JPS6152646B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 青果物のフイルム貯蔵は、本格的なCA貯蔵の
ごとくに気密度の高い冷蔵庫、複雑で大掛りな機
器等、高価な設備を要せず、ガス発生装置や吸収
装置に必要な燃料や薬液の経費や廃棄物の発生に
煩らわされず、手軽にCA貯蔵効果が得られるの
で広く一般に用いられている。しかし現在のフイ
ルム貯蔵は袋内のCAガス条件が袋の厚さ等の仕
様のみで予めほぼ決つてしまい、袋の仕様が決る
と最早やガス条件は調整不能で成行きとなる。ま
た呼吸量の大きい青果物の場合は必然的に薄い袋
にせざるを得ず、破れ易く作業性が悪くなるのが
欠点である。つまり貯蔵袋のフイルム以外の部分
でもガス交換を行い、ガス交換量を任意に変えら
れるCAガス条件の簡易調整装置が必要である。

本発明は、青果物の呼吸によるCO濃度の増加
と、O₂濃度の減少を有効に生かし、安定したCA
ガス条件を長期間保持する目的でフイルムの透気
性透湿性を積極的に活用し、フイルムのガス交換
量を可変の構造として、同時に急激なガス条件の
変動に対応するためにピンホールによる微量空気
の外気直接導入の機構を備えたCAガス条件の調
整装置である。以下実施例について図面により詳
細に説明する。

冷却器１で冷却した貯蔵適温の冷蔵庫２の中に
ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の透気性プラス
チツクフイルム製貯蔵袋３に、青果物４を密封し
貯蔵する。青果物と共に最初に袋の中に封入され
る気体はＮ（窒素）78％、O₂（酸素）21％、CO₂
（二酸化炭素）0.03％、その他0.97％の空気であ
るが、この空気は青果物の呼吸のためにCO₂濃度
は上り、O₂濃度は下る傾向で変化する。貯蔵袋
３は透気性フイルムであるから、袋内ガス濃度の
変化と共に、一方では袋内のCO₂が袋外へ透過排
出されO₂が外部空気より袋内へ透過侵入するガ
スの動きが起る。そして袋内のCO₂，O₂濃度はフ
イルムの持つ性質、表面積、厚さ、表面の風速、
温度、湿度、青果物の呼吸量等の条件により一定
の濃度にバランスする。

この状態がその青果物の貯蔵に適したガス条件
であれば良いが、CO₂濃度が高過ぎたり、O₂濃度
が低過ぎると青果物は生理障害を誘発し腐敗す
る。いわゆるフイルム貯蔵は、経験的に知つたフ
イルム条件と封入青果物の適量を守ることで適正
なCAガス条件を得ているのである。

しかるに、袋が薄く破れ易いから厚いものにし
たい、といつた簡単な要求も、フイルム貯蔵では
フイルムが厚くなつただけのガス交換量の低下分
を他に補うものがないから対応の仕方がない。本
発明の場合について更に説明を進める。

ポンプ５を運転すると貯蔵袋３に設けた排気管
６より袋内のガスは排出され、排気接続管７→逆
止弁付接手８→排気ヘツダー９→バイパス弁１０
→ポンプ５→計測ヘツダー１１→給気ヘツダー１
２→逆止弁付接手１３→給気接続管１４→給気管
１５→貯蔵袋３と循環を始める。

計測ヘツダー１１のガスをCO₂濃度計１６、O₂
濃度計１７で測定しCO₂濃度が高過ぎたりO₂濃度
が低過ぎる場合は、ガス交換器入口弁１８と同出
口弁１９を開き、バイパス弁１０を閉めて、ガス
がガス交換器２０の中を流れるように回路を切替
える。

ここでガス交換器２０について説明する。ガス
交換器は、ガス交換器本体２１、フアン２２、冷
却加熱器２３、加湿器２４、ケーシング２５から
成る。ケーシングには、新気取入口２６と排気口
２７を設け、ケーシング内には常に新鮮な空気が
フアン２２により導入されている。ガス交換器本
体２１の機能の中枢はガス交換体２８で、低密度
ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合物、
ポリ塩化ビニル等の透気性プラスチツクフイルム
が使用され、ガス交換器本体内に貯蔵袋３内のガ
スを流し、空気とガス交換することにより、CO₂
及びO₂の濃度を制御し、CAガス条件を調整す
る。

ガス交換量の制御方法として次の方法があり、
これを単独またはその幾つかを組合せて行う。

(1) ガス交換量、フイルムの表面積に比例するか
ら、ガス交換器本体２１Ａ〜Ｃの使用数の増減
を、弁１８Ａ〜Ｃ、１９Ａ〜Ｃの開閉で行い、
ガス交換面積を変えることによりガス交換量を
制御する。

(2) ガス交換量は、フイルム表面の通過風速の大
小で変るから、フアン２２の発停、更に微調整
を行うためにはフアン回転数を増減して制御す
る。

(3) フイルムのガス交換量は、高温で大きく、低
温で小さくなるから、フアン２２を運転しなが
ら冷却加熱器２３に冷熱媒体を流し、温度調節
を行うことでガス交換量を制御する。

(4) フイルムのガス交換量は、湿度が高ければ大
きく、低ければ小さいので、加湿器２４による
湿度調節でガス交換量を制御する。またフイル
ムにセロフアン等、水蒸気透過率の大きな材質
を使つたガス交換器本体２１を組込めば、貯蔵
袋３内の湿度調整を行うことも出来る。

貯蔵開始初期は一時的にCO₂濃度が異常に高
く、O₂濃度が異常に低くなることがある。ガス
交換器２０の能力がついて行けぬ場合は、弁２
９，３０を開き、ピンホールガスリーク調節器３
１で調節する。

ピンホールガスリーク調節器３１は、シリンダ
ー壁に0.1m／ｍ¢のピンホール（針穴）３２を
数個穿けてあり、各々の穴の外部に弁３３が取着
けられ、弁３３を開くと調節器３１内と外気とが
ピンホールを通して通ずる。必要に応じ、ガス濃
度の程度に合せた数の弁３３Ａ〜を開き、外部空
気をCA気密空間に直接導入して急速にガス濃度
を調整する。

以上の制御は計測ヘツダー１１にセンサーを取
付けた測定器で計測しながら行う。CO₂濃度計１
６、O₂濃度計１７、温度計３４、湿度計３５等
である。

以上、実施例としてフイルム貯蔵をベースにし
たCAガス条件の調整装置について説明したが、
フイルム貯蔵における貯蔵袋が気密冷蔵庫であつ
ても、同様にCAガス条件の調整装置としての機
能を果すものである。

従来よりCA貯蔵はその勝れた貯蔵性を高く評
価されながらも、複雑で高価な設備というイメー
ジが先に立ち、普及が遅れている、一方、同じ
CA効果で貯蔵するフイルム貯蔵は徳鳥県の“す
だち”の貯蔵のごとく近年急速に普及してきてい
る。

本発明はプラスチツクフイルムのガス透過性を
利用する点でフイルム貯蔵と同一原理である。ガ
ス交換量を制御可能とした点に装置としての大き
な違いはあるが、比較的簡素であるからフイルム
貯蔵普及の延長線上で先に指摘したようなフイル
ム貯蔵の持つ欠点を解決し、一層の青果物の貯蔵
性を向上させるものとして本発明の実施効果は大
きい。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例に係る略示装置回路図で
ある。 図中主要符号、１……冷却器、２……冷蔵庫、
３……貯蔵袋、４……青果物、５……ポンプ、６
……排気管、７……排気接続管、８……逆止弁付
接手、９……排気ヘツダー、１０……バイパス
弁、１１……計測ヘツダー、１２……給気ヘツダ
ー、１３……逆止弁付接手、１４……給気接続
管、１５……給気管、１６……CO₂濃度計、１７
……O₂濃度計、１８……入口弁、１９……出口
弁、２０……ガス交換器、２１……ガス交換器本
体、２２……フアン、２３……冷却加熱器、２４
……加湿器、２５……ケーシング、２６……新気
取入口、２７……排気口、２８……ガス交換体、
２９……弁、３０……弁、３１……ピンホールガ
スリーク調節器、３２……ピンホール、３３……
弁、３４……温度計、３５……湿度計。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 青果物等のCA貯蔵において、貯蔵品の呼吸
   作用により高濃度となるCO₂、低濃度となるO₂、
   増量する水蒸気等CA気密貯蔵空間のガスを、透
   気性、透湿性のプラスチツクフイルムをガス交換
   体として、フイルム表面積、風速、温度、湿度を
   可変の構造とするガス交換器との間で循環させ、
   空気との間で強制的なガス交換を行いCAガス条
   件を調整する、同時にCA気密空間壁の一部に通
   気量可変のピンホールを設け、微量の空気を直接
   CA気密空間に導入出来るようにしたCAガス条件
   の調整装置。