JPS6214329Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） この考案は、二サイクルエンジンのスカフイン
グ防止装置に関する。

（従来の技術） 従来の二サイクルエンジンにおける潤滑装置
は、始動の際に潤滑オイルが不足しやすく、その
結果ピストンおよびシリンダ壁に傷がつき（スカ
フイング）、ピストンとシリンダ壁との間のクリ
アランス（間隙）に狂いが生じ、これによつてピ
ストンの叩き音が発生することになる。そのため
エンジンの始動時にのみ潤滑オイル量を多くする
必要がある。

上記の要求を満すものとして実開昭54−177434
号公報に示される技術がある。このものは、吸気
通路にオイル源に連通した潤滑供給系を設置した
二サイクルエンジンにおいて、潤滑供給系の前記
吸気通路とオイル源とを結ぶ系路にバイパス系路
を設け、このバイパス系路中にエンジンの低温時
にこの系路を開く切換弁を設けたもので、エンジ
ンの始動時にバイパス系路を通じ潤滑オイルを供
給して始動の際の潤滑オイル不足を補なうように
なされている。

（考案が解決しようとする問題点） しかるに上記の従来技術では、吸気通路と潤滑
油源とを結ぶバイパス経路、このバイパス経路中
に介装される切換弁、およびこの切換弁を温度に
よつて開閉させる開閉装置等が必要であり、その
ため構造が著しく複雑となり、製造コストが高く
なるという欠点がある。

この考案は上記従来技術の問題点を解決するこ
とを目的としてなされたもので、始動時に操作す
る気化器のプランジヤー弁に、オイル通路切換弁
としての機能を持たせ、これにより簡単な構造で
所期の目的を達成し、併せて始動時に余分な操作
を必要としない二サイクルエンジンのスカフイン
グ防止装置を提供するものである。

〔考案の構成〕

（問題点を解決するための手段） 上記従来技術の問題点を解決するため、この考
案は、気化器のスタータ系通路にオイル通路を設
け、前記スターター系通路を開閉するプランジヤ
ー弁によつて前記オイル通路を同時開閉するよう
形成し、スターター系通路に潤滑オイルを混入す
るようにしたことを特徴とするものである。

（作用） 低温時にエンジンを始動するときは、プランジ
ヤー弁を引上げてスターター系通路を開き、濃い
燃料を供給してエンジンの始動を容易にする。こ
のとき、オイル通路もプランジヤー弁によつて開
かれるので、スターター系通路に流れる燃料に潤
滑オイルが混入されて流れ、このオイルがピスト
ン壁等に付着してスカフイングが防止される。始
動完了後は、スターター系通路をプンジヤー弁を
下げて閉じ、これによりオイル通路も閉じられ
る。通常の運転では、エンジンにはオイルポンプ
によつて潤滑オイルが供給される。

（実施例） 以下図面に示す本考案の実施例について説明す
る。

第１図は本考案の一実施例を示すもので、気化
器１には、主通路をバイパスするスターター系通
路２が設けられており、プランジヤー弁３を引上
げてスターター系通路２を開くと、燃料ノズル４
から濃い燃料が供給されて、エンジンの始動を助
ける。

しかして本考案においては、このスターター系
通路２に合流するようにオイル通路５が設けら
れ、オイルタンク６にパイプを通じて連結されて
いる。そして、プランジヤー弁３には、スタータ
ー系通路２が開かれたときオイル通路５を同時に
開通する横孔７が設けられている。

オイルタンク６の潤滑オイルは、重力で流下す
るもので、途中に絞り８を設けるか、前記横孔７
の孔径等で流量を規制する。

第２図は本考案の他の実施例を示すもので、ス
ターター系通路２に開口するオイル通路５が設け
られ、プランジヤー弁３でオイル通路５の開口部
をスターター系通路２と同時に開閉するようにし
たものである。そして、オイル通路５は、エンジ
ンに連動するオイルポンプ９の第２の吐出口１０
に連結され、また途中には、一方弁１１を介して
オイルタンク６に戻る戻り通路１２が設けられ
る。なおオイルポンプ９の第１の吐出口１３は、
エンジンのクランク室等に連結されるものであ
る。

つぎに上記実施例の作用について説明する。

低温時にエンジンを始動するときは、プランジ
ヤー弁３を引上げてスターター系通路２を開き、
濃い燃料を供給してエンジンの始動を容易にす
る。このとき、オイル通路５も、プンジヤー弁３
によつて開かれるので、スターター系通路２に流
れる燃料に潤滑オイルが混入されて流れ、このオ
イルがピストン壁等に付着してスカフイングが防
止される。始動完了後は、スターター系通路２を
プランジヤー弁３を下げて閉じ、これによりオイ
ル通路５も閉じられる。通常の運転では、エンジ
ンにはオイルポンプ９によつて潤滑オイルが供給
され、第２図の場合、オイル通路５を閉じた後の
第２の吐出口の潤滑オイルは、戻り通路１２を通
つてオイルタンク６に戻る。

（考案の効果） 以上説明したように、この考案は、気化器のス
ターター系通路にオイル通路を設け、前記スター
ター系通路を開閉するプランジヤー弁によつて前
記オイル通路を同時開閉するよう形成し、スター
ター系通路に潤滑オイルを混入するようにしたの
で、低温始動時に、気化器のスターター系通路を
開くためにプンジヤー弁を開けば始動用の濃い燃
料と共に潤滑オイルが送られて潤滑され、ピスト
ン壁にスカフイングが発生することを防ぐことが
できる。そして、オイル通路は、スターター系通
路を開閉するプランジヤー弁によつて同時に開閉
するので、開閉操作を忘れることがなく、確実に
開閉されて操作ミスも起きることがない。さらに
潤滑オイルの供給系はスターター系通路を開閉す
るプンジヤー弁に装置されるので、周辺の構造が
複雑化することがなく、安価に得ることができる
などの種々の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す縦断面図、第
２図は本考案の他の実施例を示す縦断面図であ
る。 １……気化器、２……スターター系通路、３…
…プランジヤー弁、５……オイル通路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 気化器のスタータ系通路にオイル通路を設け、
   前記スターター系通路を開閉するプランジヤー弁
   によつて前記オイル通路を同時開閉するよう形成
   し、スターター系通路に潤滑オイルを混入するよ
   うにしたことを特徴とする二サイクルエンジンの
   スカフイング防止装置。