JPS6211344Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、建築現場や工事現場といつた、生
コンクリートの打ち込み現場へ、流動状の生コン
クリートを圧送するコンクリートポンプに用いら
れる流路切換弁に関するものである。

従来、この種の流路切換弁として、第１図およ
び第２図に示すようなものが知られている。すな
わち、この流路切換弁（揺動管）１は、流動状の
生コンクリート（以下生コンと云う）Ａが投入さ
れるホツパ２内に揺動可能に配置されてなるもの
であつて、ほぼクランク状に屈曲されているとと
もに、その一端部の開口３が、前記ホツパ２の一
側壁４の外部にホツパ２に連通して固定された一
対のシリンダ５，６の開口７，８の一つに揺動に
よつて交互に対向するようになされている。ま
た、この流路切換弁１はその他端部が前記ホツパ
２の側壁４と対向する側壁９に固定された支持部
材１０によつて回動可能に支持されるとともに、
前記他端部に同心状に連設され、かつ、前記側壁
４を貫通してホツパ２の外部へ突出させられた揺
動軸１１が適宜の駆動手段（図示せず）によつて
所定角度にて揺動されることにより前述した揺動
がなされるものである。

そして、ホツパ２内に投入された生コンＡの吸
入および吐出を交互に行なうように前記一対のシ
リンダ５，６を動作させておき、同時に流路切換
弁１を第２図の矢印イで示す方向に揺動させて、
流路切換弁１の一端部の開口３を前記一対のシリ
ンダ５，６の内吸入動作の完了したシリンダ５に
対向させたのち、このシリンダ５の動作を吐出動
作に切り換えてシリンダ５内の生コンＡを流路切
換弁１内へ吐出させ、次いで、前記シリンダ５の
吐出動作が完了した時点で、流路切換弁１を第２
図の矢印ロで示す方向に揺動させて、流路切換弁
１の一端部の開口３をすでに吸入動作の完了した
他のシリンダ６に対向させたのち、前述と同様に
してこのシリンダ６の動作を吐出動作となすこと
によつて生コンＡを流路切換弁１内へ吐出させる
といつた動作を順次繰り返すことで、ホツパ２内
の生コンＡを流路切換弁１およびこの流路切換弁
１の他端部に連結された給送管１２を介して、第
１図の矢印ハで示すように、打ち込み現場へ圧送
するようにしたものである。

しかしながら、このような従来の流路切換弁１
においては、次のような不具合が発生していた。

まず第１に、流路切換弁１の揺動は一般に瞬時
に行なわれるが、この動きと同時にこの動きに相
当する多量の生コンＡをシリンダ５，６の開口
７，８へ向かつて移動させて、シリンダ５，６に
よる吸入を円滑にしてやる必要がある。しかし、
この生コンＡの移動が生コンＡの自重のみによつ
てなされているために、生コンＡが低スランプで
ある場合には、流路切換弁１の早い揺動動作に前
記生コンＡの移動が追随できず、流路切換弁１と
の対向が解かれたシリンダ５，６の開口７，８付
近に、瞬時、真空部分を形成してしまい、この真
空部分の形成にともない生コンＡのペースト分と
骨材分とが分離されてしまう分離現象を生じさせ
たり、また、前記シリンダ５，６の開口７，８の
上方にアーチング現象を生じさせて生コンＡのシ
リンダ開口へ向けての移動を阻害し、さらに、生
コンＡ内にシリンダ５，６の開口付近と外気とを
つなぐ空気の通路を形成して、シリンダ５，６が
空気を吸入してしまうといつた不具合である。こ
のような不具合は、シリンダ５，６による生コン
Ａの吸入量を低下させて、圧送効率を低下させて
しまうものである。

第２に、前記流路切換弁１の揺動に際して、流
路切換弁１は揺動方向に位置する生コンA′をホ
ツパ２の壁面へ向かつて押圧（矢印Ｘ）するか
ら、特に生コンA′が分離ぎみの生コンである場
合に、この生コンA′を前記壁面との間に噛み込
んでしまい、これによつて、流路切換弁１の揺動
に支障をきたすという不具合である。

そこで本願出願人は、第３図に示すように、流
路切換弁１の両側部に、一端部の開口１３，１４
が流路切換弁１の揺動によつて個々にシリンダ
５，６の一つと対向するようになされ、かつ、他
端部の開口１５，１６がほぼ上方に向けられた一
対のガイド部材（ガイド管），１８を配設した流
路切換弁１を実願昭56−85315号出願によつて提
案し、このガイド部材１７，１８を流路切換弁１
とともに揺動させることによつて、シリンダ５，
６の開口７，８付近やその上方に位置する生コン
Ａを撹拌するとともに、吸入動作が開始されるシ
リンダ５，６に対向させられた時点で、生コンＡ
を他端部の開口１５，１６から一端部の開口１
３，１４を通して前記シリンダ５，６の開口７，
８へ案内して、このシリンダ５，６による生コン
Ａの吸入を円滑なものとなし、また、流路切換弁
１の周りの生コンＡを流路切換弁１に先立つて、
ほぼホツパ２の壁面に沿つて掻き上げるようにな
すことによつて、前記従来の不具合を解消するに
致つた。

一方、このようなガイド部材１７，１８が配設
された流路切換弁１の洗浄は、前記シリンダ５，
６および流路切換弁１の各々の動作を前述した生
コンの圧送動作と逆の動作となし、これによつ
て、流路切換弁１内に残存する生コンＡをシリン
ダ５，６によつて吸入したのち、流路切換弁１に
代わつて対向させられるガイド部材１７，１８を
介してホツパ２内へ吐出させて行なうものであ
る。

しかしながら、このような洗浄動作の過程で、
前記ガイド部材１７，１８を介してホツパ２内へ
吐出されるべき生コンＡが、ガイド部材１７，１
８の他端部の開口１５，１６が上方に向いている
ので、該ガイド部材１７，１８からなかなか排出
されず、そのために洗浄時間を長引かせてしまう
おそれがあり、その対策を講ずる必要がある。

この考案はこのような要望に基づいてなされた
もので、流路切換弁の両側部に、配設したガイド
部材の壁に適宜大の孔を形成することによつて、
洗浄動作中におけるガイド部材内の生コンの除去
が容易に行なえるコンクリートポンプの流路切換
弁を提供することを目的とするものである。

以下この考案を第４図に示す一実施例に基づき
説明する。なお、以下の説明で、前述した第１図
〜第３図と共通するものについては、同一符号お
よび同一名称を用い、かつ、その詳細な説明を省
略する。

この実施例に示す両ガイド部材（ガイド管）１
７，１８の壁には、前記流路切換弁（揺動管）１
に隣接する側に、該ガイド部材１７，１８の内部
と外部とを連通する孔１９，２０が形成されてい
る。この孔１９，２０は流路切換弁１が洗浄のた
めに動作されたとき、シリンダ５，６から吐出さ
れた生コンＡが該孔１９，２０からホツパ２内へ
飛散し易いように、また、前記ガイド部材１７，
１８の主な作用の一つである生コンＡのシリンダ
５，６への案内を阻害しないように、その形成位
置や大きさを選択されている。その一例について
示せば次のとおりである。まず、その形成位置
は、第４図のガイド部材１８に示すように、ガイ
ド部材１８，１７がシリンダ６，５に対向して位
置されたとき、孔２０，１９がガイド部材１８，
１７の真下とならないような位置であり、また、
第４図のガイド部材１７に示すように、ガイド部
材１７，１８がシリンダ５，６との対向を解かれ
て上方に位置されたとき、孔１９，２０がなるべ
くホツパ２の底部へ向うような位置である。すな
わち、この位置は、ガイド部材１８，１７の流路
切換弁１に対面する側壁の適宜個所に選定され
る。次いで、孔１９，２０の大きさについて述べ
れば、ガイド部材１７，１８が鋼管サイズ180φ
（７インチ）前後のとき、孔１９，２０の径は80
φ前後で、100φが限度である。もちろん、前述
した位置や大きさ以外にも、ガイド部材１７，１
８の大きさやその揺動の範囲、あるいは生コンＡ
のスランプや骨材の大小といつた種々の要因を加
味した上で適宜変更できるものである。

しかしてこの考案は、生コンを圧送する際に
は、孔１９，２０のない従来の流路切換弁とほぼ
同様に作動せられ、そのとき、孔１９，２０がガ
イド部材１７，１８の流路切換弁１に対面して形
成されており、シリンダ５，６と連通した状態で
はホツパ２に対し横方向を向くことになるので、
シリンダ５，６の吸引に伴う生コンＡの移動時に
生コンＡが孔１９，２０からガイド部材１７，１
８の外へ逃げてしまうことがない。また、流路切
換弁１が揺動するときに、孔１９，２０がガイド
部材１７，１８と流路切換弁１の間の生コンＡを
掻き取るようにするので、揺動の際の抵抗を低減
する。生コンＡの圧送を終了したのち、シリンダ
５，６、流路切換弁１およびガイド部材１７，１
８を圧送動作と逆の動作となすことによつて洗浄
を行なうのであるが、この洗浄動作によつて流路
切換弁１内からシリンダ５，６によつて吸入され
たのちガイド部材１７，１８を介してホツパ２内
に吐出されるべき生コンＡが前記ガイド部材１
７，１８内に残存したとしても、ガイド部材１
７，１８の揺動と相俟つて前記生コンＡを孔１
９，２０からホツパ２内へ飛散させることができ
る。従つて通常の洗浄動作によつてガイド部材１
７，１８内の生コンＡをホツパ２内へ確実に吐出
させ、これによつて洗浄に要する時間を大巾に短
縮することができる。なお、ガイド部材１７，１
８に形成する孔１９，２０の形成位置や大きさを
適宜選択実施することにより、生コンＡの圧送時
における、ガイド部材１７，１８によるシリンダ
５，６への生コンＡの案内に支障をきたすおそれ
はない。

以上説明したように、この考案は、流路切換弁
の両側部に配設したガイド部材の、上記流路切換
弁と対面する側壁に適宜大の孔を形成したから、
洗浄時においてガイド部材内の生コンを確実にホ
ツパ内へ排出して洗浄時間の短縮を可能とすると
ともに、ガイド部材の撹拌作用を高め、アーチン
グや生コンの分離を防ぐ作用を強化するという優
れた効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

図面中、第１図はコンクリートポンプを示す縦
断面図、第２図は第１図の−線に沿う矢視断
面図、第３図はガイド部材を配設した流路切換弁
が配置されたコンクリートポンプを示す、第２図
と同様の図、第４図イはこの考案の一実施例を示
す第２図と同様の図、第４図ロは同一実施例の側
面断面図である。 １……流路切換弁、２……ホツパ、５……シリ
ンダ、６……シリンダ、１３，１４，１５，１６
……開口、１７，１８……ガイド部材、１９，２
０……孔、Ａ……生コンクリート。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 生コンクリートが投入されるホツパと、上記ホ
   ツパに連通してホツパの一側の側壁に設けられた
   左右一対のシリンダと、一端部を上記一対のシリ
   ンダの開口面に配し、他端部を上記ホツパの他側
   の側壁に設けられた給送管に連通して上記ホツパ
   内に上記他端部を中心に揺動自在に設けられた揺
   動管と、一端部の排出口を上記シリンダの開口面
   に、また他端部の吸込口をホツパ内において上方
   かつ揺動方向に向けるとともに、ほぼ全外面をホ
   ツパ内に露出して上記揺動管の左右に一体に固設
   された左右一対のガイド管と、一方のシリンダに
   揺動管が連通したときには、他方のシリンダに一
   側のガイド管の排出口が連通し、また他方のシリ
   ンダに揺動管が連通したときには、一方のシリン
   ダに他側のガイド管の排出口を連通するように上
   記揺動管と左右一対のガイド管を揺動管の他端部
   を中心に揺動させる駆動手段とを具備したコンク
   リートポンプの流路切換弁において、上記各ガイ
   ド管の排出口近傍の側壁の上記流路切換弁と対面
   する位置にはそれぞれ孔が形成されていることを
   特徴とするコンクリートポンプの流路切換弁。