JPS6152751B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、廃水中の重金属を除去する際に酸化
剤を添加して、廃水中に含まれる有機物を分解し
た後、キレート樹脂と接触させることにより、重
金属を完全に吸着除去する方法に関する。廃水中
の重金属、例えばカドミウム、鉛、銅、水銀、亜
鉛などをキレート樹脂を用いて吸着除去する場
合、除去処理を長期間に渡つて行なうと廃水中に
含有される有機物の影響により、スライムが発生
し、樹脂の表面あるいは内部と廃水との接触を妨
げ、キレート樹脂の重金属除去効果が著しく低下
し、しばしば問題になる。このような影響を及ぼ
す有機物は、その含有量が極く微量な場合や、重
金属の吸着を妨げない性質のものであれば、前処
理を行なわずともキレート樹脂によりほぼ完全に
重金属の吸着除去が可能である。しかしながら、
ほとんどの場合産業廃水中には重金属と錯体を形
成しやすい有機物や、界面活性剤、水溶性高分子
等が多量に含有され、これらはキレート樹脂の性
能に悪影響を及ぼし、廃水処理に満足な結果が得
られないとともに経済的な損失も大きい。そこで
本発明者らは、このような有機物を含有する廃水
から重金属を効果的かつ経済的に除去する方法の
研究を重ねた結果、酸化剤を用いて前処理を行な
つた廃水を特定の官能基を有するキレート樹脂と
接触せしめることにより、廃水中の重金属を極め
て効率よく、かつ完全に吸着除去できることを見
い出し本発明に到つた。

本発明による処理方法とは即ち、酸化剤または
それとアルカリを重金属含有廃水に添加して前処
理を行なうことにより廃水中の有機物を分解し、
次に溶液のpHを２〜９に調整した後、官能基と
してイミノプロピオン酸金属塩基および／または
イミノジプロピオン酸金属塩基を有するキレート
樹脂を用いて処理する方法であるが、ここで言う
重金属含有廃水とは、例えば産業廃水、病院廃
水、研究所廃水などがあげられるが、本発明は、
これら廃水の種類により限定されるものではな
い。これら重金属含有廃水の前処理に用いる酸化
剤としては、塩素、臭素、次亜塩素酸ナトリウ
ム、次亜塩素酸カリウム、次亜臭素酸ナトリウ
ム、次亜ヨウ素酸ナトリウム、過マンガン酸カリ
ウム、重クロム酸カリウム、過酸化水素、過硫酸
アンモニウム、過炭酸アンモニウム、過酢酸など
酸化剤の種類に限定されることなく使用可能であ
るが、経済性および取扱い易さなどを考慮する
と、次亜塩素酸ナトリウムが好適であり、アルカ
リとしては水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウ
ムが好ましい。酸化剤の使用量は、処理を行なう
廃水のCOD値の測定により、有機物含量を推定
し、その0.5〜10倍量、好ましくは、0.5〜２倍量
を用いて前処理を行なうが、過剰の酸化剤は、還
元剤、例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウ
ム、硫化ナトリウム、二酸化硫黄、活性炭等を用
い分解をすることにより、キレート樹脂をより長
持ちさせることができる。前記酸化剤による処理
は、酸化剤の処理効果を高めるために廃水のpH
を６以上、好ましくはアルカリを添加しpHを８
〜10に調整して行なう。この場合の酸化処理は、
廃水をpH調整した後酸化処理を行なうか、ある
いはpH調整しながら同時に酸化処理を行なう。

以上の方法により前処理を行なつた廃水を鉱
酸、例えば塩酸、硫酸等によりpH2〜９、好まし
くはpH4〜７に調整した後、キレート樹脂により
処理を行なう。ここで用いるキレート樹脂とは、
スチレン系、フエノール系、エポキシ系、塩化ビ
ニル系、アクリルエステル系等の樹脂母体に、官
能基としてイミノプロピオン酸金属塩基および／
または、イミノジプロピオン酸金属塩基（ここで
いう金属とはリチウム、カリウム、ナトリウム、
カルシウム、マグネシウム等のアルカリ金属、ア
ルカリ土類金属より選ばれたる少なくとも一種の
金属を示す）を有するものである。

上記キレート樹脂により吸着処理を行なう方法
としては、例えば、廃水とキレート樹脂とを容器
内で撹拌混合するバツチ法または、樹脂を充填し
た樹脂塔に下向流または上向流にて廃水を通液し
て処理するカラム法などが挙げられ、本発明は、
これらに限定されるものではないが、現在多く採
用されているカラム法の場合、通夜速度は空間速
度（SV）として、１〜50／−樹脂、さらに
好ましくは２〜20／―樹脂にて処理を行なう
事により、廃水中の重金属を検出限界以下まで吸
着除去することが可能である。以下実施例により
本発明を更に詳細に説明するが、これら実施例に
より本発明は限定されるものではない。

実施例 １ カドミウムを含有する工場廃水（カドミウム濃
度：0.2ppm、pH＝7.3、COD Mn：51ppm）に
市販の次亜塩素酸ナトリウムを溶液中において
51ppmの濃度になるように添加し、30分間撹拌
後、塩酸によりpHを６に調整し、東洋濾紙製No.
5A濾紙にて濾過した。

次にエポキシ樹脂を母体とし、イミノプロピオ
ン酸ナトリウムおよびイミノジプロピオン酸ナト
リウムを官能基とするキレート樹脂30mlを内径25
mmのカラムに充填し、濾液を下向流にて空間速度
５／―樹脂で通液した。３カ月間連続して通
夜を行ない、その間流出液中のカドミウム濃度の
測定を続けたが、３カ月経過後もカドミウムは全
く検出されなかつた。

（カドミウム濃度：0.005ppm以下） この間、通液量は8400／―樹脂であり、カド
ミウムの吸着量は、1.68ｇ／―樹脂であつた。

比較例 １ 実施例１と同一の廃水を酸化剤による前処理を
行なわず、実施例１に用いたと同じキレート樹脂
30mlを充填したカラムに通夜した。試験方法およ
び条件は実施例１に準じて行なつた結果、流出液
中のカドミウム濃度は、通夜初期から３カ月通夜
後においても0.07ppmで一定であつた。

実施例 ２ 亜塩を含有する工場廃水（亜鉛濃度：
1.5ppm、pH＝65、COD Mn：110ppm）に次亜
塩素酸ナトリウムを200ppmになるように添加
し、80分間撹拌後、５％亜硫酸ナトリウム水溶液
を添加して過剰の次亜塩素酸ナトリウムを分解し
た。次に塩酸にてpHを６に調整した後、東洋濾
紙製No.5A濾紙を用いて濾過を行なつた。濾液を
フエノール樹脂を母体としイミノジプロピオン酸
カルシウムを官能基とするキレート樹脂30mlを充
填したカラム（内径25mm）に下向流にて空間速度
５／―樹脂で通液した。３カ月間通液を継続
したが、流出水中の亜鉛濃度は0.005ppm以下で
あつた。

比較例 ２ 実施例２と同一の廃水を実施例２と同様に前処
理して得られた濾液を、フエノール樹脂を母体と
しイミノジ酢酸カルシウムを官能基とする。キレ
ート樹脂30mlを充填したカラム（内径25mm）に下
向流にて空間速度５／―樹脂で通液した。３
カ月間通液を継続したところ、２ケ月目までは流
出水中の亜鉛濃度が0.05ppmであつたが、３カ月
目では1.2ppm検出された。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 重金属を含有する廃水に酸化剤またはそれと
   アルカリを添加し、前処理を行つた後、必要によ
   り還元剤を加えて過剰の酸化剤を分解した溶液の
   pHを２〜９に調整し、イミノプロピオン酸金属
   塩基および／またはイミノジプロピオン酸金属塩
   基（ただし、金属とはアルカリ金属、アルカリ土
   類金属より選ばれたる少なくとも一種の金属を示
   す）を官能基として有する、キレート樹脂により
   処理することを特徴とする重金属含有廃水の処理
   方法。