JPS6155469B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

（産業上の利用分野） 本発明は塗料としてポリフエニレンサルフアイ
ドが用いられた塗装体に関するものである。 （従来の技術） ポリフエニレンサルフアイド樹脂のすぐれた耐
熱性、耐薬品性等を利用した金属表面の防錆、防
触材料としての用途が近時急に高まつており、該
樹脂は金属面に対する塗料として多用されるに至
つている。 （発明が解決しようとする問題点） しかしながら本発明者等は該樹脂の塗膜は意外
にも熱水に対しては透水性が大きく、又高温では
比較的柔軟な塗膜となるために鋼面等の金属面に
塗布したものは長時間熱水にさらされると金属と
の密着性低下を来たし、更には水ぶくれ現象（ブ
リスター）が起り、塗膜としての機能が損われる
という欠点が存することを見い出し、この欠点を
解消することを目的として鋭意検討せる結果本発
明をなし得たものである。 （問題点を解決するための手段） 本発明の要旨は、金属面にポリフエニレンサル
フアイドからなる３属構造の塗膜が設けられた塗
装体であつて、金属面に接する第１層目がポリフ
エニレンサルフアイド100重量部に対し10重量部
以下の無機添加物を含有する塗膜であり、中間の
第２層目がポリフエニレンサルフアイド100重量
部に対し20〜200重量部の無機添加物を含有する
塗膜であり、最外層である第３層目が無機添加物
を含まない塗膜であることを特徴とするポリフエ
ニレンサルフアイド塗装体に存する。 本発明におけるポリフエニレンサルフアイド塗
膜は従来より塗料として用いられているポリフエ
ニレンサルフアイド樹脂を主成分とするものであ
り、無機添加物としては無機化合物が使用され、
グラフアイトや、アルミニウム、銅、鉄、亜鉛な
どの金属等の添加、混合されることにより塗膜の
熱伝導性を向上させることの出来る熱伝導性改良
剤、塗膜の高温時の剛性を向上させることの出来
る酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、珪砂、
酸化鉄（Fe₂O₃，FeO）、酸化鉛、酸化銅等の金
属酸化物、ガラスフレーク、ガラス粉末、珪酸石
灰などの珪酸塩、炭酸マグネシウムや炭酸カルシ
ウムや炭酸鉛などの高温剛性付与剤及びパーライ
ト、シラスバルーン、活性炭、珪そう土、エアロ
ジル、モレキユラーシーブ、鉱滓、レンガ粉末な
どの多孔質無機粉末が好適である。 金属面に接して設けられる第１層目の塗膜は前
記無機添加物を含まないか、若しくは該添加物を
ポリフエニレンサルフアイド100重量部に対し10
重量部以下含むものであり、中間層である第２層
目は樹脂100重量部に対し前記添加物を20〜200重
量部に含む塗膜であり、第３層の最外層は前述の
如く添加物を実質的に含まない塗膜で構成される
必要がある。そして第１層や第２層に熱伝導性改
良剤を用いる場合は該熱伝導性改良剤が常温で
10Kcal／m.h・℃以上の熱伝導率を有するもので
あることが好ましく、又、該熱伝導性改良剤を含
有して形成された塗膜の熱伝導は常温で0.5〜
10Kcal／m.h・℃であることが好ましい。 又、中間層の第２層に無機添加物として前記高
温剛性付与剤や多孔質無機粉末が用いられる場合
も、金属面に接する第１層に含有される無機添加
物は熱伝導性改良剤であることが好ましい。 本発明の塗装体を製造するには、以上の如く組
成のことなつたポリフエニレンサルフアイド塗料
を用意しておき、これを金属面に常法に従つて順
次塗装して３層構造の塗膜を形成すればよく、例
えば鉄板を予め285℃以上に熱しておき、これに
第１層目として用いられる塗料粉末を適用して塗
膜を形成させ、順次冷却しない様に加熱された状
態で第２層、第３層の塗膜を形成させたのち所定
時間加熱して冷却し、更に350〜450℃の温度で10
分〜数時間焼成したのち急冷することにより本発
明の塗装体を製造することが出来る。 （作用） 本発明のポリフエニレンサルフアイド塗装体で
は、無機添加物の伝熱作用により、例えば長時間
熱水にさらされても、塗膜の肉厚方向に温度勾配
が発生しにくくなるため、熱水との接触面と金属
との塗着面の温度差に起因する塗着強度への悪影
響が少なくなる。 また、第１層目の塗膜中の無機添加の含有量が
10重量部以下と少ないので、無機添加物を含有す
ることに起因する塗着強度の低下が少なくなる。 更に、第３層目の塗膜中には無機添加物が含有
されていないので、ポリフエニレンサルフアイド
自身に有する耐薬品性等の優れた性能が損われる
ことがなくなる。また、詳細には明らかでない
が、塗膜の３層構造にもとづくなんらかの理由に
より熱水の塗膜中への透水性ないしは浸透が抑制
され、その結果ブリスター現象が極めて起りにく
くなるのであろうと推測される。 （実施例） 以下、本発明の実施例について説明する。 実施例１〜７，比較例１ たて、よこ共10cm、厚さ３mmの鉄板の１面をサ
ンドブラスト処理し、これを電気炉中で380℃に
予熱した。この鉄板に、第１表の第１層の欄に示
される組成の塗料を適用して塗装を行い厚さ約
130μの塗膜を形成し、次いで第１表第２層の欄
に示される組成の塗料を適用して同様の厚さの塗
膜を形成させ、さらに添加物をなんら含まないポ
リフエニレンサルフアイド塗膜を最外層に形成さ
せて全体の塗膜厚さを約400μとなした。 又、比較例においては添加物を添加しないポリ
フエニレンサルフアイド樹脂により厚さ400μの
塗膜を形成させた。かくして塗装された鉄板を急
冷して常温にもどしたのち、380℃に30分間加熱
して熱処理を行い、次に水中に投入して急冷を行
つた。かくして用意されたサンプルピースを塗装
面が熱水に接し、他面が外気に触れる様に容器状
のテスターに取り付け、これに95℃±５℃に保た
れた熱水を入れて長期間放置し、塗装面にブリス
ターが生じるまでの時間を測定した。その結果は
第１表に示される通りであつた。 なお、サンプルピースにおける熱水に接する側
と外気側との温度差は約10℃であつた。

【表】 （発明の効果） 本発明ポリフエニレンサルフアイド塗装体は上
述の通りの構成のものであるので、従来のポリフ
エニレンサルフアイドによる塗装体の有するすぐ
れた特性に加えて、耐熱水性も改良されてすぐれ
ており、特に熱水と長時間接触する個所ないしは
用途、例えば温水ないしは熱水用の鋼管の内面塗
装に適用されてすぐれた効果を奏し得るのであ
る。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 金属面にポリフエニレンサルフアイドからな
   る３層構造の塗膜が設けられた塗装体であつて、
   金属面に接する第１層目がポリフエニレンサルフ
   アイド100重量部に対し10重量部以下の無機添加
   物を含有する塗膜であり、中間の第２層目がポリ
   フエニレンサルフアイド100重量部に対し20〜200
   重量部の無機添加物を含有する塗膜であり、最外
   層である第３層目が無機添加物を含まない塗膜で
   あることを特徴とするポリフエニレンサルフアイ
   ド塗装体。 ２ 無機添加物が熱伝導性改良剤である第１項記
   載のポリフエニレンサルフアイド塗装体。 ３ 無機添加物の熱伝導率が常温で10Kcal／m.
   h・℃以上である第２項記載のポリフエニレンサ
   ルフアイド塗装体。 ４ 無機添加物が高温剛性付与剤である第１項記
   載のポリフエニレンサルフアイド塗装体。 ５ 無機化合物が多孔質粉末である第１項記載の
   ポリフエニレンサルフアイド塗装体。