JPS6220643B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、弾性（可撓性を含む）を有し絶縁性
を有する発泡体を用いて製作する振動等に対して
安定した弾性導電体に関する。

従来、ゴム、発泡体その他の弾性体の内部に導
電物質を分布し、弾性のある導電体を構成し、又
は弾性で且つ通常は非導電性であるが、荷重し加
圧した部分が圧縮されて、内在する導電物質が接
し、通電を可能にする又は電気抵抗が減少する感
圧導電体又は減圧抵抗体や特開昭49−89891号公
報に開示されているような連通気泡性弾性体を炭
素粉、銅粉、アルミ粉、鉄粉の如き導電性粉末を
含んだ処理液に浸漬した後、処理液を乾燥して連
通気泡内に導電性粉末を介在させた感圧性電気抵
抗体はあるが、振動等に対して安定した、耐久性
のある弾性導電体は未だなかつた。

本発明はこのような点に鑑み、たやすく得られ
る電気絶縁性の発泡弾性体からなると共に内部気
孔が所定の状態に連通している多孔体であつて、
前記多孔体の表面及び表面に連通開口した内部気
孔のない壁面に所定の厚さの導電性物質の析出膜
を形成して導通せしめるようにしたものである。

次に本発明の概要を説明する。

本発明は、弾性を有する電気絶縁性であり抵抗
性である発泡体を母材として用いる。本発明にい
う弾性体は、内部に気泡又は孔を有する多孔体、
プラスチツクフオーム、高分子化合物の発泡体そ
の他の有孔体であつて、弾性を有し内部孔の開口
を存在させるものである。前記弾性体の両表面及
び表面に連通開口した気孔の表面及び内壁面に所
定の厚さの導電性物質の析出膜を形成するもの
で、該析出膜の密度及び厚さを変化させて形成す
るものであり、その析出膜の形成には電気絶縁性
の発泡弾性体からなる母材表面と孔部に対して、
導電性物質を、蒸着、融点付近における軟化加圧
融着、イオンスパツタリング、化学鍍金、電気鍍
金等を利用して行なう。導電性物質としては、例
えば金、銀、銅、ニツケル、コバルト、クロム、
アルミニウム、錫、パラジウムその他の金属、又
は合金、グラフアイト、モルブデン銀、タングス
テン銀、モリブデン銅、タングステン銅、金属炭
化物その他のもの、又は非導電性物の表面に導電
性物質を蒸着若しくは鍍金等をしたものを用い
る。このような導電性物質を、所定の個所に所定
の密度と厚さをもつて、蒸着膜、鍍金膜その他の
前記形成による導電性の膜を形成する。このよう
にして、単純な導電性物質の膜、例えば銅や金の
膜を形成したり、その軟らかい銅や金の膜上にク
ロムの膜を設けて、それを保護する等夫々形成膜
又は組合せ膜を作ることができる。そして、これ
らの膜を有する弾性導電体を所定の寸法形状に切
り離して、表面の導電性物質の膜の面が互いに接
するようになり、スライスした面を他の弾性導電
体の表面の膜に接したり、或いは互いにスライス
した面を接するようにする等して複数の弾性導電
体を積み重ねて積層体とすることができる。又、
複数の弾性導電体が接する、合せ部分に絶縁層を
設けると、複数の導電路を有する弾性導電体の層
があるようになり、その絶縁層を鋼状にするか、
或いは点を分散したようにした場合は、弾性導電
体の外面又は所定の個所を加圧し、圧縮すると、
その個所の鋼目等を通して両側の弾性導電体の導
電物質の膜が接触する部分ができて互いに導電す
ることを可能にしたものである。この弾性導電体
は、金属電気接点又はスイツチとして用いて火花
の発生がなく、振動によるがたつきのために導電
性を劣化することなく、所定の個所が導電し他は
絶縁性を保持し、又接点の開閉による損傷及び摩
滅がない。又弾性導電体等を適宜組合せた層を作
ることによりタツチプレート等に利用でき、セン
サーにも利用することができる。

次に本発明を実施例について説明する。

ポリスチレン発泡体の内部空間を連通させたも
のを親水性化処理をし、次に第１錫イオン存在塩
化第１錫の溶液中で感受性化処理をし、水洗後、
塩化パラジウム溶液中で活性化処理をし、次に銅
鍍金をした。両表面及び表面に開口した孔内面
に、平均してほぼ２ミクロン厚さの銅鍍金層を得
た。発泡孔数は、表面25.4mm当たりほぼ200孔で
あつた。測定結果を第１図に示した。対比試験と
して、通電接触部にスプリングを挾装したバネ接
続のもの（曲線Ａ１）、前記スプリングに変えて
従来の導電性ゴム材を接続のもの（曲線Ａ２）
に、周波数を変化させて振動を加えて抵抗値変化
を測定した。本発明のもの（曲線Ａ３）は、振動
数変化によつても導電性の変化を示さなかつた
が、他のものは変化し、導電性ゴム材は、100ヘ
ルツに達すると急激に導電性が劣化し、バネ接続
のものはわずか数ヘルツの振動で急激に変化し
た。本発明のものは、静止状態で設定した0.008
Ω／cm²程度の抵抗値を保持した。

他の応用実施例として、蒸着導電膜の形成をし
又イオンスパツタリングによる導電金属膜を形成
し、前記実施例と同様に良好な結果を示した。又
導電物質として、導電金属とその合金、金属炭化
物、グラフアイトを用いて、導電性を付与し得る
ことを確認した。

又表面に開口した孔をふさがないように軟化点
以上に加熱し融点以下で導電性粒子を圧着させて
得られることも判然とした。又、導電性金属とし
て、金、銀、銅と、タングステン又はモリブデン
の合計が有効に利用し得ることを確認できたこと
は本発明の実用範囲を拡大することが期待でき
る。

既に述べたように、本発明の弾性発泡体を母材
にし導電性物質の膜を形成して作製した弾性導電
体は、よく弾性を有し振動等による導電性抵抗変
化が少なく安定した導電性を有し、振動を付与さ
れる部分に用いても導電性又は抵抗値が変化しな
いことが顕著であり、例えばノイズ防止用の導電
性パツキング、防震材、防爆カバー等に有効であ
る。又各種の発泡体に自在に適用でき、導電性の
付与方法も、各種のものが用いられ、たやすく製
作することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のものとバネ接続と導電性ゴム
の震動と抵抗値変化を示すグラフである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 電気絶縁性の発泡弾性体からなると共に内部
   気孔が所定の状態に連通している多孔体であつ
   て、前記多孔体の表面及び表面に連通開口した内
   部気孔の内壁面に所定の厚さの導電性物質の析出
   膜を形成して導通せしめることを特徴とする弾性
   導電体。