JPS6148587B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明はガラス、セラミツクス等の基板上に形
成する透明金属酸化物被膜に係り、更に詳しくは
該透明被膜が二酸化鉛（PbO₂）である透明金属酸
化物被膜に関する。 一般にPbO₂透明被膜の形成方法は、真空蒸着
法、化学スプレー法、浸漬法が主である。真空蒸
着法は形成される被膜特性は優れているが、量産
性に問題があり、又、パターン化に対応する為に
は更にエツチング等の処理を施す必要があつた。
一方、化学スプレー法、浸漬法では量産性に問題
はないが、パターン化については前者と同様の問
題がある。この様に、従来方法では一長一短があ
り、必ずしも優れた方法とは言い難い。 本発明は、スクリーン印刷が可能で、焼成によ
つてPbO₂被膜が形成できる印刷ペーストを提供
する為になされたもので、焼成によつてPbO₂被
膜を形成する化合物で、有機溶媒に可能な有機鉛
化合物をペースト中に含有することを特徴とす
る。すなわち、前記有機鉛化合物と有機溶剤と粘
性剤とでペーストを構成する。前記有機鉛化合物
としては化学的に安定な例えばオクチル酸鉛、ヘ
キシル酸鉛、ブチル酸鉛が好適である。また、有
機鉛化合物を溶解させる有機溶剤としては、ター
ピネオール、２−エチルヘキサノール、ベンジル
アルコール等の高沸点アルコール類、ベンジルア
セテート、ジメチルフタレート等の高沸点エステ
ル類、カルビトール、ブチルカルビトール、ブチ
ルセロソルブ等の高沸点アルコールエーテル類等
の高沸点有機溶剤が用いられ、粘性剤としてニト
ロセルローズ、エチルセルローズ等のセルローズ
化合物が使用される。 このようにして作られたペーストを使用し、所
望の形状にパターン化されたスクリーン版を用い
てスクリーン印刷し、予備乾燥後400℃以上の温
度で焼成するとPbO₂透明被膜が所望の形状に形
成される。この被膜は透明であることは勿論、膜
強度が大で、比較的高い絶縁性を有する。又、ペ
ースト中に含有するPb量を適当にコントロール
することで5000Å以下の被膜を自由に形成するこ
とができる。 本発明のPbO₂透明被膜及びPbO₂透明被膜形成
用ペーストは従来のものと若干性質が異なり、多
方面への応用が可能である。以下、実施例に基づ
いて詳しく説明する。 実施例 １ オクチル酸鉛（Pb含有量20％）に、ブチルカ
ルビトール：ブチルセロソルブ：ジメチルフタレ
ート＝３：１：１の割合に混合した混合有機溶
媒、粘性剤としてニトロセルローズを15wt％添
加してペースト粘度80000cpとし、最終的にPbの
含有量を全量に対し、0.1〜10wt％となる様に調
製し、夫々ペーストを作成した。このペーストを
用いてステンレスネツト250メツシユのスクリー
ン版で、ソーダガラス基板上にスクリーン印刷
し、150℃で20分間予備乾燥後、500℃で30分間焼
成して、それぞれの被膜の膜厚及びその他の特性
を調べ、その結果を次の表に示す。なお表中の×
印は悪いと判断されたもの、△印はやや悪いと判
断されたもの、〇印は良いと判断されたもの、−
印は測定不可能なものをそれぞれ示す。また、光
透過率（可視部min）は、波長が380〜800nｍの
うち、最低の透過率のものを示している。

【表】 以上の結果より、Pb含有率を１〜10wt％とす
ると、透明度良好で、膜強度ならびに電気絶縁性
が大、500〜5000Å程度の被膜を自由に形成でき
ることがわかる。 実施例 ２ 有機溶媒に、２−エチルヘキサノール、粘性剤
にエチルセルローズを用い、その添加量12wt％
としてペースト粘度80000cpに調製し、実施例１
と同様の実験を行なつたが、被膜強度が若干劣つ
たことを除いて実施例１とほぼ同様の結果が得ら
れた。 本発明は前述のような構成になつており、スク
リーン印刷が可能なペーストを提供することがで
き、それによつて量産に適し、パターン化が容易
な透明被膜が得られる。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 焼成によつて二酸化鉛の被膜を形成する化合
   物で、有機溶媒に可溶な有機鉛化合物を含有する
   ことを特徴とする透明被膜形成用ペースト。 ２ 特許請求の範囲第１項記載において、前記有
   機鉛化合物がオクチル酸鉛であることを特徴とす
   る透明被膜形成用ペースト。 ３ 特許請求の範囲第２項記載において、前記オ
   クチル酸鉛の添加量が、ペースト全量中の鉛含有
   率が約１〜10重量％になるように調整されている
   ことを特徴とする透明被膜形成用ペースト。