JPS6154198B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、遠隔操作により原子炉用燃料集合
体を使用済み燃料プール等の深い水中において固
定支持する燃料集合体の固定支持装置に関する。

現在使用されている加圧型軽水炉の炉心を構成
する燃料集合体は、一定期間燃焼すると炉心から
取り出され、各種の検査を受けた後、炉内に再装
荷されている。この炉内への装荷、取り出し等の
燃料取扱い中に燃料集合体が相互に干渉し、その
結果、燃料集合体の支持格子外周の側面及びコー
ナーの一部に微小な損傷または変形を生ずること
が時として起り得る。このような燃料集合体は炉
内へ再装荷して炉心を構成することが幾何学的に
困難なため再使用できず、燃料としての価値を喪
失していた。しかしながら、この燃料集合体を使
用できぬまま保管若しくは廃棄するのは不経済で
あるので、前記微小な損傷を受けて突起部を生じ
た支持格子の一部を研削除去する装置の出現が望
まれていた。

この発明は前記事情に鑑みてなされたもので、
燃料集合体を例えば使用済み燃料プール等の深い
水中において研削補修するために、遠隔操作によ
り燃料集合体を水中において容易にかつ確実に固
定支持することができる燃料集合体の固定支持装
置を提供することを目的とする。

以下、この発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。第１図及び第２図中１は原子力発電所サ
イト内に設けられたスペントフユエルピツトであ
り、このスペントフユエルピツト１内には水が満
たされている。２はスペントフユエルピツト１を
形成する壁体であり、この壁体２の上面３にはベ
ース４を介してボルトにより上部固定部材５が固
定されている。この上部固定部材５は、水面上に
張り出されかつ第２図に示すブラケツト６とその
手前側に配された同一のブラケツト（図示省略）
の２つのブラケツト６と、これら２本のブラケツ
ト６上に張設された上部固定板７とを有してい
る。２本のブラケツト６の間には主支持柱８が配
設され、その上端部は上部固定板７に固定され、
その下端部は下部架台９に固定されている。この
下部架台９はスペントフユエルピツト１の下部に
設けられたキヤスクスタンド１０上に載せられて
キヤスクスタンド１０の上部フレームすなわちキ
ヤスクスタンドフレーム１１にキヤスクスタンド
用クランプ具１２（第５図）によつてクランプさ
れて固定されている。下部架台９の上面の所定箇
所には下部ノズル支持板１３が第２図及び第５図
に示すように取り付けられている。この下部ノズ
ル支持板１３は略コ字形の燃料集合体受部材であ
つて、その内側にＶ字凹形の受部１４（第６
図）、コ字凹形の受部１５が形成されている。こ
れら受部１４，１５には燃料集合体６１の方形の
下部ノズルの角部または側面部が当接させられて
第６図に示す仮想線Ｐ，Ｑで示す位置に二様にセ
ツトされるようになされている。また、主支持柱
８の略中央部には下部ノズル支持板１３に対応し
て上部ノズル支持板１６が嵌合され取り付けられ
ている。この上部ノズル支持板１６には第９図に
示すように下部ノズル支持板１３の受部１４，１
５に対応してＶ字凹形の受部１７，コ字凹形の受
部１８が形成され、これら受部１７，１８には燃
料集合体６１の断面方形の上部ノズルの角部また
は側面部が当接させられて仮想線Ｒ，Ｓで示す位
置に二様にセツトされるようになされている。ま
た、上部固定板７上の所定箇所には燃料取扱工具
クランプ具１９が取り付けられている。この燃料
取扱工具クランプ具１９は第１１図及び第１２図
に示されている。すなわち、前記上部固定板７に
ベース２０がねじ止め固定されている。このベー
ス２０には断面略方形の凹部２１が設けられてい
る。この凹部２１の略中央部には長方形の貫通孔
２２が形成されている。凹部２１には略π字形金
具２３の台座２４が第１１図及び第１２図中矢印
AB方向に摺動可能に嵌合され、この台座２４は
ベース２０に螺合されたボルト２５によつて矢印
Ａ方向の移動を調節され、さらに２本のボルト２
３ａによつて上部固定板７に締付け固定されるよ
うになされている。略π字型金具２３の軸受板２
６は貫通孔２２から上方へ突出しており、この軸
受板２６には断面略Ｔ字形の回動体２７の一端部
が軸２８により回転自在に取り付けられている。
この回動体２７の他端部には溝２９が設けられて
いる。この溝２９には２つの挾持板３０，３１が
対向状態で挿入され、かつそれぞれの一端部が回
動体２７の他端部にピン３２，３３により回転自
在に取り付けられている。挾持板３０，３１には
それぞれ溝３４，３５が形成されている。これら
溝３４，３５にはロツド３６が挿入され、このロ
ツド３６の一端部は挾持板３０の他端部にピン３
７により回転自在に取り付けられている。ロツド
３６の他端部にはねじが形成されており、このね
じ部にナツト３８が螺合されている。そして、回
動体２７の他端部及び挾持板３０，３１には、第
１１図の状態において円３９が形成されるよう
に、円弧面４０，４１，４２がそれぞれ形成され
ている。また、前記２つのブラケツト６の間には
クランプアーム軸４３が配設され、その下端部は
下部架台９の所定箇所に取り付けられた軸受４４
に回転自在に取り付けられ、その上端部は上部固
定板７に取り付けられた回転機構４５に連結され
ている。これによりクランプアーム軸４３は回転
機構４５に設けられたハンドル４６を回転させる
ことにより回転するようになされている。また、
クランプアーム軸４３の下部の所定箇所にはクラ
ンプアーム４７の一端部が嵌合されて固定的に取
り付けられている。このクランプアーム４７はそ
の他端部にＶ字凹形の受部４９及び平面状の受部
４９ａが形成されており、これら受部４９，４９
ａを下部ノズル支持板１３の受部１４，１５に対
向させた状態でクランプアーム軸４３に固定され
ている。なお、前記２つのブラケツト６の間には
サポートアーム支持柱５０が配設され、その上端
部を上部固定板７に、その略中間部及び下端部
を、主支持柱８に取り付けられたサポートアーム
受具５１の先端部に取り付けられている。また、
サポートアーム支持柱５０の上部には工具回転ア
ーム５２が回転可能に取り付けられている。サポ
ートアーム支持柱５０の略中間部及び下部には工
具支持柱サポートアーム５３が回動可能に取り付
けられている。工具回転アーム５２の先端部には
工具支持柱５４が懸垂状にかつ着脱自在に取り付
けられる。この工具支持柱５４の下端部にはエア
グラインダーを有する研削工具５５が移動可能に
取り付けられ、上部固定板７上よりこの研削工具
５５を適宜移動させることができるようになされ
ている。また、この研削工具５５には配管を介し
て切粉、水等を回収する回収装置（図示せず）が
連結されている。

しかして、燃料集合体６１をスペントフユエル
ピツト１の水中に固定支持する場合、まず燃料取
扱工具クランプ具１９の回動体２７を、上部固定
板７上において、軸２８を中心に第１２図におい
て矢印Ｃ方向に回動させて同図中仮想線で示す位
置にセツトする。次に、回転機構４５のハンドル
を回してクランプアーム軸４３を回転させ、クラ
ンプアーム４７を第５図に仮想線で示した位置に
回動させる。それから、補修すべき燃料集合体６
１の上部ノズルを、丸棒状の燃料取扱工具６２の
下部に、この燃料取扱工具６２の下部に設けられ
たチヤツク機溝により取り付ける。そして、この
燃料取扱工具６２をクレーン等により吊り下げて
燃料集合体６１を下部架台９上に移送する。次に
燃料集合体６１の支持格子の角部を研削する場合
には燃料集合体６１の下部ノズル、上部ノズルの
それぞれの角部を下部ノズル支持板１３の受部１
４、上部ノズル支持板１６の受部１７にそれぞれ
押し当てて、また燃料集合体６１の支持格子の側
面を研削する場合には燃料集合体６１の下部ノズ
ル、上部ノズルのそれぞれの側面を下部ノズル支
持板１３の受部１５、上部ノズル支持板１６の受
部１８にそれぞれ押し当てて燃料集合体６１を静
かに下部架台９上に載置する。そして、回転機構
４５のハンドル４６を回してクランプアーム軸４
３を回転させ、クランプアーム４７の受部４９，
４９ａをそれぞれ燃料集合体６１の下部ノズルの
角部または側面部に押し当てて下部ノズル支持板
１３に下部ノズルをクランプする。次いで、燃料
取扱工具クランプ具１９のナツト３８をゆるめ
て、ロツド３６をピン３７を中心に第１１図にお
いて矢印Ｄ方向に回動させて溝３４，３５からは
ずし、挾持板３０，３１をピン３２，３３を中心
に同図中矢印Ｅ，Ｆ方向に開く。この状態で回動
体２７を軸２８を中心に第１２図中矢印Ｇ方向に
回動させてこれを第１２図に実線で示した位置に
セツトし、挾持板３０，３１をそれぞれピン３
２，３３を中心に第１１図中矢印Ｈ，Ｉ方向に回
動し、挾持板３０，３１の円弧面４１，４２間に
燃料取扱工具６２を位置させる。このとき、ボル
ト２３ａをゆるめ、かつボルト２５を回転させ
て、円３９の中心が燃料取扱工具６２の中心線と
一致するように軸受２３の位置を調節し、その後
これをボルト２３ａにより上部固定板７に締付け
固定する。次にロツド３６をピン３７を中心に同
図中矢印Ｊ方向に回動して溝３４，３５に挿入
後、ナツト３８を締め付け、挾持板３０，３１に
より燃料取扱工具６２を把持する。かくして、下
部ノズル支持板１３、上部ノズル支持板１６に燃
料集合体６１をクランプアーム４７により固定
し、さらに燃料集合体６１に連結された燃料取扱
工具６２の上部を燃料取扱工具クランプ具１９に
より所定位置に固定することができ、これにより
上部固定板７上において、すなわち遠隔操作によ
つて水中に燃料集合体６１を容易にかつ確実に固
定支持することができる。従つて、この後研削工
具５５が取り付けられた工具支持柱５４を工具回
転アーム５２に取り付け、上部固定板７上で工具
回転アーム５２を第３図に示す位置に回動させ、
さらに上部固定板７上で研削工具５５のエアグラ
インダーを作動させ、さらにこの研削工具５５を
適宜移動させることにより燃料集合体６１の支持
格子の損傷突部を研削補修することができる。

以上説明したようにこの発明によれば、下部架
台、上部固定板間に主支持柱、クランプアーム軸
を配設し、このクランプアーム軸を上部固定板上
で回転可能とし、かつ下部架台上に下部ノズル支
持板を設け、主支持柱の中間部に上部ノズル支持
板を取り付け、さらに下部ノズル支持板に対応し
てクランプアーム軸にクランプアームを取り付
け、さらに上部固定板上に燃料取扱工具クランプ
具を設けた構成であるから、上部固定板上におい
て、すなわち、遠隔操作により燃料取扱工具の下
端部に連結された燃料集合体を水中の下部ノズル
支持板、上部ノズル支持板に押し当てて下部架台
上に載置し、これをクランプアーム軸を回転させ
てクランプアームにより下部ノズル支持板にクラ
ンプし、さらに燃料取扱工具を燃料取扱工具クラ
ンプ具により所定位置にクランプすることができ
る。従つて、遠隔操作により燃料集合体を水中に
おいて容易にかつ確実に固定支持することがで
き、しかもその装置は簡単で小型軽量であり、装
置の製作コストを低廉とすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例を示す概略説明
図、第２図はその一部の側面図、第３図はその平
面図、第４図はその正面図、第５図は第２図のＶ
−Ｖ線に沿う横断平面図、第６図はその下部ノズ
ル支持板の拡大平面図、第７図は第６図の矢視
図、第８図は第６図の−線に沿う断面図、第
９図はその上部ノズル支持板の拡大平面図、第１
０図は第９図のＸ矢視図、第１１図はその燃料取
扱工具クランプ具の平面図、第１２図はその燃料
取扱工具クランプ具の側面図である。 １……スペントフユエルピツト、５……上部固
定部材、７……上部固定板、８……主支持柱、９
……下部架台、１０……キヤスクスタンド、１３
……下部ノズル支持板、１４，１５，１７，１
８，４９，４９ａ……受部、１６……上部ノズル
支持板、１９……燃料取扱工具クランプ具、３
０，３１……挾持板、４３……クランプアーム
軸、４５……回転機構、４６……ハンドル、４７
……クランプアーム、５４……工具支持柱、５５
……研削工具、６１……燃料集合体、６２……燃
料取扱工具。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 下部架台と、この下部架台の上方に略水平に
   設けられた上部固定板と、下部架台上に立設され
   かつ上端部を前記上部固定板に固定された主支持
   柱と、前記下部架台上に設けられかつ一側に略Ｖ
   字凹形及び略コ字凹形の受部を有する下部ノズル
   支持板と、前記主支持柱の中間部に取り付けられ
   かつ前記下部ノズル支持板の受部に対応して一側
   に略Ｖ字凹形及び略コ字凹形の受部を有する上部
   ノズル支持板と、前記下部架台上に回転自在に立
   設されかつ上端部を前記上部固定板にこの上部固
   定板上より回転させることができるように支持さ
   れたクランプアーム軸と、前記下部ノズル支持板
   に対応して前記クランプアーム軸に取り付けられ
   かつ前記下部ノズル支持板の受部に対応する略Ｖ
   字凹形の受部及び直線状の受部を有するクランプ
   アームと、前記上部固定板上に前記上部ノズル支
   持板の受部に対応して取り付けられかつ端部に開
   閉可能に設けられた挾持部材により前記下部ノズ
   ル支持板及び前記上部ノズル支持板の受部に押し
   当てられた状態の燃料集合体の上部に連結された
   棒状の燃料取扱工具を把持し得る燃料取扱工具ク
   ランプ具とからなることを特徴とする燃料集合体
   の固定支持装置。