JPS6212692Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は車両緊急時の乗員保護用シートベルト
装置に用いられるウエビング巻取装置に関する。

車両のシートベルト装置に用いられるウエビン
グ巻取装置は乗員拘束用ウエビングの端部を巻取
軸へ層状に巻取り、この巻取軸をぜんまいばねの
付勢力でウエビング巻取方向に回転させて乗員へ
ウエビングの中間部を密着させるようになつてい
る。またこの巻取装置には車両緊急時にウエビン
グの巻出しを停止させて乗員を拘束状態とするイ
ナーシヤロツク機構が設けられている。

このイナーシヤロツク機構は巻取軸に固着され
たラチエツトホイルと接離可能なポウル及び車両
緊急時にこのポウルをラチエツトホイルへ噛み合
わせて巻取軸の巻出し回転を阻止する加速度感知
部材とにより構成されており、車両緊急時には瞬
時に巻取軸のウエビング巻出し回転を停止させて
乗員を拘束状態とするようになつている。

このポウルは車両通常走行状態でその自重によ
りラチエツトホイルと離間してラチエツトホイル
の回転を可能としているが、車両の振動等により
ポウルがラチエツトホイルと接触して騒音を発生
し乗員に不快感を与える原因となつている。

このポウルまたはラチエツトホイルを合成樹脂
で製作することにより騒音を減少することは可能
であるが車両緊急時にウエビングに発生する大き
な張力が合成樹脂製のポウルまたはラチエツトホ
イルを波壊して乗員の拘束を不完全にする可能性
がある。

本考案は上記事実を考慮し、簡単な構造で確実
にポウルとラチエツトホイルとの当接音を減少す
ることができるウエビング巻取装置を提供するこ
とが目的である。

本考案に係るウエビング巻取装置はポウルとラ
チエツトホイルを共に金属により形成し、該ポウ
ルのラチエツト対向面に凹溝を設け、該凹溝に合
成樹脂チツプを挿入固定したものである。

上記の構成によると、ポウルが車両振動等によ
り移動した場合には、ポウルの合成樹脂チツプが
ラチエツトホイルに当り、騒音の発生が抑えられ
る。

以下本考案の実施例を図面に従い説明する。

第１図に示されるウエビング巻取装置１０は金
属製フレーム１２が取付ボルト１４により車体１
６へ固着されている。

このフレーム１２の両側部からは一対の脚部１
８が互いに平行に延長されており（但し第１図に
は一方の脚部１８の図示が省略されている）、こ
れらの脚部１８に巻取軸２０が軸支されている。
この巻取軸２０には乗員拘束用ウエビング２２の
一端が層状に巻取られており、巻取軸２０と脚部
１８との間に介在される図示しないぜんまいばね
の付勢力で巻取軸２０がウエビング巻取方向（第
１図矢印Ａ方向）に回転されている。

巻取軸２０にはラチエツトホイル２４が固着さ
れており、ポウル２６と対応している。このポウ
ル２６は金属により製作されており、その基部が
合成樹脂製のポウル補助部材２８で包囲されてお
り、このポウル補助部材２８の一部から突出した
アーム３０がブラケツト３２へピン３４により軸
支されている。従がつてポウル２６はピン３４を
中心として回転可能であり、その自重に抗して回
動された場合にはラチエツトホイル２４と噛み合
つてラチエツトホイル２４及び巻取軸２０のウエ
ビング巻出し方向回転を阻止するようになつてい
る。

前記ピン３４を軸支するブラケツト３２は一対
の脚部１８へその両端部が固着された支持プレー
ト３６上へ固着されており、この支持プレート３
６には加速度感知部材である振子３８が吊下げら
れている。

この振子３８は、その首部４０が支持プレート
３６に穿設された軸心が垂直の貫通孔４２へ挿入
されており、頂部４４が支持プレート３６上へ載
置されることにより支持プレート３６へ吊下げら
れている。

この振子３８の頂部４４上にはポウル補助部材
２８の底面から突出した突起４６が載置されてお
り、これによつてポウル２６及びポウル補助部材
２８の第１図時計方向回転が規制されている。こ
の振子３８は車両通常走行状態でその軸心が垂直
とされているが、車両加速度が所定値以上に達す
る車両緊急時には車両加速度を受けて揺動するた
め突起４６を介してポウル２６及びポウル補助部
材２８をピン３４周りにポウルの自重に抗して回
動させラチエツトホイル２４とかみ合わせるよう
になつている。

第２図に示される如くポウル２６のラチエツト
対向面４８には凹溝５０が形成されて合成樹脂製
チツプ５２が嵌入されている。

凹溝５０はその中間部に更に凹溝５０の深さを
増大する矩形溝５４が形成されてチツプ５２の突
起５６がこの矩形溝５４へ挿入されることにより
チツプ５２がポウル２６の表面に沿つて移動する
のを阻止するようになつている。またこの凹溝５
０のポウル先端側（第２図右方向）端面は鋭角係
止溝５８とされてチツプ５２の一端がポウル２６
から剥離するのを防止するように配慮している。
また凹溝５０を他端部は鋭角係止溝５８と補角を
形成する鈍角挿入溝６０とされて凹溝５０へチツ
プ５２を第２図矢印Ｂ方向に挿入することができ
るようになつている。

またこの凹溝５０へ挿入されたチツプ５２の鈍
角挿入溝６０付近はポウル２６を被覆するポウル
補助部材２８の薄肉部６２でポウル２６へ押圧さ
れており、これによつてチツプ５２が不用意にポ
ウル２６から脱落しないようになつている。

このように構成された本実施例に於いては、乗
員がウエビング２２を巻取軸２０から巻出して装
着することができ、車両通常走行状態に於いては
巻取軸２０の回転が可能であるため乗員は任意に
運転姿勢を変更することができる。

またこの車両通常走行状態に於いて車両の振動
によりポウル補助部材２８及びポウル２６はピン
３４周りに揺動するが、この揺動時にはポウル２
６に取り付けられた合成樹脂製のチツプ５２がラ
チエツトホイル２４と接触するので発生する騒音
は著しく小さく、乗員がこれを感ずることはな
い。

車両が衝突等の緊急状態に陥つた場合には振子
３８が揺動するためポウル２６及びポウル補助部
材２８をピン３４周りに回動させてラチエツトホ
イル２４へポウル２６がかみ合うので巻取軸２０
のウエビング巻出し回転は急激に停止され、乗員
はウエビング２２により拘束状態となつて安全が
保証される。

なお、上記チツプ５２は接着材を用いてポウル
２６へ取りつけることも可能である。

以上説明した如く本考案にかかるウエビング巻
取装置はポウルのラチエツト対向面に合成樹脂チ
ツプを設けたので、通常走行状態において、ポウ
ルの金属部分が直接ラチエツトホイルに当ること
がなくなり、確実に当接音を減少させることがで
き、また、合成樹脂チツプはポウルに設けられた
凹溝に挿入固定されているため、ラチエツトホイ
ルの先端によつて剥されることがなく、簡単な構
造で長期に亘つて騒音の少ない快適な運転環境が
保証される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案にかかるウエビング巻取装置の
実施例を示す断面図、第２図はポウルの軸支状態
を示す拡大断面図である。 １０……ウエビング巻取装置、２０……巻取
軸、２２……ウエビング、２４……ラチエツトホ
イル、２６……ポウル、２８……ポウル補助部
材、３８……振子、５０……凹溝、５２……チツ
プ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 乗員拘束用ウエビングの巻取軸へラチエツトホ
   イルが固着され、加速度感知部材により作動され
   るポウルが前記ラチエツトホイルと係合して巻取
   軸の巻出回転を阻止するウエビング巻取装置にお
   いて、前記ポウルとラチエツトホイルを共に金属
   により形成し、該ポウルのラチエツト対向面に凹
   溝を設け、該凹溝に合成樹脂チツプを挿入固定し
   たことを特徴とするウエビング巻取装置。