JP2599531B2 - 親水性被膜 - Google Patents

親水性被膜

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ルームエアコン、カー
エアコンなどの熱交換器の蒸発器における、フィンなど
に使用される金属基材において、とくに耐蝕性および親
水性を長期間にわたって保つ親水性被膜ならびにそれを
用いた熱交換器、蒸発器に関する。
【0002】
【従来技術とその課題】一般に熱交換器、特に空気調節
器の蒸発器などにおいては、フィンの表面温度が大気の
露点以下になるためにフィンの表面に水が結露する。こ
の様な水分の付着は、熱交換される空気の流通抵抗の増
大をもたらすことによる熱交換性能の低下をはじめ、送
風に起因する騒音の発生、水滴の飛散などの様々の問題
の原因となる。
【0003】これらの問題点を解決することを目的とし
て、フィンの表面に親水性を付与し付着水の流れを良く
することにより、空気の流路の閉塞を防ぐことが一般的
に行われている。例えば、特開昭50−38645号明
細書には、アルニミウム表面をアルカリ金属炭酸塩とア
ルカリ金属クロム酸塩とを含有する溶液に浸漬し、被覆
し、さらにアルカリ金属酸化物と二酸化ケイ素とを含む
溶液に浸漬し、アルミニウム表面に連続した、粗い、多
孔性かつ親水性被膜のコーティングを形成する方法が開
示されている。
【0004】特開昭62−235477号明細書には、
アルミニウム表面をアルカリ金属珪酸塩と無機硬化剤と
水溶性有機高分子化合物を含む溶液でコーティングする
ことにより親水性被膜を形成する方法が開示されてい
る。
【0005】特開昭62−272099号明細書には、
アルミニウムからなる部品の表面に、シラノール基を有
する化合物とポリビニルピロリドンを含有する水性媒体
中に浸漬することによる親水性付与の方法が開示されて
いる。
【0006】特開平1−208475号明細書には、ク
ロメート処理を施し、つぎに正リン酸を含むアルカリ金
属珪酸塩水溶液を塗布した後、さらに正リン酸溶液を塗
布し、しかる後加熱乾燥することによる親水性被膜形成
方法が開示されている。
【0007】既述のように公開特許明細書に記載された
具体的方法について明らかにしたが、いずれの方法もア
ルカリ金属珪酸塩の呈する水との親和性をその根本原理
としており、実用上要求される被膜の耐久性の向上を図
るために、無機硬化剤や有機高分子成分を添加するなど
により耐久性の改良を企図しているものということがで
きる。また、同時に表面を予め多孔質とし親水性を有す
る膜と基材との付着性を強化することも試みられてい
る。
【0008】このようなアルカリ金属珪酸塩の特性を利
用して付与された親水性は、その目的を充分に達成して
おり実用上においても広く使用されているものである。
しかしながら、この様な親水性被膜を長時間にわたり水
と接触させておくと、アルカリ金属珪酸塩の卓越した水
への溶解性のために、被膜の親水性の機能を発揮する部
分が消滅するという問題を生じることがある。また、カ
ーエアコンなどの閉鎖性の強い空間での使用において
は、人体の呼気に含まれる炭酸ガスあるいは有機物質と
アルカリ金属珪酸塩との反応による、炭酸塩の形成によ
る膜の変化または有機分解物による異臭を発生すること
も問題である。さらに有機高分子化合物を被膜の構成材
料の一部とするものにおいては、通常の使用条件ではそ
れほどの高温に曝されることはないものの長期間におけ
る耐熱性において不安を残している。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前述した問
題点を解決するために、有機化合物を被膜の構成材料と
せず、また長期間にわたりその親水性が本質的に変化す
ることのない被膜を金属表面に形成する方法について鋭
意検討を加えたところ、ケイ素のアルコキシドを含む特
定の組成の溶液により形成された被膜を鉱酸により処理
した被膜が実用上必要な親水性と同時に苛酷な条件、例
えば、加熱水中においても長時間にわたり安定であるこ
とを見出し本発明に到った。
【0010】すなわち、本発明は、少なくともアルコー
ル類に可溶なシリカまたはケイ素のアルコキシドまたは
その加水分解物ならびに硼素、燐、アンチモンの化合物
から選ばれる1種以上の化合物、望ましくはさらにアル
ミニウムの化合物を含む溶液を基材に塗布し、焼成する
ことにより形成した膜を、鉱酸により処理して形成する
ことを特徴とする親水性被膜であり、また、金属表面の
少なくとも一部が該親水性被膜により被覆されてなる熱
交換器またはその蒸発器である。
【0011】ところで、金属アルコキシドを基体の表面
に塗布し、焼成することは従来から各種の目的のもとに
様々の研究が行われ、いろいろの用途に利用されてお
り、そのなかにはほとんど本発明の方法と同様のように
見受けられるが、全く反対の目的、すなわち、基体の表
面を疎水化して防汚性を付与することを目的とするもの
も見られる。したがって、本発明においては金属アルコ
キシドを含む特定の組成からなる被膜形成用溶液を使用
することが必要であり、それらはケイ素のアルコキシド
またはその加水分解物と鉱酸に可溶な化合物を含有する
ものであり、かつその溶液から形成された膜はさらに鉱
酸により処理した物でなければならない。
【0012】本発明の被膜はアルカリ金属の珪酸塩は勿
論、アルカリ金属をも使用せず、それらの溶出による水
中での長期にわたる安定性の不足を来すことはない。本
発明の親水性被膜における主な成分であるケイ素、アル
ミニウム、硼素、燐、アンチモンのうち、ケイ素は安定
な酸化物となり膜の機械的な強度および基材との密着性
に関与し、アルミニウムは膜の微細孔の形成に重要であ
り、さらに硼素、燐あるいはアンチモンは酸処理におい
て活性な部分を生じさせるとともに製膜性の安定化に寄
与している。
【0013】本発明における親水性被膜におけるケイ
素、アルミニウム、硼素、燐、アンチモンの組成は、原
子比を%で表示した場合、それぞれSi50〜90%、
Al1〜30%、B、P、Asの合計3〜30%である
ことが好ましく、Siが65〜85%、Alが5〜20
%、B、P、Asの合計が10〜20wt%がより好ま
しい。Siが50%以下においては金属表面に密着性の
ある膜ができず、90%以上では親水性被膜とはならな
い。Alが1%以下では膜に微細孔が生成せず親水性被
膜とはならず、30%以上では強固な膜は形成できな
い。また、B、P、Asの合計が3%以下では鉱酸で処
理した場合においても親水性被膜は得られない。一方、
30%以上では鉱酸で処理した場合膜を維持できずまた
経時的に親水性が減ずるため好ましくない。
【0014】本発明の被膜は、機械的強度の大きな多孔
性を有する長期の安定性を保つ親水性の膜である。被膜
の表面は微小な細孔で覆われていることが認められ、こ
の細孔が親水性の発現に関与していることと考えられ
る。細孔を有する多孔質物質は水の表面張力により内部
に浸透し、マクロには親水性を示すものと観察される。
本発明の被膜は、この様な機構による親水性を示すと同
時に、主にケイ素、アルミニウム、硼素、燐、アンチモ
ンよりなる膜それ自身の表面エネルギーに起因する親水
性を併せ示すものである。
【0015】本発明の被膜の細孔の形成の原因について
は明確ではないが、ケイ素、アルミニウム、硼素よりな
る溶液を基板に塗布し、乾燥し、焼成することにより得
られた膜は、それ自体親水性を示すこともあるが、鉱酸
により表面を処理することにより酸に不安定な部分が溶
出させられ微細な凹凸を生じることにより、より著しい
親水性を発現したものと考えられる。
【0016】また、本発明の鉱酸による処理は0.1〜
50wt%の鉱酸の水溶液、より好ましくは1〜10w
t%の鉱酸に膜を形成した金属を室温以上100℃以下
で10分〜3時間浸漬し、鉱酸の水溶液より取り出した
後、水洗浄し100℃以下の温度で乾燥させることより
なっている。鉱酸としては、硫酸、硝酸、塩酸が好まし
い。
【0017】本発明におけるケイ素のアルコキシドは一
般式 Si(OR1)(OR2)(OR3)(OR4)、S
iCl(OR1)(OR2)(OR3)、SiCl2(OR
1)(OR2)またはSiCl3(OR1)(ただし、式中
1、R2、R3、R4はメチル基、エチル基、ノルマルプ
ロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、セカン
ダリブチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基ま
たはフェニル基のいずれかを示す。)で表されるアルコ
キシ化合物であって、特にテトラエトキシシラン、テト
ラメトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テト
ラノルマルプロポキシシラン、テトラノルマルブトキシ
シラン、テトラターシャリブトキシシランなどである。
【0018】また、本発明におけるアルコール類に可溶
な酸化ケイ素には、一般にコロイダルシリカと称される
物が著名であるが、アルコール類に溶解させた場合に溶
解するかもしくは均一に分散するものであればよい。
【0019】本発明の被膜を形成するのに用いられるア
ルミニウム原料としては、焼成処理により実質的に酸化
物を形成しうる金属化合物であればよく、一般的にはア
ルミニウムのハロゲン化物、オキシ塩化物、硝酸塩、硫
酸塩、有機酸塩、水酸化物、アルコキシ化合物またはこ
れらの水和物もしくは加水分解物が挙げられる。これら
のうちで好ましい物を例示すると、Al原料としてAl
Cl3、Al2(SO43、Al(NO33、ラウリル酸
アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、ナフテン酸
アルミニウム等のAl塩またはそれらの含水塩、もしく
はポリ塩化アルミニウム、ベーマイトのようなAlの水酸
化物、または一般式 Al(OR1)(OR2)(O
3)、AlCl(OR1)(OR2)、AlCl2(OR
1)(ただし、式中R1、R2、R3はメチル基、エチル
基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、セカンダリブ
チル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基またはフ
ェニル基のいずれかを示す。)で表されるアルコキシ化
合物であって、特にトリエトキシアルミニウム、トリイ
ソプロポキシアルミニウム、トリノルマルプロポキシア
ルミニウム、トリセカンダリブチルアルミニウム、クロ
ロジイソプロポキシアルミニウム、クロロジセカンダリ
ブチルアルミニウム、ジクロロイソプロポキシアルミニ
ウム、ジクロロセカンダリブチルアルミニウム等が挙げ
られる。
【0020】同様に、硼素原料としては、焼成処理によ
り実質的に酸化物を形成しうる金属化合物であればよ
く、一般的にはほう酸またはその塩、硼素のハロゲン化
物、有機酸塩、アルコキシ化合物またはこれらの水和物
もしくは加水分解物が挙げられる。これらのうちで好ま
しい物を例示すると、無水ほう酸、H3BO3、ほう酸ア
ンモニウム、ほう酸マグネシウム、BCl3、BF3、B
(OCOCH33、ほう酸エチル、ほう酸メチル、ほう
酸フェニルなどが好ましい。
【0021】燐の原料としては、焼成処理により実質的
に酸化物を形成しうるものであればよく、一般的には燐
酸またはその塩、エステル、燐のハロゲン化物、または
これらの水和物もしくは加水分解物が挙げられる。これ
らのうちで好ましい物を例示すると、無水燐酸、オルト
燐酸、燐酸アンモニウム、燐酸水素アンモニウム、燐酸
ヒドロキシアンモニウム、メタ燐酸エチル、燐酸モノエ
チル、燐酸ジエチル、燐酸トリエチル、ピロ燐酸エチ
ル、燐酸トリメチル、燐酸トリエチル、三塩化燐、五塩
化燐、オキシ塩化燐などを挙げることができる。また、
アンチモンの原料としては、三塩化アンチモン、五塩化
アンチモンなどが挙げられる。 本発明においては、ケ
イ素および硼素を膜形成の主たる組成としているので造
膜性、被膜の基材への付着性、膜の安定性に優れるが、
必要に応じて焼成したときに対応する酸化物となる亜
鉛、鉛の化合物を添加することも有効である。
【0022】親水性被膜形成に使用される塗布溶液の濃
度は、0.1〜5mol/l が好ましいが、0.5〜3mol/
l がより好ましい。0.1mol/l よりも低いと1回の塗
布操作において形成される膜が薄いものとなり、繰り返
し塗布に要する回数が増え実用上不都合となる。また逆
に5mol/l より濃度が高すぎる場合には、クラック、剥
離などが生じ膜を得ることが困難になるという不利益が
ある。しかしながら、必ずしもこの濃度条件でなければ
ならないという訳ではなく、添加物、溶媒の種類により
調節は可能である。
【0023】濃度調節用の溶媒にはアルコール類を用い
るのがよく、メタノール、エタノール、i−プロパノー
ル、n−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノー
ル、t−ブタノール、メトキシエタノール、エトキシエ
タノール、エチレングリコールなどが例示でき、これら
の2種以上を組み合わせて使用することも可能である。
【0024】この時得られる親水性被膜の膜厚は、0.
1〜10μmが好ましく、0.3〜5μmがより好まし
い。0.1μmよりも薄い膜では金属表面の親水性の付
与効果が充分でなく、一方、10μmよりも厚い膜では
剥離の原因となる著しいクラックを生じやすく避けるこ
とが望ましい。親水性被膜は、1回の塗布で形成するこ
とも複数回で形成することも可能である。
【0025】薬液の基板上への塗布は、浸漬法、スプレ
ー法、ローラーコート法、フローコート法、スクリーン
印刷法等の方法により行う。親水性表面を有する金属の
種類は、熱伝導性、化学的安定性、機械的強度などをも
とに使用条件を考慮して選択されるが、鉄、アルミニウ
ム、アルミニウム合金、銅、真鍮、ステンレスなどが好
ましく、それらの形状は板状または中空コイル状のもの
が一般的であるが、各種の金属またはセラミックスを積
層したものや複合したものに親水性を付与することも当
然可能である。
【0026】本発明の被覆方法においては基板の表面を
各種の前処理を施すことは有用である。機械研磨、電気
研磨、酸洗浄、アルカリ洗浄、水洗浄あるいは有機溶剤
による脱脂洗浄などはいずれの金属にたいしても有効で
ある。アルミニウムまたはアルミニウム合金の場合には
当分野において周知の技術である、アルマイト処理、ク
ロメート処理あるいは亜鉛、チタン、ジルコニウムなど
の燐酸塩による化成処理などが耐蝕性、被膜の付着性の
向上を目的として使用することもできる。さらに本発明
の目的を逸脱しない範囲においては、有機高分子化合物
による前処理を適用できる場合もある。
【0027】各種方法により形成された塗膜は、50〜20
0 ℃で5 〜15分間乾燥し、電気炉により300 ℃以上で10
〜30分間焼成すること予備被膜を形成し、それを鉱酸で
処理することで、優れた親水性表面を有する被膜を得る
ことができる。焼成温度の上限はとくに限定する必要は
ないが、ステンレス鋼においては、約500 ℃以下が好ま
しい。
【0028】以下に実施例によりさらに詳しく本発明を
説明する。
【0029】
【実施例】実施例1 攪拌機を具えた2Lの三ツ口フラスコに、SiO2換算
28.0wt%のテトラエトキシシランのエタノール溶
液(コルコート(株)製)214gを入れ、それに水7
2ccと35%塩酸1ccを添加し60℃において2時
間還流下に攪拌した。これにエタノールを加えSiO2
換算1.0mol/lの溶液(A)を調整した。また、
80%燐酸をエタノールに溶解して、1.0mol/l
の溶液(B)を調整した。
【0030】攪拌機を具えた2Lの三ツ口フラスコに、
A溶液400ccとB溶液100ccを採りそれに稀釈
溶媒としてエタノール450ccとイソプロパノール5
0ccを添加し、0.5mol/lの被膜形成用溶液を
調整した。
【0031】この被膜形成用溶液を500ccガラス製
ビーカーに取り、その中へ50x100x0.2mmの
SUS304の試料片を投入し、次いで試料片を4mm
/secの一定速度で溶液から引き上げ、空気中、15
0℃で20分間乾燥し、さらに空気中500℃で30分間
焼成することによりステンレス基板上にSiと燐の酸化
物からなる膜を形成した。
【0032】ついで、得られたステンレス板を80度℃
に保った5wt%の塩酸水溶液に30分間浸漬した後、
取り出し、水洗浄したうえで100℃で乾燥した。被覆
処理を施した試料について次の評価試験を行い、膜の親
水性と化学的安定性を確認した。
【0033】 耐酸性試験: ガラス製の1Lビーカ
ーに1重量%塩酸溶液をいれ、その中に試料を浸漬し、
室温で24時間放置した。時間の経過後試料を流水によ
り洗浄し、表面状態の観察を目視により行った。評価は
全く変化の見られない物を○、クラックや剥離を認めら
れるものを×とし、中間を△とした。
【0034】 耐熱水試験: ガラス製の2Lオート
クレーブに純水をいれ、その中に試料を浸漬し、80℃
で24時間放置した。時間の経過後試料を流水により洗
浄し、表面状態の観察を目視により行った。評価は全く
変化の見られない物を○、クラックや剥離の見られるも
のを×とし、中間を△とした。
【0035】 耐溶剤試験: ガラス製の1Lビーカ
ーにアセトンをいれ、その中に試料を浸漬し、室温で2
4時間放置した。時間の経過後試料を流水により洗浄
し、表面状態の観察を目視により行った。評価は全く変
化の見られない物を○、クラックや剥がれの見られるも
のを×とし、中間を△とした。
【0036】 水割れ試験: 蒸留水を入れたビーカ
ーに試料を10秒浸漬し、速やかに引き上げた際の水の
切れ方を評価し、水滴の全く見られないものを○、全面
にわたり水滴以外に濡れた部分の認められない場合を
×、その中間を△とした。
【0037】 濡れ拡がりの測定: 試料の表面にマ
イクロシリンジで5μlの蒸留水を静かに滴下し、5秒
後における水滴の拡がりをノギスで測定した。それぞれ
の測定結果は表1に示す。被膜の濡れ拡がり性および水
割れ試験において比較例と比べ極めて優れた親水性を有
することは明白である。
【0038】
【表1】
【0039】実施例2 攪拌機を具えた2Lの三ツ口フラスコに、SiO2換算
28.0wt%のテトラエトキシシランのエタノール溶
液(コルコート(株)製)214gを入れ、それに水7
2ccと35%塩酸1ccを添加し60℃において2時
間還流下に攪拌した。これにエタノールを加えSiO2
換算1.0mol/lの溶液を調整した。これに、コロ
イダルシリカ(日産化学(株)、IP−ST、SiO2
換算30wt%)56ccを加えよく攪拌した後、予め
調整しておいた硝酸アルミニウムの1.0mol/lの
溶液(Al(NO33・9H2Oのエタノール溶液)1
60ccを添加して充分攪拌し、ついで、予め調整して
おいた硼酸の1.0mol/lの溶液(B23のエタノ
ール溶液)80ccを添加し、さらにそれに稀釈溶媒と
してエタノール340ccとイソプロパノール85cc
を添加し、0.8mol/lの被膜形成用溶液を調整し
た。
【0040】この被膜形成用溶液を500ccガラス製
ビーカーに取り、その中へ50x100x0.2mmの
SUS304の試料片を投入し、次いで試料片を4mm
/secの一定速度で溶液から引き上げ、空気中、15
0℃で20分間乾燥し、さらに空気中500℃で30分間
焼成することによりステンレス基板上に酸化物からなる
膜を形成した。
【0041】ついで、得られたステンレス板を80度℃
に保った5wt%の塩酸水溶液に30分間浸漬した後、
取り出し、水洗浄したうえで100℃で乾燥した。この
試料の走査形電子顕微鏡写真を図1に示す。
【0042】被覆処理を施した試料について次の評価試
験を行い、膜の親水性と化学的安定性を確認した。それ
ぞれの測定結果は表1に示す。実施例3、4 実施例1と同様の操作により表1に示す組成の被膜を形
成し、同様の測定を行なった。それぞれの測定結果は表
1に示す。
【0043】比較例1、2 テトラエトキシシラン(コルコート製)のSiO2換算
20.0wt%のエタノール溶液を0.5mol/lの
濃度に調製し、実施例1と同様の方法で被膜形成し、比
較例2とした。また、同様に作成した試料について実施
例1と同様の酸処理を施した試料を比較例1とした。結
果を表1に示す。
【0044】
【発明の効果】本発明の被膜は、実施例の結果を示す表
1から明らかなように、熱交換器の凝縮器などに要求さ
れる親水性および水流れ性を有し、しかもアルカリ金属
の珪酸塩や有機物を含まないため苛酷な使用条件におい
ても長期間にわたって性能の変化しない親水性を発現す
るという効果を有する。
【図面の簡単な説明】 実施例2の基板上に形成された薄膜の走査型電子顕微鏡
写真である。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともアルコール類に可溶なシリ
    カ、ケイ素のアルコキシドまたはその加水分解物ならび
    に硼素、燐、アンチモンの化合物から選ばれる1種以上
    の化合物を含む溶液を基材に塗布し、焼成することによ
    り形成した膜を、鉱酸により処理して形成することを特
    徴とする親水性被膜。
  2. 【請求項2】 少なくともアルコール類に可溶なシリカ
    またはケイ素のアルコキシドまたはその加水分解物なら
    びに硼素、燐、アンチモンの化合物から選ばれる1種以
    上の化合物、さらにアルミニウムの化合物を含む溶液を
    基材に塗布し、焼成することにより形成した膜を、鉱酸
    により処理して形成することを特徴とする親水性被膜。
  3. 【請求項3】 金属表面の少なくとも一部が請求項1ま
    たは請求項2記載の親水性被膜を有してなる熱交換器ま
    たは蒸発器。
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