JPS6154547B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、直切りカムとスチールボールにより
ハンマの前進・後退運動を行なうインパクトレン
チ等のスチールボール脱落防止機構に関するもの
である。

インパクトレンチを例にとり説明する。第１図
に示す様にハンマはスプリングシートの外径を摺
動部として、スピンドル及びハンマに直切りで具
備された両カムのリードに沿つて前進・後退運動
する。

従来技術によればハンマの最大後退量は、スチ
ールボールＢが両カムの終点に到達した位置で規
制されていた。従つてハンマはカムの終点位置に
おいてスチールボールＢを介して反撥するため、
瞬間的にスチールボールＢが圧縮バネから力を受
けない状態が生じる。そしてハンマはカムのリー
ドに沿らず、圧縮バネの付勢力のみで前進運動し
ようとするため、カム内でフリーの状態で介在し
ているスチールボールＢはハンマカム端面部より
飛び出すという欠点があつた。

このためスチールボールＢはハンマとハンマケ
ースの間へ噛み込まれ、ハンマケース破損、ハン
マ爪部損傷等の故障を生ずる原因になつていた。

更に第２図に示すように、スチールボールＢが
両カムの終点に到達した位置、即ち、ハンマが最
大後退した位置でスチールボールＢがハンマカム
端面部よりＡの距離だけ出張つていること、スチ
ールボールＢをハンマカム端面部のどの位置から
も挿入できることが、スチールボールＢ飛び出し
のチヤンスを増やす要因になつていた。

本発明の目的は、この種のハンマ打撃機構にお
けるスチールボール脱落防止に対して、安価で且
つ確実な装置を提供することである。

本発明は、カムの終点でハンマ後退量を規制す
ると、ハンマが反撥しスチールボールＢが圧縮バ
ネの力が受けなくなる為フリーの状態となり、カ
ム内のころがり運動が出来なくなつてハンマカム
端面部より飛び出し易くなる点と、スチールボー
ルＢがハンマカム端面部のどの位置からも挿入で
きるということが、それだけスチールボールＢが
飛び出し得るチヤンスも多くなるという点に着目
し、ハンマの最大後退位置をスプリングシート端
面とハンマ内径段差部で規制し、且つハンマカム
端面部に設けた溝部からしか挿入できないよう、
ハンマ・スプリングシートの形状、ハンマカム・
スピンドルカムの長さ及び圧縮バネの関係を工夫
したものである。

以下本発明による一実施例を述べる。

本発明によるインパクトレンチのスチールボー
ル脱落防止機構は、第１図、第３図、第４図、第
５図、第６図、第７図に示す様に、スピンドル
１、スピンドル１に直切りされたスピンドルカム
２、アルビルを打撃するための回転慣性を持つた
ハンマ３、ハンマに直切りされたハンマカム４、
ハンマ３の摺動支持を行なうスプリングシート
６、スプリングシート６の回動を可能にし、圧縮
バネ１０に回転圧縮と回転復元力を与えるスチー
ルボール５、ハンマ３の後退運動を規制するスプ
リングシート端面７とハンマ内径段差部８、スピ
ンドルカム２とハンマカム４に介在されたスチー
ルボールＢ９、ハンマ３に回転エネルギーを与え
るための圧縮バネ１０、ハンマ３からの打撃エネ
ルギーを受けボルト締付けを行なうためのアンビ
ル１１、打撃機構部を保護するハンマケース１
２、アンビル１１と噛み合い回転するためのハン
マクラツチ爪１３、スチールボールＢ９を挿入す
るための溝１４より構成されている。尚スピンド
ルカム、ハンマカムはボルトの締付け、緩めが出
来るよう左右対称の形状としている。

以上の構成において、一定の締付トルクに達し
ハンマ３がアンビル１１の爪部との噛み合いを解
除しながら後退する際の後退量は、常にスプリン
グシート端面７とハンマ内径段差部８が接した位
置で規制されるように寸法決定されている。従つ
てこの状態においては、第３図に示すようにスチ
ールボールＢ９は、相互のカム軌跡の終点部より
必ず手前側に位置するように各々Ｃ及びＤのスキ
マを確保し、且つ圧縮バネ１０も全圧縮しない寸
法としている。

ハンマ後退量の規制をスプリングシート端面７
とハンマ内径段差部８で行なう理由として、ハン
マ３が後退して衝突したときのラジアル方向の反
撥がカム規制した場合に比べ小さいため、スチー
ルボールＢ９がカム内で圧縮バネ１０の力を受け
ずフリーになる時間が短く脱落のチヤンスがより
低くなる点と、圧縮バネ１０の全圧縮寸法で規制
した場合は、スラスト方向の振動が大きくなり作
業状態が悪くなるという欠点があることで決定し
ている。

更に第３図に示すように、ハンマ３が最大後退
した時、スチールボールＢ９の位置がハンマカム
端面部１６より必ずへこみ量を有する様に寸法決
定し、スチールボールＢ９端面までの距離Ｂ寸法
を出来るだけ長くすることで飛び出しのチヤンス
を低くしている。

次に、スチールボールＢ９の組立について説明
する。

第１図に示すように、スピンドル１の付根部に
多数個のスチールボールＡ５を介してスプリング
シート６を配し、スプリングシート６の内径部に
圧縮バネ１０を置き、更に第４図、第５図に示す
ように、ハンマカム起点部４ａの延長上に位置
し、ハンマカム端面部１６に設けられた溝１４
と、スピンドルカム起点部２ａの位置と合わせ、
ハンマ３を配設する。そしてハンマクラツチ爪１
３の上端をプレス機等で強制的に軸方向に後退さ
せ、スプリングシート端面７がハンマ内径段差部
８に接する位置まで押圧する。この状態を第６
図、第７図に示す。

第６図において、ハンマカム端面部１６に設け
た溝１４とスピンドルカム起点部２ａによつて形
成された空間Ａ１５ａからスチールボールＢ９を
挿入して組立する。従つて第７図に示すように溝
１４以外のカム端面部１６とスピンドルカム起点
部２ａによつて形成された空間Ｂ１５ｂにはスチ
ールボールＢ９が挿入できないように寸法決定し
ている。これにより、従来技術ではスチールボー
ルＢ９が空間Ｂ１５ｂのどこからでも挿入可能で
あつたため脱落のチヤンスが多かつた点を解消し
ている。

上記構成により、カム内に介在されたスチール
ボールＢ９は、ハンマ３の反撥によつて生じるフ
リーな状態の時間が短縮し、且つハンマカム端面
部１６より飛び得る通路が１ケ所しかなくなつた
為、飛び出しのチヤンスを大巾に低減することが
できる。

以上のように本発明によれば、スチールボール
Ｂの組込みが一ケ所でしか出来ないように挿入溝
をハンマカム端面部に設け、且つハンマ後退位置
をカム終点ではなくスプリングシートで規制する
構造としたので、スチールボールＢの飛び出し得
るチヤンスを極めて小さくでき、ハンマケース、
ハンマ等の部品の破損を防ぐことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はインパクトレンチ打撃機構部の縦断側
面図、第２図は従来技術によるスピンドルカム、
ハンマカムによるハンマ最大後退時のモデル図、
第３図は本発明になるスピンドルカム、ハンマカ
ムによる最大後退時のモデル図、第４図は本考案
になるハンマの上面図、第５図は第４図のＣ−Ｃ
線断面図、第６図はスチールボールＢの組立状態
を示すモデル図、第７図は第６図の直角方向のモ
デル図である。 図においては、１はスピンドル、２はスピンド
ルカム、２ａはスピンドルカム起点部、２ｂはス
ピンドルカム終点部、３はハンマ、４はハンマカ
ム、４ａはハンマカム起点部、４ｂはハンマカム
終点部、５はスチールボールＡ、６はスプリング
シート、７はスプリングシート端面、８はハンマ
内径段差部、９はスチールボールＢ、１０は圧縮
バネ、１１はアンビル、１２はハンマケース、１
３はハンマクラツチ爪、１４はスチールボールＢ
挿入用溝、１５ａは空間Ａ、１５ｂは空間Ｂ、１
６はハンマカム端面部である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ スチールボールを介してハンマの回転運動を
   軸方向の後退運動に変換するカムをスピンドル及
   びハンマのそれぞれに形成し、一定の締付トルク
   に達するとハンマが後退しアンビルとハンマの爪
   部の噛み合いが外れ、ハンマ後退時にたくわえら
   れるスプリングの蓄積エネルギによりハンマの回
   転エネルギを付勢してアンビルを打撃し、ボルト
   の締付もしくはゆるめを行なうインパクトレンチ
   において、 ハンマの後退量をスプリングシート端面とハン
   マ内径段差部により規制し、ハンマカムとスピン
   ドルカム間に介在するスチールボールが、相互の
   カム軌跡の終点部に位置しない構造とし、且つハ
   ンマをプレス機等により強制的に軸方向に後退さ
   せ、両カム間にスチールボールを挿入する際、ハ
   ンマカム端面部に設けた溝部のみからしか挿入出
   来ない構造としたことを特徴とするインパクトレ
   ンチにおけるスチールボール脱落防止機構。