JPS6222740Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (1) 考案の技術分野 本考案はガス燃焼装置に係り、特に火炎の保
持が確実・良好で燃焼範囲が広く、しかもコン
パクトに形成したガス燃焼装置に関する。

(2) 従来技術と問題点 従来のガス燃焼装置を第１図ないし第７図を
参照して説明する。

第１図および第２図において、符号１で示し
た混合管の後端外周壁には一次空気吹出口１
ａ，１ａが穿設されるとともに、後端中央部に
はガスノズル２が組込まれ、このノズル２の先
端にはガス噴出口２ａ，２ａが穿設されてい
る。そして、この混合管１の先端端面には一次
炎孔部３と電極棒４とが設けられている。ま
た、この混合管１を外周から取囲むようにドラ
フトチユーブ５が同心的に設けられ、混合管１
とドラフトチユーブ５との間に環状の二次空気
通路６が形成されている。混合管１の先端とド
ラフトチユーブ５の先端との間には端板７が設
けられ、この端板７には半径方向に長いスリツ
ト状の二次空気吹出口８，８が放射状に等設さ
れている。この端板７の二次空気吹出口８，８
の外周は、下流側へ折曲してその先端がドラフ
トチユーブ５の先端と固着し、ドラフトチユー
ブ５の先端部の内に燃焼室９を形成している。

このように形成された従来のガス燃焼装置に
おいて、燃焼用空気の一部と燃料ガスは、それ
ぞれ一次空気吹出口１ａ，１ａおよびガス噴出
口２ａ，２ａから混合管１内へ噴出し混合され
て一次炎孔部３から吹出される。しかし、この
混合気では空気量が不足するので、一次空気吹
出口１ａ，１ａから吹出された燃焼用空気の残
部を二次空気通路６を経て二次空気吹出口８，
８から一次炎孔部３のやや下流側へ吹出し、電
極棒４で点火し、燃焼室９内で燃焼させる。

しかしながら、このような従来のガス燃焼装
置においては、混合気が一次炎孔部３から管軸
方向に吹出され、また二次空気が半径方向に長
いスリツト状の二次空気吹出口８，８から管軸
方向に吹出されるので、火炎が管軸方向に長く
形成される。燃焼室９の管軸方向の寸法は火炎
の長さによつて決定されるので、長い火炎が形
成されると燃焼室の小型化ができない。また、
燃焼室９の軸方向の長さより火炎の長さが長い
と、火炎が管の冷壁に接触し火炎温度が低くな
るので、人体に有害な一酸化炭素等を多量に発
生させるという問題があつた。一酸化炭素濃度
を低下させるには、火炎の長さを短かくする以
外に解決方法がないので、必然的に燃焼室が長
くなるという欠点があつた。

そのため、上記端板７の下流側に二次空気口
を切起してスタビライザを設け、火炎を旋回さ
せることによつて管軸方向の火炎の長さを短か
くする方法がとられており、これを第３図ない
し第７図に示している。すなわち、二次空気吹
出口８，８のそれぞれについて、第５図に示す
ように端板の一部をＡ，Ｂ，Ｃ部で打抜き、切
断された３辺で囲まれた部分Ｄを所定の角度に
曲げ起しスタビライザ１０を形成している。し
かしながら、このような切起し加工は簡単では
あるが、吹出された二次空気が切起し方向とそ
の両側方向すなわち矢印で示した３方向へ分散
するので有効な旋回流を形成することができな
い。また、第６図に示すように、吹出口の空気
の流れを円滑にするため、切起し枚数を増加さ
せ、第５図で示した平坦部Ｅをなくしたもので
ある。しかし、この平坦部には、第７図で示す
ように、渦を発生せせる機能があり、この渦に
よつて火炎が保持されているので、平坦部を設
けないスタビライザは保炎状態が悪く、燃焼速
度の遅いガスを使用すると火炎がリフトして缶
体内に入れたとき振動燃焼の原因となるという
欠点があつた。

(3) 考案の目的 そこで本考案は、上述した従来装置が有する
欠点を解消し、ガスの種類が異なつても火炎の
長さを短かく確実・良好に保炎することがで
き、しかも燃焼騒音を低減させることができる
ようにしたコンパクトなガス燃焼装置を提供す
ることを目的とする。

(4) 考案の構成 上記目的を達成するため、本考案によるガス
燃焼装置は、燃料ガスと燃焼用空気とを内部で
混合するととに内部に一次炎孔部を有する混合
管と、この混合管の外周を取囲むように混合管
との間に環状の二次空気通路を形成し、この空
気通路に二次空気を送るようにしたドラフトチ
ユーブと、このドラフトチユーブの先端と上記
混合管の先端との間に設けられ、複数の二次空
気吹出口を有するとともに上記ドラフトチユー
ブの先端部内に燃焼室を形成する端板とを備
え、上記一次炎孔部の周囲から二次空気を送る
ようにしたガス燃焼装置において、上記一次炎
孔部の下流側の燃焼室内に、一次炎孔部からの
混合気の吹出し方向に対し直角に位置するよう
に保炎板を設けるとともに、上記端板より突出
し、上記混合管に対し接線方向側にのみ二次空
気を吹出させるように二次空気流れに対する前
面を開口し両側面、上面および後面を閉塞させ
た固定旋回翼を端板上に円周方向に配列し、か
つ上記側面の上辺と下辺のなす角度を40゜ない
し50゜に形成し、混合気を旋回させながら燃焼
させるようにしたことを特徴としている。ま
た、上記二次空気吹出口の接線方向の長さより
も二次空気吹出口間の平坦部の長さを長くした
ことを特徴としている。

(5) 考案の実施例 以下、本考案によるガス燃焼装置の実施例
を、第１図ないし第７図と同一部分に同一符号
を付して示した第８図ないし第１１図を参照し
て説明する。

第８図は、複数の二次空気吹出口８，８のう
ち隣り合つた２個を示したもので、二次空気に
吹出し角度と方向を与えるために固定旋回翼１
１，１１を備えている。これらの固定旋回翼１
１，１１は端板７と一体成型により製作され、
二次空気流れに対する前面を開口するとともに
両側面１１ａ、上面１１ｂおよび後面１１ｃを
閉塞するように形成され、固定旋回翼の側面１
１ｃから前面に向けて距離が離れるほど深さが
深くなるテーパを有する溝状に端板より突出し
ている。また、上記テーパすなわち固定旋回翼
１１の側面１１ａの上辺１１ｄと下辺１１ｅの
なす角度は40゜ないし50゜に形成され、溝の前
面は二次空気吹出口８となつて二次空気流れの
下流側へ開口している。そして、上記二次空気
吹出口８から下流側へ40゜ないし50゜の角度で
混合管１に対し接線方向へのみ二次空気を吹出
させ、混合気を旋回させながら燃焼させるよう
にしている。この吹出し角度は燃焼特性として
最良のものであり、、第５図はその実験結果を
示すものである。図は横軸に固定旋回翼１１の
立上り角度を、縦軸に一酸化炭素濃度と二酸化
炭素濃度との比をとつたもので、燃焼状態の良
否を判断することができる。立上り角度が40゜
ないし50゜以下の場合は、二次空気の噴出速度
が大きくなるので燃焼速度の遅いガスでは火炎
がリフトを生じ、燃焼室内燃焼で振動燃焼が発
生する。逆に40゜ないし50゜以上の場合は、燃
焼用フアンの性能から、第１０図および第１１
図に示すような構造のバーナでは炎孔部から噴
出される混合気の巻き込みが少なく、燃焼状態
が悪化する。

また、この固定旋回翼１１の溝の方向の長さ
Ｌは、渦による保炎を確保するため、吹出口間
の端板平坦部の長さL′より短かく形成されてい
る。

さらに、一次炎孔部３の下流側であつて固定
旋回翼１１のやや下流側の燃焼室９内に、円板
状の保炎板１２が、一次炎孔部からの混合気の
吹出し方向に対し直角に位置するように支持さ
れている。

この保炎板１２は、一次炎孔部３から噴出さ
れた混合気を半径方向外方に拡散させるため
と、点火初期に定格燃焼量の1/3ないし1/5で点
火するいわゆる緩点火をするための保炎作用を
させるために設けられる。すなわち、大燃焼の
場合は、一次炎孔部３から噴出された混合気が
直ちに保炎板１２で拡散され、混合管１の接線
方向に旋回しながら固定旋回翼１１上で確実に
燃焼する。また低燃焼の場合は、一般に空気流
量が一定でガス噴出口２ａから噴出するガス流
量が減少するので、一次空気比が増加し一次炎
孔部３に形成される火炎が保炎しにくくなる
が、上記保炎板１２により混合気の流速が強制
的に弱められるので火炎の吹飛びが防止され
る。

なお、前記固定旋回翼１１の溝状部の両側面
の閉塞は、一体成型とせず溶接により形成して
もよい。

(6) 考案の効果 以上の説明から明らかなように、本考案によ
れば二次空気吹出口に混合管に対し接線方向側
のみであつて、二次空気流れに対する前面のみ
を開口した固定旋回翼を設け、二次空気混合管
の接線方向一方向のみに、かつ40゜ないし50゜
の角度で吹出させるようにしたから、より有効
な二次空気の旋回流を形成することができる。
さらに、一次炎孔部からの混合気の吹出し方向
に対し直角に位置するように保炎板を設けらか
ら、燃焼速度の遅いガスでも確実に保炎するこ
とができ、6B・13A・LPGなどガスの種類が異
なつても一次空気吹出口の面積を変える必要が
なく、大燃焼から低燃焼まで広範囲にわたり良
好な燃焼状態が得られる。また、一次炎孔部か
ら吹出される混合気を保炎板で吹出し方向に対
して直角に拡散させ、直ちに旋回燃焼させるこ
とにより、火炎の長さを短かくすることがで
き、一酸化炭素等の発生が少なく安全でかつコ
ンパクトな燃焼室が得られるうえに、燃焼騒音
を低減させることとができるなど多くの利点を
有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のガス燃焼装置を示す略示図、第
２図はその正面図、第３図はスタビライザを設け
た従来のガス燃焼装置を示す略示図、第４図はそ
の正面図、第５図ないし第７図は従来のスタビラ
イザの説明図、第８図は本考案によるガス燃焼装
置の固定旋回翼の一実施例を示す斜視図、第９図
は本考案による固定旋回翼の吹出し角度による燃
焼特性線図、第１０図は本考案によるガス燃焼装
置の一実施例を示す略示図、第１１図はその正面
図である。 １……混合管、３……一次炎孔部、５……ドラ
フトチユーブ、８……二次空気吹出口、１１……
固定旋回翼、１２……保炎板。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 燃料ガスと燃焼用空気とを内部で混合すると
   ともに内部に一次炎孔部を有する混合管と、こ
   の混合管の外周を取囲むように混合管との間に
   環状の二次空気通路を形成し、この空気通路に
   二次空気を送るようにしたドラフトチユーブ
   と、このドラフトチユーブの先端と上記混合管
   の先端との間に設けられ、複数の二次空気吹出
   口を有するとともに上記ドラフトチユーブの先
   端部内に燃焼室を形成する端板とを備え、上記
   一次炎孔部の周囲から二次空気を送るようにし
   たガス燃焼装置において、上記一次炎孔部の下
   流側の燃焼室内に、一次炎孔部からの混合気の
   吹出し方向に対し直角に位置するように保炎板
   を設けるとともに、上記端板より突出し、上記
   混合管に対し接線方向側にのみ二次空気を吹出
   させるように二次空気流れに対する前面を開口
   し両側面、上面および後面を閉塞させた固定旋
   回翼を端板上に円周方向に配列し、かつ上記側
   面の上辺と下辺のなす角度を40゜ないし50゜に
   形成し、混合気を旋回させながら燃焼させるよ
   うにしたことを特徴とするガス燃焼装置。 ２ 上記二次空気吹出口の接線方向の長さよりも
   二次空気吹出口間の平坦部の長さを長くしたこ
   とを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項
   記載のガス燃焼装置。