JPS6224765Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はリンク装置に関し、とくに内燃機関の
ヘリカル型吸気ポートのバイパス通路に設けられ
る開閉弁と開閉弁を開閉するアクチユエータとの
間の連結機構に用いられるヘリカル型吸気ポート
の開閉弁制御用リンク装置に関する。

内燃機関の低速低負荷域における燃焼性を改善
するために、吸気ポートに、燃焼室内にスワール
を発生させるヘリカル型吸気ポートが採用され
る。このヘリカル型吸気ポートでは、機関が高速
高負荷域になつて吸入空気量が増してくると、吸
気ポートを流れる吸気の流れ抵抗が増大して充填
効率が低下するという問題がある。この問題を解
決するために、本出願人により、ヘリカル型吸気
ポートのほぼ直線上に延びる入口通路部とその下
流の渦巻部の終端部とをバイパスするバイパス通
路を設け、該バイパス通路に開閉弁を設けて、機
関の高速高負荷域に開閉弁を開弁してバイパス通
路を通しても吸気を流し、高速高負荷域における
充填効率の低下を防止するようにしたヘリカル型
吸気ポートの流路制御装置が提案されている。
（例えば、特願昭56−51149号、特開昭57−165629
号公報および、特願昭56−120634号、特開昭58−
23224号公報）。

このヘリカル型吸気ポートの流路制御装置で
は、開閉弁は各気筒のヘリカル型吸気ポートのバ
イパス通路毎に設けられ、これらは１つのアクチ
ユエータによつて同時に作動されかつ制御され
る。各開閉弁とアクチユエータとはリンク装置に
よつて連結されるが、この場合、このリンク装置
は、製造コスト、製造の容易性、組付けの容易
性、作動の円滑さおよび確実性を考慮して、これ
ら種々の条件を満足するものが用いられなければ
ならない。

本考案は、これら製造コスト、製造の容易性、
組付性、作動の確実性の何れをも満足するヘリカ
ル型吸気ポートの開閉弁制御用リンク装置を提供
することを目的とする。

この目的を達成するために、本考案のリンク装
置は、開口部が狭められた凹状横断面を有し長手
方向に間隔をおいて穴を穿設した長板成形部材か
らなるリンクと、ボール部を有し該ボール部に突
起を形成したボールジヨイントとを有しており、
これらは、ボールジヨイントのボール部をリンク
の開口部を押拡げてリンクの凹状横断面内に挿入
抱持させ、かつボールジヨイントの突起をリンク
の穴に係合させることにより、互いに連結されて
いる。そして、このリンク装置は内燃機関のヘリ
カル型吸気ポートのバイパス通路の開閉弁制御用
リンク機構に適用され、ボールジヨイントがバイ
パス通路の開閉弁側に連結され、リンクが開閉弁
を開閉駆動するアクチユエータ側に連結される。

このように構成されたリンク装置においては、
リンクは動きを伝えるアームの機能とボールジヨ
イントを抱持するクリツプの機能とを同時に兼ね
備えることになり、部品点数の削減による製造コ
ストの軽減がはかられる他、リンクを長板材のプ
レス成形により製作できることから製造も容易化
され、さらにボールジヨイントをリンクに嵌着す
るだけで組立ることができるので組立も容易化さ
れる。また、ボールジヨイントの突起をリンクの
穴に係合させて組付けるので、ボールジヨイント
の位置決めも組付けと同時に達成され、作動の確
実性も保証され、前記の所期の目的が達成され
る。

以下に、本考案のヘリカル型吸気ポートの開閉
弁制御用リンク装置の望ましい実施例を図面を参
照しながら説明する。

まず、リンク装置が適用される内燃機関のヘリ
カル型吸気ポートの開閉弁をそのアクチユエータ
について説明する。第１図において、１はシリン
ダブロツク、２はシリンダブロツク１内で往復動
するピストン、３はシリンダブロツク１上に固定
されたシリンダヘツド、４は燃焼室、５は吸気
弁、６はシリンダヘツド３内に形成されたヘリカ
ル型吸気ポートである。なお図示は省略したが燃
焼室には排気ポートが開口し、かつ点火栓が配設
されている。

ヘリカル型吸気ポート６は、第２図に示すよう
に、ほぼ真直に延びる入口通路部６ａとその下流
の渦巻部６ｂとから成つている。入口通路部６ａ
のヘリカル形状の内周側壁面は下側にいくに従つ
てポート幅が拡がるように傾斜されており、上部
の流れを外周側壁面に沿わせて強力な旋回流を燃
焼室４内に発生せしめ得るようになつている。

ヘリカル型吸気ポート６の入口通路部６ａと渦
巻部６ｂの終端部とは直線状に延びるバイパス通
路７により連通されており、該バイパス通路７は
シリンダヘツド３内に形成されている。バイパス
通路７には、開閉弁としてのロータリ弁８がバイ
パス通路７を開閉自在に装着されている。ロータ
リ弁８は後で詳述するリンク装置９を介してアク
チユエータに連結されている。

アクチユエータは、第３図に示すように、ダイ
アフラム装置１０からなり、該ダイアフラム装置
１０は負圧制御装置１１によつてその作動を制御
される。このうちダイアフラム装置１０はダイア
フラム１２によつて大気から隔離された負圧室１
３を有しており、負圧室１３内にダイアフラム押
圧用圧縮ねじ１４が挿入されている。リンク装置
９はダイアフラム装置１０から突出する制御ロツ
ド１５に連結される。

負圧室１３は負圧制御装置１１を介して吸気マ
ニホルド１６または大気に連通可能となつてい
る。すなわち、負圧室１３は一方では負圧導管１
７、負圧制御装置１１の負圧ポート１８、逆止弁
１９および負圧導管２０を介して吸気マニホルド
１６に接続され、他方では大気ポート２１、大気
開放弁２２の大気圧室２３、大気通路２４および
エアフイルタ２５を介して大気に接続される。大
気開放弁２２はダイアフラム２６と、ダイアフラ
ム２６によつて大気圧室２３から隔離された負圧
室２７と、ダイアフラム２６に固定されて大気ポ
ート２１の開閉制御する弁体２８と、ダイアフラ
ム押圧用圧縮ばね２９とを有し、負圧室２７はコ
ンパウンド気化器３０の１次側気化器３０ａのベ
ンチユリ部に開口する負圧ポート３１と２次側気
化器３０ｂのベンチユリ部に開口する負圧ポート
３２に負圧導管３３を介して接続されている。

つぎに、上記の開閉弁としてのロータリ弁８と
アクチユエータとしてのダイアフラム装置１０と
を連結するリンク装置９について説明する。

リンク装置９は、第４図および第５図に示すよ
うに、ダイアフラム装置１０の制御ロツド１５に
ピン結合される長く延びるリンク３４と、該リン
ク３４に回動自在に連結されるボールジヨイント
３５とを有している。一方、ロータリ弁８は薄い
羽根状の弁体３６と弁体３６に一体的に結合され
た弁軸３７とを具備しており、弁軸３７は第１図
に示すように開閉弁挿入孔３８に嵌着された案内
スリーブ３９により回転可能に支承されている。
弁軸３７は案内スリーブ３９の頂面から上方に突
出しており、この突出端部にアーム４０が相対回
転可能に取付けられている。そして前記ボールジ
ヨイント３５はこのアーム４０に相対回転可能に
連結される。

リンク３４は長板材のプレス成形によつて形成
されており、その横断面は内部が拡がり開口部４
１が狭められた凹状断面に形成されており、かつ
長手方向に長く延びている。リンク３４は長板材
のプレス成形からなるため、開口部４１は弾性変
形により拡縮可能であるが、通常の状態において
は開口部４１の幅はボールジヨイント３５のボー
ル部４２の直径より小である。また、凹状横断面
内部はボール部４２の直径とほぼ同じ径の円筒型
に形成されている。リンク３４の開口部４１と対
向する壁面４３には、リンク３４の長手方向に間
隔をおいて穴４４が穿設されており、穴４４の間
隔は多気筒エンジンの各気筒のバイパス通路７の
間隔に合わせられている。

一方、ボールジヨイント３５は、本質的に球状
のボール部４２と、ボール部４２の上部に設けら
れた突起４５と、ボール部４２の下部に設けられ
下側に向かつて延びる小径の足部４６とからなつ
ている。足部４６の下端には段状に縮径されたピ
ン部４７が設けられ、このピン部４７をロータリ
弁８のアーム４０の先端に穿設された穴４８に挿
通して、挿通端をかしめることによりアーム４０
に相対回転可能にかつ抜外れ不能に連結される。

ボールジヨイント３５はリンク３４の凹状断面
内にリンクの開口部４１を拡大して通すことによ
り嵌着される。この場合、ボールジヨイント３５
の突起４５はリンク３４の穴４４内に挿入され係
合される。ボールジヨイント３５が開口部４１を
通過してリンク３４の凹状断面内に挿入される
と、開口部４１は再び弾性変形で元に戻り、ボー
ルジヨイント３５のボール部４２を容易に抜外れ
しないように抱持する。したがつて、ボールジヨ
イント３５は穴４４によつて位置決めされて、リ
ンク３４にクリツプされる。このクリツプにより
リンク装置９の連結が完成され、アクチユエータ
のダイアフラム装置１０と開閉弁としてのロータ
リ弁８がリンク装置９を介して連結される。

上記の構成を有する装置の作動について説明す
る。まず、機関の作動についてであるが、機関の
低速低負荷時には１次側スロツトル弁４９の開度
が小で負圧導管３３に加わる負圧が小となるた
め、大気開放弁２２のダイアフラム２６は圧縮ば
ね２９のばね力により移動して弁体２８が大気ポ
ート２１を閉じる。このとき吸気マニホルド１６
内には大きな負圧が発生しているので、逆止弁１
９は開弁し、ダイアフラム装置１０の負圧室１３
の負圧は吸気マニホルド１６内に発生する最大負
圧に維持される。負圧室１３に負圧が加わるとダ
イアフラム１２は圧縮ばね１４に抗して負圧室１
３側に移動する。ダイアフラム１２の動きは制御
ロツド１５を介してリンク装置９のリンク３４に
伝えられ、リンク３４は該リンク３４に抱持され
ている気筒数だけのボールジヨイント３５に動を
を伝える。ボールジヨイント３５がリンク３４の
長手方向に移動されるとアーム４０はロータリ弁
８の弁軸３７を中心にして回動し、弁軸３７が案
内スリーブ３９内に回動して、弁体３６はバイパ
ス通路７を閉じる。

バイパス通路７がロータリ弁８にて閉じられる
と、吸気はヘリカル型吸気ポート６のみを通つて
燃焼室４内に流れる。このとき混合気は入口通路
部６ａを通るときに主として外周側壁面に沿わさ
れ、渦巻部６ｂを通るときに強力な旋回流を生ぜ
しめられて、燃焼室４内に強力なスワールが生成
する。このスワールの生成により、燃焼の改善、
ノツキングの抑制がはかられ、ひいては燃費の改
善、出力性能の向上が可能となる。

一方、機関の高速高負荷時には、１次側スロツ
トル弁４９、２次側スロツトル弁５０がともに開
弁し、両負圧ポート３１，３２に加わる負圧が大
となつて、大気開放弁２２のダイアフラム２６が
圧縮ばね２９に抗して移動して弁体２８が大気ポ
ート２１を開弁し、ダイアフラム装置１０の負圧
室１３を大気に開放する。このためダイアフラム
装置１０のダイアフラム１２は圧縮ばね１４の力
で負圧室１３と反対の方向に移動し、リンク装置
９を介して前記機関の低速低負荷時のときの反対
方向の動きをロータリ弁８に伝え、ロータリ弁８
を回動させてバイパス通路７を開く。このため、
吸気はヘリカル型吸気ポート６とバイパス通路７
の両ポートを通つて燃焼室４に流入する。この場
合、吸気量が増えるとヘリカル型吸気ポート６を
流れる吸気の流れ抵抗は旋回流の抵抗によつて増
大するが、バイパス通路７はストレート状である
ため旋回流による流れ抵抗の増大はなく、バイパ
ス通路７を流れる吸気量が増えるので、充填効率
の低下は抑制され、高速高負荷時の出力性能の低
下は防止される。

つぎにリンク装置９に作用についてさらに詳述
する。一般にアクチユエータの動きをロータリ弁
８に伝えるリンク装置は、動きを伝えるアームの
機能と開閉弁または開閉弁に取付けられるボール
ジヨイントをクリツプする機能とを備えなければ
ならない。既に提案された装置においてはこの機
能は別々の部材によつて果たされていたのである
が、本考案のリンク装置においては、リンク装置
９のリンク３４がプレス成形による凹状横断面の
長板材によつて構成されているために、一つの部
材によつて果たされている。このため、部品点数
が削減してコストダウン、組付工数の低減がはか
られている。また、板のプレス成形によつて容易
に形成できるため、製造も容易であり、さらにコ
ストダウンがはかられる。一方、開閉弁の全開の
開き角の狂いはバイパス通路７の流れの抵抗にな
るため出力に重大な影響を与え、かつ閉じ角の狂
いはスワール生成を減少させるので、リンク装置
の各部品は互いに位置の狂いなく高精度に取付け
られなければならない。本考案のリンク装置９に
おいては、リンク３４とボールジヨイント３５の
取付けは突起４５と穴４４の係合によつて互いに
位置が自然に出され、かつ遊隙もないので、高精
度の位置出しが容易に、かつ自然に得られる。こ
のため、開閉弁８の開閉作動が確実化され、かつ
円滑化される。しかも、ボールジヨイント３５と
リンク３４との連結は、リンク３４の凹状横断面
内にボール部４２を押し込むだけでよいので、そ
の組立ては極めて容易である。したがつて、組立
て作業も容易化される。

以上の通りであるから、本考案のヘリカル型吸
気ポートの開閉弁制御用リンク装置によるとき
は、リンクを長板材のプレス成形および穴抜きし
たものから構成し、この穴にボールジヨイントの
突起を係合させて、リンクとボールジヨイントと
を連結するようにしたので、リンクの単一部品に
クリツプとアームの両方の機能を備えることがで
き、製造コストの低減、製造の容易化、組付性の
向上、力の伝達作動の確実化をはかることができ
るという効果が得られる。そして、このリンク装
置を内燃機関のヘリカル型吸気ポートのバイパス
通路の開閉弁とそのアクチユエータとしてのダイ
アフラム装置との間のリンク装置に適用すること
により、機関の運転状態に応じての開閉弁の開閉
を高精度にかつ円滑に行なうことができ、ひいて
は出力性能を向上させるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のヘリカル型吸気ポートの開閉
弁制御用リンク装置が適用される内燃機関のヘリ
カル型吸気ポートのバイパス通路近傍の断面図、
第２図は第１図のヘリカル型吸気ポートおよびバ
イパス通路のみを取出して示した平面図、第３図
は本考案のヘリカル型吸気ポートの開閉弁制御用
リンク装置が適用される内燃機関のバイパス通路
開閉弁の開閉用アクチユエータおよびその近傍の
系統図、第４図は本考案のリンク装置の斜視図、
第５図は第４図のリンク装置の拡大断面図、であ
る。 ６……ヘリカル型吸気ポート、７……バイパス
通路、８……開閉弁としてのロータリ弁、９……
リンク装置、１０……アクチユエータとしてのダ
イアフラム装置、３４……リンク、３５……ボー
ルジヨイント、４０……アーム、４１……開口
部、４２……ボール部、４４……穴、４５……突
起。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ヘリカル型吸気ポート６のバイパス通路７の開
   閉弁８と該開閉弁を開閉させるアクチユエータ１
   ０とを連結するリンク装置９において、 開口部４１が狭められた凹状横断面を有し、か
   つ長手方向に間隔をおいて穴４４が穿設された長
   板の成形部材からなるリンク３４をアクチユエー
   タ１０側に取付けるとともに、 上部に突起４５が形成されたボール部４２を有
   するボールジヨイント３５を開閉弁８側に取付
   け、 前記リンクの開口部４１を押拡げてその凹状横
   断面内に前記ボールジヨイントのボール部４２を
   挿入し、かつボール部の突起４５をリンクの穴４
   ４に係合させて、前記リンク３４と前記ボールジ
   ヨイント３５とを互いに連結したことを特徴とす
   る ヘリカル型吸気ポートの開閉弁制御用リンク装
   置。