JPS6221168B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は磁気記録媒体を垂直方向（厚み方
向）に磁化して信号を記録する垂直磁化型磁気ヘ
ツドに関する。

磁気記録媒体に信号を記録する場合、従来はリ
ング型磁気ヘツドにより磁気記録媒体の面内方向
の残留磁化を用いて行うものがほとんどであつ
た。ところがこの方式は記録を高密度化するにし
たがつて記録媒体内反磁場が大きくなり、このた
め高密度記録に自ら限界があつた。

これに対して近年、磁気記録媒体に垂直な磁化
モードを利用する垂直磁化記録方式が提案されて
おり、短波長特性が優れ高密度記録に適している
ことが確認されている（特開昭52−134706）。

この方式に適用する磁気ヘツドとしては、磁性
薄膜よりなる主磁極と、記録用巻線を有する磁性
厚膜の補助磁極とを対向させ、その間を記録媒体
を主磁極面に沿つて移動して磁気記録を行う所謂
補助磁極励磁型磁気ヘツドが記録分解能、記録効
率的に優れていることも確認されている（特開昭
53−32009）。しかしながら、ビデオ信号のような
高周波帯の信号を垂直磁化記録する場合には、上
記の磁気ヘツドでは記録効率の点で末だ十分では
なく、より記録効率の優れた磁気ヘツドが望まれ
ている。

この発明は斯かる点に鑑みてなされたもので、
高周波帯の信号を記録効率良く記録することので
きる垂直磁化型磁気ヘツドを提供することを目的
とするものである。

この発明は前述のような補助磁極励磁型磁気ヘ
ツドにおいて、補助磁極の磁化容易軸を磁気記録
媒体面に平行となる方向に設定することにより補
助磁極の透磁率を向上させ、もつて記録効率の優
れた垂直磁化型磁気ヘツドを得るものである。

以下この発明を図面を参照して詳細に説明す
る。

第１図はこの発明の一実施例による垂直磁化型
磁気ヘツドの側面図を示すものである。図に示す
如く矢印の方向に走行する磁気記録媒体１１の磁
性層１１′側に端面を接して磁気記録媒体１１の
走行方向に厚さの薄い高透磁率磁性薄膜、例えば
厚さ数μｍ以下の短柵状のパーマロイ薄膜からな
る主磁極１２が設けられている。またこの主磁極
１２の磁気記録媒体１１をはさんで反対側に磁気
記録媒体１１の走行方向に厚さの大きい、例えば
数100μｍ厚の補助磁極１３が設けられている。
この補助磁極１３には巻線１４が施されており、
図示しない記録電流源より記録電流が流される。
補助磁極１３はこの記録電流に応じて励磁され、
これによつてできる磁場で主磁極１２が磁化さ
れ、さらにこの主磁極１２の磁場で磁気記録媒体
１１が垂直方向に磁化され、信号が記録される。

このような構成において、本発明では前記補助
磁極１３の磁化容易軸が磁気記録媒体面に平行と
なるような方向に設けられている。以下この理由
を説明する。

一般にビデオ信号のような高周波では高透磁率
磁性体の磁化の進行は可逆回転磁化によるものと
考えられている。その場合、透磁率μは磁化ベク
トルＭの方向と磁束の走る方向とのなす角度をθ
としたとき μ∝sin²θ となることが知られている。従つてθ＝π／２のとき μが最大となる。補助磁極１３から発生する磁束
は磁気記録媒体１１の面に対して垂直方向である
から、この磁束方向に対してπ/2の角度、即ち磁
気記録媒体１１の面に対して平行な方向を補助磁
極１３の磁化容易軸とすれば補助磁極１３の透磁
率μを最大にすることができる。なおこの磁化容
易軸は磁気記録媒体１１の面に平行であればどの
方向に向いていても良い。

このように補助磁極励磁型磁気ヘツドにおいて
補助磁極の磁化容易軸を磁気記録媒体の面に平行
な方向にすることによつて、透磁率の大きい補助
磁極を得ることができる。一般にビデオ帯のよう
な高周波帯では磁性体の透磁率の劣化により記録
効率の劣化が問題となるが、この発明によればこ
のような高周波帯においても記録効率の良好なる
垂直磁化型磁気ヘツドを得ることができる。

第２図はこの発明の他の実施例を示す斜視図で
ある。第１図と対応する部分について同一番号を
付して説明する。この実施例では補助磁極１３の
磁化容易軸が磁気記録媒体１１面に平行な方向に
設定されている点については第１図の実施例と同
様であるが、補助磁極１３に直方体Mn−Znフエ
ライト単結晶が用いられており、その側面すなわ
ち磁気記録媒体１１に垂直な一面２１およびその
反対側の面が機械的性質が失われない程度の傾斜
を許した（100）面で形成され、かつその面に例
えばラツピングテープによりラツピングが施され
ている点に特徴がある。Mn−Znフエライトはビ
デオ帯で高透磁率を示し、従来からビデオヘツド
材料としてよく用いられているものであるが、最
近の研究によれば、常温で異方性定数Ｋ〓０の
Mn−Znフエライト単結晶において、結晶面にラ
ツピングを施すと、弾性歪によりその面に対し最
も垂直に近い磁化容易軸＜100＞方向に磁化ベク
トルが向くことが報告されている。またその深さ
は（100）面をラツピングした場合、表面から垂
直方向300μｍに達することが観察されている
（電子通信学会信学技報77.159.MR77−21）。

第３図は表面（100）をラツピング仕上げした
厚さ250μｍのMn−Znフエライトリングの透磁
率実数部μ′（μ＝μ′−ｉμ″）の周波数特性を
示す。表面（100）の＜100＞リングは同図Ａに示
す如く5MHzでもμ′〓1500と高く、多結晶リン
グ（同図Ｂ）や＜111＞リング（同図Ｃ）のよう
に高周波での特性劣化がみられない。このように
（100）面にラツピングを施し、その面に平行な方
向に磁束を流す構造にすると、かなり高周波まで
高透磁率が維持できる。従つて第２図に示すよう
に補助磁極１３に直方体Mn−Znフエライト単結
晶を用い、少なくとも一対の相対する面を機械的
性質が失われない程度の傾斜を許してラツピング
を施した（100）面とし、その面を磁極側面即ち
磁気記録媒体１１の面に垂直な面として設置する
ことで、一層の高透磁率化が図れ、記録効率が向
上する。但し、ラツピング効果は後からラツピン
グを施した面からの影響が大きいから（100）面
のラツピングは一番最後に行う必要がある。また
ラツピング面は上記のように補助磁極１３の相対
する一対の側面について施す場合のほか、さらに
他の一対の側面について施せばより一層の効果が
ある。また単に一つの側面に施すだけであつて
も、それなりの効果は得られる。

このように本発明によれば、補助磁極の磁化容
易軸を磁気記録媒体面に平行となるように設定
し、さらに必要に応じて、補助磁極の側面、即ち
磁気記録媒体面に垂直な面をラツピングすること
によつて高周波帯において記録効率をより一層向
上することのできる垂直磁化型磁気ヘツドを提供
することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例を示す図、第２図
はこの発明の他の実施例を示す図、第３図は表面
ラツピングを施したMn−Znフエライトリングに
おける透磁率μ′の周波数特性図である。 １１……磁気記録媒体、１１′……磁性層、１
２……主磁極、１３……補助磁極、１４……巻
線。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 磁気記録媒体をはさんで高透磁率薄膜からな
   る主磁極とこの主磁極を励磁するよう巻線を施し
   た捕助磁極とを対向して配置し前記磁気記録媒体
   に情報を記録する垂直磁化型磁気ヘツドにおい
   て、前記補助磁極の磁化容易軸を前記磁気記録媒
   体の記録面に平行な方向に設定したことを特徴と
   する垂直磁化型磁気ヘツド。 ２ 補助磁極は、直方体Mn−Znフエライト単結
   晶により構成され、且つ磁気記録媒体に垂直な少
   なくともひとつの面が機械的性質が失われない程
   度の傾斜を許した（100）面で形成され、その
   （100）面にラツピングが施されていることを特徴
   とする特許請求の範囲第１項記載の垂直磁化型磁
   気ヘツド。