JPH0547823Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は場所打杭を迅速に造成するのに用いる
移動式穿孔機に関する。

〔従来の技術〕

従来ブームを俯仰自在に支持するクレーン旋回
台を走行装置上に旋回自在に取付けて、該ブーム
先端の滑車を経由する主巻索に回転自在に吊下げ
たケリーバーの駆動装置とブームの支持部との間
を、長さが等しく且つ互いに平行な上下のリンク
部材で連結した移動式穿孔機は、特公昭52−
41561号公報により知られている。

〔考案が解決しようとする課題〕

この穿孔機を簡潔化するため、第４図のように
等長且つ平行な上下のリンク部材８′，９′の下端
を組立式ブーム１′の基部に直接枢着すると、穿
孔した穴に鉄筋を建込むため、ブーム基端と下部
リンク部材との間に取付けた伸縮シリンダ１１′
を伸長して、ケリーバー駆動装置７′をブーム寄
りに引込む際に、ケリーバー６が同図鎖線示のよ
うに平行移動して、その上端がブームと干渉する
のみならず、主巻索とケリーバーの連結部が屈曲
したり、ケリーバーが該駆動装置７′をこじつた
りするため、上部リンク部材８′の途中に油圧シ
リンダを挿入して、該上部リンク部材を伸縮調節
できるようにせねばならない。しかしこの構成で
は、ケリーバーをブーム寄りに引込むため、該油
圧シリンダと伸縮シリンダ１１′を同時に伸縮す
る際に、主巻索とケリーバーの連結部が屈曲し易
く、駆動装置７′に対するケリーバーの摺動を円
滑に行い難い。

又組立式ブームの俯仰や伸縮に多大の時間と場
所を要するのみならず、ケリーバー駆動装置に鑚
孔推力増大装置を設けると、穿孔機輸送時の容積
が増大するため、狭隘な各工事現場の間で穿孔機
を迅速に移動或いは輸送して、順次穿孔や鉄筋の
建込みを行うことができない。

本考案はこれ等の問題に対処するもので、穿孔
機を小型の簡潔な構成として、しかも伸縮シリン
ダの操作だけでケリーバーやその駆動装置を穿孔
位置と引込位置との間で円滑に移動できるように
すること、及び該穿孔機の穿孔姿勢とコンパクト
な輸送姿勢との間の転換を迅速且つ容易に行える
ようにすることを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

本考案はケリーバーを穿孔位置とブーム寄りの
引込位置との間で揺動させる伸縮シリンダ１１
を、ブームと上下リンク部材の一方との間に取付
け、且つ上部リンク部材８を下部リンク部材９よ
り短くすると共に、ケリーバー駆動装置側におけ
る上下リンク部材の枢着中心Ａ，Ｂ間の距離Ｌ
を、ブーム側における上下リンク部材の枢着中心
Ｃ，Ｄ間の距離Ｍより短くして、前記伸縮シリン
ダ１１の伸縮作動中は、常にケリーバー６の軸線
が前記滑車４に略接するように構成したものであ
る。

下部リンク部材の下端は、デリツクシリンダで
俯仰される伸縮ブームの基部ブーム筒の基端部に
枢着し、該下部リンク部材の上部に下端が枢着さ
れた伸縮シリンダの上端は、該基部ブーム筒の先
端部に枢着して、該基部ブーム筒に対向する下部
リンク部材と伸縮シリンダの挟角を鈍角にするの
がよい。又ケリーバーの穿孔位置において、下部
リンク部材の伸縮シリンダ枢着部とクレーン旋回
台との間に、該伸縮シリンダと略一直線上に位置
する連結杆を着脱自在に取付けることもできる。

〔作用〕

上記構成によれば、上部リンク部材下端の枢着
中心Ｃを、ケリーバーが垂直の穿孔位置にある時
の線分Ａ，Ｂと線分Ｂ，Ｄを二辺とする平行四辺
形Ａ，Ｂ，Ｄ，Ｅの対応頂点Ｅより前上方に位置
させることになるため、下部リンク部材を上下回
動した時におけるその上端枢着中心Ｂの回動変位
が、これに連動する上部リンク部材上端の枢着中
心Ａの回動変位より大きくなるのと、ケリーバー
の揺動範囲が比較的小さいのとにより、線分Ａ，
Ｂの延長線が常にブーム先端の一定点Ｐの附近を
通るようにして、穿孔位置と引込位置の間で揺動
するケリーバーの軸線がほぼ滑車４に接するよう
にすることができ、ブーム側へのケリーバー駆動
装置７の引込み時に、主巻索とケリーバーの接続
部が屈曲する恐れがなく、該駆動装置７の昇降に
応じてこれとケリーバーの相対的摺動が円滑に行
われる。又上部リンク部材は伸縮調節する必要が
なく、単に伸縮シリンダを伸縮するだけでよいか
ら操作容易である。

又下部リンク部材と、その上部に連結した伸縮
シリンダとの挟角を鈍角にすれば、該伸縮シリン
ダを収縮してケリーバー駆動装置を伸縮ブーム側
に引込んでも、伸縮シリンダがデリツクシリンダ
と干渉する恐れがなく、該駆動装置を伸縮ブーム
の極く近くまで引込み得る。下部リンク部材の下
端を伸縮ブームの基部ブーム筒の基端部に、又伸
縮シリンダの上端を基部ブーム筒の先端に夫々枢
着したのは、移動或いは輸送時における穿孔機の
コンパクト化を計るためである。しかも穿孔姿勢
における下部リンク部材の伸縮シリンダ連結部と
クレーン旋回台の前端部との間を連結杆１３で連
結すれば、伸縮シリンダ１１に作用する大きな穿
孔反力を、該伸縮シリンダと略一直線をなす連結
杆１３を介してクレーン旋回台に伝達することが
でき、伸縮シリンダや下部リンク部材の座屈強度
を増大する必要がなくなる。

〔実施例〕

基部ブーム筒１２に中間ブーム筒１４、先端ブ
ーム筒１５を順次テレスコープ状に嵌装して、内
蔵した油圧シリンダにより伸縮される伸縮ブーム
１の基端は、クローラ走行装置３上に取付けたク
レーン旋回台２にフートピン１６で枢架され、該
伸縮ブームは、その基部ブーム筒下面とクレーン
旋回台との間に取付けた１個のデリツクシリンダ
１０によつて俯仰自在である。

クレーン旋回台上には主巻胴１７と補巻胴１８
（第３図）とが取付けられ、該主巻胴より繰出さ
れて伸縮ブーム先端の滑車４を経由した主巻索５
には回り継手１９を介して正方形状断面のケリー
バー６が吊下げられる。２０はケリーバー６の下
端に取付けた鑚孔バケツトである。

ケリーバー６の駆動装置７は、上下のリンク部
材８，９の上端に夫々枢着支持Ａ，Ｂされた垂直
の案内部材２１と、該案内部材に昇降のみ自在に
取付けた昇降台２２と、該昇降台を昇降させるよ
うに案内部材２１に取付けた油圧シリンダ２３と
を含み、該昇降台２２には、ケリーバー６が摺動
のみ自在に貫通するロータリテーブル（図示せず
と、該ロータリテーブル駆動用の油圧モータ２４
とが取付けられる。

上下のリンク部材８，９は夫々案内部材２１と
基部ブーム筒１２に上下端を枢着した両側のリン
ク間を、デリツクシリンダ１０や伸縮シリンダ１
１と干渉しないように梁で剛に固着してなり、下
部リンク部材下端の枢着中心Ｄに対する上部リン
ク部材下端の枢着中心Ｃの位置は、実際上次のよ
うに設定している。

下部リンク部材９を介して基部ブーム筒１２の
基端部に連結したケリーバー駆動装置７を、常に
ケリーバー軸線Ｘが滑車４に接するようにして、
第２図実線示の穿孔位置と、同図鎖線示の引込位
置と、その中間の位置とに夫々回動した時におけ
る上部リンク部材上端の枢着中心Ａの位置を求
め、この３個の枢着中心位置を通る円弧Ｆの中心
を求めて、これを上部リンク部材下端の枢着中心
Ｃにすればよい。尚第２図のイ，ロは上下枢着中
心Ａ，Ｂの回動限界を示す。

連結杆１３は、夫々長手方向に多数のピン孔を
穿設した内管２５と外管２６をテレスコープ状に
嵌挿したもので、該内外管のピン孔のピツチに若
干の差を持たせて、その合致したピン孔にピンを
挿着することにより、連結杆長さを微細に調節で
きるようにしている。下部リンク部材９に対する
内管２５の連結部は、該下部リンク部材に対する
伸縮シリンダ１１の連結部の略下方に位置してい
る。

尚２７は滑車４より前方において伸縮ブーム１
の先端に取付けた滑車で、該滑車２７を経由した
補巻索２８（第３図）によつて鉄筋を建込み等を
行うことができる。

ロータリテーブルによつてケリーバーを駆動回
転して穿孔する際は、油圧シンダ２３によつて昇
降台２２を案内部材２１に沿い押下げることによ
り、ロータリテーブルとケリーバーの間の大きな
摩擦力を鑚孔推力として鑚孔バケツト２０に与え
ることは勿論である。又穿孔や鉄筋の建込みを完
了して次の工事現場に輸送する際は、鑚孔バケツ
ト２０を取脱したケリーバー６をその駆動装置７
より抜取り除去した後、該駆動装置を伸縮ブーム
寄りに引込み、且つ伸縮ブームを収縮して第３図
の輸送姿勢にする。

〔考案の効果〕

本考案によれば次のような効果がある。

(1) 請求項１の構成によれば、伸縮シリンダ１１
を操作してケリーバーやその駆動装置をブーム
側に引込む際などに、主巻索とケリーバーの連
結部が屈曲しないため、該駆動装置に対するケ
リーバーの摺動が円滑に行われ、伸縮シリンダ
の伸縮操作を手加減する必要がなくなる。

(2) 請求項２の構成によれば、伸縮シリンダがデ
リツクシリンダと干渉する恐れがないから、伸
縮ブームをデリツクシリンダで迅速に俯仰する
ことができ、しかもケリーバーやその駆動装置
を伸縮ブームの極く近くまで引込むことができ
るから、輸送時や移動時における穿孔機のコン
パクト化が可能となり、ケリーバー駆動装置内
に鑚孔推力増大装置を設けても、該駆動装置と
地面との間隔を第３図のように大きくすること
ができ、不整地における穿孔機の走行性が向上
する。

(3) 請求項３の構成によれば、伸縮シリンダ１１
に作用する筈の大きな穿孔反力が、該伸縮シリ
ンダと略一直線をなす連結杆１３を介してクレ
ーン旋回台に伝達されるから、該伸縮シリンダ
や下部リンク部材の座屈強度を増大する必要が
なく、上下リンク部材によるケリーバー駆動装
置の支持剛性も向上できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案一実施例の穿孔状態における側
面図、第２図はその機能説明図、第３図は移動時
や輸送時における側面図、第４図は従来型穿孔機
の側面図である。 １９……回り継手、２０……鑚孔バケツト、２
１……案内部材、２２……昇降台、２３……油圧
シリンダ、２４……油圧モータ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ ブーム１を俯仰自在に支持するクレーン旋回
   台２を走行装置３上に旋回自在に取付けて、該
   ブーム先端の滑車４を経由する主巻索５に回転
   自在に吊下げたケリーバー６の駆動装置７とブ
   ーム基部との間を、上下のリンク部材８，９で
   連結した移動式穿孔機において、ケリーバーを
   穿孔位置とブーム寄りの引込位置との間で揺動
   させる伸縮シリンダ１１を、ブームと上下リン
   ク部材の一方との間に取付け、且つ上部リンク
   部材８を下部リンク部材９より短くすると共
   に、ケリーバー駆動装置側における上下リンク
   部材の枢着中心Ａ，Ｂ間の距離Ｌを、ブーム側
   における上下リンク部材の枢着中心Ｃ，Ｄ間の
   距離Ｍより短くして、前記伸縮シリンダ１１の
   伸縮作動中は、常にケリーバー６の軸線が前記
   滑車４に略接するように構成したことを特徴と
   する移動式穿孔機。 ２ デリツクシリンダ１０で俯仰される伸縮ブー
   ム１の基部ブーム筒１２の基端部に下部リンク
   部材９の下端を枢着し、且つ該下部リンク部材
   の上部に下端が枢着された伸縮シリンダ１１の
   上端を基部ブーム筒１２の先端部に枢着して、
   該基部ブーム筒に対向する下部リンク部材と伸
   縮シリンダの挟角を鈍角に形成してなる請求項
   １記載の移動式穿孔機。 ３ ケリーバーの穿孔位置において、下部リンク
   部材９の伸縮シリンダ連結部とクレーン旋回台
   ２との間に、伸縮シリンダ１１と略一直線上に
   位置する連結杆１３を着脱自在に取付けてなる
   請求項２記載の鑚孔推力増大装置付の移動式穿
   孔機。