JPS6159882B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は木材薄板を複数枚積層接着し、この積
層板に樹脂注入を施すことによつて厚みのある樹
脂注入処理木材からなる化粧体の製造方法に関す
るものである。 重歩行用床材あるいは耐衝撃性の要求される化
粧材等厚みのある樹脂注入処理木材板を得る場
合、厚みの大なる木材に合成樹脂液を注入する
と、木材の組織上、少量しか注入されない部分が
生じて全体として見た場合に注入ムラが発生し、
又、注入樹脂の硬化時に樹脂の体積収縮が生じて
木材に割れや反り、捩れ等が発生するという問題
点があり、さらに、材の乾燥や樹脂の注入に長時
間を要し、高価につくという欠点がある。 又、樹脂注入木材薄板を複数枚、積層接着して
厚みの大なる化粧材を得る場合、注入不足、注入
ムラは生じ難いが、各単板に注入後積層しなけれ
ばならず、その製作に手数を要するばかりでな
く、得られた硬化後の化粧材を所定寸法形状に切
断しなければならず、その際欠けが生じる虞れが
ありその上、硬化されているので、その切断加工
に手間を要する。さらにこの化粧材は注入樹脂に
よつて各単板を接着さす必要上接着性を有する合
成樹脂液を予め注入しておく必要があつて樹脂の
種類が限定されるものである。 本発明はこのような問題点を解消するためにな
されたもので、厚みのある樹脂注入処理木材板を
製造するに際して、一面に裏割れのあるスライス
単板、ロータリー単板等の木材薄板を複数枚、所
定の厚みになるように積層接着して積層板を形成
し、しかるのち、この積層板を合成樹脂液中に浸
漬して樹脂液を各薄板の裏割れ部を通つて内部に
まで均一且つ短時間で浸透、注入させ、次いで注
入樹脂を硬化させることを特徴とする木材薄板に
よる化粧体の製造方法を提供するものである。 以下、本発明について更に詳述すると、まず、
複数枚の木材薄板をその繊維方向が互いに平行ま
たは直交するように積層し、適宜な接着剤により
積層接着せしめて積層板を形成する。 こゝにおいて用いる木材薄板は、ロータリー切
削、スライス切削によつて得られる薄板のいずれ
においても大きな差異はないが、一面に裏割れを
有し且つ各単板の厚みが３mm以下にすることが容
易に合成樹脂液注入を行い得るので都合のよいも
のである。 この積層板を作るのに用いられる接着剤として
は、一般に用いられる液状あるいはペースト状の
接着剤の他、接着シート、熱熔融フイルム等種々
のものを使用することができる。 また、この接着層に紙、布、フイルム、繊維状
物その他の補強材を配しておくと、薄板に発生し
た割れが進行して他の薄板にまで広がるのを防止
し得る効果を有する。 この効果は特に薄板の繊維方向を平行によるよ
うに配した積層板の場合に顕著である。 すなわち、このような積層板は、単に接着剤の
みで結合されている場合には繊維方向を直交する
方向の力に対して容易に破壊されるが、接着剤に
補強材を配しておくことにより屈曲性をさして損
うことなく破壊を防止できるので、彎曲面等への
貼着が簡単にできるものである。 このようにして積層板を構成した後、この積層
板に合成樹脂液を注入せしめる。この注入合成樹
脂液としてはポリエステル、メチルメタアクリレ
ート等の樹脂が知られており、注入方法も各種の
ものが使用できる。 この際、積層板を合成樹脂液中に浸漬して樹脂
注入を行うと、樹脂液は積層板を構成する各薄板
の裏割れ部を通つて積層板の内部にまで短時間で
均一に浸透し、注入不足や注入ムラが生じること
なく充分な量の樹脂液を注入することができる。 こうして合成樹脂液を注入したのち、硬化させ
て厚みの大きい樹脂注入処理化粧体を得るもので
ある。 次に、本発明においては、適宜厚さの基材に樹
脂注入をした積層板を一体に層着してもよい。 この場合注入樹脂の硬化前に基材上に載置し、
樹脂数の硬化と同時に積層板と基材との接着を行
うものであるが、この際、接着面の樹脂液が基材
に吸収されて接着不良を生じ易く、その上、硬化
の際の圧力による基材の圧縮減りが大きくなる欠
点があるため、樹脂液の吸収がなく且つ圧縮抵抗
の大きい基材、即ち、金属板等の基材を採用する
か、或いは基材表面に接着剤を塗布しておく方法
を採るのが好ましい。 また、硬化した積層板は木材の弾性力が失なわ
れるために、彎曲面に貼着する場合には積層した
後に硬化せしめる方が効果的である。 次に、本発明の実施例を示す。 実施例 １ スプルース材の１mm厚のスライス単板を２枚、
その裏割れ部が相対しかつ繊維方向が平行になる
ように積層し、尿素樹脂接着剤で互いに接着して
２mm厚の積層板を得、この積層板を過酸化ベンゾ
イル15重量％添加した不飽和ポリエステル樹脂液
に浸漬し、15mmＨｇの減圧下で重量比90％の樹脂
液を注入せしめた後、加熱重合法により硬化せし
めた。 一方、比較例としてスプルースの２mm厚スライ
ス単板に実施例と同一の処理を施した。 この結果、得られた樹脂注入材の表面外観は両
者共ほヾ同一であつたが、しかし実施例によるも
のは平滑であり、ねじれはほとんど見られなかつ
たが、比較例として採用したものは裏割れを有す
る面が凸になるように反つたものが得られ、この
反りを矯正できなかつた。 この樹脂注入液板の曲げ強さは次のようなもの
であつた。

【表】 実施例 ２ 実施例１と同一条件で注入した積層板と比較例
に係る合成樹脂注入板を硬化せしめることなく尿
素樹脂接着剤を塗布しれ合板表面に載置し、120
℃、10Kg／cm²の条件で20分間加熱加圧し、樹脂の
硬化と基材への貼着を同時に行なわしめた。 この結果、比較例に係るものは細かい割れが無
数に発生し更に樹脂の流出による部分が不透明な
状態として外部より認められたが、実施例に係る
ものはこのような割れおよび樹脂の欠落した部分
は認められず良好な化粧性を示していた。 以上のように本発明は、一面に裏割れを有する
スライス単板等の木材薄板を複数枚、接着剤によ
り積層接着して積層板を形成したのち、該積層板
を合成樹脂液中に浸漬して積層板に樹脂注入を
し、しかるのち、硬化させることを特徴とする木
材薄板による化粧体の製造方法に係るものである
から、裏割れを有する複数枚の木材薄板を積層接
着しているので、樹脂注入時に樹脂液が各木材薄
板の裏割れ部を通つて夫々の木材薄板に充分な量
を均一且つ短時間で注入し得るものであり、従つ
て注入不足や注入ムラが生じることなく、全体的
に均質な厚みのある樹脂注入処理木材板を能率良
く製造し得るものである。 さらに、積層板に樹脂液を注入後、該樹脂液が
硬化する時に収縮するが、積層板であるために収
縮によつて生じる応力は分散或いは互いに干渉し
て割れや反り、捩れの発生を阻止し、寸法安定性
に優れた厚みのある樹脂注入処理木材板を得るこ
とができる。従つて樹脂注入前に所定寸法に切断
等の加工を施すことが出来、樹脂のロスも生じな
いものである。 なお、非常に割れ等の欠点が生じ易い木材薄板
を使用する場合には、接着層に補強材を配設する
ことによつてこれ等の欠点の発生を防止すること
ができる。 又、本発明方法において、積層板に樹脂注入
後、基材上に載置して貼着と同時に注入樹脂を硬
化させる場合、積層板の最上層に位置する薄板に
注入された樹脂液は接着層に阻止されて基材への
流出が妨げられ、硬化後における化粧性が損われ
ることなく美麗な化粧体が得られるものである。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 一面に裏割れを有するスライス単板等の木材
   薄板を複数枚、接着剤により積層接着して積層板
   を形成したのち、該積層板を合成樹脂液中に浸漬
   して積層板に樹脂注入をし、しかるのち、硬化さ
   せることを特徴とする木材薄板による化粧体の製
   造方法。 ２ 積層板を構成する各木材薄板の繊維方向が平
   行するように配されていることを特徴とする特許
   請求の範囲第１項記載の木材薄板による化粧体の
   製造方法。 ３ 積層板を構成する各木材薄板の繊維方向が互
   に隣接する薄板の繊維方向と直交するように配さ
   れていることを特徴とする特許請求の範囲第１項
   記載の木材薄板による化粧体の製造方法。