JPS62246372A - 生体インプラント用金属製部材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、人工歯根１人工骨１人工関節等として生体に
埋め込まれるインプラント用金属部材に関する。

〔従来の技術〕

生体に埋め込まれるインプラント部材として、従来から
合成樹脂、セラミックス等が使用されている。

これらのインプラント部材のうち、合成樹脂製のものは
、無害性、柔軟性に優れているものの、機械的な強度が
充分でない。また、高温での強度が劣ることから、高温
滅菌するような条件下で使用することができない。更に
、吸水性の高い合成樹脂製のものは、膨潤し易いという
欠点もある。

他方、セラミックス製のインプラント部材は、無害性、
親和性に優れているものの、靭性が小さく、衝撃力、成
形性、加工性等に劣るという欠点がある。このため、該
インプラント部材を小型なものとして使用することがで
きず、それを埋め込む個所における骨の切除部が大きく
なる。また、靭性に劣るため、傷等がインプラント部材
につかないようにその取扱いを注意することが必要とな
る。

そこで、これらに代わるものとしてステンレス鋼、モリ
ブデン−マンガン鋼、チタン等の金属材料で作られたイ
ンプラント部材が使用されるようになってきている。

なかでも、チタン製のインプラント部材は、耐食性に富
み、生体内でも安定、無害であり、且つ親和性に優れて
いることから、広く用いられるようになってきている。

更に、該チタン製インプラント部材の表面に酸化被膜を
設けることにより、生体中における耐食性、親和性等を
改良したものも、特開昭６０−９２７６１号公報として
提案されている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

このように、チタンは、インプラント部材として優れた
性質を備えた金属材料である。しかし、該チタン製イン
プラント部材においても、依然として充分な強度がない
、そのため、人工歯根等のように手術目的によっては相
当に小さなインプラント部材が必要となるが、チタン製
のインプラント部材ではこの要求に充分に応えることが
できない、また、チタン材料は、塩酸１ｇ酸等の溶液に
より表面の酸化被膜が溶解されることもある。表面の酸
化被膜が溶解されると、チタンに含まれていた不純物等
が金属イオンとなって溶出し、場合によっては生体に害
を与える場合もある。

そこで、本発明は、このチタン製インプラント部材のも
つ欠点を改良すべく種々実験・考察を重ねた結果完成さ
れたものであり、チタンに対して固溶体を生成する金属
元素を添加することにより、それらの欠点を解消すると
共に、生体に対する親和性に優れた生体インプラント用
金属部材を提供することを目的とする。

（問題点を解決するための手段〕 本発明の生体インプラント用金属製部材は、その目的を
達成するため、チタンと、該チタンに対して固溶体を形
成するモリブデン、タンタル、ニオブ、バナヂウム等の
金属からなるβ単相の合金で作られていることを特徴と
する。

前記の合金の例としては、モリブデンを１５〜４０重量
％含有するチタン−モリブデン二元合金がある。

また、前記の合金の他の例としては、タンタルを１０〜
３０重量％含肴するチタンータンタルニ元合金がある。

また、前記の合金の例としては、ニオブを２５〜４５重
量％含有するチタン−ニオブ二元合金がある。

更に、前記の合金の例としては、バナヂウムを５〜４０
重量％含有するチタン−バナヂウム二元合金がある。

更にまた、β単相の組織が維持される限りにおいて、１
５〜４０重量％のモリブデン、１０〜３０重量％のタン
タル、２５〜４５重量％のニオブ及び５〜４０重量％の
バナヂウムから選ばれた２種以上の元素を含んでいても
良い。

なお、ここでいう二元合金とは、純粋にチタンとモリブ
デン、タンタル、ニオブ或いはバナヂウムからなるもの
のみを指すのではなく、その二元合金に本質的な影響を
与えない程度の量、具体的には６重量％以下でバラヂウ
ム、アルミニウム。

鉄、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル等の元素を
合金改善成分として又は微量の不純物元素を含んでいて
も良いことは勿論である。

〔作用〕 たとえば、チタン−モリブデン二元合金を例にとると、
その状態図を第１図に示すように、モリブデン１２重量
％以上の範囲で、室温で安定なβ相固溶体が生成さる。

すなわち、この範囲ではチタン−モリブデン二元合金が
単相となり、合金内部に局部的に電位差が生じることが
ない、そのために、該チタン−モリブデン二元合金は、
雰囲気に対して一様な性質を呈し、局部腐食等の欠陥の
発生が抑制される。そして、このβ単相の合金は、α型
のチタン合金に比較して強度及び加工性に優れているた
め、小型のインプラント部材に製作することが容易であ
る。

また、モリブデン添加により、機械的強度、耐食性等が
向上する。特に、希塩酸、希硫酸等に対する耐食性は、
モリブデン添加により大幅に向上する。このような性質
の改善は、第２図に示すように、Ｍｏ１５！ｌ！量％以
上の範囲で顕著である。これは、合金表面に生成してい
る酸化被膜が、モリブデンの添加により緻密で強固なも
のとなり、容易には溶出しなくなることに起因するもの
と推察される。

しかし、Ｍｏ含有量があまり多くなりすぎると、チタン
に対するモリブデンを合金化することが困難になり、ま
た生体に対するチタンの優れた性質が希釈されることに
なる。この点から、Ｍｏ含ＩＩの上限を４０重量％とじ
た。

また、このチタン−モリブデン二元合金に対して、６重
量％以下でバラヂウム、アルミニウム。

鉄、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル等の元素を
合金改善成分として添加するとき、合金の強度、耐摩耗
性、硬度等の改善が図られる。

チタンに対するモリブデン添加によるこのような効果は
、タンタル、ニオブ、バナヂウムによっても同様に得ら
れる。また、これら元素の添加量の上限についても、モ
リブデンの場合と同様に製造性及び生体に対する影響を
考慮して定めた。

更に、モリブデン、タンタル、ニオブ、バナヂウム等の
添加は、チタン合金製インプラント部材の生体に対する
親和性を劣化させず、むしろ向上させる傾向にある。た
とえば、手術後、数ケ月でインプラント部材は、周辺の
骨＆１ｌｌＩｉと完全に融合一体化する。

〔実施例〕

以下、実施例により本発明の特徴を具体的に説明する。

一チタンーモリブデン系− 第２図は、モリブデン含有量がチタン−モリブデン二元
合金の物性に与える影響を示す６図中、耐食性は、２０
％塩酸水溶液及び４０％硫酸水溶液中における腐食量で
表している。第２図から明らかなように、Ｎｏ１５重量
％以上の添加により、腐食量が極端に少なくなっており
、他方、引張り強度は大きく向上している。

第１表は、このチタン−モリブデン二元合金をインプラ
ント部材として、家兎の大腿骨内に埋め込んで使用した
ときの、結果を示す。

第１表　Ｔｉ−Ｍｏ合金製インプラント部材なお、第１
表における金属イオンの溶出は、生体から採取された液
を定期的に検査し、溶出がないものを優として、その結
果を相対評価したものである。また、細胞毒性及び組織
刺激性は、インプラント部材を埋め込んだ大腿骨とイン
プラントとの結合部及び周辺組織を、手術後半年間にわ
たり調べた結果を相対評価したものであり、インプラン
ト部材埋め込みの影響がないものを優、若干の影響があ
るものを良として表した。また、生体との親和性は、手
術してから半年後でインプラント部材と周辺の骨組織と
の融合度を調べることにより判定した。

この表から明らかなように、本例のＴｉ　−Ｍｏ合金製
インプラント部材は、チタン製インプラント部材の優れ
た性質を損なうことなく、むしろ金属イオンの溶出が少
なくなっていることにみられるように、その性質を改良
する作用をもつ。

−チタン−タンタル系− 第３図は、タンタル含有量がチタン−タンタル二元合金
の物性に与える影響を示す。図中、耐食性は、第２図の
場合と同様に４０％塩酸水溶液及び２０％硫酸水溶液中
における腐食量で表している。

第３図から明らかなように、Ｔａ１０重量％以上の添加
により、耐食性及び引張り強さは共に大きく改善されて
いる。

第２表は、このチタンータンタルニ元合金を、インプラ
ント部材として家兎の大腿骨内に埋め込んで使用したと
きの、結果を示す。

第２表　Ｔｉ−Ｔａ合金製インプラント部材金属イオン
の溶出、細胞毒性、Ｍ織刺激性、生体との親和性等の評
価は、第１表と同様である。

この表から認められるように、タンタルも、モリブデン
と同様に、チタン製インプラント部材の優れた性質を損
なうことなく、むしろその性質の改良に寄与している。

一チタンーニオブ系− 第４図は、ニオブ含有量がチタン−ニオブ二元合金の物
性に与える影響を示す。図中、耐食性は、第２図と同様
に２０％塩酸水溶液及び４０％硫酸水溶液中における腐
食量で表している。この図から明らかなように、Ｎｂ２
５重量％以上の添加により、耐食性及び引張り強さの両
方共が改善されている。

第３表は、このチタン−ニオブ二元合金を、インプラン
ト部材として家兎の大腿骨内に埋め込んで使用したとき
の、結果を示す。

金属イオンの溶出、細胞毒性１組織刺激性、生体との親
和性等の評価は、第１表と同様である。

この表から認められるように、ニオブも、モリブデンと
同様に、チタン製インプラント部材の優れた性質を損な
うことな（、むしろその性質の改良に寄与している。

一チタンーバナヂウム系− 第５図は、バナヂウム含有量がチタン−バナヂウム二元
合金の物性に与える影響を示す。図中、耐食性は、第２
図と同様に２０％塩酸水溶液及び４０％硫酸水溶液中に
おける腐食量で表している。この図から明らかなように
、■５重量％以上の添加により、耐食性及び引張り強さ
共に大幅に改善されている。

第４表は、このチタン−バナヂウム二元合金を、インプ
ラント部材として家兎の大腿骨内に埋め込んで使用した
ときの、結果を示す。

金属イオンの溶出、細胞毒性８組織刺激性、生体との親
和性等の評価は、第１表と同様である。

この表から認められるように、バナヂウムも、モリブデ
ンと同様に、チタン製インプラント部材の優れた性質を
損なうことなく、むしろその性質の改良に寄与している
。

〔発明の効果〕

以上に説明したように、本発明においては、モリブデン
、タンタル、ニオブ、バナヂウム等をチタンに合金化さ
せてβ単相の材料とすることにより、優れた性質を備え
たインプラント部材かえられる。そして、このインプラ
ント部材は、チタン製インプラント部材の欠点である強
度、耐食性等を改善しているので、より小型の部材に製
作することができる。そのため、該インプラント部材を
埋め込む手術にあたり、骨の切除を少なくすることがで
きる。また、生体に対しても悪影響を与えない。このよ
うに、本発明の生体インプラント用金属製部材は、従来
の金属製インプラント部材を凌駕するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はチタン−モリブデン二元状態図を示し、第２〜
５図は、モリブデン、タンタル、ニオブ及びバナヂウム
の添加による耐食性及び引張強さの改善効果を示す。 第４図 Ｗ咳重量％） 第５図 Ｏｔｏ　　　　２０　　　　　３０　　　４０ｖ（を量
％）

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １、チタンと、該チタンに対して固溶体を形成するモリ
   ブデン、タンタル、ニオブ、バナヂウム等の金属からな
   るβ単相の合金で作られていることを特徴とする生体イ
   ンプラント用金属製部材。 ２、特許請求の範囲第１項記載の合金が、モリブデンを
   １５〜４０重量％含有するチタン−モリブデン二元合金
   であることを特徴とする生体インプラント用金属製部材
   。 ３、特許請求の範囲第１項記載の合金が、タンタルを１
   ０〜３０重量％含有するチタン−タンタル二元合金であ
   ることを特徴とする生体インプラント用金属製部材。 ４、特許請求の範囲第１項記載の合金が、ニオブを２５
   〜４５重量％含有するチタン−ニオブ二元合金であるこ
   とを特徴とする生体インプラント用金属製部材。 ５、特許請求の範囲第１項記載の合金が、バナヂウムを
   ５〜４０重量％含有するチタン−バナヂウム二元合金で
   あることを特徴とする生体インプラント用金属製部材。 ６、特許請求の範囲第１項記載の合金が、１５〜４０重
   量％のモリブデン、１０〜３０重量％のタンタル、２５
   〜４５重量％のニオブ及び５〜４０重量％のバナヂウム
   から選ばれた２種以上を含み、β単相の組織をもつこと
   を特徴とする生体インプラント用金属製部材。