JPS6222318Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、ダイホルダに取り付けられたシリン
ダに上パンチホルダを上下動可能に支持させた粉
末成形用ダイセツトの改良に関するものである。

粉末成形用ダイセツトには、ダイホルダにシリ
ンダを取り付け、シリンダに上下動可能に上パン
チホルダを支持させ、プレス機に取り付けられた
粉末成形用ダイセツトを取りはずしてからこれと
は別の粉末成形用ダイセツトを取りつけるまでの
作業時間（段替え時間）の短縮をはかるようにし
たものがある。

ところで、従来から、成形中に粉末成形品に割
れが生ずるのを防止するため、ダイを強制的に下
降させるタイミングと粉末に加わる圧力とを調整
するようにしている。従来は、この調整をプレス
機に取り付けられた付属回路で行なつており、こ
の調整が難かしくて面倒な作業であつたために、
このタイミング調整及び圧力調整に多大の時間を
要していた。

本考案は上記の問題点に鑑みてなされたもの
で、本考案の特徴は、プレス機にダイセツトを取
り付けてからはタイミング調整及び圧力調整を行
なわなくともよいように、あらかじめダイセツト
にこの調整を行なう装置を組込んで、もつてプレ
ス機にダイセツトを取り付けてからプレス作業に
入るまでの時間を短縮するようにしたものであ
る。

以下に本考案の実施例を図面に従つて説明す
る。

第１図、第２図において、１は下パンチホルダ
で、この下パンチホルダ１の上面中央部には、下
パンチ２が固定されている。この下パンチホルダ
１には、支柱３，４が上下動自在に貫挿されてお
り、支柱３，４の下端部にはベースプレート５が
装着されている。一方、支柱３，４の上端部に
は、ダイホルダ６が装着されており、このダイホ
ルダ６の中央部には、ダイ７が固定されている。
このダイホルダ６の上面両側には、シリンダ８，
９が固定されており、このシリンダ８，９に上下
動可能にピストン１０（第１図では左側のみに１
０が現わされている。）が嵌装されている。ピス
トン１０と一体のピストンロツド１１，１２の上
端部には上パンチホルダ１３が取り付けられてお
り、この上パンチホルダ１３の下面中央部には上
パンチホルダ１４が固定されている。

シリンダ８，９には、その下部側周壁に圧縮空
気の導入管１５，１６が設けられており、この導
入管１５，１６は配管１７を介してコンプレツサ
１８に接続されている。この配管１７の途中に
は、逆止弁１９が設けられており、コンプレツサ
１８からシリンダ８，９内部への圧縮空気の流入
は許すが、シリンダ８，９内部からコンプレツサ
１８への圧縮空気の逆流はこれを防止するように
なつている。圧縮空気の供給源、すなわち、コン
プレツサ１８を上流点として、逆止弁１９よりも
下流側の配管１７の部分には、４ポート２位置切
換弁２０と圧力計２１とが、それぞれ分岐して接
続されている。この切換弁２０には、互いに設定
圧の異なるパイロツト付リリーフ弁２２，２３が
接続されており、ここではリリーフ弁２３の設定
圧をリリーフ弁２２の設定圧よりも高くしてあ
る。なお、リリーフ弁２２の設定圧は、シリンダ
８，９内部へ圧送されつつある圧縮空気の一部が
このリリーフ弁２２から外に洩れ出ないような設
定圧となつている。

これら各構成要素１９，２０，２１，２２は、
タイミング調整及び圧力調整を行なう装置の一部
を構成しており、これら各構成要素１９，２０，
２１，２２に相当する部品は、取付板２４により
下パンチホルダ１に取り付けられている。第２図
には、これら各構成要素１９，２０，２１，２２
に該当する部品にそれぞれ同一の符号が付されて
示されている。

切換弁２０は、リミツトスイツチ２５，２６に
よつて制御されるようになつており、このリミツ
トスイツチ２５，２６はシリンダ８の周壁上部付
近に、上下に間隔をあけて取り付けられている。
上パンチホルダ１３には、制御部材２７が取り付
けられており、その傾斜面部２７ａが、上パンチ
ホルダ１３の下降中に、リミツトスイツチ２５，
２６の突出部２５′，２６′に作用するようになつ
ている。ここでは、傾斜面部２７ａがリミツトス
イツチ２５の突出部２５′に作用すると同時に、
リリーフ弁２２がシリンダ８，９内部の圧縮空気
を排出する状態からリリーフ弁２３がシリンダ
８，９内部の圧縮空気を排出する状態に切換える
ようになつており、また、傾斜面部２７ａがリミ
ツトスイツチ２６の突出部２６′に作用すると同
時に、リリーフ弁２３がシリンダ８，９内部の圧
縮空気を排出する状態からリリーフ弁２２がシリ
ンダ８，９内部の圧縮空気を排出する状態に切換
るようになつている。

このように構成されたこの粉末成形用ダイセツ
トは、下パンチホルダ１をプレスベツド（図示を
略す。）に固定し、ベースプレート５をプレス下
ラム（図示を略す。）に固定することにより、図
示しないプレス機に取り付けられる。

次に、この粉末成形用ダイセツトを稼動させる
場合について説明する。

ダイセツトの取付直後には、上パンチホルダ１
３が下降位置にある。コンプレツサ１８を作動さ
せて圧縮空気をシリンダ８，９内部に送り込む
と、この圧縮空気の圧力により上パンチホルダ１
３が上昇して図示しないプレス上ラムに当接す
る。ここで、下パンチ２とダイ７とによつて形成
される凹所Ａに粉末を充填する。そして、プレス
上ラムを下降させる。プレス上ラムを下降させる
と、シリンダ８，９に上下動可能に支持された上
パンチホルダ１３がピストン１０と共に下降す
る。このピストン１０の下降により、シリンダ
８，９内部の圧縮空気は、シリンダ８，９内部か
ら排出されようとするが、逆止弁１９があるため
コンプレツサ１８への逆流が防止され、切換弁２
０を介してリリーフ弁２２に導かれることとな
る。この場合、シリンダ８，９内部の圧縮空気
は、その圧力がリリーフ弁２２の設定圧よりも高
まるまで圧縮される。そして、リリーフ弁２２の
設定圧よりもシリンダ８，９内部の圧縮空気の圧
力が高くなると、この圧縮空気はリリーフ弁２２
から外へ排出されることとなる。これによつて、
シリンダ８内部の圧縮空気の圧力は所定の圧力値
に維持され、この圧縮空気の圧力はダイホルダ６
を下降させる力としてダイホルダ６に作用するこ
ととなるが、ここでは、上パンチホルダ１３が下
降し始めてからこれに取り付けられた制御部材２
７の傾斜面部２７ａがリミツトスイツチ２５の突
出部２５′に当接するまでの間に、ダイホルダ６
に加わる圧縮空気の圧力によつては、ダイホルダ
６は下降しないようにされている。

ダイホルダ６と上パンチホルダ１３との距離が
縮まつて、制御部材２７の傾斜面部２７ａがリミ
ツトスイツチ２５の突出部２５′に当接すると、
切換弁２０によつてリリーフ弁２２がシリンダ
８，９内部の圧縮空気を排出する状態からリリー
フ弁２３がシリンダ８，９内部の圧縮空気を排出
する状態に切換えられる。ここでは、リリーフ弁
２３の設定圧は、シリンダ８，９内部の圧縮空気
の圧力を、ダイホルダ６を下降させるに充分な圧
力値までに高めうる設定圧とされている。

したがつて、リリーフ弁２２がシリンダ８，９
内部の圧縮空気を排出する状態からリリーフ弁２
３がシリンダ８，９内部の圧縮空気を排出する状
態に切換えられた直後から、ダイホルダ６が下降
し始め、ダイホルダ６と上パンチホルダ１３との
相対速度が変化することとなり、これによつてダ
イの内壁面に加わる摩擦力が低減され凹所Ａに充
填された粉末の流れが成形中に変化して、粉末成
形品に割れ等が生ずることが防止されることとな
る。

そして、上ラムがその下死点までくると、上パ
ンチホルダ１３はその下降を停止し、ダイホルダ
６が図示しない下ラムによつて強制的に下降さ
れ、ダイ７から成形品が抜き出されることとな
る。そして、コンプレツサ１８により圧縮空気を
シリンダ８，９内部に送り込むことにより上パン
チホルダ１３が持ち上げられ、ダイホルダ６がそ
の下降前の位置まで持ち上げられて、ダイセツト
は成形前の状態に復帰することとなる。

この実施例によれば、以下のことが可能とな
る。

(1) リリーフ弁２３の設定圧を加減することによ
り、シリンダ８，９内部の圧縮空気の圧力を加
減できることとなるので、ダイホルダ６の下降
速度を、この設定圧を加減するのみで自由に変
えうることが可能となる。たとえば、リリーフ
弁２３を閉じると、シリンダ８，９内部の圧力
が上パンチホルダ１３の下降に伴つて急激に高
まることとなるので、ダイホルダ６の下降速度
は、上パンチホルダ１３の下降速度と略一致す
ることとなり、リリーフ弁２３の設定圧をリリ
ーフ弁２２の設定圧に近づけるにつれてダイホ
ルダ６の下降速度は小さくなる。

(2) 制御部材２７の斜面部２７ａとリミツトスイ
ツチ２５の突出部２５′との間の距離を加減す
ることにより、ダイを下降させるタイミングを
任意に調整することができる。

(3) また、ダイの下降速度を任意に変えうるの
で、粉末に加わる圧力をも任意に調整すること
が可能である。

以上、実施例について説明したが、本考案は、
これに限らず以下のものをも含むものである。

(1) 実施例では、リリーフ弁を２個設けたが、こ
のリリーフ弁は少くとも１個あれば十分であ
る。すなわち、切換弁のどちらか一方のポート
を閉じておいて、他方のポートにリリーフ弁を
接続し、上パンチホルダの下降に伴つて、切換
弁を切換え、シリンダ内部の圧縮空気の圧力を
切換えるようにすれば、上パンチホルダとダイ
ホルダとの相対速度を変えうることが可能であ
る。

(2) 実施例では、切換弁に４ポート２位置切換弁
を使用したが、上パンチホルダの下降に伴つて
切換えられる切換弁であるならばこれに限る必
要はない。

本考案は、以上のように構成したので下記の効
果を奏する。

(1) ダイセツトにタイミング調整と圧力調整とを
行なうための装置を直接組み込んだので、あら
かじめこの調整を行なうことができ、もつてプ
レス機にダイセツトを取り付けてからプレス作
業に入るまでの時間を短縮できる。

(2) 切換弁に接続されるリリーフ弁の個数を増す
ことにより、ダイホルダの下降速度を段階的に
細かく変えうることが可能となり、したがつて
成形中の粉末の流れを細かく変えることがで
き、割れ等の発生を防止するためのタイミング
調整及び圧力調整を細かく設定できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案に係る粉末成形用ダイセツト
の配管系路を含む部分断面図、第２図は、本考案
に係る粉末成形用ダイセツトの正面図、である。 ６……ダイホルダ、７……ダイ、８，９……シ
リンダ、１３……上パンチホルダ、１８……コン
プレツサ、１９……逆止弁、２０……切換弁、２
２，２３……リリーフ弁。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 上下動可能なダイホルダに取り付けられたシリ
   ンダと、 前記シリンダに上下動可能に支持された上パン
   チホルダと、 前記シリンダに接続され該シリンダ内部に圧縮
   空気を送り込むためのコンプレツサと、 を備えた粉末成形用ダイセツトにおいて、 前記コンプレツサと前記シリンダとを接続する
   通路途中に該シリンダ内部から前記コンプレツサ
   への圧縮空気の逆流を防止する逆止弁を設け、前
   記シリンダには切換弁を介して少くとも１個のリ
   リーフ弁を接続し、 前記上パンチホルダの下降に伴つて前記切換弁
   を切換えることにより、前記シリンダ内部の圧縮
   空気の圧力を切換えて、前記上パンチホルダと前
   記ダイホルダとの相対速度を変化させるようにし
   たことを特徴とする粉末成形用ダイセツト。