JPH10165311A - 誘導発熱体 - Google Patents

誘導発熱体

Info

Publication number
JPH10165311A
JPH10165311A JP35289296A JP35289296A JPH10165311A JP H10165311 A JPH10165311 A JP H10165311A JP 35289296 A JP35289296 A JP 35289296A JP 35289296 A JP35289296 A JP 35289296A JP H10165311 A JPH10165311 A JP H10165311A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal
induction heating
polymer
heating element
porous
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP35289296A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsuya Yamada
克弥 山田
Masaya Nishi
雅也 西
Nobumasa Matsushita
信賢 松下
Shinko Yamakawa
真弘 山川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority to JP35289296A priority Critical patent/JPH10165311A/ja
Publication of JPH10165311A publication Critical patent/JPH10165311A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Cookers (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • General Induction Heating (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 誘導発熱性及び加工性に優れるとともに、使
いやすさに富む誘導発熱体、及びその製造方法を提供す
ること。 【解決手段】 連通孔を有する金属多孔体と、ポリマー
またはセラミックスとが複合化した構造の複合化物から
なることを特徴とする誘導発熱体。連通孔を有する金属
多孔体に、ポリマーまたはセラミックスを被覆、含浸、
充填、積層またはこれらの2種以上の組み合わせからな
る方法により複合化することを特徴とする誘導発熱体の
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘導発熱体に関
し、さらに詳しくは、誘導発熱性及び加工性に優れると
ともに、使いやすさに富む誘導発熱体、及びその製造方
法に関する。本発明の誘導発熱体は、例えば、炊飯器内
釜、ホットプレート、複写機の定着ロールや定着チュー
ブ、着氷雪防止用の電線被覆、除氷装置など、誘導加熱
方式を用いた用途分野に好適に適用することができる。
【0002】
【従来の技術】コイル中に金属などの導電性被加熱物を
入れ、コイルに交流を流すと電磁誘導作用によって被加
熱物中に渦電流が流れるが、この渦電流により発生する
ジュール熱によって、被加熱物を直接加熱する方式を誘
導加熱(InductionHeating;IH)と
いう。高周波誘導加熱では、高周波コイルを用い、高周
波磁束によって被加熱物中に渦電流を発生させて加熱す
る。従来より、誘導加熱方式は、厨房機器や複写機の定
着ロールなど様々な分野で適用されている。例えば、電
磁調理器は、トッププレートの下側にコイルを配置し、
コイルで生じた磁力線により、トッププレート上の鍋の
底板内に渦電流を起こして発熱させるように構成されて
いる。複写機の定着ロールや定着チューブでは、感光体
から転写されたトナー画像を有する転写紙に、誘導加熱
方式により加熱した定着ロール、定着チューブ、または
定着ベルトを圧接することにより、トナーを溶融して転
写紙上にトナー画像を定着させている。
【0003】誘導加熱方式では、例えば、ステンレス、
ステンレス板とアルミニウム板を複合化させたクラッド
板、誘導発熱性に富んだ金属を含有させた合金、誘導発
熱性に富んだ金属の粉体をポリマーに配合した組成物な
どが誘導発熱体(被加熱物)の材料として用いられてき
た。具体的に、例えば、電磁誘導加熱式炊飯器内釜や電
磁調理器用鍋などの器物は、鉄、ステンレス、ニッケル
等の磁性金属により作製されている。これらの磁性金属
は、熱伝導率が小さいため、例えば、炊飯器内釜とし
て、発熱を受け持つ磁性金属板と、導熱を受け持つアル
ミニウム(アルミニウム合金を含む)板との複合材を基
材とし、アルミニウム層を内側にしてプレス加工により
深絞り成形したものが知られている(例えば、特公昭5
4−3468号公報、特公昭54−9985号公報、特
開平6−15465号公報、特開平6−179083号
公報)。アルミニウム層の表面には、炊飯等のこびりつ
きを防止するために、通常、フッ素樹脂の被覆層が設け
られている。
【0004】誘導発熱体は、磁界変化によって材料表面
に電流が流れる際に、その材料の電気抵抗により発熱す
る原理を利用したものである。同じ誘導発熱性を有する
材料を用いても、その形状が粉末のものは、板材などの
連続長が長いものに比べて発熱効率が低い。したがっ
て、誘導発熱性に富む金属粉体をポリマーに配合した組
成物から形成された誘電発熱体は、発熱効率が低い。ま
た、同じ誘導発熱性の材料からなる板材であれば、厚板
よりも薄板の方が発熱効率が良好である。しかしなが
ら、ステンレス板などの磁性金属板をロール圧延などに
よって薄くするのには、加工上の限度がある。また、磁
性金属板をあまり薄くすると、強度が低下する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、誘導
発熱性及び加工性に優れるとともに、使いやすさに富む
誘導発熱体、及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、誘電発熱方式において、発熱効率を高め
るには、誘電発熱体の形状を長い連続長とし、かつ、薄
くすればよいことに着目し、誘導発熱体を表面積の極め
て大きい連通孔を有する金属多孔体により形成すること
に想到した。しかし、金属スポンジなどの気孔率の大き
い金属多孔体は、材料強度が不充分であるため、そのま
までは誘導発熱体にすることが困難である。そこで、更
に検討した結果、連通孔を有する金属多孔体と、ポリマ
ーまたはセラミックスとを複合化することにより、取り
扱いやすく、加工性も良好で、発熱効率の良い誘導発熱
体が得られることを見いだした。本発明は、これらの知
見に基づいて完成するに至ったものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、連通孔
を有する金属多孔体と、ポリマーまたはセラミックスと
が複合化した構造の複合化物からなることを特徴とする
誘導発熱体が提供される。また、本発明によれば、連通
孔を有する金属多孔体に、ポリマーまたはセラミックス
を被覆、含浸、充填、積層またはこれらの2種以上の組
み合わせからなる方法により複合化することを特徴とす
る誘導発熱体の製造方法が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】金属多孔体 本願で用いる金属多孔体の材質としては、特に限定され
ないが、例えば、ニッケル、ニッケル合金、鉄、ステン
レス、コバルト、コバルト合金などの誘導発熱性金属を
挙げることができる。これらの中でも、発熱性、成形加
工性、コストなどの観点から、ニッケル(合金を含む)
が特に好ましい。金属多孔体は、気孔率が高いことが好
ましく、通常は気孔率50%以上、好ましくは70%以
上、より好ましくは80%以上であることが望ましい。
金属多孔体の厚みは、通常、0.5〜10mm、好まし
くは1〜5mm、より好ましくは1〜3mmである。
【0008】金属多孔体の形状としては、例えば、金属
スポンジ、焼結金属多孔体、金属編物、金属織物、金属
ネット、金属メッシュなどを挙げることができる。これ
らの中でも、発熱性や加工性の点で金属スポンジが好ま
しい。金属スポンジは、例えば、ポリマー多孔体に金属
を無電解メッキした後、ポリマーを加熱分解して蒸発さ
せるなどして除去することにより得ることができる。こ
のような金属スポンジは、種々のグレードのものが「セ
ルメット」シリーズとして住友電工株式会社から製造販
売されており、これらを好適に使用することができる。
なお、金属多孔体は、予め多孔体の形状に形成されたも
のだけではなく、ポリマーまたはセラミックスから形成
された多孔体の孔内部を含めた表面に、前記のごとき材
質の金属をメッキし、生成した金属メッキ層が連通孔を
有する金属多孔体を形成している構造の複合化物も、本
発明の誘導発熱体として使用することができる。
【0009】ポリマー及びセラミックス 本願で用いるポリマー及びセラミックスは、特に限定さ
れず任意の材料を用いることができるが、各用途分野に
応じた好ましい材料の具体例は、以下の通りである。 鍋、ホットプレート、炊飯器などのIH(誘電加熱)
調理機器用途では、食品に対する非粘着性が求められる
ため、ポリマーとしてフッ素樹脂が好ましく用いられ
る。フッ素樹脂の中でも、耐熱性の観点から、ポリテト
ラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチ
レン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体
(PFA)、及びテトラフルオロエチレン/ヘキサフル
オロプロピレン共重合体(FEP)が特に好ましく用い
られる。セラミックスとしては、一般に窯業に用いられ
るセラミック系材料や工業用途のエンジニアリングセラ
ミックを使用することができる。 電子写真複写機などの画像形成装置の定着部に用いら
れる定着ロール、定着チューブ、定着ベルト等の事務機
器用途においては、調理機器用途と同様、トナーの離型
性の観点から、ポリマーとして、フッ素樹脂、フッ素ゴ
ム、シリコーンゴムなどが、単独であるいは混合・積層
等により2種以上を組み合わせて用いられる。このうち
フッ素樹脂に関しては、耐熱性の観点からPTFE及び
PFAが特に好ましい。
【0010】着氷雪防止用の電線被覆用途では、一般
に電線被覆で用いられるポリマー材料を使用することが
できる。具体的には、例えば、ポリエチレン(PE)、
PE誘導体等のポリオレフィン系樹脂、フッ素樹脂、ポ
リ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド系樹脂、フッ素ゴ
ム、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリ
ルゴム、各種エラストマーなどの幅広い材料を挙げるこ
とができる。これらのポリマーは、それぞれ単独で、あ
るいは2種以上を組み合わせて使用することができ、ま
た、2種以上を積層するなどの方法により組み合わせて
用いることもできる。 航空機、車輛、船舶、屋根などの除氷装置(ディアイ
サ)については、ポリマー及びセラミックスを広い範囲
から選択することができ、上記で例示したポリマーやセ
ラミックのほか、エポキシ系ゴム・プラスチック材料、
ウレタン系ゴム・プラスチック材料、アクリル系プラス
チック、繊維素系プラスチック、イミド系プラスチック
等が用いられるが、これらに限定されるものではない。
また、本発明の誘電発熱体の用途は、上記に例示したも
のに限定されるものではない。
【0011】金属スポンジなどの気孔率の大きい金属多
孔体は、それ単独では材料強度が不足しているが、ポリ
マーまたはセラミックスとを複合化することにより、強
度が向上し、取り扱いやすく、加工性も良好で、発熱効
率に優れた誘導発熱体とすることができる。このような
複合化物は、ポリマーを複合化材料として用いると、金
属多孔体の変形しやすさが逆に効果的に作用して、塑性
加工や熱加工性の良いものとなる。また、実際の使用時
にも、変形のしやすさにより、様々な形状への加工や組
立が容易である。さらに、このような複合化物は、異種
材料間の複合化で常に問題となる接着性に関しても有利
である。即ち、本発明の複合化物は、金属多孔体の孔内
部を含む表面とポリマーやセラミックスが複合化して、
相互に複雑に入り組んだ構造となるため、特段の接着処
理を行わなくても極めて優れた接着力が得られる。これ
を応用して、金属多孔体とポリマーとの複合化物を、ポ
リマーをバインダーとして更に他の構造物に複合化する
ことも可能となる。
【0012】誘導発熱体 本発明の金属多孔体とポリマーとの複合化物からなる誘
導発熱体は、例えば、以下に示すような構造を有するも
のである。 (1)図1に示すように、連通孔を有する金属多孔体1
の孔内部も含めた表面にポリマーまたはセラミックス2
が被覆され、かつ、連通孔が実質的に保持された構造の
複合化物が挙げられる。 (2)図2に示すように、連通孔を有する金属多孔体1
の孔内部に、ポリマーまたはセラミックス2が充填され
た構造の複合化物が挙げられる。 (3)図3に示すように、連通孔を有する金属多孔体1
の形状がフィルム、シート、または板状であって、その
孔内部にポリマーまたはセラミックス2が充填され、か
つ、該多孔体の片側の表面にポリマーまたはセラミック
ス2からなる層が形成された構造の複合化物が挙げられ
る。図4に示すように、多孔体の両側の表面にポリマー
またはセラミックス2からなる層が形成された構造の複
合化物であってもよい。
【0013】(4)図5に示すように、連通孔を有する
金属多孔体1の形状がフィルム、シート、または板状で
あって、該多孔体の片側の表面にポリマーまたはセラミ
ックスからなる層2が形成され、かつ、該表面近傍の孔
内部にもポリマーまたはセラミックス2が充填されてい
る構造の複合化物が挙げられる。図6に示すように、多
孔体の両側の表面にポリマーまたはセラミックス2から
なる層が形成された構造の複合化物であってもよい。 (5)図7に示すように、ポリマーまたはセラミックス
から形成された多孔体2の孔内部を含めた表面に金属メ
ッキ層1が形成され、該金属メッキ層1が連通孔を有す
る金属多孔体を形成している構造の複合化物を挙げるこ
とができる。本願発明の誘導発熱体は、上記の具体例に
限定されるものではなく、これら以外にも種々の形態の
複合化物であってもよく、また、付加的な層や構造物が
複合化されていてもよい。さらには、これらの複合化物
は、圧延や圧縮などの加工を受けて、実質的に無孔化さ
れたものであってもよい。
【0014】本発明の金属多孔体とポリマーとの複合化
物からなる誘導発熱体は、例えば、連通孔を有する金属
多孔体に、ポリマーまたはセラミックスを、被覆、含
浸、充填、積層、またはこれらの2種以上の組み合わせ
からなる方法により複合化することにより製造すること
ができる。例えば、金属多孔体をフッ素樹脂の水性分散
液に浸漬することにより、その孔内部を含めてフッ素樹
脂を含浸させることができる。含浸後、乾燥させて、燒
結すればフッ素樹脂の層が形成される。また、フィル
ム、シートまたは板状の金属多孔体に、ポリマーフィル
ムまたはシートを重ねて加熱圧接することにより一体的
に積層し、かつ、表面近傍の孔内部にも充填することが
できる。
【0015】また、前記した通り、ポリマーまたはセラ
ミックスから形成された多孔体の孔内部を含めた表面に
金属をメッキし、生成した金属メッキ層が連通孔を有す
る金属多孔体を形成している構造の複合化物とすること
によっても、誘導発熱体を製造することができる。連通
孔を有する金属多孔体とポリマーまたはセラミックスを
複合化した後、得られた複合化物を更に圧延または圧縮
加工して、実質的に無孔化することができる。複合化物
にロール圧延などの処理を行って、厚みや気孔率を変え
ることにより、誘導発熱時の昇温速度や最高到達温度な
どの昇温特性・パターンを制御することができる(実施
例7と図8参照)。本発明の誘導発熱体は、フィルム、
シート、板状、円筒状、テープ状など、最終的な用途分
野に応じて種々の形状を取ることができる。また、本発
明の誘導発熱体は、プレス加工、被覆加工、その他様々
な二次加工により鍋やプレート、電線被覆などに加工す
ることができる。
【0016】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明についてより
具体的に説明する。
【0017】[実施例1]50セル(平均孔径φ0.3
mm)、厚さ1.8mmのニッケル製の金属スポンジ
(住友電工社製セルメット)を、PFA大粒子(三井デ
ュポンフロロケミカル社製MP102):PFA小粒子
(ダイキン社製AD−2−CR中のPFA粒子)=7:
3(重量比)でPFA粒子の合計濃度が47重量%のP
FA水性分散液中に浸漬し、減圧脱泡することにより、
金属スポンジの孔内部に充分にPFA水性分散液を含浸
させた後、水分を乾燥させ、次いで、PFAの融点以上
の温度である350℃に加熱して、PFA被覆金属スポ
ンジを得た。このPFA被覆金属スポンジを、厚さ25
0μmの2枚のPFAシートの間に挟んで、PFAの融
点近傍の280℃に加熱しながら加圧してラミネート
し、複合物を得た。この複合物を再度350℃に加熱し
て、PFAを溶融一体化しながら炊飯器の内釜形状にプ
レス成形して、釜状誘導発熱体を得た。この釜状誘導発
熱体は、IH式調理器上で良好な発熱性を示し、かつ、
表面がフッ素樹脂のため食品がこびりつきにくいもので
あった。したがって、前記複合物は、誘導加熱式の調理
鍋、ホットプレート、炊飯器内釜などとして有用である
ことが分かった。
【0018】[実施例2]内面にフッ素樹脂を被覆した
アルミニウム製の釜の外面に、電気化学的エッチングに
より微細な凹凸を設けた。この釜を、実施例1と同様に
して得た釜状誘導発熱体の内側にはめ込んだ後、350
℃に加熱してPFAを溶融させ釜の外面の微細な凹凸に
PFAを入り込ませて、投錨効果により釜と釜状誘導発
熱体を一体化させ、「外面に誘導発熱体を有するアルミ
ニウム製炊飯器内釜」を得た。この炊飯器内釜は、IH
調理器上で良好な発熱性を示し、かつ、表面がフッ素樹
脂のため清掃が容易であった。同様の方法により、誘導
加熱式の調理鍋やホットプレートなども作製することが
できた。
【0019】[実施例3]50セル(平均孔径φ0.3
mm)、厚さ1.8mm、外径56mmの円筒状ニッケ
ル製金属スポンジ(住友電工社製セルメット)を、固形
分濃度60重量%のPTFE水性分散液(ダイキン社製
D−1F)中に浸漬し、減圧脱泡して、金属スポンジの
孔内部に充分にPTFE水性分散液を含浸させた後、水
分を乾燥させ、次いで、PTFEの融点以上の温度であ
る430℃に加熱して、PTFE被覆円筒状金属スポン
ジを得た。このPTFE被覆円筒状金属スポンジの内側
に、外径52mmの金属ロールを挿入し、外側から別の
金属ロールを押し当てながら、内外双方の金属ロールを
逆方向に回転させて、PTFE被覆円筒状金属スポンジ
を厚さ方向に圧縮し、厚さ約700μmで実質的に無孔
のPTFE充填円筒状金属スポンジを得た。この外側表
面に、更にPTFE水性分散液をコートし、乾燥及び焼
結(430℃/20分間)を行って、外表面に厚さ約2
0μmのPTFE層を形成したロール状物を得た。この
ようにして得られたロールの内側に誘導加熱用コイルを
挿入し、発熱させたところ、急速で良好な発熱性を示し
た。したがって、このロールは、誘導加熱方式用定着ロ
ールとして使用することができ、しかも従来のフッ素樹
脂被覆定着ロールと同様の良好な定着性を示すことが分
かった。
【0020】[実施例4]100セル(平均孔径φ0.
15mm)、厚さ1mm、外径26mmの円筒状ニッケ
ル製金属スポンジ(住友電工社製セルメット)を、固形
分60重量%のPTFE水性分散液(ダイキン社製D−
1F)中に浸漬し、減圧脱泡して、金属スポンジの孔内
部に充分にPTFE水性分散液を含浸させた後、水分を
乾燥させ、次いで、PTFEの融点以上の温度である4
30℃に加熱して、PTFE被覆円筒状金属スポンジを
得た。このPTFE被覆円筒状金属スポンジの内側に、
外径23.5mmの金属ロールを挿入し、外側から別の
金属ロールを押し当てながら、内外双方の金属ロールを
逆方向に回転させて、PTFE被覆円筒状金属スポンジ
を厚さ方向に圧縮し、厚さ約400μmで実質的に無孔
のPTFE充填円筒状金属スポンジを得た。この外側表
面に、更にPTFE水性分散液をコートし、乾燥及び焼
結(430℃/20分間)を行って、外表面に厚さ約1
5μmのPTFE層を形成したチューブ状物を得た。こ
のようにして得られたチューブの内側に誘導加熱用コイ
ルを挿入するとともに、これと並列に、外径1cmのセ
ラミックロールを挿入し、チューブの外側からセラミッ
クロールに向けてシリコーンゴム製バックアップロール
を押しつけ、チューブを内外両面から挟み込むようにし
てチューブとバックアップロールの間で定着を行ったと
ころ、従来のフッ素樹脂被覆定着チューブと同様に急速
で良好な発熱性を示し、良好な定着性が得られた。した
がって、前記チューブは、誘導加熱方式の定着チューブ
として有用であることが分かった。
【0021】[実施例5]100セル(平均孔径φ0.
15mm)、厚さ1mm、幅5cmのテープ状ニッケル
製金属スポンジ(住友電工社製セルメット)を、厚さ1
00μmの2枚のポリエチレン(三井石油化学社製HD
PE、ハイゼックス3000B)シートに挟み込んで、
150℃に加熱しながら加圧して、厚さ約400μmの
ポリエチレン充填金属スポンジテープを得た。このテー
プを電線の内層被覆上にラッピングした後、最外層被覆
を施すことにより、誘導発熱層を有する電線を得た。こ
の電線に通電すると、発熱することが確認された。降雪
中の屋外で、誘導発熱層を有しない電線と共に架設し
て、通電を行ったところ、誘導発熱層を有しない電線に
は着雪、着氷したのに対し、この誘電発熱層を有する電
線には着氷雪がなかった。
【0022】[実施例6]100セル(平均孔径φ0.
15mm)、厚さ1mm、幅5cmのテープ状ニッケル
製金属スポンジ(住友電工社製セルメット)の孔内部
に、未加硫のクロロプレンゴム組成物を充填しながら、
表裏両面にも積層し、金属スポンジ部分の厚さ0.5m
m、表裏のクロロプレンゴム層の厚さ0.3mm、全厚
1.1mmの未加硫クロロプレンゴム充填金属スポンジ
テープを得た。このテープをロートキュアして、加硫ク
ロロプレンゴム充填金属スポンジテープを得た。このテ
ープを電線の内層被覆上にラッピングした後、最外層被
覆を施して、誘導発熱層を有する電線を得た。この電線
に通電すると、発熱することが確認された。降雪中の屋
外で誘導発熱層を有しない電線と共に架設して通電を行
ったところ、誘導発熱層を有しない電線には着雪、着氷
したのに対し、この誘導発熱層を有する電線には着氷雪
がなかった。
【0023】[実施例7]50セル(平均孔径φ0.3
mm)、厚さ1.6mmのニッケル製の金属スポンジ
(住友電工社製セルメット)をフッ素樹脂ディスパージ
ョン(ダイキン工業製:D−1F;PTFE60重量
%)中に浸漬し、減圧下で内部にディスパージョンを含
浸させ、乾燥後にPTFEの結晶融点以上の温度である
430℃で30分間焼結した。このようにして板状の誘
導発熱体(A1)を得た。前記ニッケル製の金属スポン
ジを2枚重ねた3.2mmの板状物を用いたこと以外
は、前記と同様にして、板状の誘導発熱体(A2)を得
た。前記の誘導発熱体(A2)をロールがけして、厚み
を約1/5の0.6mmに圧縮した板状の誘導発熱体
(A3)を得た。このようにして得られた誘導発熱体A
1〜A3について、一般家庭用の電磁調理器(松下電気
社製IH調理器KZP1)を使用して発熱特性を測定し
た。図8に結果を示す。図8は、各種誘導発熱体の発熱
特性を測定した結果を示すグラフであり、横軸は誘導時
間(分)で、縦軸は誘導発熱体の温度(℃)である。図
8に示した結果から明らかなように、誘導発熱体の厚み
や気孔率を変えることにより、昇温速度や最高到達温度
などの昇温特性・パターンを制御することができる。し
たがって、本発明の誘導発熱体は、用途分野に応じて、
目的とする任意の昇温特性・パターンを作ることが可能
となる。図8には、参考のため、厚み2.0mmのニッ
ケル板(B1)、厚み0.15mmのニッケル板(B
2)、及び厚み1.7mm(SUS=0.5mm)のA
l/SUSクラッド板(C1)の発熱特性の測定結果を
も示す。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、誘導発熱性及び加工性
に優れるとともに、使いやすさに富む誘導発熱体、及び
その製造方法が提供される。本発明の誘導発熱体は、例
えば、炊飯器内釜、ホットプレート、複写機の定着ロー
ルや定着チューブ、着氷雪防止用の電線被覆、除氷装置
など、誘導加熱方式を用いた用途分野に好適に適用する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の誘導発熱体の一具体例の構造を示す断
面図である。
【図2】本発明の誘導発熱体の一具体例の構造を示す断
面図である。
【図3】本発明の誘導発熱体の一具体例の構造を示す断
面図である。
【図4】本発明の誘導発熱体の一具体例の構造を示す断
面図である。
【図5】本発明の誘導発熱体の一具体例の構造を示す断
面図である。
【図6】本発明の誘導発熱体の一具体例の構造を示す断
面図である。
【図7】本発明の誘導発熱体の一具体例の構造を示す断
面図である。
【図8】本発明の誘導発熱体(A1〜A3)の誘導発熱
特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1:連通孔を有する金属多孔体 2:ポリマーまたはセラミックス A1:本発明の誘導発熱体(厚み1.6mm) A2:本発明の誘導発熱体(厚み3.2mm) A3:本発明の誘導発熱体(A2を1/5に圧縮;厚み
0.6mm) B1:ニッケル板(厚み2.0mm) B2:ニッケル板(厚み0.15mm) C1:厚み1.7mm(SUS=0.5mm)のAl/
SUSクラッド板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山川 真弘 大阪府大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電気工業株式会社大阪製作所内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連通孔を有する金属多孔体と、ポリマー
    またはセラミックスとが複合化した構造の複合化物から
    なることを特徴とする誘導発熱体。
  2. 【請求項2】 金属多孔体が、誘導発熱性金属から形成
    された金属多孔体である請求項1記載の誘導発熱体。
  3. 【請求項3】 金属多孔体が、金属スポンジ、焼結金属
    多孔体、金属編物、金属織物、金属ネットまたは金属メ
    ッシュである請求項1記載の誘導発熱体。
  4. 【請求項4】 金属スポンジが、ポリマー多孔体に金属
    を無電解メッキした後、ポリマーを加熱分解除去して得
    られた金属スポンジである請求項3記載の誘導発熱体。
  5. 【請求項5】 連通孔を有する金属多孔体の孔内部も含
    めた表面にポリマーまたはセラミックスが被覆され、か
    つ、連通孔が実質的に保持された構造の複合化物からな
    る請求項1ないし4のいずれか1項に記載の誘導発熱
    体。
  6. 【請求項6】 連通孔を有する金属多孔体の孔内部に、
    ポリマーまたはセラミックスが充填された構造の複合化
    物からなる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の誘
    導発熱体。
  7. 【請求項7】 連通孔を有する金属多孔体の形状がフィ
    ルム、シート、または板状であって、その孔内部にポリ
    マーまたはセラミックスが充填され、かつ、該多孔体の
    少なくとも片側の表面にポリマーまたはセラミックスか
    らなる層が形成された構造の複合化物からなる請求項1
    ないし4のいずれか1項に記載の誘導発熱体。
  8. 【請求項8】 連通孔を有する金属多孔体の形状がフィ
    ルム、シート、または板状であって、該多孔体の少なく
    とも片側の表面に、ポリマーまたはセラミックスからな
    る層が形成され、かつ、該表面近傍の孔内部にもポリマ
    ーまたはセラミックスが充填されている構造の複合化物
    からなる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の誘導
    発熱体。
  9. 【請求項9】 ポリマーまたはセラミックスから形成さ
    れた多孔体の孔内部を含めた表面に金属メッキ層が形成
    され、該金属メッキ層が連通孔を有する金属多孔体を形
    成している構造の複合化物からなる請求項1または2に
    記載の誘導発熱体。
  10. 【請求項10】 連通孔を有する金属多孔体に、ポリマ
    ーまたはセラミックスを被覆、含浸、充填、積層または
    これらの2種以上の組み合わせからなる方法により複合
    化することを特徴とする誘導発熱体の製造方法。
  11. 【請求項11】 連通孔を有する金属多孔体に、ポリマ
    ーまたはセラミックスを複合化した後、得られた複合化
    物を更に圧延または圧縮加工することにより実質的に無
    孔化する請求項10記載の誘導発熱体の製造方法。
JP35289296A 1996-12-14 1996-12-14 誘導発熱体 Pending JPH10165311A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35289296A JPH10165311A (ja) 1996-12-14 1996-12-14 誘導発熱体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP35289296A JPH10165311A (ja) 1996-12-14 1996-12-14 誘導発熱体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10165311A true JPH10165311A (ja) 1998-06-23

Family

ID=18427170

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP35289296A Pending JPH10165311A (ja) 1996-12-14 1996-12-14 誘導発熱体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10165311A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005071750A (ja) * 2003-08-22 2005-03-17 Chuko Kasei Kogyo Kk 電磁誘導加熱方式用発熱体
FR2906786A1 (fr) * 2006-10-09 2008-04-11 Eurocopter France Procede et dispositif de degivrage d'une paroi d'aeronef
US7558520B2 (en) 2003-10-24 2009-07-07 Ricoh Company, Ltd. Heating member for an image forming apparatus, having improved releasibility and conductivity
JP4589553B2 (ja) * 2001-03-21 2010-12-01 株式会社ハーマンプロ グリル用焼き網
KR20200016187A (ko) * 2018-08-06 2020-02-14 주식회사 엘지화학 비대칭 복합재
EP4361733A1 (en) * 2022-10-26 2024-05-01 Canon Kabushiki Kaisha Fixing rotating member, fixing apparatus, and electrophotographic image forming apparatus

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4589553B2 (ja) * 2001-03-21 2010-12-01 株式会社ハーマンプロ グリル用焼き網
JP2005071750A (ja) * 2003-08-22 2005-03-17 Chuko Kasei Kogyo Kk 電磁誘導加熱方式用発熱体
US7558520B2 (en) 2003-10-24 2009-07-07 Ricoh Company, Ltd. Heating member for an image forming apparatus, having improved releasibility and conductivity
FR2906786A1 (fr) * 2006-10-09 2008-04-11 Eurocopter France Procede et dispositif de degivrage d'une paroi d'aeronef
EP1911673A1 (fr) * 2006-10-09 2008-04-16 Eurocopter Procèdé et dispositif de dégivrage d'une paroi d'aéronef
KR20200016187A (ko) * 2018-08-06 2020-02-14 주식회사 엘지화학 비대칭 복합재
CN112469565A (zh) * 2018-08-06 2021-03-09 株式会社Lg化学 不对称复合材料
JP2021531188A (ja) * 2018-08-06 2021-11-18 エルジー・ケム・リミテッド 非対称複合材
US11718073B2 (en) 2018-08-06 2023-08-08 Lg Chem. Ltd. Asymmetry composite material
CN112469565B (zh) * 2018-08-06 2024-01-02 株式会社Lg化学 不对称复合材料
EP4361733A1 (en) * 2022-10-26 2024-05-01 Canon Kabushiki Kaisha Fixing rotating member, fixing apparatus, and electrophotographic image forming apparatus

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6054690A (en) Heating element, manufacturing process and application
CN1910044B (zh) 可感应加热的部件
US4640866A (en) Printed circuit board
CA2393970C (en) A thermoplastic laminate fabric heater and methods for making same
US6886233B2 (en) Method for decreasing the thickness of flexible expanded graphite sheet
US20060027555A1 (en) Low cost heating elements for cooking applications manufactured from conductive loaded resin-based materials
US3486961A (en) Continuous method for making a polytetrafluoroethylene laminate
KR100703000B1 (ko) 가열장치 및 이를 구비한 정착장치
JPH10165311A (ja) 誘導発熱体
TW583080B (en) Composite material for thermistor having positive temperature coefficient and manufacturing method thereof
JP3644947B2 (ja) 耐熱性エレクトレット用材料、それを用いた耐熱性エレクトレットおよびその製造方法、並びに静電型音響センサー
TW201730404A (zh) 複合物及製備方法
WO2006108635A2 (en) Plastics container for food
JP4435051B2 (ja) 表面改質カーボン凝結体およびカーボン凝結体の表面改質方法、並びに電磁誘導加熱調理器ないし電磁誘導加熱炊飯器
JPH0711581A (ja) 耐熱離型シートおよびその製造方法
JPH0880539A (ja) 樹脂積層板の製造方法及び金属張り積層板の製造方法
JP4489397B2 (ja) 耐熱・耐浸透性複合材料の製造方法及び食品製造用耐熱・耐浸透性複合材料
WO1987003158A1 (en) Electric resistance sheet and method of producing such
JP5042276B2 (ja) 表面改質カーボン凝結体並びに電磁誘導加熱調理器ないし電磁誘導加熱炊飯器
JPH08206004A (ja) 電磁誘導加熱用調理容器およびその製造法
RU2088049C1 (ru) Композиционный гибкий электронагреватель поверхностного типа
JPH06344501A (ja) 積層板の製造方法
EP0775230A1 (en) Heat reflective textile composites
JPH06262733A (ja) 樹脂積層板の製造方法および金属張り積層板の製造方法
JP2006320559A (ja) 電磁調理容器とその製造方法