JPS6146661B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、デイーゼルエンジンの燃料噴射ポン
プに係り、特に円筒状に形成された框体の同一円
周上にプランジヤポンプを配置して構造の簡易化
とコンパクト化を図つた燃料噴射ポンプに関す
る。

従来、デイーゼルエンジンに使用されている列
型の燃料噴射ポンプは、エンジンの気筒数だけポ
ンプユニツトが一直線に配置されており、また各
ポンプユニツトには夫々タイマ及びガバナが必要
である。このため構造が複雑で大型となりかつ重
量も大となりコスト高となつていた。また最近使
用されている分配型燃料噴射ポンプは、１つのポ
ンプユニツトから圧送された燃料がデイストリビ
ユータによつて各気筒へ分配される構造のもので
あるから、多量の燃料噴射量が得られないという
欠点があつた。

本発明は、上記した従来技術の欠点を除くため
になされたものであつて、その目的とするところ
は、円筒状の框体の同一円周上に複数のプランジ
ヤポンプを配置することによつて、小型でかつ軽
量な燃料噴射ポンプを提供することである。また
他の目的は、複数のプランジヤポンプの夫々に装
着されたプランジヤを単一の正面カムの山形部で
噴射順に押圧することによつて、簡単な構造で燃
料噴射ができるようにすることである。また他の
目的は正面カムの山形部に係合し得、かつプラン
ジヤを押圧するタペツトを装着したタイミングコ
ントロールスリーブを回転させることによつて、
燃料噴射時期の調節が簡単な構造でできるように
することである。更に他の目的は、複数のプラン
ジヤポンプの夫々に装着されたプランジヤを回転
させるコントロールスリーブの夫々に固着された
コントロールピニオンを１個のコントロールギヤ
で回転させることによつて、燃料噴射量の調節が
簡単な構造でできるようにすることである。

要するに本発明は、円筒状の框体と、該框体の
同一円周上に配置されかつ該框体に軸方向の移動
を制限されて嵌挿されコントロールピニオンを一
体的に形成したコントロールスリーブと該コント
ロールスリーブの軸心部に摺動自在に嵌挿され該
コントロールスリーブの回転に連動して回転し得
るプランジヤとを夫々備えたプランジヤポンプ
と、前記框体の軸心部に軸方向の移動を制限され
て支承されエンジンの回転に連動して回転するカ
ム駆動シヤフトと、該カム駆動シヤフトに固着さ
れ前記プランジヤポンプ側の円周面に少なくとも
１個の山形部を形成した円板状の正面カムと、該
正面カムと前記プランジヤポンプとの間に配置さ
れかつ前記框体の内周面に嵌挿されたタイミング
コントロールスリーブと、該タイミングコントロ
ールスリーブに摺動自在に嵌挿されかつ前記プラ
ンジヤポンプのプランジヤを前記正面カムの山形
部に夫々対向し得る如く配置されたタペツトと、
前記カム駆動シヤフトの軸心部に軸方向の移動を
制限されて嵌挿され前記コントロールピニオンの
夫々に噛合するコントロールギヤが固着され燃料
噴射量調節装置の操作に連動して回転するコント
ロールシヤフトとを設け、該コントロールシヤフ
トは前記正面カム及び前記タイミングコントロー
ルスリーブに対して回動自在でこれらとは独立し
て回動するように構成され、該タイミングコント
ロールスリーブは前記複数のタペツトを保持して
該タペツトの一部が前記正面カムに従動しつつ前
記框体内に回動自在に収容され外部から回転駆動
されることで該正面カムに対する該タペツトの作
動位相が変化するように構成したことを特徴とす
るものである。

以下本発明を図面に示す実施例に基いて説明す
る。本発明に係る燃料噴射ポンプ１は、框体２
と、プランジヤポンプ３と、カム駆動シヤフト５
と、正面カム６と、タイミングコントロールスリ
ーブ７と、タペツト８と、コントロールシヤフト
９とを備えており、框体２はエンジン本体１１に
固着されかつ円筒状に形成されている。

プランジヤポンプ３は、框体２の一端面の同一
円周上に複数、実施例では４個同一間隔で装着さ
れており、該プランジヤポンプは、框体２に軸方
向の移動を制限されて回動自在に支承されたコン
トロールスリーブ１２と、該コントロールスリー
ブの軸心部に形成された中空穴１２ａに嵌挿され
たプランジヤ１３を備えている。該プランジヤは
図中左方に形成されたつば部１３ａをコントロー
ルスリーブ１２の図中左端に形成された溝部１２
ｂに嵌入させることによつて、コントロールスリ
ーブ１２の回転に伴つて回転するようになつてい
る。またプランジヤ１３の図中右端には、軸方向
に穴１３ｂが形成されており、該穴は該プランジ
ヤの外周面に斜めに形成された切欠き溝１３ｃに
連通している。またコントロールスリーブ１２に
はコントロールピニオン１４が一体的に形成され
ている。なお第１図において、１５は燃料の吸排
口、１６はデリバリバルブ、１７はデリバリバル
ブばね、１８は噴射パイプ、１９は燃料だまりで
ある。

そしてプランジヤ１３が、第１図において矢印
Ａの方向に移動しはじめ、該プランジヤの右端が
燃料の吸排口１５をふさぎ終わると燃料の圧送が
はじまり、更にプランジヤ１３が矢印Ａの方向に
移動し、切欠き溝１３ｃが燃料の吸排口１５に出
合うと、燃料は燃料だまり１９に逆流して燃料の
圧送が終るようになつている。

カム駆動シヤフト５は框体２にスラスト荷重に
耐え得る構造の軸受２１によつて軸方向の移動を
制限されて回動自在に支承されており、カム駆動
ギヤ２２が固着されている。該駆動ギヤはエンジ
ンのクランクシヤフト（図示せず）に連動して回
転するアイドルギヤ２３に噛合している。正面カ
ム６は円板状に形成されており、カム駆動シヤフ
ト５に固着されている。該正面カムのプランジヤ
ポンプ３側の円周面には１個の山形部６ａが形成
されている。

タイミングコントロールスリーブ７は円筒状に
形成されており、正面カム６とプランジヤポンプ
３との間に配置されかつ框体２の内周面に嵌挿さ
れている。該タイミングコントロールスリーブの
外周面にはタイミングコントロールレバー２４が
固着されており、該タイミングコントロールレバ
ーは框体２に固着された検出器２５のアクチユエ
ータ２６の二又部２６ａに嵌入されている。そし
て検出器２５がエンジンの回転数、負荷、温度等
を検出して作動すると、アクチユエータ２６が移
動し、タイミングコントロールスリーブ７はタイ
ミングコントロールレバー２４を介して一定角度
回転し得るようになつている。

タペツト８はプランジヤポンプ３のプランジヤ
１３に夫々対向し得る如くかつタイミングコント
ロールスリーブ７に形成された４個の穴７ａに摺
動自在に嵌挿されており、該タペツトの両端には
ローラ２８，２９が枢着されている。ローラ２８
は正面カム６の山形部６ａと係合し得る如く、ま
たローラ２９は該ローラとプランジヤ１３との間
に配置された４個のばね受け体３０と係合し得る
如く夫々設定されている。該ばね受け体は圧縮ば
ね３１によつて、第１図に示すように矢印Ｂの方
向に付勢されており、プランジヤ１３の左端が当
接し得るようになつている。

なお正面カム６とタペツト８のローラ２８との
係合関係は、該ローラが円滑に回転できるよう
に、正面カム６のカム面の形状は内側が高く外側
が低く形成され、これに伴つてローラ２８はその
断面が円錐台形に形成されている。即ち一対の円
錐台形摩擦車の組合せと同じ係合関係となつてい
る。

コントロールシヤフト９はカム駆動シヤフト５
の軸心部に形成された中空穴５ａに嵌挿され先端
に４個のコントロールピニオン１４に噛合するコ
ントロールギヤ３２が固着されている。そして該
コントロールシヤフトは、燃料噴射量調節装置
（図示せず）、即ち例えば自動車ではアクセルペダ
ル等の操作に連動して作動するガバナ（図示せ
ず）に連結されており、該ガバナによつてエンジ
ンの回転数等を検出し該コントロールシヤフトを
回転させるようになつている。

本発明は、上記のように構成されており、以下
その作用について説明する。エンジンのクランク
シヤフトに連動してアイドルギヤ２３及びカム駆
動ギヤ２２を介してカム駆動シヤフト５が回転
し、正面カム６が回転すると、該正面カムの１回
転毎に該正面カムの山形部６ａによつて、タペツ
ト８及びばね受け体３０を介して噴射順に配置さ
れたプランジヤポンプ３のプランジヤ１３が、順
次圧縮ばね３１のばね圧に抗して、第１図に示す
ように矢印Ａの方向の押圧される。するとデリバ
リバルブ１６がデリバリバルブ１７のばね圧に抗
して矢印Ｃの方向に押圧されて開弁し、圧縮され
て高圧となつた燃料が噴射パイプ１８を通つてイ
ンジエクシヨンノズル（図示せず）からエンジン
の燃焼室（図示せず）に噴射される。

このように框体２の一端面の同一円周上に配置
された４個のプランジヤポンプ３は、正面カム６
の１回転毎に噴射順に高圧の燃料を噴射するもの
であり、単一の正面カム６によつて複数のプラン
ジヤポンプ３を作動させることができるので、燃
料噴射ポンプ１は構造が簡単となり小型でかつ軽
量となる。

なおこの場合、正面カム６の山形部６ａにかか
る荷重はかなり大となるが、耐摩耗性の大きい材
質、例えば超硬合金のチツプ等を使用すれば耐久
性は十分に大きくなる。またプランジヤポンプ３
は４個に限定されることはなく、より多く框体２
に装着することは可能であり、それに応じてタペ
ツト８を設ければよい。また該タペツトには両端
にローラ２８，２９が枢着されているが、一方の
ローラ２９を分離してはね受け体３０に装着して
もよい。

第１図及び第３図において、カム駆動シヤフト
５の回転方向を右側より見て時計方向とすると、
エンジンの回転数が高くなつてプランジヤポンプ
３の噴射時期を早くしたい場合には、検出器２５
がエンジンの回転数を検出してアクチユエータ２
６を作動させ、タイミングコントロールレバー２
４を介してタイミングコントロールスリーブ７が
矢印Ｄの方向に回転する。これによつて正面カム
６の山形部６ａとタペツト８のローラ２８との係
合が早くなり、プランジヤポンプ３の噴射時期を
早くすることができる。逆にエンジンの回転数が
低くなつて燃料噴射ポンプ３の噴射時期を遅くし
たい場合には、タイミングコントロールスリーブ
７は矢印Ｅの方向に回転する。実施例では、噴射
時期をエンジンの回転数によつて調節する構造と
したがマイクロコンピユータとアクチユエータと
の組合せにより、タイミングコントロールレバー
を回転数の他エンジンの負荷或いは、エンジンの
冷却水温、油温等により操作し、エンジン状態に
最適の噴射時期を選定させることもできる。

このようにプランジヤポンプ３のプランジヤ１
３及び正面カム６の山形部６ａに夫々対向し得る
如く配設された４個のタペツト８を摺動自在に嵌
挿したタイミングコントロールスリーブ７を、エ
ンジンの回転数等に応じて回転させることによつ
て燃料噴射ポンプ３の噴射時期を調節することが
できるので、従来のように大型で構造が複雑なタ
イマは不要となる。

例えば、アクセルペダルを操作するとガバナが
作動し、該カバナがエンジンの回転数を検出しコ
ントロールシヤフト９が適宜回転する。するとコ
ントロールギヤ３２を介して４個のコントロール
ピニオン１４が同時に適宜回転しコントロールス
リーブ１２を介してプランジヤ１３が回転し、燃
料の吸排口１５に対するプランジヤ１３の切欠き
溝１３ｃの位置が移動し、これによつて燃料噴射
量を調節することができる。このようにコントロ
ールシヤフト９を回転させ、コントロールギヤ３
２、コントロールピニオン１４及びコントロール
スリーブ１２を介してプランジヤ１３を回転させ
ることによつて燃料噴射量を調節することができ
るので、従来の列型燃料噴射ポンプのような長手
方向にわたつて摺動しかなりの空間を必要とする
コントロールラツクは不要となり、装置全体が小
型となる。

本発明は、上記のように構成され、作用するも
のであるから、円筒状の框体の同一円周上に複数
のプランジヤポンプが配置されているので、小型
でかつ軽量な燃料噴射ポンプを得ることのできる
効果がある。また複数のプランジヤポンプの夫々
に装着されたプランジヤを単一の正面カムの山形
部で噴射順に押圧することができるので、簡単な
構造で燃料噴射させることができる利点がある。
また正面カムの山形部に係合し得、かつプランジ
ヤを押圧するタペツトを装着したタイミングコン
トロールスリーブを回転させることによつて燃料
噴射時期の調節を簡単に行うことができる効果が
得られる。また複数のプランジヤポンプの夫々に
装着されたプランジヤを回転させるコントロール
スリーブの夫々に固着されたコントロールピニオ
ンを１個のコントロールギヤで同時に回転させる
ことができるので、燃料の噴射量の調節が簡単な
構造でできる等従来の燃料噴射ポンプに比べて格
段に優れた効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例に係り、第１図は燃料噴
射ポンプの部分縦断面正面図、第２図は第１図の
−矢視縦断面図、第３図はカム駆動シヤフ
ト、正面カム、タイミングコントロールスリー
ブ、タペツト、コントロールシヤフト、コントロ
ールピニオン及びコントロールギヤの相互関係を
示す斜視図、第４図は要部部分縦断面図である。 １は燃料噴射ポンプ、２は框体、５はカム駆動
シヤフト、６は正面カム、６ａは該正面カムの山
形部、７はタイミングコントロールスリーブ、８
はタペツト、９はコントロールシヤフト、１２は
コントロールスリーブ、１３はプランジヤ、１４
はコントロールピニオン、２５は検出器、３２は
コントロールギヤである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 円筒状の框体と、該框体の同一円周上に配置
   されかつ該框体に軸方向の移動を制限されて嵌挿
   されコントロールピニオンを一体的に形成したコ
   ントロールスリーブと該コントロールスリーブの
   軸心部に摺動自在に嵌挿され該コントロールスリ
   ーブの回転に連動して回転し得るプランジヤとを
   夫々備えたプランジヤポンプと、前記框体の軸心
   部に軸方向の移動を制限されて支承されエンジン
   の回転に連動して回転するカム駆動シヤフトと、
   該カム駆動シヤフトに固着され前記プランジヤポ
   ンプ側の円周面に少なくとも１個の山形部を形成
   した円板状の正面カムと、該正面カムと前記プラ
   ンジヤポンプとの間に配置されかつ前記框体の内
   周面に嵌挿されたタイミングコントロールスリー
   ブと、該タイミングコントロールスリーブに摺動
   自在に嵌挿されかつ前記プランジヤポンプのプラ
   ンジヤと前記正面カムの山形部に夫々対向し得る
   如く配置されたタペツトと、前記カム駆動シヤフ
   トの軸心部に軸方向の移動を制限されて嵌挿され
   前記コントロールピニオンの夫々に噛合するコン
   トロールギヤが固着され燃料噴射量調節装置の操
   作に連動して回転するコントロールシヤフトとを
   設け、該コントロールシヤフトは前記正面カム及
   び前記タイミングコントロールスリーブに対して
   回動自在でこれらとは独立して回動するように構
   成され、該タイミングコントロールスリーブは前
   記複数のタペツトを保持して該タペツトの一部が
   前記正面カムに従動しつつ前記框体内に回動自在
   に収容され外部から回転駆動されることで該正面
   カムに対する該タペツトの作動位相が変化するよ
   うに構成したことを特徴とする燃料噴射ポンプ。