JPS622612B2 - - Google Patents
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Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C21—METALLURGY OF IRON
- C21D—MODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
- C21D8/00—Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment
- C21D8/02—Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment during manufacturing of plates or strips
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Description
本発明は、溶接性の優れた非調質高張力鋼の製
造方法に関するものであり、特に本発明は、非調
質による強度レベルが50〜80Kgf/mm2級高張力厚鋼
板の製造に関するものであり、たとえば(1)溶接構
造用鋼板、(2)造船用高張力鋼板、(3)タンク、圧力
容器用鋼板、(4)耐摩耗性用鋼板等に使用すること
ができる鋼板の製造方法に関するものである。 従来高張力溶接用厚鋼板はNorma処理、QT処
理によつて製造されてきているが、熱処理費等の
高騰により製造コストが高いので非調質で製造し
製造コストを下げることが急務となつている。非
調質で高張力化を図る製造方法としては、制御圧
延(以後CRと称す)があるが、CRによつて
Norma、QT処理材に代わる程の高張力化を図る
ためには、仕上げ圧延温度を下げる必要があるた
め、圧延能率が著しく低下するばかりか、得られ
た鋼板のシヤルピー衝撃破面には、セパレーシヨ
ンが発生し、ユーザーから嫌われ適用鋼種の拡大
がむずかしいという欠点がある。 CRによる上記欠点を改善し高張力化を図る方
法としては、低温域までのCRを施さずに圧延後
加速冷却をなす方法があるが、この加速冷却によ
る方法では、第1図に示す冷却速度と強度(以後
TSと称す)ならびに降伏強さ(以後YSと称す)
との関係から判るように、冷却速度を速くするこ
とによつてTSは容易に上昇させることはできる
が、一方YSは冷却速度が比較的遅いときは降下
し、冷却速度が速くなると上昇するが、その上昇
量は小さいという欠点があり、加速冷却によつて
製造された鋼は、YS不足のためNorma材、QT材
の代替鋼となり得る鋼種は限られ、いまだ満足さ
れていない。 本発明は、上記従来の製造方法においてみられ
る欠点を除いた溶接性の優れた非調質高張力鋼の
製造方法を提供することを目的とし特許請求の範
囲記載の方法を提供することによつて前記目的を
達成することができる。 次に本発明を詳細に説明する。 本発明者等は、熱処理を施さずYSを上昇させ
る方法について日夜研鑚の結果、圧延後ただちに
加速冷却をなし圧延鋼板が500℃未満の温度にお
いて加速冷却を停止し500℃未満から200℃以上の
温度域で圧下率0.5〜10%の軽圧下を施すことに
よりYSが著しく上昇することを新規に知見し
た。第2図は圧下温度400℃における圧下率の変
化とYSの変化を示す図であり、同図によれば圧
下率が高くなるにしたがいYSが急上昇している
ことがわかる。一方、圧下率が10%を越えると
YSの上昇率が非常に低いことがわかる。すなわ
ちYSの急上昇は加熱冷却後再び軽圧下を施すこ
とによつて得ることができる。また同図から判る
ようにこの軽圧下を施すことにより、TSはYSの
上昇率には及ばないながら、相当上昇するという
利点がある。またシヤルピー衝撃破面にはセパレ
ーシヨンが生じない利点もある。さらに加熱冷却
を施すことによりどうしても避けることのできな
い冷却むらによる板の歪を、冷却停止後に軽圧下
を施すことにより上記歪を解消することができ
る。 上記のごとく圧延を施した鋼は加速冷却と軽圧
下を適切に組み合わせること(すなわち圧延後の
加速冷却によるTSの上昇、冷却停止後の軽圧下
によるYSの上昇)により熱処理を施すことなく
高YS、高TSを得ることができ、TS50〜60Kgf/mm2
級Norma材、QT材より低い炭素当量(以後Ceq
と称す)で、更にTS70〜80Kgf/mm2級のQT材とほ
ぼ同じCeqで高張力化を達成することができる。 次に本発明の製造条件を限定する理由を説明す
る。 鋼片を加熱後、Ar3+70℃からAr3までの未再
結晶γ域で30〜90%の圧下を施す。圧延仕上げ温
度をAr3+70℃からAr3まで限定する理由は、Ar3
+70℃を越える温度域のみの圧延では、フエライ
ト粒を十分に微細化できない。この圧延による細
粒化機構はオーステナイト粒内にフエライト核と
なる変形帯を多く生成させることにあるが、Ar3
+70℃はオーステナイト粒内に変形帯が生成され
る上限の温度であり、この温度以下で圧延を施す
ことにより微細化し靭性を確保することができ、
一方Ar3未満で圧延を施すとシヤルピー衝撃破面
にセパレーシヨンが生じるので、圧延温度域は
Ar3+70℃〜Ar3の範囲内にする必要がある。更
に上記温度域における圧下率を30〜90%にする理
由は、圧下率が30%未満ではオーステナイト粒内
に変形帯の生成が不十分なため、後述する圧延後
の加速冷却を施すことによりフエライト粒は細粒
化せずに塊状のベイナイトが生成するため、靭性
が著しく劣化する。一方、90%を越える圧下率で
圧延を施すと導入される変形帯が飽和するため、
その後の加速冷却を施しても靭性の向上効果が小
さくなるので、未再結晶γ域での圧下率は30〜90
%の範囲内にする必要がある。 圧延後直ちに2〜40℃/secの冷却速度で500℃
未満の温度域まで加工速冷却をなす理由は、(1)γ
―α変態後のフエライト粒の成長を抑え靭性を向
上させること、(2)パーライト組織となる変態域を
加速冷却によつてベイナイト組織あるいは島状マ
ルテンサイト組織に変態させることにより、主と
してTSを上昇させることにあるが、冷却速度が
2℃/sec未満ではベイナイト組織等の生成効果が
なく、一方40℃/secを越えると塊状のマルテンサ
イト組織が生成し著しく靭性を劣化させるので、
冷却速度は2〜40℃/secの範囲内にする必要があ
る。また冷却停止温度を500℃以上とするとベイ
ナイトやマルテンサイト組織の生成量が不足し、
TSの上昇が空冷材に比べ5Kgf/mm2以下となり、
本発明の目的とする70〜80Kgf/mm2級のQT鋼の代
替とならないので、加速冷却の停止温度は500℃
未満にする必要がある。 冷却停止後500℃未満から200℃以上の温度域に
おいて0.5〜10%の範囲内の軽圧下を施す理由
は、500℃以上の温度による軽圧下ではYSの上昇
量が少なく、一方200℃より低い温度で圧下する
と鋼に含有している水素の除去が十分出来ないた
め水素欠陥が生じるので、軽圧下を施す温度域は
500℃未満から200℃以上の範囲内にする必要があ
る。軽圧下の圧下率は、0.5%未満ではYSの上昇
に顕著な効果がなく、一方10%以上では遷移温度
(以後vTrsと称す)が0℃以上になるので、軽圧
下の圧下率は0.5〜10%の範囲内にする必要があ
る。 次に本発明の成分組成を限定する理由を説明す
る。 Cは0.05%未満では鋼板の強度が低下し、また
溶接熱影響部(以後HAZと称す)の軟化が大き
くなり、一方0.15%を越えると母材の靭性が劣化
するとともに溶接部の硬化、耐割れ性の劣化が著
しくなるので、Cは0.05〜0.15%の範囲内にする
必要がある。 Siは鋼精錬時に脱酸上必然的に含有される元素
であるが、0.1%未満になると母材靭性が劣化
し、一方0.5%を越えると鋼の清浄度が劣化し靭
性が低下するので、Siは0.10〜0.50%の範囲内に
する必要がある。 Mnは0.8%未満では鋼板の強度および靭性が低
下し、さらにHAZの軟化が大きくなり、一方2.0
%を越えるとHAZの靭性が劣化するので、Mnは
0.8〜2.0%の範囲内にする必要がある。 Alは鋼の脱酸上最低0.005%のAlが固溶するよ
うに添加することが必要であり、一方0.080%を
越えるとHAZの靭性のみならず溶接金属の靭性
も著しく劣化するので、Alは0.005〜0.080%の範
囲内にする必要がある。 Sは0.008%を越えるとC方向の吸収エネルギ
ーが著しく低下するので、Sは0.008%以下にす
る必要がある。 以上が本発明において使用される鋼スラブの基
本成分であり、さらに必要によりNi、Mo、Cu、
V、Cr、Ca、REMのうちから選ばれる何れか少
なくとも1種を添加含有させることができ、それ
ぞれの元素の適正な含有によつて後述するように
特有な効果が付加される。 NiはHAZの硬化性および靭性に悪い影響を与
えることなく母材の強度、靭性を向上させるが、
0.5%を越えて添加含有させると製造コストの上
昇を招き、また本発明の目的ならびに効果を達成
するために必要ではないので、Niは0.50%以下に
する。 CuはNiとほぼ同様の効果があるだけでなく、
耐食性も向上させるが、0.50%を越えると熱間圧
延中にクラツクが発生しやすくなり、鋼板の表面
性状が劣化するのでCuは0.50%以下にする。 Moは圧延時のγ粒を整粒にし、なおかつ微細
なベイナイトを生成するので強度、靭性を向上さ
せるが、本仕上の目的を達成するには0.5%を越
えて添加する必要はなく、それ以上は製造コスト
の上昇を招くので、Moは0.5%以下とする。 Crは鋼板の母材強度と継手部強度確保のため
に添加されるもので、0.50%を越えると母材の靭
性ばかりか溶接部靭性も害するので、Crは0.50%
以下にする。 Vはこの発明による鋼板の母材強度と靭性の向
上、継手部強度の確保のために添加するものであ
るが、0.01%未満ではその効果がなく、一方0.10
%を越えると母材及びHAZの靭性を著しく劣化
させるので、Vは0.01〜0.10%の範囲内にする必
要がある。 Caは0.002%未満ではMnSの形態制御に不十分
でC方向の靭性向上に効果がなく、一方0.010%
を越えると鋼の清浄度が悪くなり内部欠陥の原因
となるので、Caは0.002〜0.010%の範囲内にする
必要がある。 REMは0.005%未満ではMnSの形態制御に不十
分で鋼板のC方向の靭性向上に有効でなく、一方
0.010%を越えると鋼の清浄度が悪くなり、また
アーク溶接面でも不利であるので、REMは0.005
〜0.010%の範囲内にする必要がある。 次に本発明を実施例について霜明する。 実施例 A 第1表に成分組成を示す供試鋼種を第2表に示
す圧延―冷却条件により処理した鋼板の機械的性
質を同表に示す。
造方法に関するものであり、特に本発明は、非調
質による強度レベルが50〜80Kgf/mm2級高張力厚鋼
板の製造に関するものであり、たとえば(1)溶接構
造用鋼板、(2)造船用高張力鋼板、(3)タンク、圧力
容器用鋼板、(4)耐摩耗性用鋼板等に使用すること
ができる鋼板の製造方法に関するものである。 従来高張力溶接用厚鋼板はNorma処理、QT処
理によつて製造されてきているが、熱処理費等の
高騰により製造コストが高いので非調質で製造し
製造コストを下げることが急務となつている。非
調質で高張力化を図る製造方法としては、制御圧
延(以後CRと称す)があるが、CRによつて
Norma、QT処理材に代わる程の高張力化を図る
ためには、仕上げ圧延温度を下げる必要があるた
め、圧延能率が著しく低下するばかりか、得られ
た鋼板のシヤルピー衝撃破面には、セパレーシヨ
ンが発生し、ユーザーから嫌われ適用鋼種の拡大
がむずかしいという欠点がある。 CRによる上記欠点を改善し高張力化を図る方
法としては、低温域までのCRを施さずに圧延後
加速冷却をなす方法があるが、この加速冷却によ
る方法では、第1図に示す冷却速度と強度(以後
TSと称す)ならびに降伏強さ(以後YSと称す)
との関係から判るように、冷却速度を速くするこ
とによつてTSは容易に上昇させることはできる
が、一方YSは冷却速度が比較的遅いときは降下
し、冷却速度が速くなると上昇するが、その上昇
量は小さいという欠点があり、加速冷却によつて
製造された鋼は、YS不足のためNorma材、QT材
の代替鋼となり得る鋼種は限られ、いまだ満足さ
れていない。 本発明は、上記従来の製造方法においてみられ
る欠点を除いた溶接性の優れた非調質高張力鋼の
製造方法を提供することを目的とし特許請求の範
囲記載の方法を提供することによつて前記目的を
達成することができる。 次に本発明を詳細に説明する。 本発明者等は、熱処理を施さずYSを上昇させ
る方法について日夜研鑚の結果、圧延後ただちに
加速冷却をなし圧延鋼板が500℃未満の温度にお
いて加速冷却を停止し500℃未満から200℃以上の
温度域で圧下率0.5〜10%の軽圧下を施すことに
よりYSが著しく上昇することを新規に知見し
た。第2図は圧下温度400℃における圧下率の変
化とYSの変化を示す図であり、同図によれば圧
下率が高くなるにしたがいYSが急上昇している
ことがわかる。一方、圧下率が10%を越えると
YSの上昇率が非常に低いことがわかる。すなわ
ちYSの急上昇は加熱冷却後再び軽圧下を施すこ
とによつて得ることができる。また同図から判る
ようにこの軽圧下を施すことにより、TSはYSの
上昇率には及ばないながら、相当上昇するという
利点がある。またシヤルピー衝撃破面にはセパレ
ーシヨンが生じない利点もある。さらに加熱冷却
を施すことによりどうしても避けることのできな
い冷却むらによる板の歪を、冷却停止後に軽圧下
を施すことにより上記歪を解消することができ
る。 上記のごとく圧延を施した鋼は加速冷却と軽圧
下を適切に組み合わせること(すなわち圧延後の
加速冷却によるTSの上昇、冷却停止後の軽圧下
によるYSの上昇)により熱処理を施すことなく
高YS、高TSを得ることができ、TS50〜60Kgf/mm2
級Norma材、QT材より低い炭素当量(以後Ceq
と称す)で、更にTS70〜80Kgf/mm2級のQT材とほ
ぼ同じCeqで高張力化を達成することができる。 次に本発明の製造条件を限定する理由を説明す
る。 鋼片を加熱後、Ar3+70℃からAr3までの未再
結晶γ域で30〜90%の圧下を施す。圧延仕上げ温
度をAr3+70℃からAr3まで限定する理由は、Ar3
+70℃を越える温度域のみの圧延では、フエライ
ト粒を十分に微細化できない。この圧延による細
粒化機構はオーステナイト粒内にフエライト核と
なる変形帯を多く生成させることにあるが、Ar3
+70℃はオーステナイト粒内に変形帯が生成され
る上限の温度であり、この温度以下で圧延を施す
ことにより微細化し靭性を確保することができ、
一方Ar3未満で圧延を施すとシヤルピー衝撃破面
にセパレーシヨンが生じるので、圧延温度域は
Ar3+70℃〜Ar3の範囲内にする必要がある。更
に上記温度域における圧下率を30〜90%にする理
由は、圧下率が30%未満ではオーステナイト粒内
に変形帯の生成が不十分なため、後述する圧延後
の加速冷却を施すことによりフエライト粒は細粒
化せずに塊状のベイナイトが生成するため、靭性
が著しく劣化する。一方、90%を越える圧下率で
圧延を施すと導入される変形帯が飽和するため、
その後の加速冷却を施しても靭性の向上効果が小
さくなるので、未再結晶γ域での圧下率は30〜90
%の範囲内にする必要がある。 圧延後直ちに2〜40℃/secの冷却速度で500℃
未満の温度域まで加工速冷却をなす理由は、(1)γ
―α変態後のフエライト粒の成長を抑え靭性を向
上させること、(2)パーライト組織となる変態域を
加速冷却によつてベイナイト組織あるいは島状マ
ルテンサイト組織に変態させることにより、主と
してTSを上昇させることにあるが、冷却速度が
2℃/sec未満ではベイナイト組織等の生成効果が
なく、一方40℃/secを越えると塊状のマルテンサ
イト組織が生成し著しく靭性を劣化させるので、
冷却速度は2〜40℃/secの範囲内にする必要があ
る。また冷却停止温度を500℃以上とするとベイ
ナイトやマルテンサイト組織の生成量が不足し、
TSの上昇が空冷材に比べ5Kgf/mm2以下となり、
本発明の目的とする70〜80Kgf/mm2級のQT鋼の代
替とならないので、加速冷却の停止温度は500℃
未満にする必要がある。 冷却停止後500℃未満から200℃以上の温度域に
おいて0.5〜10%の範囲内の軽圧下を施す理由
は、500℃以上の温度による軽圧下ではYSの上昇
量が少なく、一方200℃より低い温度で圧下する
と鋼に含有している水素の除去が十分出来ないた
め水素欠陥が生じるので、軽圧下を施す温度域は
500℃未満から200℃以上の範囲内にする必要があ
る。軽圧下の圧下率は、0.5%未満ではYSの上昇
に顕著な効果がなく、一方10%以上では遷移温度
(以後vTrsと称す)が0℃以上になるので、軽圧
下の圧下率は0.5〜10%の範囲内にする必要があ
る。 次に本発明の成分組成を限定する理由を説明す
る。 Cは0.05%未満では鋼板の強度が低下し、また
溶接熱影響部(以後HAZと称す)の軟化が大き
くなり、一方0.15%を越えると母材の靭性が劣化
するとともに溶接部の硬化、耐割れ性の劣化が著
しくなるので、Cは0.05〜0.15%の範囲内にする
必要がある。 Siは鋼精錬時に脱酸上必然的に含有される元素
であるが、0.1%未満になると母材靭性が劣化
し、一方0.5%を越えると鋼の清浄度が劣化し靭
性が低下するので、Siは0.10〜0.50%の範囲内に
する必要がある。 Mnは0.8%未満では鋼板の強度および靭性が低
下し、さらにHAZの軟化が大きくなり、一方2.0
%を越えるとHAZの靭性が劣化するので、Mnは
0.8〜2.0%の範囲内にする必要がある。 Alは鋼の脱酸上最低0.005%のAlが固溶するよ
うに添加することが必要であり、一方0.080%を
越えるとHAZの靭性のみならず溶接金属の靭性
も著しく劣化するので、Alは0.005〜0.080%の範
囲内にする必要がある。 Sは0.008%を越えるとC方向の吸収エネルギ
ーが著しく低下するので、Sは0.008%以下にす
る必要がある。 以上が本発明において使用される鋼スラブの基
本成分であり、さらに必要によりNi、Mo、Cu、
V、Cr、Ca、REMのうちから選ばれる何れか少
なくとも1種を添加含有させることができ、それ
ぞれの元素の適正な含有によつて後述するように
特有な効果が付加される。 NiはHAZの硬化性および靭性に悪い影響を与
えることなく母材の強度、靭性を向上させるが、
0.5%を越えて添加含有させると製造コストの上
昇を招き、また本発明の目的ならびに効果を達成
するために必要ではないので、Niは0.50%以下に
する。 CuはNiとほぼ同様の効果があるだけでなく、
耐食性も向上させるが、0.50%を越えると熱間圧
延中にクラツクが発生しやすくなり、鋼板の表面
性状が劣化するのでCuは0.50%以下にする。 Moは圧延時のγ粒を整粒にし、なおかつ微細
なベイナイトを生成するので強度、靭性を向上さ
せるが、本仕上の目的を達成するには0.5%を越
えて添加する必要はなく、それ以上は製造コスト
の上昇を招くので、Moは0.5%以下とする。 Crは鋼板の母材強度と継手部強度確保のため
に添加されるもので、0.50%を越えると母材の靭
性ばかりか溶接部靭性も害するので、Crは0.50%
以下にする。 Vはこの発明による鋼板の母材強度と靭性の向
上、継手部強度の確保のために添加するものであ
るが、0.01%未満ではその効果がなく、一方0.10
%を越えると母材及びHAZの靭性を著しく劣化
させるので、Vは0.01〜0.10%の範囲内にする必
要がある。 Caは0.002%未満ではMnSの形態制御に不十分
でC方向の靭性向上に効果がなく、一方0.010%
を越えると鋼の清浄度が悪くなり内部欠陥の原因
となるので、Caは0.002〜0.010%の範囲内にする
必要がある。 REMは0.005%未満ではMnSの形態制御に不十
分で鋼板のC方向の靭性向上に有効でなく、一方
0.010%を越えると鋼の清浄度が悪くなり、また
アーク溶接面でも不利であるので、REMは0.005
〜0.010%の範囲内にする必要がある。 次に本発明を実施例について霜明する。 実施例 A 第1表に成分組成を示す供試鋼種を第2表に示
す圧延―冷却条件により処理した鋼板の機械的性
質を同表に示す。
【表】
【表】
【表】
50Kgf/mm2級鋼はYSが36Kgf/mm2以上、降伏比
(以後YRと称す)が70%以上、vTrsが0℃以
下、Ceqが0.33%以下を目標としている。第2表
に示す実施例1〜9は本発明において用いること
のできる成分組成を有するA1、A2の鋼片につい
て種々の圧延―冷却条件を変えて製造したもので
あり、第2表によれば、実施例1は空冷であるた
め、実施例5は冷却停止温度が500℃以上である
ためにTSが50Kgf/mm2未満であることがわかり、
実施例2は冷却停止後の軽圧下を施していないた
めにYSが36Kgf/mm2未満であることがわかり、実
施例3は未再結晶γ域での圧下率が30%未満であ
るため、vTrsが0℃以上となり、実施例7は、
徐冷開始温度が150℃と低いために水素割れが発
生していることがわかり、実施例8はAr3以下で
の圧延を施しているため、セパレーシヨンが発生
していることがわかり、実施例4、6、9は本発
明において用いることのできる全ての構成要件の
範囲内において製造をなしたため50Kgf/mm2級鋼の
機械的性質の目標を全て満足していることがわか
る。実施例10、11はNorma、QTをなした比較鋼
の機械的性質を示しているが、それぞれCeqが
0.38%、0.33%と高いため溶接性が悪いことがわ
かる。 実施例 B 第3表に成分組成を示す供試鋼種を第4表に示
す圧延―冷却条件により処理した鋼板の機械的性
質を同表に示しており、本実施例BはTS60〜80
Kgf/mm2級、vTrs0℃以下の値を得ることを目標と
する実施例にかかわるものである。
(以後YRと称す)が70%以上、vTrsが0℃以
下、Ceqが0.33%以下を目標としている。第2表
に示す実施例1〜9は本発明において用いること
のできる成分組成を有するA1、A2の鋼片につい
て種々の圧延―冷却条件を変えて製造したもので
あり、第2表によれば、実施例1は空冷であるた
め、実施例5は冷却停止温度が500℃以上である
ためにTSが50Kgf/mm2未満であることがわかり、
実施例2は冷却停止後の軽圧下を施していないた
めにYSが36Kgf/mm2未満であることがわかり、実
施例3は未再結晶γ域での圧下率が30%未満であ
るため、vTrsが0℃以上となり、実施例7は、
徐冷開始温度が150℃と低いために水素割れが発
生していることがわかり、実施例8はAr3以下で
の圧延を施しているため、セパレーシヨンが発生
していることがわかり、実施例4、6、9は本発
明において用いることのできる全ての構成要件の
範囲内において製造をなしたため50Kgf/mm2級鋼の
機械的性質の目標を全て満足していることがわか
る。実施例10、11はNorma、QTをなした比較鋼
の機械的性質を示しているが、それぞれCeqが
0.38%、0.33%と高いため溶接性が悪いことがわ
かる。 実施例 B 第3表に成分組成を示す供試鋼種を第4表に示
す圧延―冷却条件により処理した鋼板の機械的性
質を同表に示しており、本実施例BはTS60〜80
Kgf/mm2級、vTrs0℃以下の値を得ることを目標と
する実施例にかかわるものである。
【表】
【表】
【表】
【表】
第4表によれば、実施例12〜15、実施例17〜20
および実施例22〜24は、本発明において用いるこ
とのできる全ての構成要件の範囲内において製造
されているため、いずれも60〜80Kgf/mm2のTS
で、かつvTrsも0℃以下の値を示していること
がわかり、実施例16、21、25はQTを施した比較
鋼の機械的性質を示しており、本発明鋼のCeqは
比較鋼のCeqにくらべ0.04〜0.08%も低減してい
ることがわかる。 以上実施例からもわかるように、本発明の製造
方法により製造すれば低炭素当量で高降伏強度を
有し、シヤルピー衝撃破面のセパレーシヨン現象
のない溶接性の優れた非調質高張力鋼(50〜80Kg
f/mm2級)を安価にかつ容易に製造することができ
る。
および実施例22〜24は、本発明において用いるこ
とのできる全ての構成要件の範囲内において製造
されているため、いずれも60〜80Kgf/mm2のTS
で、かつvTrsも0℃以下の値を示していること
がわかり、実施例16、21、25はQTを施した比較
鋼の機械的性質を示しており、本発明鋼のCeqは
比較鋼のCeqにくらべ0.04〜0.08%も低減してい
ることがわかる。 以上実施例からもわかるように、本発明の製造
方法により製造すれば低炭素当量で高降伏強度を
有し、シヤルピー衝撃破面のセパレーシヨン現象
のない溶接性の優れた非調質高張力鋼(50〜80Kg
f/mm2級)を安価にかつ容易に製造することができ
る。
第1図は制御圧延後の加速冷却条件(冷却速
度、冷却停止温度)が引張り特性とシヤルピー衝
撃特性に及ぼす影響を示す図、第2図は加速冷却
後に400℃における軽圧下量が引張り特性とシヤ
ルピー衝撃特性に及ぼす影響を示す図である。
度、冷却停止温度)が引張り特性とシヤルピー衝
撃特性に及ぼす影響を示す図、第2図は加速冷却
後に400℃における軽圧下量が引張り特性とシヤ
ルピー衝撃特性に及ぼす影響を示す図である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 C0.005〜0.15%、Si0.1〜0.5%、Mn0.8〜2.0
%、Al 0.005〜0.08%、S0.008%以下を含有し、
残部Feおよび不可避的不純物よりなる鋼片にAr3
+70℃からAr3までの温度域で30〜90%の圧下率
で圧延を施し、その後直ちに2〜40℃/secの冷却
速度で500℃未満の温度になるまで加速冷却をな
し、加速冷却を停止した後500℃未満から200℃以
上の温度域で圧下率が0.5〜10%の範囲内の軽圧
下を施し、その後空冷ないし徐冷を施すことを特
徴とする高い降伏強度を有する溶接性の優れた非
調質高張力鋼の製造方法。 2 C0.005〜0.15%、Si0.1〜0.5%、Mn0.8〜2.0
%、Al 0.005〜0.08%、S0.008%以下を含有し、
さらに下記の(a)群、(b)群の中から選ばれるいずれ
か1群または2群を含有し、残部Feおよび不可
避的不純物よりなる鋼片にAr3+70℃からAr3ま
での温度域で30〜90%の圧下率で圧延を施し、そ
の後直ちに2〜40℃/secの冷却速度で500℃未満
の温度になるまで加速冷却をなし、加速冷却を停
止した後500℃未満から200℃以上の温度域で圧下
率が0.5〜10%の範囲内の軽圧下を施し、その後
空冷ないし徐冷を施すことを特徴とする高い降伏
強度を有する溶接性の優れた非調質高張力鋼の製
造方法。 (a)群:V0.01〜0.10%、Cu0.5%以下、Ni0.5%
以下、Cr0.5%以下、Mo0.5%以下の中
から選ばれる何れか1種または2種以
上。 (b)群:Ca0.002〜0.010%、REM0.005〜0.010%
のなかから選ばれる何れか1種または2
種。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19251982A JPS5983720A (ja) | 1982-11-04 | 1982-11-04 | 溶接性の優れた非調質高張力鋼の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19251982A JPS5983720A (ja) | 1982-11-04 | 1982-11-04 | 溶接性の優れた非調質高張力鋼の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS5983720A JPS5983720A (ja) | 1984-05-15 |
JPS622612B2 true JPS622612B2 (ja) | 1987-01-21 |
Family
ID=16292629
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19251982A Granted JPS5983720A (ja) | 1982-11-04 | 1982-11-04 | 溶接性の優れた非調質高張力鋼の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS5983720A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6410211U (ja) * | 1987-07-08 | 1989-01-19 |
-
1982
- 1982-11-04 JP JP19251982A patent/JPS5983720A/ja active Granted
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6410211U (ja) * | 1987-07-08 | 1989-01-19 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS5983720A (ja) | 1984-05-15 |
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