JPS62204937A - 黒鉛と銅または銅合金からなる複合材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、例えばＸ線ターゲットやスパッタリングター
ゲット等に使われる黒鉛と銅または銅合金からなる複合
材に関する。

〔従来の技術〕

銅および鋼合金と黒鉛とは互いに熱膨張率が大きく異な
っている。銅および銅合金の線膨張係数が１８〜２０Ｘ
１０”であるのに対し、黒鉛の線膨張係数は３〜７Ｘ１
０”である。一般に、ろう付けや拡散接合で熱膨張率が
実用上問題にならない範囲は、両者の線膨張係数の差が
１０×１０″６より小さい場合である。

このため、両者を硬ろう付けや拡散接合などで接合する
と、接合後の冷却過程で銅板の収縮率の方が大きいため
両者に寸法差を生じて大きな残留応力が発生し、脆性材
料である黒鉛板が破壊することがある。

例えば、第９図に示されるように黒鉛板１と銅板２を互
いに厚み方向に重ねるに当って、両者を高温度で拡散接
合（または硬ろう付け）したとする。この場合、接合後
の冷却過程で銅板２は黒鉛板１に対して相対的に収縮す
る。このため接合時の温度と冷却時の温度差が大きい場
合に、黒鉛板１と銅板２は、第９図に想像線で示したよ
うに撓み、極端な場合には第１０図に示されるように黒
鉛板１に放射状のクラック３が生じる。このため黒鉛板
１と銅板２からなる複合材は、小さなテストピースでは
接合可能な場合があるが、実用的な大きさでは黒鉛板１
が破壊することが多い。

従って現状では、両者を機械的手段によって締結するか
、樹脂系接着剤による接合、もしくはインジウムや半田
等の比較的低温で行なわれる軟ろう付けによって接合し
ている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかしながら、機械的締結では荷重が局部的に負荷され
るため締結力をあまり高くすることができない。一方、
樹脂系接着剤や軟ろう付げによる接合では、接合部の耐
熱性が劣るため、Ｘ線ターゲットやスパッタリングター
ゲットのように高温で使用されるものには問題がある。

しかも真空や特殊雰囲気中で使用すると、接着剤から不
純物ガスが発生する可能性がある。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明の複合材は、黒鉛板と、純銅または銅合金からな
る銅板とを拡散接合あるいは硬ろう付け等の高温で行な
う接合手段により互いに接合させた複合材であって、上
記銅板にはその接合面と反対側の面に、同心円状または
放射状あるいは格子状等をなす溝部を設けたものである
。

〔作用〕

上記構成の複合材は、銅板に溝部を設けたことにより銅
板の剛性が低下しているので、高温で接合した後の冷却
過程において銅板が相対的に収縮する際に、銅板が容易
に変形することにより黒鉛板に与える荷重が小さくなる
。その結果、室温まで冷却されても残留応力が減少し、
接合後に黒鉛板にクラックが生じたり破壊することを防
止できる。

上記複合材の黒鉛板と銅板は、互いに硬ろう付けあるい
は拡散接合など高温で行なわれる接合手段によって面内
に接合されてい、るから、両者の接合強度が高くかつ耐
熱性がある。また、接着剤による接合と比較すると耐熱
性がはるかに優れており、かつ真空雰囲気中でガスの放
出を生じるおそれもない。

〔実施例〕

第１図および第２図に示された一実施例において、複合
材５は黒鉛製の板６と、純銅または銅合金からなる銅板
７を備えている。これら黒鉛板６と銅板７とは拡散接合
によって両者を直接接合してもよいが、本実施例の場合
には黒鉛板６と銅板７との間にインサート材８を介在さ
せている。インサート材８は、上記銅板７よりも熱膨張
率が小さくかつ融点が銅板７と同等もしくは銅板７より
も高い金属からなる。インサート材８の材料にはＭｏ、
Ｗ、Ｎｂなどの難溶融・低熱膨張金属またはその合金が
好適である。なお、インサート材８の代りに黒鉛板６と
銅板７との間に適宜の硬ろう材を介在させることにより
、硬ろう付けによる接合を行なうようにしてもよい。

上記銅板７には、黒鉛板６との接合面の反対側の面に、
複数の溝部９が設けられている。この溝部９は、第２図
に示されるように、同心状および放射状に設けられてい
る。従って銅、板７の肉厚は一様ではなく、溝部９を設
けた部位の肉厚は薄くなっている。

上記黒鉛板６と銅板７を重ね、接合温度まで加熱すると
ともに厚み方向に加圧することにより、インサート板８
を介して黒鉛板６と銅板７とを拡散接合または硬ろう付
けする。

接合後の冷却過程では黒鉛板６に比べて銅板７の収縮率
が大きいため、黒鉛板６に荷重が働く。

しかるに上記銅板７には溝部９が設けられており、溝部
９においては銅板７の厚さが薄いから、高温で接合後の
冷却過程で銅板７が収縮する際に、銅板７が変形し易い
ため黒鉛板６に与える荷重は小さい。この結果、室温ま
で冷却されても黒鉛板６に生じる残留応力が小さなもの
となり、接合後に黒鉛板６が破壊することを防止できる
。

上記複合材５の黒鉛板６と銅板７は、高温で行なわれる
接合手段によって互いに接合されているから、複合材５
は優れた耐熱性を発揮する。そして機械的締結の場合の
ような局部的な荷重の負荷を生じないばかりか、接着剤
を使用した場合のような汚染物質の放出も生じない。ま
た、黒鉛の耐熱性は非酸化性雰囲気では約２５００℃と
優れているため、銅板７側を適宜の手段によって冷却す
ることにより、優れた高温耐熱性を発揮する。

これらの理由から、上記複合材５はＸ線ターゲットやス
パッタリングターゲット等に好適である。

第３図にＸ線ターゲット１０の一例を示す。このターゲ
ット１０には、長波長の炭素の特性Ｘ線を得るために、
第４図に示される複合材５が使用される。この複合材５
は、前記実施例と同様に、黒鉛板６と銅板７とを適宜の
インサート材または硬ろう材等を介して拡散接合または
硬ろう付げによって接合するとともに、銅板７に溝部９
を設けたものである。

また黒鉛板６の端面６ａはテーバ状に加工され、このテ
ーバ状端面６ａに電子線を当てることにより炭素の特性
Ｘ線を発生させる。その時の温度上昇に対処するために
、銅板７側に冷却筒１１を設けるとともに、この冷却筒
１１に管１２．１３を通じて冷却水などの冷媒を流通さ
せ、銅板７を介して黒鉛板６の冷却を行なう。

銅板７には上記冷媒と接する部位に溝部９が設けられて
いるから、溝部９が放熱フィンとしての役割を果たし、
放熱面積が広がるため優れた冷却効果が得られる。

Ｘ線ターゲットでは、数百度℃程度の耐熱性と真空雰囲
気中でも不純物ガスを放出しないことが必要であり、し
かも局部加熱を防ぐ目的からターゲット１０が軸回りに
高速回転させられるので、高い接合強度が要求される。

これらの要求を満足するものとして、本実施例の複合材
５が好適である。

第５図に示されるスパッタリング装置は、図示しない被
接着材に黒鉛をコーティングするものであり、ターゲッ
トに本発明の複合材５を用いる。

この複合材５の構造は基本的には前述した複合材５（第
１図のもの）と同様に、インサート材または硬ろう材を
介して黒鉛板６と銅板７を高温で接合したものである。

通常はスパッタリング中にターゲットすなわち複合材５
の表面が高温に加熱されるために、複合材５の反対側は
冷却される。図示例においては、銅板７側に冷媒供給管
１４を通じて冷媒１５が供給されることにより、複合材
５の冷却がなされる。この場合も、銅板７の冷媒１５と
接する部位に溝部９が設けられているので、溝部９が放
熱フィンとしての役割を果たし、優れた冷却効果が得ら
れる。しかも銅板７は、押え用の裏金を兼用している。

銅板７の周縁部は締結具１６によって装置本体１７に固
定されている。同図において、１８はマグネット、１９
は絶縁物である。

スパッタリングスピードを速くするためには、ターゲッ
トに投入するエネルギーを大きくする必要があるが、従
来一般的に行なわれていた樹脂系接着剤や軟ろう付けに
よる接合では耐熱性が２００℃以下であり、耐熱性の点
で難がある。これに対し本発明による複合材５を用いた
ターゲットは、耐熱性が格段に優れていることから、よ
り大きなエネルギーを投入できることになり、スパッタ
リングスピードを向上させることができる。

また、銅板７の肉厚は溝部９では薄いがそれ以外の部位
は肉厚が厚いので、銅板７の周縁部等にこの銅板７を取
付けるのに必要な板厚を確保できる。

なお、複合材５の平面形状は円形に限らない。

例えば、第６図に示されるような矩形状でもよいし、あ
るいはリング状やコ字状等であってもよい。

第６図の実施例においては、溝部９が格子状に形成され
ている。

また、溝部９の断面形状は矩形（第１図参照）に限らず
、第７図に示されるようなＵ状断面、あるいは第８図に
示されるＶ状断面を始めとして、種々の態様が考えられ
る。

〔発明の効果〕

本発明によれば、互いに熱膨張率の大きく異なる黒鉛板
と銅板を拡散接合や硬ろう付けなどのような高温接合手
段によって互いに接合した場合に、黒鉛の破損を防止で
きる。しかも本発明の複合材は耐熱性と接合強度に優れ
ており、かつ雰囲気中への不純物ガスの放出の心配もな
い。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す複合材の断面図、第２
図は第１図に示された複合材の底面図、第３図は本発明
の他の実施例を示す複合材を用いたＸ線ターゲットの斜
視図、第４図は第３図に示された複合材の断面図、第５
図はスパッタリング装置の断面図、第６図は第５図中の
複合材の平面図、第７図および第８図はそれぞれ溝部の
互いに異なる形状例を示す断面図。第９図は従来の複合
材の一例を示す側面図、第１０図は第９図に示された複
合材にクラックが生じた状態の平面図である。 ５・・・複合材、６・・・黒鉛板、７・・・銅板、９・
・・溝部。 出願人代理人　弁理士　鈴江武彦 第１　図 第２図 第５図 第８　図 第１０図

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 黒鉛板と、純銅または銅合金からなる銅板とを拡散接合
   あるいは硬ろう付け等の高温で行なう接合手段により互
   いに接合させた複合材であって、上記銅板にはその接合
   面と反対側の面に複数の溝部を設けたことを特徴とする
   黒鉛と銅または銅合金からなる複合材。