JPS6215513Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案はスクロール圧縮機、特にスクロール
の歯の部分への給油構造に関する。

（従来の技術） スクロール圧縮機は第１図に示すような基本要
素からなつている。図において、１は固定スクロ
ール、２は揺動スクロール、３は吐出口、４は圧
縮室、θは固定スクロール上の定点、θ′は揺動
スクロール上の定点である。固定スクロール１お
よび揺動スクロール２は同一形状の渦巻で構成さ
れており、その形体は、従来から知られている如
くインボリユートあるいは、円弧等を組合わせた
ものである。

次に動作について説明する。第１図において、
固定スクロール１は、空間に対して静止してお
り、揺動スクロール２は、固定スクロール１と図
の如く組合わされて、その姿勢を空間に対して変
化させないで回転運動、即ち揺動を行ない、第１
図０゜，90゜，180゜，270゜のように運動する。
揺動スクロール２の揺動に伴なつて、固定スクロ
ール１及び揺動スクロール２の間に形成される三
日月状の圧縮室４は順次その容積を減じて、圧縮
室４に取り込まれた気体は圧縮されて吐出口３か
ら吐出される。この間第１図θ，θ′に距離は一
定に保たれている。

さらに、具体的には、第２図の如き構成となつ
ており、５は吸入口、６はクランク軸、７はクラ
ンク軸偏心穴、８は偏心穴軸受、９はハウジン
グ、１０は軸受、１１はスラスト受、１２はオル
ダム継手、１３はバランサ、１４はボルト、１５
はボルト穴である。

以上のように構成されたスクロール圧縮機にお
いては、クランク軸６の偏心穴軸受８を有する偏
心穴７に揺動スクロール２のボス部分が、回転自
由にて嵌合されており、図には示されない電動機
等の駆動源によつてクランク軸６が回転すると、
オルダム継手１２等の手段によつて、姿勢を拘束
された揺動スクロール２が、第１図に示されたよ
うな揺動運動を開始する。揺動スクロール２の揺
動に伴なつて固定スクロール１の外周に設けられ
た吸入口５から気体がとり込まれ、圧縮室４で圧
縮を受けて、固定スクロール１の中心部に設けら
れた吐出口３より排気される。ハウジング９は軸
受１０を有してクランク軸６を支持するととも
に、揺動スクロール２に生ずるスラストを、スラ
スト受１１によつて支持している。またボルト穴
１５を介してボルト１４により固定スクロール１
と一体となつている。クランク軸６にはバランサ
１３が設けられて、揺動スクロール２の揺動に対
する静的動的のバランスをとつている。

又、従来のスクロール流体機械として、例えば
特開昭50−32512号に示されるように、渦巻状の
歯の端面に、渦巻形状に沿つて渦巻の初めから終
りまで連続的に溝状油通路を設け、この通路に渦
巻終端（渦巻最外周）部近傍において管を介して
給油するものもある。

（発明が解決しようとする問題点） 従来のスクロール圧縮機は、第２図のものにお
いては図から理解されるように、固定スクロール
１と揺動スクロール２のかみ合う部分において、
半径方向のシールおよび軸方向のシールに対して
は積極的なシール方法を有していなかつたので、
長期間使用後に摩耗等によつてクリアランスが生
じた場合には性能低下をきたす場合が生じ、又、
特開昭50−32512号に示されるスクロール流体機
械は、溝状油通路が渦巻の中心側から外周側に向
つて連続的に設けられ、Fig20からも明らかなよ
うに外周側すなわち低圧側から給油されて中心側
に向つて圧縮ガスの高低圧力差に逆つて強制的に
押し込もうとしているので、例えば、歯先に隙間
がある場合、油はこの隙間から漏れてしまい中心
側には新しい油が供給されない。さらに、このよ
うな状熊で隣り合う圧縮室間に微差圧がある場合
には、歯先の油膜は簡単に切れてシール効果が無
くなつてしまう等の問題点があつた。

この考案は上記のような問題点を解消するため
になされたもので、新しい油が部分的に偏つて供
給されることなく軸方向シールおよび半径方向シ
ールを確実に達成できるスクロール圧縮機を得る
ことを目的とするものである。

（問題を解決するための手段） この考案に係るスクロール圧縮機は、両スクロ
ールを水平に配設すると共に、固定スクロールに
凹みを設けて油溜めとし、固定スクロールの下面
と揺動スクロールの上面との間に水平に延在する
隙間に一端が開口し他端が油溜め内に開口する油
穴を周方向に間隔を隔てて複数個設けると共に、
油溜め内の油を所定の圧力で上記隙間内に供給す
るようにしたものである。

（作 用） この考案においては、固定スクロールに設けら
れた油溜めから固定スクロールの下面と揺動スク
ロールの上面との間に延在する隙間に、周方向に
間隔を隔てて複数個設けられた油穴を介して所定
の圧力で給油するので、新しい油が部分的に偏つ
て供給されることなく、軸方向シールおよび半径
方向シールを確実に達成する。

（実施例） 以下この考案の一実施例について説明する。第
３図において、１は固定スクロール、１５はボル
ト穴、１６は固定スクロール歯、１８は油だめ、
１９は給油口、、S₁は半径方向シール部分、S₂は
軸方向シール部分である。固定スクロール１の上
部は、例えば図においては、２重構造にして、油
だめ１８を設けてあり、この油だめ１８からは、
固定スクロール歯１６を貫通して、固定スクロー
ル歯１６歯先に開口する数個の油穴１７が設けら
れている。また、固定スクロール１の上部には、
油だめ１８に接続する給油口１９が設けられてい
る。

第３図に示された、固定スクロール１において
は図には示されない適当な給油源から、給油口１
９を介して、油だめ１８に油が所定の圧力で供給
され、固定スクロール歯１６内に設けられた油穴
１７から、軸方向シール部分S₂に放出され、その
後半径方向シール部分S₁にも流れ込む。このよう
な固定スクロール１の固定スクロール歯１６に設
けられ当該歯先に開口する給油口１９により、新
しい油が部分的に偏つて供給されることなくシー
ル部分S₁，S₂を油シールすることにより、密封を
達成するのが本考案の主旨であり、長時間使用に
際して摩耗量を最小におさえるという副次的な効
果も期待でき、また多少の摩耗を生じた後にも半
径方向シール部分S₁および軸方向シール部分S₂に
油を充満させて十分シール効果を発揮する構造と
なつている。

さらに、これは二次的な結果であるが、圧縮熱
を油によつて除去できる効果も期待でき、効率向
上にいつそう役立つことになる。

（考案の効果） 以上のように、この考案によれば両スクロール
を水平に配設すると共に、固定スクロールに凹み
を設けて油溜めとし、固定スクロールの下面と揺
動スクロールの上面との間に水平に延在する隙間
に一端が開口し他端が油溜め内に開口する油穴を
周方向に間隔を隔てて複数個設け、油溜め内の油
を所定の圧力で上記隙間内に供給するようにした
ので、新しい油が偏つて供給されることなく、軸
方向シールおよび半径方向シールを確実に達成で
きるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はスクロール圧縮機の作動原理図、第２
図は従来のスクロール圧縮機の構成を示す図で、
ＡおよびＢはそれぞれにおける線AI−AIおよび
線BI−BIに沿う断面図、第３図はこの考案のス
クロール圧縮機の一実施例を示す図で、Ａおよび
Ｂはそれぞれにおける線AI−AIおよびBI−BIに
沿う断面図である。 図において、１は固定スクロール、２は揺動ス
クロール、３は吐出口、４は圧縮室、５は吸入
口、６はクランク軸、９はハウジング、１７は油
穴、１８は油だめである。なお、各図中同一符号
は同一または相当部分を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 円弧等の組み合わせ或いはインボリユート等の
   同一形状の渦巻によつて構成された固定スクロー
   ルと揺動スクロールとを組み合わせ、上記揺動ス
   クロールを揺動運動させることによつて冷媒を圧
   縮するスクロール圧縮機において、上記固定スク
   ロールと上記揺動スクロールとを水平に配設する
   と共に、上記固定スクロールに凹みを設けて油溜
   めとし、上記固定スクロールの下面と上記揺動ス
   クロールの上面との間に水平に延在する隙間に一
   端が開口し他端が上記油溜め内に開口する油穴を
   周方向に間隔を隔てて複数個設けると共に、上記
   油溜め内の油を所定の圧力で上記隙間内に供給す
   るようにしたことを特徴とするスクロール圧縮
   機。