JPS6213592Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は熱エネルギーを有効に利用したドライ
クリーニング装置に関する。

業務用クリーニング機械には水洗機とドライク
リーニング機（石油、パークロルエチレン、１，
１，１−トリクロルエタン、Ｒ１１，Ｒ１１３等
を溶剤として用いる）の２種があるが、本考案は
ドライクリーニング装置に関するものである。

第１図に従来のドライクリーニング装置の概略
を示す。１は洗浄液タンクで洗浄液を入れてあ
る。２はポンプで、溶剤の汲上げ、循環、送液に
使用する。３は処理槽で、この中に洗濯ドラム４
があり、モーターで回転するようになつている。
そして洗濯ドラム４の中に被洗物５を入れ、タン
ク１からの洗浄液で洗浄する。６はリントフイル
ター、７はフアンモーター、８はエアクーラー、
９はエアヒーターで、乾燥時にフアンモータ７に
て→方向にエアーを循環させる。

１０は蒸留器で、加熱室１１と一体となつてい
る。１２はコンデンサで、蒸留器１０で蒸発した
溶剤を凝縮させる。１３は水分離器で、コンデン
サ１２にて凝縮回収した水分を含んだ溶剤を水と
溶剤に分離する。１４はすすぎタンクで、水分離
器１３で分離したきれいな溶剤を溜めておく。

洗浄の基本的な行程は、 予洗→本洗→乾燥→脱臭 →蒸留 であり、処理槽３内で予洗洗浄を行ない、予洗後
の汚濁溶剤をポンプ２にて蒸留器１０に送り込み
蒸留回収する。一方、予洗の後、洗浄液タンク１
および必要に応じすすぎタンク１４からの洗浄液
を処理槽３に送つて本洗を行ない、次いですす
ぎ、脱液を行つた後、フアンモータ７で循環する
エアーにより乾燥後、外気を処理槽に吸い込んで
脱臭を行なう。

上記蒸留行程と乾燥行程で消費する熱エネルギ
ーの熱源としては、水蒸気（以下蒸気という）と
電気ヒータとがあるが、本考案では蒸気を熱源と
して用いている。蒸留行程および乾燥行程に使用
された蒸気は凝縮水となつて、スチームトラツプ
１５，１６から外へ排出され、その殆んどは棄て
られているが、使用された熱エネルギーに対し
て、棄てられる熱エネルギーの割合は約20％位で
ある。

従来の方法では上記のように大量の熱エネルギ
ーが棄てられていると共に、せいぜい30〜40℃程
度（Ｒ１１やＲ１１３ではもつと低い）の温度の
溶剤が蒸留器に送り込まれるため蒸留時間も長く
かかるし、毎回、溶剤が蒸留器に送り込まれるた
びに蒸留器は高温から低温に、そしてまた高温へ
と巾の広い温度差の状態にさらされるため熱応力
の変化もそれだけ大きく蒸留器の劣化の原因にも
なつていた。

本考案は従来のドライクリーニング装置におけ
る上記の欠点を解消することを目的としたもの
で、蒸留行程および乾燥行程において棄てられて
いる大量の熱エネルギーを、蒸留液の予熱に有効
に利用して省エネルギーを計ると共に、予熱され
た溶剤を蒸留器へ送り込むことにより蒸留器の熱
応力の変動を少なくして蒸留器の寿命を延ばすも
のである。

すなわち、本考案は洗浄液タンク、乾燥機構の
付随した洗濯ドラム、および蒸留器からなるドラ
イクリーニング装置において、洗濯ドラムと蒸留
器とを連絡する導管の途中に予熱タンクを設け、
同予熱タンクに、洗濯ドラム本体に接続する乾燥
用ヒータまたは蒸留器の加熱室の少くともいずれ
か一方から排出される凝縮水のダクトを連通させ
てなることを特徴とする、ドライクリーニング装
置に関し、予熱タンク内で、乾燥用ヒータ、蒸留
器の加熱室の少なくとも一方から排出される凝縮
水により、洗濯ドラムから排出される予洗後汚濁
溶剤を予熱した後、蒸留器へ送つて蒸留を行なう
ことを要旨とするものである。

本考案は、その一実施態様を示した第２図を用
いて詳細に説明する。第２図における１〜１６
は、第１図の１〜１６と対応しているので、説明
は略す。

１７は予熱タンクで本考案の根幹をなすもの
で、ポンプ２と蒸留器１０を結ぶパイプの途中に
取り付けられている。予熱タンク１７には蒸留器
加熱室１１のスチームトラツプ１５から排出され
た凝縮水のパイプと、乾燥機のエアヒータ９のス
チームトラツプ１６から排出された凝縮水のパイ
プが接続されており、そのパイプが予熱タンクの
中を通つて外へ出ている。そしてポンプ２と予熱
タンク１７の間にはバルブ１８と逆止弁１９が取
り付けてあり、予熱タンク１７と蒸留器１０の間
には逆止弁２０が取り付けてある。

予熱タンクは、第３図のようにスチームトラツ
プ１５，１６からの凝縮水を直接、予熱タンクに
入れ、上部に排出パイプを取り付け、予熱タンク
の凝縮水の中を溶剤パイプを通してもよいし、第
４図のように溶剤を直接、予熱タンクに入れ、そ
の中を凝縮水パイプを通してもよい。また予熱装
置の取り付け方としては、第３図のような縦形、
第５図のような横形等いずれでもよい。

予洗洗浄により汚濁した処理槽３内の溶剤をポ
ンプ２から、予熱タンク１７にまず送り込む。蒸
留器加熱室１１からの凝縮水と、エアーヒータ９
からの凝縮水を予熱タンク１７に導き、凝縮水の
熱エネルギーで予熱タンク内の溶剤を温める。そ
して一たん予熱タンク内に送り込まれた溶剤はエ
アヒータ９および加熱室１１への蒸気供給を停め
ない限り予熱され続ける。予熱タンク内の溶剤の
入れ換えは、次の回の予洗が終了したら処理槽３
内の汚濁された溶剤をポンプ２で予熱タンク１７
に送り込むことにより行なわれる。このようにし
て予熱された溶剤が押し出される形で蒸留器１０
内へ流れ込み、蒸留が開始される。

本考案装置を用いて、予熱タンク内で予熱した
比較的高温の溶剤を蒸留器に送り込むことにより
蒸留が早くなり、また蒸留器の熱応力の変化も少
なくなるので、蒸留器の劣化を防止することがで
き、予熱に要する熱エネルギーは従来、棄てられ
ていたものを利用するので経済的にも好都合であ
る。溶剤としてパークロルエチレンを用いた場
合、35℃の溶剤を予熱により80℃またはそれ以上
にすることが可能で、これにより蒸留に要する熱
量のほぼ10％を節約でき、熱応力の変動は従来の
60％程度に押えることができる。

【図面の簡単な説明】

第１および２図はドライクリーニング装置の概
略を示し、第１図が従来のもの、第２図が本考案
のものに関し、１が洗浄液タンク、４が洗濯ドラ
ム、１０が蒸留器で、１７が予熱タンクである。
第３，４および５図は本考案の予熱タンク１７の
種々の形態を示すものである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 洗浄液タンク、乾燥機構の付随した洗濯ドラ
   ム、および蒸留器からなるドライクリーニング装
   置において、洗濯ドラムと蒸留器とを連絡する導
   管の途中に予熱タンクを設け、同予熱タンクに、
   洗濯ドラム本体に接続する乾燥用ヒータまたは蒸
   留器の加熱室の少くともいずれか一方から排出さ
   れる凝縮水のダクトを連通させてなることを特徴
   とする、ドライクリーニング装置。