JPS621358Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はシールド掘進機のセグメントエレクタ
装置の改良に関する。

一般にシールド式トンネルを形成しようとする
際、シールド掘進機により掘削された隧道の内面
をセグメントにより覆工するため、順次各セグメ
ントを連結して筒状体を構成するのにセグメント
エレクタ装置が用いられるが従来この種の装置
は、第１図及び第２図に示す如くシールド掘進機
本体ａ内に、旋回用モータｂにより伝動機構b′を
介し、同本体ａの軸心を回転中心として旋回自在
なエレクタリングｃが設けられ、当該エレクタリ
ングｃには吊り金具ｄを備えた略門形の吊りフレ
ームｅが、その昇降ガイドｆによつて上記本体ａ
の径方向に可能なるよう嵌装され、適所に設けた
昇降シリンダｇにより当該吊りフレームｅを上記
径方向に作動し得る構成となつている。

しかし、上記従来例によるときは略門形の吊り
フレームｅがシールド掘進機本体ａ内の作業空間
を可成の範囲で占有するため、ずり搬出及び切羽
への作業員の出入り等が妨げられ、特に小口径の
シールド掘進機ではそれが著しく、また、大きな
略門形の吊りフレームｅが掘進機本体ａ内を回動
することになるため、作業上からも甚だ危険なも
のであつた。

本考案は上記従来の難点を解消するため、エレ
クタリングの一側端に吊りフレームを特異構成の
リンクを介して連結して小型化することにより、
従来のような形の吊りフレームを排し、かつ、上
記特異構成のリンクは４節の不平行リンク機構と
することによつて、吊りフレームにより前記の如
く径方向に移動されるセグメントの動きを単なる
平行移動ではなく、当該セグメントに傾斜状態と
なつた後、水平状態に復帰する動きをさせ、これ
により、既設隣装のセグメントと衝当することな
く各セグメントの覆工作業が円滑になし得るセグ
メントエレクタ装置を提供するのがその目的であ
る。

以下、本考案の一実施例を示した図面について
詳述すれば、１はシールド掘進機本体であり、当
該本体１は第３図のように切羽側より掘削を行な
う刃口部１ａと、既に覆工されたセグメント２を
足場として上記本体１を推進させる複数基のシー
ルドジヤツキ３が格納されたリングガーダ部１ｂ
と、本考案のセグメントエレクタ装置を備え、セ
グメント２による覆工作業が行なわれるテール部
１ｃとからなつている。

そこで本案装置は上記テール部１ｃ内にあつ
て、エレクタリング４がガイドローラ５，５……
によつて前記本体１と同軸状にて回動自在に支承
されていると共に、該エレクタリング４はその前
側面に固着したギヤ６と噛合する駆動ギヤ７を備
えた旋回用モータ８によつて上記の回動が可能と
なつている。

そして、エレクタリング４の後側部には、長さ
の異なる２対のリンク９，９、１０，１０により
吊りフレーム１１をエレクタリング４の径方向に
変移自在なるよう（図示の場合上下動自在）連枢
すると共に、当該エレクタリング４の後側部と吊
りフレーム１１との間には、昇降シリンダ１２，
１２の両端が枢着されている。

ところで、前記リンク９，９、１０，１０の一
端側は、エレクタリング４に突設した連結基板１
３，１３と、ピン１４，１４、１５，１５を介し
て軸支すると共に、同リンク９，９、１０，１０
の他端側は吊りフレーム１１の連結部１６，１６
にピン１７，１７、１８，１８を介して軸支し、
前記昇降シリンダ１２，１２の一端側はピン１９
を介して前記連結基板１３に、他端側はピン２
０，２０を介して吊りフレーム１１の前端部１
１′，１１′にそれぞれ枢着してある。

一方、前記吊りフレーム１１には互いに前後方
向にて平行なスライドガイド２１，２１を設け、
これに吊り金具２２を摺動自在に支承すると共
に、当該吊り金具２２は上記吊りフレーム１１の
前端中央部に取着したスライドシリンダ２３によ
り前後方向へ押引自在となつている。

そこで、上記のセグメントエレクタ装置を用い
るには、昇降シリンダ１２，１２の伸張によつて
吊りフレーム１１を下降させると共に、該吊りフ
レーム１１の吊り金具２２にセグメント２を取り
付け、再び昇降シリンダ１２，１２の短縮により
吊りフレーム１１と共にセグメント２を上昇させ
た後、旋回用モータ８によりエレクタリング４を
所定角度まで回動させ、さらに昇降シリンダ１
２，１２の伸張と、スライドシリンダ２３の押引
によりセグメント２を所定位置へ配装し、これを
固定して覆工作業を行なうことになる。

こゝで吊りフレーム１１は長さの異なる２対の
リンク９，９、１０，１０によつて連結されてい
るため、前記昇降シリンダ１２，１２の作動によ
り当該吊りフレーム１１は第６図に模式的に示す
如く、セグメント２の取付位置がA₁，A₂，A₃，
A₄の如く変移して行くから、四節平行リンクを
用いた場合に比し、水平方向の変位量Ｗが小さく
なり、極めて直線に近い軌跡で下降するため、当
該吊りフレーム１１と共に下降するセグメント２
が既設隣装のセグメント２と不本意に衝当し難
く、さらに、下降途上にあつて吊りフレーム１１
従つてセグメント２は後方低位の傾斜状態となる
ため、上記隣装のセグメント２の角部２′と上記
下降途上のセグメント２の角部２″とが不用意に
衝当し、当該セグメント２の装填に支障を来した
りまた上記角部２′，２″を損傷するといつたこと
が避けられる。

以上説明したように、本考案はシールド掘進機
本体１内に旋回用モータ８により同本体１の円周
方向に旋回自在なるよう設けたエレクタリング４
には、その後側にあつて、互いの長さの異なるリ
ンク９，１０による四節不平行リンクにより、吊
りフレーム１１を前記本体１の径方向へ変移自在
なるよう連結すると共に、当該エレクタリング４
と吊りフレーム１１との間には昇降シリンダ１２
を連枢してなるので、吊りフレーム１１を小型化
でき、ずり搬出及び切羽への作業員の出入り等
が、能率的かつ安全に行なわれるのはもちろん、
また、本考案では四節不平行リンクによつて吊り
フレーム１１を連枢する構成としたので、セグメ
ント２の横方向への変位量Ｗが小さく、従つて当
該セグメント２が隣装のセグメント２と衝当する
といつたことが回避され、さらに、変移途上のセ
グメント２は後方低位に傾斜するため、隣装のセ
グメント２と角部どうしが衝当し、装填に支障を
来したり当該角部が損傷するといつたことも防止
でき、セグメント２の組立て作業が安全かつ能率
的に行ない得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のセグメントエレクタ装置を示す
縦断側面図、第２図は同横断正面図、第３図は本
考案に係るセグメントエレクタ装置の縦断側面
図、第４図は同横断正面図、第５図は同装置の要
部を示す下面図、第６図は同装置のリンク機構の
作動を示す模式説明図である。 １……シールド掘進機本体、４……エレクタリ
ング、８……旋回用モータ、９，１０……リン
ク、１１……吊りフレーム、１２……昇降シリン
ダ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シールド掘進機本体内に旋回用モータにより同
   本体の円周方向に旋回自在なるよう設けたエレク
   タリングには、その後側にあつて、互いに長さの
   異なるリンクによる四節不平行リンクにより、吊
   りフレームを前記本体の径方向へ変移自在なるよ
   う連結すると共に、当該エレクタリングと吊りフ
   レームとの間には昇降シリンダを連枢してなるシ
   ールド掘進機のセグメントエレクタ装置。