JPS6223825Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 考案の技術分野 本考案は、織機の給糸テンサー装置、特にその
把持力を織機の停止と連動して調節する手段に関
する。

従来技術 通常、織機は、給糸側に給糸テンサーを装備し
ている。この給糸テンサーは、給糸体から連続的
に緯糸を引き出すとき、緯糸に適度の張力を付与
するために設けられている。

ところが弱い緯糸の場合にも、画一的に一定の
テンシヨンが付与されていると、糸が切れたり、
また糸の結び目がテンサーに引つ掛つて切れたり
するので、織機の運転中には、緯糸に張力が掛か
らないか、または小さな張力の状態で糸を引き出
すことが望ましい。ところがテンサーを全く無く
すると、織機の停止時に、緯糸がオーバーランに
よつて、測長装置の上流側で必要以上に引き出さ
れるため、再運転時に支障がある。

考案の目的およびその解決手段 したがつて、本考案の目的は、織機の運転時に
把持力を弱くまたは解除し、織機の停止時にこれ
と同期して、緯糸のオーバーランによる測長装置
上流側での緯糸ゆるみを防ぐために、適度の抵抗
を付与する点にある。

上記目的のもとに本考案は、測長装置の上流側
で、一対の抵抗付与用のワツシヤのうち一方のワ
ツシヤに弾性体を介してソレノイドを取り付け、
このソレノイドを制御回路で制御し、織機の停止
時に、ソレノイドの吸引力により、一方のワツシ
ヤを他方のワツシヤに当接させて、測長装置の上
流側で緯糸に抵抗を付与するようにしている。

考案の構成 まず、第１図は、織機の緯入れ装置１の概要を
示している。緯糸２は、給糸体３に巻き付けられ
ており、糸ガイド４を通つて抵抗付与用の一対の
ワツシヤ５，６の間を通り、織機の原動力で駆動
される測長装置７により一定の長さだけ測長さ
れ、貯留装置８で貯留状態で待機している。そし
て緯入れ時に、貯留状態の緯糸２は、開放状態の
クランパー９を通過して、緯糸噴射用のノズル１
０から図示しないひ道の間に挿入される。

さて、本考案の給糸テンサー装置１１は、一対
のワツシヤ５，６のうち、いずれか一方例えば上
方のワツシヤ５を下方の固定的なワツシヤ６に対
し、上下方向に移動自在とし、このワツシヤ５に
コイルスプリングなどの弾性体１２を介しソレノ
イド１３の可動体１４に連結してある。ソレノイ
ド１３は、通電時に可動体１４を突出させる型式
のもので、フレームなどに固定されており、また
可動体１４は、引きスプリング１５により上向き
に付勢されている。

そして、このソレノイド１３は、制御回路１６
によつて、制御される関係にある。この制御回路
１６は、外部から停止信号Ａを受けた時点から、
所定の時間遅れ後に必要なパルス幅の駆動信号Ｂ
の織機を完全停止時点まで出力するもので、時定
数回路およびワンシヨツトマルチバイブレータを
主要部として構成してある。

考案の作用 織機の運転中には、緯糸２が測長装置７より連
続的に引き出されている。このとき、上方のワツ
シヤ５は、引きスプリング１５に引き上げられて
いるため、一対のワツシヤ５，６は、開放または
軽く接触する状態にあり、緯糸２に適度の張力を
与えている。したがつて、緯糸２の引き出しは、
運転中に、小さな力で行える。

一方、織機があるタイミングt₁で停止動作に入
つたとき、制御回路１６に例えば“Ｈ”レベルの
停止信号Ａが送り込まれる。制御回路１６は、所
定の遅れ時間後のタイミングt₂で織機の完全停止
に必要な時間にわたつて“Ｈ”レベルの駆動信号
Ｂを発生し、これでソレノイド１３を励磁する。
このときソレノイド１３は、磁気力により引きス
プリング１５の引つ張り力に抗して、可動体１４
を下向きに突出させる。この結果、一方のワツシ
ヤ５は、他方すなわち下方のワツシヤ６に接し、
その間で緯糸２を把持し、緯糸２に引き出し抵抗
を与えて、その慣性によるオーバーランを防止す
る。このように緯糸２の把持が所定の遅れ時間後
に行われ、そのタイミングt₂ではすでに織機の減
速により測長装置７の回転速度が低下しているか
ら、緯糸２がワツシヤ５，６間に挟まれても、測
長装置７と給糸テンサー１１との間で、糸切れは
起きない。このときの緯糸２の張力は、弾性体１
２の弾力を適当な値に調整することにより、適切
な値に設定できる。織機が完全に停止した時点で
は、すでに緯糸２の引き出しによるオーバーラン
がないから、制御回路１６は、ソレノイドの励磁
状態を解除する。このようにして一対のワツシヤ
５，６は、再び解放し、織機の再起動におい
て、、緯糸２の引き出し開始時に過大な張力をか
けないようにしている。

考案の変形例 なお上記実施例でのソレノイド１３は、停止時
に励磁状態となるようにしてある。しかし、この
ソレノイド１３は、逆に織機の運転中に励磁状態
となつて、ワツシヤ５，６に把持力を弱くまたは
ゼロとし、織機の停止時に非励磁状態となつて、
可動体１４を下降させ、一対のワツシヤ５，６で
緯糸２を挾持するようにしてもよい。

考案の効果 本考案によれば、織機の運転中に緯糸が連続的
に引き出されているときには、一対のワツシヤ
は、弱い把持力またはほとんどゼロの把持力の状
態となつて、緯糸に過大な力を付与しないため、
緯糸の引き出しが軽い力で行え、また織機の停止
動作中には、織機の停止開始から所定の遅れ時間
後にソレノイドが弾性体を介して一対のワツシヤ
を接触させ、両者の間の把持力で緯糸に引き出し
抵抗を付与し、この状態を織機の完全停止時点ま
で保持するから、緯糸の慣性によるオーバーラン
が未然に防止でき、したがつて織機の再起動時
に、一対のワツシヤと測長装置との間の緯糸にた
るみが無くなるとともに、給糸体とワツシヤとの
間の緯糸のたるみも減少し、測長動作が円滑で、
しかも測長装置の誤差が無くなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る織機の給糸テンサー装置
の概略図、第２図は動作時のタイムチヤート図で
ある。 １……緯入れ装置、２……緯糸、３……給糸
体、５，６……ワツシヤ、７……測長装置、８…
…貯留装置、１１……給糸テンサー、１２……弾
性体、１３……ソレノイド、１６……制御回路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 給糸体と測長装置との間に、上記給糸体から引
   き出される緯糸を挾持する抵抗付与用の一対のワ
   ツシヤを設け、両ワツシヤのうちいずれか一方の
   ワツシヤを他方のワツシヤに対して接離自在と
   し、この一方のワツシヤにソレノイドの可動体を
   連結するとともに、織機の停止信号を受けた時点
   から所定の遅れ時間後に上記ソレノイドに駆動信
   号を織機の完全停止時点まで出力し、一方のワツ
   シヤを他方のワツシヤに当接させる制御回路によ
   り上記ソレノイドを駆動することを特徴とする織
   機の給糸テンサー装置。