JPS6145701Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は回転電機巻線の緊縛装置に関する。更
に詳言すると回転電機巻線を緊縛しているガラス
レンジバンドの脱落を防止し得るよう改良したも
のである。

回転電機における、特に回転子の巻線にガラス
レジンバインドテープを巻回して成るガラスレン
ジバンドで前記巻線を緊縛する場合、このガラス
レジンバインドテープには相当の張力をかけなが
ら巻き付けている。これは大きな残留応力を作用
せしめた状態にすることにより捕縛の実を向上せ
しめる意図である。ところがこの巻回に際には、
ガラスレジンバインドテープを加熱しながら巻回
するので、このガラスレジンバインドテープに含
浸されているセミキユアレンジが柔らかくなりこ
のガラスレンジバンドが巻線から滑つて脱落する
虞れがあるばかりでなく、回転電機の運転中にお
いても同様に脱落する虞れがある。また巻線の絶
縁が枯れると、ガラスレンジバンドの径が小さく
なるので、このガラスレンジバンドが緩み脱落し
易くなる。かかる種々の原因によりガラスレンジ
バンドが脱落すると何れにしても残留応力がなく
なり緊縛の効果がなくなるという欠点がある。

本考案はかかる従来技術に鑑みその欠点を除去
すべく新規な着想に基づき考案したものである。
したがつて本考案の目的は、回転電機のコイルエ
ンド等に巻回されたガラスレンジバンドの脱落を
防止し得る回転電機巻線の緊縛装置を提供するこ
とにある。かかる目的を達成する本考案は、回転
電機の巻線にガラスレジンバインドテープを幾重
にも巻回して成るガラスレンジバンドを備え、こ
のガラスレンジバンドの両端層間に加熱硬化する
ことによりガラスレンジバンドと一体となつてい
る複数のＵ字状クリツプを設けた回転電機巻線の
緊縛装置において、前記クリツプは、２枚の短冊
状でセミキユア状のガラスレンジプレートの間
に、これらガラスレンジプレートよりも幅方向及
び長手方向の寸法が若干小さい同形状の薄鋼板等
の金属板を挾み込んで形成したものであることを
特徴とする。

以下、本考案の実施例を図面に基づき図面に基
づき詳細に説明する。

第１図において、１は回転軸、２は回転子鉄
心、３は巻線、４はバインド下絶縁、５は締金絶
縁、６は締金を夫々示す。ガラスレンジバンド７
は前記巻線３を緊縛するよう高い張力をガラスレ
ジンバインドテープに作用せしめながら巻線３に
幾重にも巻回されている。このときガラスレンジ
バンド７の幅方向の両側には断面Ｕ字状のクリツ
プ８，８ａが装着してある。

このクリツプ８，８ａの装着は次の様な態様で
行なう。

先ずガラスレジンバインドテープを巻線３に幾
層か巻回する。このことによりガラスレンジバン
ド７の下部の層が形成される。そこで、この層の
幅方向の両側に夫々短冊状のクリツプ８，８ａの
一端部を当接せしめ、更にガラスレジンバインド
テープを幾層か巻回した後、前記クリツプ８，８
ａを断面Ｕ字状に夫々折曲する。この結果、クリ
ツプ８，８ａの他端部が前記ガラスレンジバンド
７の相対的に上部の層の両側に夫々当接する。こ
の状態で更にガラスレジンバインドテープを１層
以上巻回しておく。

前記クリツプ８，８ａは、第２図ａ及び第２図
ｂに示すように、２枚のセミキユア状のガラスレ
ンジプレート９，９ａの間に、これらガラスレン
ジプレート９，９ａよりも幅方向及び長手方向の
寸法が若干、例えば２〜３mm小さい寸法の薄鋼板
等の金属板１０を挾み込んで形成してある。この
ときのガラスレンジプレート９，９ａとはガラス
繊維を集合せしめてレンジを含浸させセミキユア
状態で平面状に形成したもので、素材としてはセ
ミキユアガラスクロス及びガラスレジンバインド
テープを短冊状に切つて形成する。ここにいうセ
ミキユアガラスクロスとはガラス繊維を織つて平
面状に形成したもの、ガラスレジンバインドテー
プとは縦方向に伸びるガラス繊維を横方向に並べ
平面状（テープ状）に形成したものを指す。

このようにクリツプ８，８ａにセミキユア状の
ものを使用することによりガラスレンジバンド７
を加熱硬化するとき、このクリツプ８，８ａもガ
ラスレンジバンド７と一体となつて硬化する。し
たがつてクリツプ８，８ａによるガラスレンジバ
ンドの後述する横滑り防止機能が一層確実にな
る。本実施例では何れにしても装置の際ガラスレ
ジンバインドテープを傷付けないようなものとし
ている。

かかるクリツプ８，８ａを有する緊縛装置にお
いて、クリツプ８，８ａはその一端部と他端部と
がガラスレジンバインドテープにより押圧・固定
されるので、このガラスレンジバンド７の横滑り
はクリツプ８，８ａにより防止できる。

なお本実施例の場合、クリツプ８，８ａはガラ
スレンジバンドの両側に各１箇所装着するものと
したが、装着箇所の数をこれに限定するものでは
ない。この数はガラスレンジバンド７の巻回層の
厚さに応じて適宜選定すべき問題である。またガ
ラスレンジバンド７の円周方向に関するクリツプ
８，８ａの装着箇所数及び装着箇所が複数になつ
た場合の相互の位置関係に特別な制限はないが、
その数が多ければ多い程、また装着箇所が複数の
場合には隣接する箇所同志が等角度をなす場合
程、脱落防止に寄与し得ることは明白である。ま
た、ガラスレジンバインドテープとは緊縛材料と
してのテープ自体、ガラスレンジバンドとは巻回
された状態での全体を夫々指す。

以上実施例とともに具体的に説明したように、
本考案によれば、クリツプはセミキユアガラスク
ロス若しくはガラスレジンバインドテープを素材
とするガラスレンジプレートによる金属板の挾持
構造としたため、ガラスレンジバンドを傷付ける
ことなくこれとの一体性が良好であるばかりでな
く、金属板により耐久性も良好なものとなる。即
ち、ガラスレンジバンドを構成するガラスレジン
バインドテープは下層に対して上層がすべり落ち
ようとする力、換言すれば幅方向に関し外方に向
かう力をクリツプに作用せしめるが、この力は剛
性である金属板で支えることができるので、その
分安定してクリツプによりガラスレンジバンドの
ズレを防止し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す縦断面図、第２
図ａはそのクリツプを示す縦断面図、第２図ｂは
そのＡ−Ａ線断面図である。 図面中、３は巻線、７はガラスレンジバンド、
８，８ａはクリツプである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 回転電機の巻線にガラスレジンバインドテープ
   を幾重にも巻回して成るガラスレンジバンドを備
   え、このガラスレンジバンドの両端層間に加熱硬
   化することによりガラスレンジバンドと一体とな
   つている複数のＵ字状クリツプを設けた回転電機
   巻線の緊縛装置において、前記クリツプは、２枚
   の短冊状でセミキユア状のガラスレンジプレート
   の間に、これらガラスレンジプレートよりも幅方
   向及び長手方向の寸法が若干小さい同形状の薄鋼
   板等の金属板を挾み込んで形成したものであるこ
   とを特徴とする回転電機巻線の緊縛装置。