JPS6222621B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 この発明は車椅子の利用者がエスカレータを使
用する時に用いるエスカレータ用の車椅子補助台
車に関するものである。

〔発明の技術的背景と、その問題点〕

交通機関の発達に伴つて、鉄道駅舎のホーム等
が地上より高い所又は低い所に設置されるように
なり、これに伴ない乗客の便をはかるためエスカ
レータを設置する駅が増えてきた。しかし、車椅
子利用者がエスカレータを利用することは極めて
困難であり、仮に付添い者がいてエスカレータに
乗り込んだとしてもエスカレータの踏段１段の上
に車椅子を水平状態のまま載せることはできず、
踏段２段に跨がり車椅子を傾けて利用せざるを得
ないので、車椅子が落下する可能性が高く非常に
危険である。

又、車椅子と一般乗客の両方を乗せる特殊構造
の兼用エスカレータは駅舎等の構造上設置不能な
場合が多く、一方車椅子専用エスカレータが設置
されている所もあるが、一般利用者用エスカレー
タとは別に設置しなければならないという欠点が
ある。

そこで、本出願人は前記のような問題を解消す
るために第１図乃至第３図に示すような構造のエ
スカレータ用車椅子補助台車を、この発明とは別
に特許出願している（以下、この特許出願を別件
出願という）。

以下、この別件出願に係わる台車構造を第１図
乃至第３図の図面に従い説明すると、図中１０は
車椅子利用者Ａが乗つた車椅子Ｂを載せる台車本
体で、車椅子Ｂの載る底板１と、この底板の両側
に配置した側板２と、付添い者Ｃが手で持つて押
し動かす後部両側取手杆５ａ及びこの後部両側取
手杆に枝別れするように取付けた前部両側取手杆
５ｂ（この前部両側取手杆には車椅子ストツパ６
が設けられている）とから構成され、前記台車本
体１０の前部両側と後端部両側には前車輪３と後
車輪４がエスカレータ踏段Ｓの３段の踏段面に跨
がる軸間距離Ｌをもつて軸着されている。７は車
椅子Ｂを載せた台車本体１０を、エスカレータの
踏段水平部SLからの第３図のような階段形成運
動、或いはその逆の踏段階段部SKからの水平形
成運動に合わせて、後輪側上昇及び後輪側下降さ
せて水平状態に維持させる装置であつて、この台
車水平維持装置７は台車本体１０の前後車輪３，
４間に軸８ａで軸着された付添い者Ｃが押し下げ
操作可能な回動操作レバー８と、この回動操作レ
バーの下端軸支部から後車輪４の方向に延出する
踏段接床押し上げレバー９とからなり、この踏段
接床押し上げレバー９の先端部に摩擦抵抗の大き
い弾性体、例えばニトリルゴムで形成された踏段
接床体９ａが取付けられている。前記回動操作レ
バー８は前記後部両側取手杆５ａの上端柄部を越
えて下方及び上方に回動可能な第１図の如き門形
形状をなし、常時は前記踏段接床体９ａが離床す
る第２図の位置に図示しない係止手段によつて掛
止されている。なお、前記回動操作レバー８と踏
段接床押し上げレバー９の屈折角θは付添い者Ｓ
が操作し易い一定の角度、例えば略75度程度に設
定され、且つ長さの比を適宜にとることによつ
て、小さな力で台車押し上げできるように構成さ
れている。

而して、前記のように構成された別件出願に係
わる補助台車の利用法について述べると、車椅子
Ｂを押してきた付添い者Ｃがエスカレータ乗降口
の近くで車椅子Ｂをいつたん停止させ、ここで用
意されている前記補助台車に利用者乗込みの車椅
子Ｂを載せ、該車椅子搭載の補助台車をエスカレ
ータ乗降口（以下、エスカレータ下階乗降口の場
合について述べる）まで付添い者が押して行き、
ここでエスカレータ運転者がエスカレータを停止
させるのを待つてエスカレータ踏段Ｓの下階踏段
水平部SLに前記台車を第３図の如く位置決めし
た状態に乗り込み停止させる。この台車乗込み後
にエスカレータを起動し、前記台車がエスカレー
タ降り口の上階踏段水平部に至つた時にエスカレ
ータを停止させるという手動或いは自動のエスカ
レータ運転を行なう。この時、付添い者Ｃはエス
カレータの下階踏段水平部SLからの階段形成運
動に合わせて回動操作レバー８を押し下げ、踏段
接床押し上げレバー９の接床押し上げ作用によつ
て車椅子Ｂを載せた台車本体１０を、前車輪３を
支点として第３図右上の状態の如く後輪側上昇さ
せ（この時車椅子利用者Ａ、車椅子Ｂ及び補助台
車の荷重は前車輪３と踏段接床体９ａによつて支
持される）、水平状態を維持させるようにしなが
ら上昇移動させ、そして前記エスカレータ踏段Ｓ
が踏段階段部SKから上階踏段水平部に移行停止
する直前に於いて前記回動操作レバー８を踏段階
段部SKからの水平形成運動に合わせて押し上げ
回動させる操作を行なう。このようにすると、車
椅子搭載の補助台車をエスカレータの上階踏段水
平部まで水平に維持した状態で上昇させることが
でき、そしてエスカレータ降り口の上階踏段水平
部に搬送停止された車椅子搭載の補助台車は前後
車輪３，４が踏段水平部に接床した状態で、その
ままエスカレータ降り口の床面側に簡単に押し出
すことができる。

ところで、一般のエスカレータの中には上・下
階の乗降口において踏段の水平部を第３図のよう
に十分にとれない場合がある。このような踏段水
平部の少ない、例えば下階及び上階の踏段水平部
が踏段一・二枚分位しかない場合には、上階踏段
水平部において台車水平維持装置７の踏段接床体
９ａを上げて台車本体１０を後輪側下降させた時
に台車本体部が踏段部に当り、後車輪４が浮き上
がつて、補助台車全体が後ろ下がりに傾斜すると
いう危険性があつた。また、前記別件出願の補助
台車はエスカレータの下階踏段水平部に乗り込ま
せる時に台車本体１０を所定の位置に正しく位置
決めして押し込み停止させることが困難であると
いう問題もあつた。

〔発明の目的〕

この発明は前記別件出願の利点はそのまま取り
入れ、前述したような問題点を解消するようにし
たエスカレータ用の車椅子補助台車を提供するこ
とを目的とする。

〔発明の概要〕

この発明のエスカレータ用車椅子補助台車は車
椅子利用者が付添い者を伴なつてエスカレータを
利用することができるようにした、車椅子を載せ
て押し動かすことができる台車本体と、この台車
本体の前方及び後方の左右両側にエスカレータ踏
段の少なくとも３段の踏段面に跨がる前後車軸間
隔で軸着された前後車輪と、前記台車本体に備え
られエスカレータの踏段水平部からの階段形成運
動、或いはその逆の踏段階段部からの水平形成運
動に合わせて、車椅子を載せて台車本体を後輪側
上昇及び後輪側下降させ、水平状態を維持させる
台車水平維持装置とを具備した別件出願に係わる
エスカレータ用の車椅子補助台車に於いて、前記
台車本体の前後車輪間に、エスカレータの上階踏
段水平部において台車水平維持装置の踏段接床体
を上げた時に前車輪が接床する踏段の次の踏段面
に乗つて台車本体を略水平に近い状態に支持し且
つエスカレータに載せない時には前後車輪の水平
接地面より少し浮き上がる中間車輪を設けると共
に、前記台車本体の前車輪より前方に延出する台
車前端部に、エスカレータの下階踏段水平部への
台車押し込み時において踏段階段部に当接し台車
乗り込み位置を所定の位置にストツプさせるスト
ツパ体を設けたことを特徴とするものである。

〔発明の実施例〕

以下、この発明の一実施例について第４図乃至
第７図の図面に従い説明すると、このエスカレー
タ用の車椅子補助台車は第１図乃至第３図に示す
別件出願の補助台車（この台車構造の説明は同一
部分に同符号を付して省略する）に於いて、台車
本体１０の前後車輪３，４間に、エスカレータの
上階踏段水平部SHにおいて台車水平維持装置７
の踏段接床体９ａを上げた時に前車輪３が接床す
る踏段Ｓ１の次の踏段Ｓ２面に第６図のように乗
つて台車本体１０を略水平に近い状態に支持し且
つエスカレータに載てない時（床面を普通の状態
で押し動かす時）には前後車輪３，４の水平接地
面より少し浮き上がる中間車輪１１を設けると共
に、前記台車本体１０の前車輪３より前方に延出
する台車前端部１０ａに、エスカレータの下階踏
段水平部SLへの第４図の如き台車押し込み時に
おいて踏段階段部Saに当接し、台車乗り込み位
置を正しい位置にストツプさせるストツパ体１２
を設けたことを特徴とするもので、この実施例の
場合には前記ストツパ体１２がゴムローラ等の転
子で形成されている。

第４図はエスカレータを停止させた状態で車椅
子搭載の補助台車を下階踏段水平部SLに押し込
んだ状態（前記ストツパ体１２が踏段部Saに当
接して台車本体１０が正しい位置に停止される）
を示し、この状態でエスカレータを寸動させ第５
図の状態まで踏段Ｓを進め、台車水平維持装置７
のレバー押し下げにより台車後輪側を持ち上げ水
平状態を維持させる。そして、前記エスカレータ
を再び作動させ踏段形成運動に合わせてレバー操
作し、台車本体１０の水平状態を維持させながら
上階乗降口方向に上昇移動させる。更に、上階に
おいては第６図に示すように、台車が上階乗降口
の近くまできた時点でエスカレータ作動を停止さ
せ、ここでレバー８の押し下げ操作を緩めて中間
車輪１１を踏段Ｓ２部に接床させる（この時、中
間車輪１１のない別件出願の補助台車は後ろ下が
りに傾斜し危険であつたが、この発明によると台
車本体１０は中間車輪１１の前述したような踏段
接床によつて略水平に近い状態に維持されるので
前述のような問題は起らない）。然る後、後部両
側取手杆５ａにより台車本体１０を押して第７図
に示すように前車輪３が乗降板１３上に、後車輪
４が水平踏段Ｓ２上にくる位置まで押し出せば、
後はそのままエスカレータから簡単に降すことが
できる。

〔発明の効果〕

これ発明によれば、付添い者を伴なつた車椅子
利用者が一般のエスカレータでも安全に利用する
ことができ、エスカレータ搬送途中で車椅子搭載
の補助台車が車椅子利用者及び付添い者と一諸に
落下するという危険性を解消することができると
いう別件出願の効果に加えて、次のような効果を
奏する。

(1) 台車本体の前後車輪間に、エスカレータの上
階踏段水平部において台車水平維持装置の踏段
接床体を上げた時に前車輪が接床する踏段の次
の踏段面に乗つて台車本体を略水平に近い状態
に支持する中間車輪を設けているので、別件出
願のように台車本体が傾斜する問題を解消する
ことができる。

(2) 前記中間車輪はエスカレータに載せない時に
は前後車輪の水平接地面より少し浮き上がり、
前後車輪で台車全体の荷重を支持するので、台
車は安定し、台車に車椅子を載せる際に安定し
た状態を確保することができると共に、台車移
動も容易に行なえる。

(3) 台車本体の前端部にストツパ体が設けられて
いるので、エスカレータの下階踏段水平部への
台車押し込み時において台車乗り込み位置を正
しい位置に押し込み停止させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本出願人がこの発明とは別に出願した
別件出願のエスカレータ用車椅子補助台車の平面
図、第２図は同補助台車の正面図、第３図は同補
助台車の使用状態の説明図、第４図乃至第７図は
この発明の一実施例による補助台車の構成と作用
を示す説明図であつて、第４図はエスカレータの
下階踏段水平部への台車押し込み状態を示す動作
状態図、第５図は第４図の状態からエスカレータ
を寸動停止させた動作状態図、第６図はエスカレ
ータの上階乗降口での停止状態を示す動作状態
図、第７図は第６図の状態から乗降板上に少し押
し出した状態を示す動作説明図である。 Ａ……車椅子利用者、Ｂ……車椅子、Ｃ……付
添い者、Ｓ……エスカレータ踏段、SL……下階
踏段水平部、SK……踏段階段部、SH……上階踏
段水平部、１……底板、２……側板、３……前車
輪、４……後車輪、Ｌ……前後車輪軸の軸間距
離、６……車椅子ストツパ、７……台車水平維持
装置、８……回動操作レバー、９……踏段接床押
し上げレバー、９ａ……踏段接床体、１０……台
車本体、１１……中間車輪、１２……ストツパ
体。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 車椅子利用者が付添い者を伴なつてエスカレ
   ータを利用することができるようにした、車椅子
   を載せて押し動かすことができる台車本体と、こ
   の台車本体の前方及び後方の左右両側にエスカレ
   ータ踏段の少なくとも３段の踏段面に跨がる前後
   車輪間隔で軸着された前後車輪と、前記台車本体
   に備えられエスカレータの踏段水平部からの階段
   形成運動、或いはその逆の踏段階段からの水平形
   成運動に合わせて、車椅子を載せた台車本体を後
   輪側上昇及び後輪側下降させる台車水平維持装置
   とを具備したエスカレータ用の車椅子補助台車に
   於いて、前記台車本体の前後車輪間に、エスカレ
   ータの上階踏段水平部において台車水平維持装置
   の踏段接床体を上げた時に前車輪が接床する踏段
   の次の水平踏段面に乗つて台車本体を略水平に近
   い状態に支持し且つエスカレータに載せない時に
   は前後車輪の水平接地面より少し浮き上がる中間
   車輪を設けると共に、前記台車本体の前車輪より
   前方に延出する台車前端部に、エスカレータの下
   階踏段水平部への台車押し込み時において踏段階
   段部に当接し台車乗り込み位置を所定の位置にス
   トツプさせるストツパ体を設けたことを特徴とす
   るエスカレータ用の車椅子補助台車。 ２ 前記ストツパ体が台車本体の前端部に軸着さ
   れたゴムローラ等の転子であることを特徴とする
   特許請求の範囲第１項に記載のエスカレータ用の
   車椅子補助台車。