト２２により計量された後、低速燃料通
路１０ｂ，１０ａを経て図示しない低速燃料ノズ
ルより吸気道４に吸出され、吸気道４を通過する
空気と共にエンジンに吸入される。また、高速運
転時には、フロート室２ａの燃料は、主燃料ジエ
ツト２１のみに計量されて主燃料通路２０を通
り、エマルジヨン管９内を上昇する間に周囲の多
数のエアブリード孔８，８…から噴入される空気
と混合してエマルジヨン化し、そして主燃料ノズ
ル７より吸気道４に吸出され、吸気道４の通過空
気と共にエンジンに吸入される。

以上のように本考案によれば、主燃料ノズル７
を開口した吸気道４を有する気化器本体１の一側
に、フロート室２ａを画成する合成樹脂製フロー
ト室体２を着脱可能に取付けてなる気化器におい
て、前記フロート室体２の底部下面に凹部１５を
形成すると共に、その凹部１５の内周に合成樹脂
製底板１７を油密に嵌着して、該凹部１５の底壁
下面と底板１７との間に下部燃料通路１６を画成
し、前記凹部１５の底壁上面にはフロート室２ａ
の燃料油面Ｆよりも上方にのびるボス１３を一体
成形し、このボス１３には、前記主燃料ノズル７
に連通する合成樹脂製エマルジヨン管９を収容支
持してその管９の外周面との間にブリード空気室
１８を画成するエマルジヨン管収容孔１９と、該
エマルジヨン管９内を前記下部燃料通路１６に連
通させる主燃料通路２０と、前記フロート室２ａ
の燃料油面Ｆ下に前記下部燃料通路１６を連通さ
せる合成樹脂製主燃料ジエツト２１を嵌着したジ
エツト装着孔２４とを、それら孔１９，２４及び
通路２０の軸線が互いに平行となるように穿設し
たので、フロート室体２のみならず、それに一体
的に取付けられて燃料油面Ｆ下に浸漬される部分
９，１３，１７，２１はすべて合成樹脂製とな
り、従つて吸湿性のあるアルコール燃料またはア
ルコールを含む混合燃料を使用してもフロート室
２ａや燃料流路内壁の各部に発錆することがな
く、その錆による燃料流路の目詰りを未然に防止
し得る。

しかも前記エマルジヨン管収容孔１９、主燃料
通路２０及びジエツト装着孔２４の軸線が互いに
平行することから、それら軸線をフロート室体２
成形用金型の分割方向に揃えることができて、フ
ロート室体２の成形と同時にそれら孔１９，２４
及び通路２０が一挙に得られると共に成形後の型
抜きが容易となり、またその型抜き後において
は、フロート室体２底面の凹部１５に底板１７を
単に嵌着するだけで、その底板１７上側の下部燃
料通路１６により主燃料通路２０とジエツト装着
孔２４との間の横方向の連絡を簡単に行うことが
でき、以上の結果、フロート室体２における縦横
にのびる複雑な燃料流路を容易に形成でき、気化
器の生産性向上及びコストダウンに寄与し得る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案気化器の一実施例を示す縦断側面
図である。 Ｃ……気化器、Ｆ……燃料油面、１……気化器
本体、２……フロート室体、２ａ……フロート
室、４……吸気道、７……主燃料ノズル、９……
エマルジヨン管、１３……ボス、１５……凹部、
１６……下部燃料通路、１９……エマルジヨン管
収容孔、２０……主燃料通路、２１……主燃料ジ
エツト、２４……ジエツト装着孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 主燃料ノズル７を開口した吸気道４を有する気
   化器本体１の一側に、フロート室２ａを画成する
   合成樹脂製フロート室体２を着脱可能に取付けて
   なる気化器において、前記フロート室体２の底部
   下面に凹部１５を形成すると共に、その凹部１５
   の内周に合成樹脂製底板１７を油密に嵌着して、
   該凹部１５の底壁下面と底板１７との間に下部燃
   料通路１６を画成し、前記凹部１５の底壁上面に
   はフロート室２ａの燃料油面Ｆよりも上方にのび
   るボス１３を一体成形し、このボス１３には、前
   記主燃料ノズル７に連通する合成樹脂製エマルジ
   ヨン管９を収容支持してその管９の外周面との間
   にブリード空気室１８を画成するエマルジヨン管
   収容孔１９と、該エマルジヨン管９内を前記下部
   燃料通路１６に連通させる主燃料通路２０と、前
   記フロート室２ａの燃料油面Ｆ下に前記下部燃料
   通路１６を連通させる合成樹脂製主燃料ジエツト
   ２１を嵌着したジエツト装着孔２４とを、それら
   孔１９，２４及び通路２０の軸線が互いに平行と
   なるように穿設したことを特徴とする、気化器。