JPS6219519Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、浅喫水型簡易リアクシヨンフインに
関する。

プロペラ軸を回転可能に囲むフインボスより放
射状にフインを突出させ、その先端をリングで連
結して補強したリアクシヨンフインに対して、そ
れよりも構造が簡単で、工作費が安価な通称簡易
型リアクシヨンフインが考案されている。

この簡易型リアクシヨンフインは、鋳物で製作
されるボツシング部以外の上下のスターンフレー
ムにフインが水平になるよう、左右両舷に設置さ
れたものとなつている。この簡易型リアクシヨン
フインは、プロペラが右回りの場合、左舷側フイ
ンはその後縁が後下りになり、右舷側フインは後
縁が後上りになるようにして設置されているの
で、船尾部の水の流れは、そのフインによつて、
プロペラ回転方向と逆方向に変えられて、プロペ
ラに流入する。そのため、プロペラ後方に残る回
転流が減少して、推進性能が向上する。

しかし、船幅の大きさに対して、喫水が小さ
い、いわゆる浅喫水型船型の船舶では軽荷状態で
航行する場合、プロペラ先端が空中に露出するよ
うな状態となり、そのため、プロペラ軸より上方
のフインは水面近傍に位置することとなり、リア
クシヨンフインの効果が低下し、その分だけ推進
効率は低下する。

第１図は上記従来の簡易型リアクシヨンフイン
を備えた船の後方から見た図（プロペラが右回り
の場合）、第２図は第１図の−矢視図であ
る。

１はスターンフレーム、２はボツシングで、プ
ロペラ軸を回転可能に囲み、スターンフレーム１
に取付けられている。３はプロペラ軸で、ボツシ
ング２を貫通して、後端はプロペラ７と前端は船
内の原動機とそれぞれ連結されている。４はシユ
ーピースで、スターンフレーム１の船底部後方に
取付けられる。５ａ，５ｂは上部フインで、ボツ
シング２の上方のスターンフレーム１に水平に取
付けられる。そして、左舷側フイン５ａは後下り
に、右舷側フイン５ｂは後上りになるように取付
けられる。６ａ，６ｂは下部フインで、ボツシン
グ２の下方のスターンフレーム１に水平に取付け
られる。そして、左舷側の下部フイン６ａは後下
りに、右舷側の下部フイン６ｂは後上りになるよ
うに取り付けられている。７はプロペラで、プロ
ペラ軸３の後端に取付けられる。８は軽荷喫水線
を示す。

船内に設置された原動機により、プロペラ軸３
が回されプロペラ７が回転させられて、船体が航
走すると船尾部の水の流れは、フイン５ａ，５
ｂ，６ａ，６ｂによつて、プロペラ回転方向と逆
方向に変えられて、プロペラ７に流入する。その
ため、プロペラ７の後方に残る回転流は減少す
る。しかし、喫水が浅くて、静止時にプロペラ先
端が空中に突出するような状態で航行する場合、
上部フイン５ａ，５ｂは水面近くに位置すること
となる。そのため、水面近傍の乱れた水の流れの
中においては上部フイン５ａ，５ｂによつて、プ
ロペラ回転と逆向きの流れが所定どおり発生され
ず、また上部フイン５ａ，５ｂによる抵抗も増加
することとなる。

したがつて、第３図に示すように、フインによ
る推進効率増加８とフインによる抵抗増加９が同
程度あるいは喫水によつてはフインによる抵抗増
加９がフインによる推進効率増加をうわまわるこ
ととなる。すなわち、浅喫水型船型の船舶が軽荷
状態のプロペラ没水深度が浅い状態で航行する場
合、リアクシヨンフインによる推進効率は、ほと
んど見られず、場合によつてはリアクシヨンフイ
ン無しの推進効率より低下することもありうる。

本考案は、上記従来の簡易型リアクシヨンフイ
ンの欠点を除去し、プロペラ没水深度が浅い状態
に於いても推進効率の向上を計ることができる浅
喫水型簡易リアクシヨンフインを提供することを
目的とする。

このため、本考案の浅喫水型簡易リアクシヨン
フインは、満載時と軽荷時の喫水差の大きい船舶
における船尾のスクリユープロペラ前方でプロペ
ラ軸の上下のスターンフレームから側方へ水平に
突出し、且つ前記プロペラへ流入する流れの向き
を、前記プロペラの回転方向と反対方向に変換す
べく形成された複数のフインからなるリアクシヨ
ンフインにおいて、前記プロペラ軸より上方のフ
インを先下がりに傾斜させたことを特徴としてい
る。

以下、図面によつて本考案の一実施例としての
浅喫水型簡易リアクシヨンフインを説明すると、
第４図は本考案の浅喫水型簡易リアクシヨンフイ
ンを備えた船と後方から見た図（プロペラが右回
りの場合）、第５図は第４図の−矢視図であ
る。

図中第１〜２図と同符号は、ほぼ同じものを示
している。

１５ａ，１５ｂは上部フインで、ボツシング２
の上方のスターンフレーム１に取り付けられ、そ
の先端側が下がるよう斜めに取付けてある。ま
た、左舷側の上部フイン１５ａはその後縁側が下
がるように、右舷側の上部フイン１５ｂは後縁側
が上るように取り付けられている。

そして船内に設置された原動機によつてプロペ
ラ軸３が回されプロペラ７が回転させられて、船
体が航走すると、船尾部の水の流れは上部フイン
１５ａ，１５ｂ、下部フイン６ａ，６ｂによつ
て、プロペラ回転方向と逆方向に変えられてプロ
ペラ７に流入する。そのため、プロペラ７の後方
に残る回転流が減少する。

一方、プロペラ先端が、静止時空中に露出する
様な状態で航行する場合においても、上部フイン
１５ａ，１５ｂが先下りになつているので水面か
ら遠ざかり、そのため、プロペラ７が完全に没水
する場合よりわずかに少ないが、上部フイン１５
ａ，１５ｂによつて、プロペラ回転と逆向きに流
れが変えられ、推進性能が向上する。また上部フ
イン１５ａ，１５ｂによる抵抗増加も、プロペラ
７が完全に没水する場合よりわずかに増える程度
でありその効果を第６図に示す。第６図の８は推
進効率の向上を示し、９は抵抗増加を示す。プロ
ペラ７が空中に露出する様な浅い喫水の状態で航
行する場合でも、上部フイン１５ａ，１５ｂの先
端が下つているので適当な没水深度を保ち、プロ
ペラ７が完全に没水する状態で航走する場合と、
ほぼ同程度のリアクシヨン効果によつて推進性能
は向上する。

以上述べたように、本考案の浅喫水型簡易リア
クシヨンフインによれば、上部フインを先下りに
傾斜させるという簡単な構成により、船舶の推進
性能が大巾に向上するという利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来のリアクシヨンフインを船の後
方から見た図、第２図は、第１図の−矢視
図、第３図は、従来のリアクシヨンフインによる
推進効率と抵抗の関係を示すグラフ、第４〜５図
は、本考案の一実施例としての浅喫水型簡易リア
クシヨンフインを示すもので、第４図は、船の後
方から見た図、第５図は第４図の−矢視図、
第６図は、本リアクシヨンフインによる推進効率
と抵抗の関係を示すグラフである。 １……スターンフレーム、２……ボツシング、
３……プロペラ軸、４……シユーピース、６ａ，
６ｂ……下部フイン、７……プロペラ、１５ａ，
１５ｂ……上部フイン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 満載時と軽荷時の喫水差の大きい船舶における
   船尾のスクリユープロペラ前方で、プロペラ軸の
   上下のスターンフレームから側方へ水平に突出
   し、且つ前記プロペラへ流入する流れの向きを、
   前記プロペラの回転方向と反対方向に変換すべく
   形成された複数のフインからなるリアクシヨンフ
   インにおいて、前記プロペラ軸より上方のフイン
   を先下がりに傾斜させたことを特徴とする浅喫水
   型簡易リアクシヨンフイン。