JPS6225410Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は合成樹脂製バンパを車体パネルのボ
ルト孔に直接ボルトナツト結合するようにしたバ
ンパ取付構造に関する。

近年、自動車の軽量化を図るためにポリウレタ
ン等の合成樹脂製バンパが多用されているが、と
りわけ車両後端のリヤバンパにあつては、第１図
のように合成樹脂製バンパ１を車体パネルつまり
リヤエンドパネル２に直接ボルトナツト結合した
構成が多く採られている。

第２図はこの場合の従来のバンパ取付構造を示
したもので、合成樹脂製バンパ１にあつては、温
度変化に伴い長手方向（車幅方向）に沿つて無視
できない伸縮変形を生じるため、各ボルトナツト
結合部において、この伸縮変形を許容するように
取付ける必要がある。そこで、バンパ１に取付孔
として長手方向に沿つた長孔３を穿設し、フラン
ジ４ａを有して上記長孔３に摺動可能な段付ボル
ト４を、リヤエンドパネル２のボルト孔５を通し
てナツト６にて締結し、これによつてバンパ１が
長手方向に移動できるように構成している。そし
て、上記バンパ１の長孔３の周囲にはシール突起
７が一体に形成されており、これがリヤエンドパ
ネル２に摺接することによつて、ボルト孔５周囲
の間隙からトランクルームＴ内への雨水の侵入を
防止する構成となつている。

しかしながら、このような従来の取付構造にあ
つては、バンパ１の伸縮が繰り返される間に、シ
ール突起７が摺動摩耗してしまい、そのシール性
が早期に損われる欠点があり、またそのシール性
を十分に得るべく上記段付ボルト４，ナツト６を
固く締め付け過ぎると、バンパ１の伸縮変形に大
きな抵抗となり、バンパ１の他の部分に熱歪が生
じたりする不具合があつた。

この考案は上記のような従来の欠点に鑑みてな
されたものであつて、その目的とするところは、
車体パネルのボルト孔に対する完全なシールが行
え、しかも合成樹脂製バンパの熱伸縮を何ら阻害
することがないバンパ取付構造を提供することに
ある。

以下、この考案の一実施例を第３〜５図に基づ
いて詳細に説明する。

図において１は合成樹脂製バンパ、２は車体パ
ネルつまりリヤエンドパネルであつて、上記バン
パ１には従来と同様に長手方向に沿つた長孔１１
が形成され、かつリヤエンドパネル２にはボルト
孔１２が形成されている。１３は上記長孔１１内
に摺動自在に嵌入した長円形状のカラーで、この
カラー１３は硬質合成樹脂あるいは金属からな
り、その内周には、同じく長円形状をなすゴムブ
ツシユ１４が嵌め込まれている。上記ゴムブツシ
ユ１４は、フランジ付ボルト１５が挿通されるボ
ルト孔１６を有し、かつリヤエンドパネル２に面
する一端には、上記カラー１３とほぼ同一かもし
くは僅かに小さな外周形状を有するフランジリツ
プ１７が形成されている。また第５図に示すよう
に、ゴムブツシユ１４のフランジリツプ１７を除
いた小径部の長さl₁は上記カラー１３の長さl₂よ
り若干長く、かつその全長l₃はバンパ１の取付部
分の板厚l₄よりも若干長く設定されており、上記
長孔１１内に組み入れた状態において、バンパ１
の取付部分の内壁面１ａに対し、カラー１３の一
端面が僅かに突出し、かつこれよりもゴムブツシ
ユ１４一端面がさらに突出した状態となるように
形成されている。一方、リヤエンドパネル２のボ
ルト孔１２に挿通されるフランジ付ボルト１５
は、上記ゴムブツシユ１４およびカラー１３を、
ナツト１８とともにリヤエンドパネル２に締結す
るもので、その頭部には、長孔１１外に延びる十
分な大きさのフランジ１５ａが設けられている。

ここで第３図は、上記フランジ付ボルト１５お
よびナツト１８を十分に締め付けた状態を示して
おり、上述のようにカラー１３より突出したゴム
ブツシユ１４がフランジ１５ａによつて圧縮され
ている一方、このフランジ１５ａはカラー１３に
も圧接し、該カラー１３の端面を介してゴムブツ
シユ１４のフランジリツプ１７をリヤエンドパネ
ル２側に押圧している。そのため、上記フランジ
リツプ１７はリヤエンドパネル２のボルト孔１２
周囲に緊密に密接し、ボルト孔１２を確実にシー
ルしている。また、バンパ１は、フランジ１５ａ
およびリヤエンドパネル２に対し、極めて微少の
間隙を有するかもしくは緩やかに接した状態にあ
り、ゴムブツシユ１４周囲に硬質のカラー１３を
設けたことと相俟つて、その長手方向に沿つて自
由に摺動できるようになつている。

従つて上記取付構造によれば、フランジリツプ
１７によつてボルト孔１２を長期に亘つて確実に
シールすることができ、バンパ１が伸縮変形を繰
り返しても、従来のようにトランクルームＴ内に
雨水が侵入することがない。またバンパ１の伸縮
変形が何ら阻害されることがなく、しかもフラン
ジ付ボルト１５とバンパ１との間に振動吸収特性
に優れたゴムブツシユ１４が介在するため、走行
振動に起因する長孔１１周辺部等各部の破損が防
止される。

尚、以上主にリヤバンパについて述べたが、こ
の考案はこれに限定されることなく、フロントバ
ンパにあつても適用可能である。

以上詳細に説明したように、この考案に係るバ
ンパ取付構造によれば、合成樹脂製バンパを車体
パネルのボルト孔に直接ボルトナツト結合するよ
うにした場合に問題となるバンパの熱伸縮を良好
に吸収することができるとともに、上記ボルト孔
に対するシールを長期に亘つて確実なものとする
ことができ、車体パネル内への雨水の侵入を防止
できる、等の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は自動車の後方からの斜視図、第２図は
従来におけるバンパ取付構造を示す第１図の−
線に沿つた断面図、第３図はこの考案に係るバ
ンパ取付構造を示す第２図と同様の断面図、第４
図は第３図の−線に沿つた断面図、第５図は
ゴムブツシユおよびカラーの分解斜視図である。 １……合成樹脂製バンパ、２……リヤエンドパ
ネル、１１……長孔、１２……ボルト孔、１３…
…カラー、１４……ゴムブツシユ、１５……フラ
ンジ付ボルト、１７……フランジリツプ、１８…
…ナツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 合成樹脂製バンパを車体パネルのボルト孔に直
   接ボルトナツト結合するようにしたバンパ取付構
   造であつて、上記バンパの長手方向に沿つて形成
   された長孔と、この長孔内に摺動自在に嵌入した
   カラーと、このカラー内周に嵌合し、かつその一
   端に、上記カラー端面に押圧されて上記ボルト孔
   周囲に密接するフランジリツプが形成されたゴム
   ブツシユと、上記カラーおよびゴムブツシユを上
   記車体パネルに締結するとともに、その頭部に、
   上記バンパを抜け止めするフランジが設けられた
   ボルトとにより構成されるバンパ取付構造。