JPS6151330B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、回転磁気ヘツドにより磁気記録媒体
（磁気テープ）の走行方向に対して傾斜した記録
軌跡として順次映像信号を記録再生する磁気録画
再生装置において、再生時に、回転ヘツドが記録
軌跡を自動的に走査するよう制御する自動トラツ
キング装置に関するものである。

ヘリカルスキヤンVTRにおいて、記録時のテ
ープ速度で再生する場合、いわゆる倍速、スロー
モーシヨン、スチル再生時等の場合には記録トラ
ツクに対して再生ヘツドの軌跡は合致しないので
画像に部分的にノイズが生じたり、あるいはSN
比のよくない画像になつたりする。この欠点をな
くするために磁気ヘツドと記録トラツクの相対位
置がずれないように追跡する方法がとられてい
る。

その一方法として例えば電気―機械変換器を磁
気ヘツドの支持アームとして用い、磁気ヘツドの
位置を変位させて記録トラツクを追跡するなどが
行われている。

電気―機械変換器としては例えばチタン酸バリ
ウム磁器のように大きな圧電効果、電歪効果を有
する材料を用いて、その特質である方向に電界を
加えるとその形状は電界方向に伸び、これと直角
の方向には縮む性質を利用して、圧電素子板を分
極し、電極を介して逆極性面をはり合せる、いわ
ゆるバイモルフ構造にして用いる。

すなわち、第１図Ａにおいて、２枚の圧電素子
板１の両端を電極にして分極し、逆極性面を２枚
はり合せたバイモルフ構造とし、その一方の端を
固定具３で回転体に固定すると共に他端には磁気
ヘツド４を装備して、磁気テープ５に接するよう
に設け、接合部の電極に接続された端子６を基準
にして、表裏の電極に接続された端子７に必要な
電位を与えると第１図Ｂのように圧電素子板が変
形し、磁気ヘツド４は磁気ヘツドの回転方向に対
して直角方向に移動する。

第１図Ｃはバイモルフ構造の圧電素子に磁気ヘ
ツドを取り付けたスケツチ図である。

次に２ヘツドヘリカルスキヤン高密度アジムス
記録方式のVTRによつて標準テープ速度で記録
されたトラツクに対して、テープ速度が零、即ち
スチル状態での再生時の再生ヘツド軌跡の関係を
第２図において説明する。

第２図において、磁気テープ８上に互いに異な
るアジムス角を有するヘツドで記録された記録ト
ラツク９Ａ及び９Ｂに対して、標準記録テープ速
度で再生した場合には点線で示すように１０Ａ，
１０Ｂの走査軌跡として各記録トラツク上を再生
ヘツドが走査するので良好な再生信号が得られる
が、テープ速度が零、即ちスチル再生時には再生
ヘツド軌跡は実線１１になる。これを良好な再生
信号が得られるように再生するためには例えばＡ
ヘツドは始点のヘツド位置はそのままとし、走査
して行くにつれて矢印１２の方向に再生ヘツドを
引き戻せばよく、またＢヘツドでは始点で矢印１
３の方向にずらせておいて序々に元の位置に戻す
操作が必要になる。この時のＡ，Ｂ各ヘツドの移
動軌跡は第３図のようになる。第３図に於て、縦
軸は移動量を表わし、数値はトラツクピツチを示
している。また、横軸は時間を表わし、その数値
はフイールド数を示している。そして実線はその
軌跡で点線は帰り軌跡である。従つて第１図に示
す圧電素子バイモルフにこの軌跡を描かせる電位
を印加することによつてその再生信号を完全なも
のにすることができる。そして印加電位対偏位量
特性は若干のヒステリシス特性を有しているもの
の偏位量がそれ程多くなければほぼ比例関係にあ
ると考えられるので、テープとヘツドの相対位置
が完全に一定であれば第３図のような３角波形の
電圧を印加すればその目的を達成できる。しかし
ながら通常の操作でスチル再生を行わせると必ず
しもテープ・ヘツド間の位置関係は一定に守られ
ず、従つて自動的に記録トラツクを追跡すること
が必要になる。そのための従来の自動サーチ装置
のブロツク図を第４図に示す。この図において特
定の周波数で発振する発振器１５の出力信号（一
般に100〜500Hz）をサーチ信号として加算器１
６を介して圧電素子駆動回路１７に印加し、圧電
素子１８を振動せしめ、それに装着された磁気ヘ
ツド１９を機械的に振動させる。もしも磁気テー
プ上の記録トラツクから磁気ヘツドがずれている
と磁気ヘツド出力エンベロープに振動周波数と同
周波数の振幅変動が生ずる。従つて磁気ヘツド出
力信号を増幅器２０で増幅し、検波器２１で検波
した後にこの周波数成分のみをバントパスフイル
ター２２等で分離し、同期検波器２３で検波兼極
性判別を行ない、平滑回路２４を介して滑した誤
差信号を前記加算器１６に加えて圧電素子１８を
駆動し、磁気ヘツド１９の位置を偏位させて記録
トラツクを追跡する。なお２５は移相器で同期検
波器へ供給する基準信号の位相としてエンベロー
プ変動信号の位相とを合せるためのものである。
また一方再生された映像信号より分離された同期
パルス信号、或はコントロールパルス信号、又は
こらと同期関係にあるパルス信号を、例えば第３
図に示すような波形を発生する波形発生器２６に
加え、それに同期した波形を加算器１６に加え
て、サーチ信号、検出誤差信号と共に圧電素子駆
動回路１７を経て圧電素子１８に加える。

なお、第３図のＡはＡヘツド、ＢはＢヘツドに
対応する波形である。

このように、あらかじめ作つて波形でもつて記
録トラツクに対して再生ヘツドをほぼ平行に走査
するようにし、残るトラツクずれに対してはサー
チ信号を用いて補正するという方法が簡易型では
一般的である。この時の波形を第５図に示す。

第５図において、Ａは波形発生器２６の出力信
号波形であり、Ｂは発振器１５の出力であるサー
チ信号波形で、この二つの信号を加えて圧電素子
を駆動すると、トラツキングずれを生じておれ
ば、再生出力信号はＣに示すようにエンベロープ
に変動を生ずる。この変動成分のみを分離してＤ
とし、同期検波してＥを得、平滑してＦとする。
この誤差信号Ｆと共にＡ及びＢ信号を加算して信
号Ｇを得る。この波形が最終的にトラツキングを
修正した時に圧電素子１８に加えられる電圧であ
る。

以上の説明は１ヘツドについても全く同様であ
る。またスローモーシヨン再生、倍速再生につい
ても、テープ速度に応じて波形発生器２６の出力
の波形が変るのみで考え方は全く同じである。

ところで現在、更に高密度記録が可能な方式が
提案されている。それは従来のテープスピードと
その１／２倍のテープスピードで選択的に記録再
生する方式である。第８図のＡ，Ｂがその時のテ
ープパターンであり、Ａが１／２倍のテープスピ
ード、Ｂが従来のスピードの記録パターンであ
り、ＡのトラツクピツチはＢの１／２倍となる。
２ヘツドで記録再生を行う為に、２つのヘツド１
９のトラツク幅は従来トラツクピツチの１／２に
より少し大きくし、従来テープスピード時の、記
録時のＳ／Ｎをなるべく落さないようにされてお
り、従来テープスピードの１／２で記録する場合
は、重なる部分を消しながら順次トラツク２６
a₁，２６b₁，２６a₂，２６b₂……が形成される。
従来テープスピードでの記録時は、２個のヘツド
１９により、第６図Ｂに示すようにトラツク２６
a₁，２６b₁，２４a₂，２６b₂……が順次形成さ
れ、相隣るトラツク間にはガードバンドトラツク
が形成される事となる。

このようなVTRにおいて、従来テープスピー
ドで記録されたトラツクを、スチル再生する場合
は例えば第６図Ｂに実線３２に示すようなヘツド
軌跡となる。

ここでＡヘツドは矢印３３の方向に、Ｂヘツド
は矢印３４の方向に変位せる。従つてＡヘツドは
トラツク２６_１をＢヘツドはトラツク２６b₁を再
生する事となり、ノイズバンドのない良好なスチ
ル画面が得られる。しかしスチル時のヘツド軌跡
が３５であるとすると、Ａヘツドは矢印３６の方
向に、Ｂヘツドは矢印３７の方向にスチル時にト
ラツク軌跡にほぼ平行となるような固定の偏位が
与えられる。従つてＡヘツドはトラツク２６b₁
を、Ｂヘツドはトラツク２６a₂を走査する事とな
る。Ａ，Ｂヘツドはそれぞれ異なるアジムス角度
を有しているので、この場合、両ヘツド共に信号
を再生しない。しかしバントパスフイルター２２
の出力は、完全なトラツキングがなされた状態と
同様無出力となるので、そのままの状態で安全し
てしまい、スチル画面は、全面ノイズとなつてし
まう。このように、トラツクピツチより小さいト
ラツク幅をもつヘツドで、オートトラツキングを
行う場合、ノイズで安定する場合が生じる。特に
第６図Ｂのようにガードバンドトラツクが存在す
る場合には、ノイズの表われる確率は１／２程度
になつてしまう。

本発明は、この問題を解決するものであり、そ
の１実施例を第７図に示す。なお、第７図におい
て第４図と同一符号を有するブロツクは、第４図
と同一の機能を有する。

ヘツド１９より再生された出力は、増幅器２０
により増幅されたのち、検波器２１により検波さ
れ、その検波出力は、サーチ信号成分を抜きとる
バントパスフイルター２２と検波された直流電圧
を各ヘツドごとにサンプルホールドするサンプル
ホールド回路４０に入力される。バントパスフイ
ルター２２の出力は従来と同様に、同期検波回路
２３により検波兼極性判別を行ない、平滑回路２
４を介して平滑した誤差信号となる。サンプルホ
ールド回路４０の出力は、シユミツト回路４１に
よりレベル弁別され、ヘツド出力がない場合圧電
素子がある変位量だけ変位するような電圧を、平
滑回路２４に与えるように構成されている。この
誤差信号と、波形発生器２６からの再生速度に応
じた固定波形と、サーチ信号が加算器１６により
加算され、圧電素子駆動回路１７を経て、圧電素
子１８に加えられる。

ここで、スチル再生時の非制御時のヘツド軌跡
が第６図の３５であり、Ａヘツドが矢印３６方向
に、Ｂヘツドが矢印３７方向に変位された時、ヘ
ツド１９の出力はほとんど存在しない。従つて、
検波器２１の出力はなくなり、各ヘツドごとにサ
ンプルホールドされた出力は、シユミツト回路４
１でレベル弁別され、平滑回路２４に、圧電素子
１８がほぼ１トラツクピツチ変位するような電圧
を与える。これにより、圧電素子１８は例えばＡ
ヘツドであればトラツク２６a₂、Ｂヘツドであれ
ばトラツク２６b₂を再生する事となり、ヘツド
Ａ，Ｂはともに信号を再生する。これにより、シ
ユミツト回路４１は平滑回路２４に与えている電
圧を停止させる。ここでシユミツト回路４１は平
滑回路への電圧供給をすぐに停止するよりも、オ
ートサーチに要する時間とほぼ同じ時間、順次減
少するような電圧を供給することにより、より完
全にオートサーチが働くこととなる。今はＡ，Ｂ
ヘツドを、それぞれトラツク２６a₂，２６b₂を再
生するように、強制的に変位させたが、逆方向に
変位し、トラツク２６b₁，２６a₁を再生するよう
にしても同じであり、ただ圧電素子１８が変位す
る方向が異なるだけである。又圧電素子１８が少
ない変位量で、トラツキングする２６a₂，２６b₁
のトラツクを再生してもよい。ここではスチル再
生の場合のみ述べたが、スロー再生、倍速再生に
ついても同様である。

以上のように本発明によればトラツクピツチよ
り小さいトラツク幅を有するヘツドで、特に記録
トラツクがガードバンドトラツクを有するように
形成される２ヘツドアジムス記録再生装置で、ス
ロー、スチル、倍速再生時に、オートトラツキン
グしようとする時に、異なるアジムス角度を有す
るヘツドで記録されたトラツク、あるいはガード
バンドトラツクを走査することを無くすることが
可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図Ａは電気―機械変換素子の一例を示す側
面図、Ｂは同動作時の側面図、Ｃは同斜視図、第
２図はオートトラツキングを説明するための再生
ヘツドの軌跡を示す図、第３図Ａ，Ｂはオートト
ラツキングのために電気―機械変換素子に印加さ
れる電圧波形図、第４図は従来のトラツキング装
置の１例を示すブロツク図、第５図は同動作説明
波形図、第６図Ａ，Ｂは記録時のテープスピード
が異なる状態におけるテープ上の記録パターンと
本発明の動作を説明するための図、第７図は本発
明の１実施例の要部を示すブロツク図である。 １５……発振器、１６……加算器、１７……圧
電素子駆動回路、１８……圧電素子、１９……磁
気ヘツド、２０……増幅器、２１……検波器、２
２……バントパスフイルター、２３……同期検波
器、２４……平滑回路、２５……移相器、２６…
…波形発生器、４０……サンプルホールド回路、
４１……シユミツト回路。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 再生時に、磁気ヘツドの設けられた電気機械
   変換素子に、一定周波数のサーチ信号を印加し
   て、前記磁気ヘツドを記録軌跡に略直角方向に振
   動せしめるとともに、その磁気ヘツドよりの再生
   信号をエンベロープ検波し、その検波出力より前
   記一定周波数成分を抽出し、その抽出した信号に
   もとづいて、前記電気機械変換素子を制御して、
   前記磁気ヘツドのトラツキング制御を行う磁気記
   録再生装置のトラツキング制御装置において、前
   記再生信号のレベルが所定レベル以下の時、前記
   電気機械変換素子に一定のレベルの信号を印加
   し、前記磁気ヘツドを一定距離だけ変位せしめる
   ことを特徴とする磁気記録再生装置の自動トラツ
   キング装置。 ２ 電気機械変換素子に印加される一定レベルの
   信号は、磁気ヘツドを記録軌跡ピツチだけ変位せ
   しめるレベルの信号であることを特徴とする特許
   請求の範囲第１項に記載の磁気記録再生装置の自
   動トラツキング装置。 ３ 電気機械変換素子に印加される一定レベルの
   信号は、印加後徐々に減衰されることを特徴とす
   る特許請求の範囲第１項に記載の磁気記録再生装
   置の自動トラツキング装置。