JPS6216350B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、軸封パツキンの取付方法に関し、そ
の概要は、軸のパツキン挿入側がパツキン軸封側
よりも大径であつて、しかも、この大径部にスプ
ライン等の加工を施された軸に、ゴム状弾性材等
をもつて製せられたパツキンを、損傷させること
なく取付ける方法にを提示するものである。本発
明に関する先行技術としては、第１図に示すもの
が米国特許第4126317号明細書に開示されてい
る。

第１図の軸封パツキンは、断面略Ｌ字形状の補
強環１と、ゴム状弾性材をもつて製せられ、補強
環１の内周側に接着された取付部及び該取付部か
ら斜め軸方向へ一体的に伸び、軸３の周面と接触
する内周側のシールリツプ４を備えた環状リツプ
２（図上には、反転されて軸３へ外挿される姿勢
で示されている。）を有している。軸３は、一端
にシールリツプ外挿部よりも大径に設定されたス
プライン部５を有しており、軸封パツキンをこの
軸３のスプライン５から挿入するとき、シールリ
ツプ４がスプライン部５により損傷されるので、
環状リツプ２を図示のように、折曲げて反転させ
ることにより、シールリツプ４をスプライン部５
に接触させないように保つのである。しかしなが
ら、この軸封シールには、補強環１が結合されて
いるために、環状リツプ２を反転させたときに、
補強環１との接着部近傍が特に大きく曲げられる
ことになり、そのために、環状リツプ２と補強環
１とが接着面に於て剥離する問題を惹起する。
又、環状リツプ２は、補強環１との接着部近傍を
曲げられたとき、この部分の弾性力を弱められる
ので、その後、シールリツプ４の軸に対する密封
接触力を弱めることになる。更に、軸封パツキン
を軸３に外挿するとき、環状リツプを折曲げた状
態で外挿しなければならないので、この折曲げ保
持を可能にするために、軸封パツキンの形状が限
定されて、取付場所に対応した形状の設計が困難
になる。

本発明は、上述のような問題点に鑑みなされた
もので、その目的は、端部にスプライン等の加工
部を有する軸に、パツキンを加工部側から外挿し
て装着するとき、パツキンのシールリツプ部を損
傷させることなく装着できるようにしたものであ
る。

本発明のパツキンの取付方法は、上記した目的
を達成するために、環状体及び該環状体から斜め
内方へ伸びたシールリツプ部よりなるパツキン
を、ゴム様弾性材をもつて一体成形し、先ず、環
状体及びシールリツプ部を、ともに反転させてシ
ールリツプ部が環状体の外方に位置するようにな
し、軸部のスプライン等を加工された加工部を有
する軸に、加工部側から外挿し、次いで、環状体
及びシールリツプ部を、ともに再反転させてシー
ルリツプ部を軸部の周面に密封接触させ、更に、
パツキンと別体に製せられた支持環によつて環状
体を保持させるものである。

本発明は、上述の構成を有する結果、以下のよ
うな効果を奏する。

軸の端部に形成された大径の加工部を通過さ
せなければ軸に挿入できないパツキンを、シー
ルリツプ部が外周面に位置するように反転させ
て軸に外挿するので、シールリツプ部が加工部
によつて損傷させられることがない。

環状体を有するパツキンを反転させるので、
環状体の内径が大きく保たれて軸に外挿容易と
なるとともに、何らの保持手段を用いなくて
も、パツキンは反転状態を保つことができるか
ら、パツキンの形状が制限されず、取付場所に
対応した設計が可能である。

以下、本発明を本発明の一実施例に基づいて詳
細に説明する。

第２図は、本発明のパツキンの半断面図を示す
もので、ゴム状弾性材より成り、断面略矩形状の
環状体１１及び環状体１１の内周面より斜め軸方
向に伸びるシールリツプ部１２を有し、このシー
ルリツプ部１２の先端が軸１３に密封的に接触す
る。

第３図は、第２図のパツキンを、シールリツプ
部１２が環状体１１の外方に位置するように反転
させたもので、環状体１１の内径は、反転前のシ
ールリツプ部１２の内径よりも大径に保たれる。

第４図は、第３図に示す状態のパツキンを外挿
し、軸部１７に於て第２図に示すパツキン状態に
再反転させたものである。軸１３は軸部１７及び
軸部１７の端部に軸部１７よりも大径に形成され
てスプライン加工を施された加工部１５を有し、
他端側に、第５図に示すように、加工部１５より
も更に大径に設定されたフランジ部１６を有す
る。

上記加工部１５は加工を施されていることによ
り、シールリツプ部１２を挿入するときにシール
リツプ部１２を損傷させやすいものであれば、軸
部１７よりも大径であるとは限らない。又、スプ
ライン加工の他に、ねじ加工等種々のものがあ
る。パツキンの軸部１７の再反転は、第３図の矢
印の方向に反転させることが望ましい。

第５図は、第４図に示す状態のパツキンを、保
持環１８及び支持環１９により、外周面及び両端
面を挾持して、保持環１８により軸受カラー２０
に取付けたものである。保持環１８は、軸受カラ
ー２０に嵌着する大径円筒部２１と、パツキンが
嵌合する小径円筒部２２を有しており、支持環１
９は、板状をしたリングである。

上述したように、本発明のパツキン取付方法
は、保持環１８を軸１３に外挿した後に、パツキ
ンを構成する環状体１１及びシールリツプ部１２
を、シールリツプ部１２が外周方向に位置するよ
うに反転させて軸１３に挿入し、軸部１７に於て
シールリツプ部１２が内周方向に位置するように
戻し、保持環１８及び支持環１９により保持して
軸受カラー２０に固定するものであり、従つて、
軸１３への外挿時に軸１３の加工部１５によつて
シールリツプ部１２を損傷させるおそれがない。
又、反転させられたパツキンは、何らの補助手段
を講じなくても、反転状態を保持し得るので、パ
ツキンの軸１３への外挿が極めて容易である。

更に、パツキンの形状もコンパクトである。

本発明のパツキンは、反転容易な弾力性を有す
るゴム状弾性材製が望ましく、パツキンの外周面
が軸線に対して平行部分を有することが、反転状
態を保持するために好ましい。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来の軸封パツキンの半断面図、第
２図は、本発明のパツキンの取付け方法の対象と
なるパツキンの半断面図、第３図は反転させたパ
ツキンの半断面図、第４図はパツキンを第３図の
状態にして軸に外挿し、再反転させて第２図の状
態に戻した半断面図、第５図はパツキンを軸に装
着した半断面図である。 １１……環状体、１２……シールリツプ部、１
３……軸、１５……加工部、１６……フランジ
部、１７……軸部、１８……保持環、１９……支
持環、２０……軸受カラー、２１……大径円筒
部、２２……小径円筒部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ゴム状弾性材をもつて製せられ、環状体１１
   及び該環状体１１の内側から一体的に伸びたシー
   ルリツプ部１２よりなるパツキンを、前記シール
   リツプ部１２が前記環状体１１の外方に位置する
   ように反転させ、軸部１７の端部にスプライン等
   を加工された加工部１５を有する軸１３に、前記
   加工部１５側から外挿し、次いで、前記パツキン
   を、前記シールリツプ部１２が前記環状体１１の
   内方へ位置するように再反転させて前記シールリ
   ツプ部１２を前記軸部１７の周面に密封接触さ
   せ、更に、前記パツキンと別体に製せられた支持
   環１８によつて前記環状体１１を軸受カラー２０
   に保持させるようになしたパツキンの取付方法。